「安心労働社会実現法案」を衆院に提出

「安心労働社会実現法案」を衆院に提出

「安心労働社会実現法案」を衆院に提出

 国民民主党は8日、政府の「働き方改革」法案の対案である「安心労働社会実現法案」を衆院に提出した。

 「安心労働社会実現法案」は、旧民進党と旧希望の党が1月に設置した「働き方改革検討のための合同会議」で検討を進め、取りまとめたもの。誰もが安心して働き、安心して暮らしていける社会をつくるための法案であり、(1)「雇用対策法の一部を改正する法律案」(2)「労働基準法の一部を改正する法律案」(長時間労働規制法案)(3)「労働契約法の一部を改正する法律案」(4)「労働安全衛生法の一部を改正する法律案」(パワハラ規制法案)――の4法案で構成される(PDFダウンロード参照)。(4)の法案については、旧民進党、旧希望の党が4月27日に参院に共同で提出済み。

 旧民進党はこれまで、労働時間の延長の上限規制等を盛り込んだ法案を 2016年4月に提出するなど、わが国の異常な働き方を根本的に改善する取り組みをリードしてきた。同年11月には、大手広告代理店の新入社員の過労自殺を重く受け止め、提出済みの議員立法に違法な時間外労働への罰則強化を追加した法案を再提出した。さらに、旧民進党では、この新入社員の過労自殺の要因の一つといわれるパワハラへの対処を含め、9つのテーマで法案の立案等に取り組み、「安心労働社会実現法案」の提出に至った。法案(PDFダウンロード参照)のポイントは、次の通り。

残業時間の上限規制の導入とその実効性の担保

 2014年に超党派で過労死等防止対策推進法を制定した。しかし、過労死や過重労働が原因の精神疾患等、健康被害が後を絶たない。この状況を変えるためには、実質的に無制限となっている労働時間の上限に罰則付きの法規制で歯止めをかけるとともに、この上限規制を実効性あるものとするための規制強化が必要不可欠である。そこで法案には上限規制の導入に加え、(1)1日の勤務終了から次の勤務開始まで一定の休息時間(インターバル)を確保することを義務付け(2)事業主に個々の労働者ごとに労働時間管理簿を作成して、始業・終業時刻や実労働時間等を記録することと、本人の要請で情報開示することを義務付け(3)違法残業など法令違反に対する罰則を強化――を盛り込む。

裁量労働制の要件の厳格化 

 裁量労働制は何時間働いてもあらかじめ定めた時間しか働いていないとみなす制度であり、悪用されれば「定額働かせ放題」となってしまう。現に、過労死や健康被害が発生している。国民民主党は、安倍政権が目指してきた裁量労働制の対象業務拡大は行わず、裁量労働制が働く者のためになる働き方となるよう、現行制度の規制強化策を法案に盛り込む。 具体的には、(1)健康管理時間(社内と社外での労働時間の合計)の把握と記録を義務付け、上限規制の範囲とすることを要件化(2)適用対象者への事前説明と本人同意手続の強化、及び同意の撤回手続の法定化(3)裁量労働に関する法令違反をした企業に、制度の利用を一定期間中止させる制度を導入――等である。 旧民進党と旧希望の党は安倍政権に対し、裁量労働制の対象業務拡大を政府の法案から削除するよう求めてきたが、安倍政権は対象業務拡大のみならず、現行制度の問題を解決するために必要な改善策まで一緒に削除してしまった。そこで、法案には、安倍政権が削除する、対象者の健康確保措置の充実等も盛り込む。

「高度プロフェッショナル制度」の創設規定を削除

 安倍政権が導入をめざす「高度プロフェッショナル制度」は、労働基準法の労働時間規制を全て適用除外とし、過重な長時間労働を合法的に課すことができる制度である。国民民主党はこの制度の創設に断固反対しており、断念するよう政府に求めている。よって、法案にはこの制度を盛り込まない。

パワーハラスメント等に対する規制の導入

 パワハラが原因となって自殺に至る事案が生じるなど、職場のパワハラが大きな社会問題となっている。また、取引先など他の企業の従業員からのパワハラやクレーマーによるハラスメントも問題となっている。そこで、誰もが安心して働き続けることができる職場環境の確保を図るため、職場のパワハラや過剰なクレームなどから労働者を保護するための措置を事業者に義務付けることを法案に盛り込む。

 法案提出後の記者会見で足立信也政務調査会長は、「この法案は、国民民主党にとっては大きな法案だ。今回われわれは法案を1本ずつ提出したが、それは、少しでも法案の成立が実現しやすいようにということだ」と説明し、法案提出の意義を強調した。法案提出には、合同会議の共同座長だった岡本充功衆院議員をはじめ、大西健介、白石洋一、浅野哲各衆院議員が出席した。

「安心労働社会実現法案」【全体像】

「雇用対策法・労働基準法・労働契約法改正案」【全体像】

「長時間労働規制法案」概要

雇用対策法改正案概要

雇用対策法改正案要綱

雇用対策法改正案

雇用対策法改正案新旧対照表

労働基準法改正案概要

労働基準法改正案要綱

労働基準法改正案

労働基準法改正案新旧対照表

労働契約法改正案概要

労働契約法改正案要綱

労働契約法改正案

労働契約法改正案新旧対照表

労働安全衛生法改正案(パワハラ規制法案)概要

パワーハラスメントに当たり得る行為類型

労働安全衛生法改正案(パワハラ規制法案)要綱

労働安全衛生法改正案(パワハラ規制法案)

労働安全衛生法改正案(パワハラ規制法案)新旧対照表