衆院で11日、「消費者契約法の一部を改正する法律案」の本会議質疑が行われ、国民民主党の西岡秀子議員が質問に立ち、(1)若年成人者の保護規定の充実(2)意思表示を取り消し得る不当な勧誘行為の類型(3)平均的な損害額の立証責任事業者の努力義務に関する改正――等の課題を取り上げた。

 消費者契約法は、消費者契約に関する包括的な民事ルールとして2001年に施行。2006年改正で消費者団体訴訟制度を導入。2008年改正では差し止め請求の対象を拡大、2016年改正では「取り消し・無効に関する民事ルール」を改正。衆参両消費者特別委員会で今後の検討課題について必要な措置を講ずる旨の付帯決議がなされた。その内容は、「勧誘要件の在り方、不利益事実の不告知、困惑類型の追加、平均的な損害額の立証責任、条項使用者不利の原則、不当条項の類型の追加」などで、2015年報告書で課題とされた論点について、成立後3年以内に必要な措置を求めるとされていた。今回の改正案はこの論点にそって改正事項をまとめたもので、消費者と事業者の交渉力の格差に鑑み、消費者契約に関する被害事例等を踏まえたものとなっている。

 西岡議員は、「成年年齢を20歳から18歳に引き下げる民法改正案が国会で審議入りしたが、消費者保護の観点から考えると、民法5条2項の未成年者取消権の喪失による消費者被害の拡大の恐れが懸念される。ほかにも、親権の喪失によって生じるさまざまな問題点が指摘される」と問題点を取り上げ、成年年齢の引き下げにより、特に18歳、19歳の消費者被害の拡大が心配されるが、今回の改正案では保護される部分が限定的であるとして、若年成人者の保護規定の充実がより必要だと問題提起した。

 今回の改正案で追加された「意思表示を取り消し得る不当な勧誘行為の類型」に関しても取り上げた。困惑類型といわれる「不安をあおる告知」「恋愛感情に乗じた人間関係の濫用」の規定があらたに設けられ、該当すれば消費者が当該契約の取り消しができるものとした点について着目。「改正の趣旨は評価するものであるが、第4条3項三号四号に『社会生活上の経験が乏しい』という文言が入った事により、若年者を意識した規定と捉えられる恐れがあり、霊感商法等の事例での高齢者等の救済に規制的に働く恐れがある」との見方を示した。また、「今回は限られた場合の取り消し権しか認められておらず、問題だ」と指摘した。

 専門委員会で、法改正の合意が得られていた「平均的な損害額の立証責任」に関する規定が改正案に盛り込まれていない点も問題視し、「現行法で契約解除時に消費者が求められるキャンセル料は、当該事業者に生ずべき平均的な損害額を超える部分は無効とすると規定されているが、平均的な損害額及びこれを超える部分は、基本的には消費者に立証責任があるとされている。今回問題となっているのは「平均的な損害の額」を算定する為の根拠資料が主に事業者に保管され、それらの資料が事業者から積極的に提出されにくく、消費者が「平均的な損害の額」を立証する事は極めて困難であるという点だ」と問題提起した。

衆院本会議西岡秀子議員質問予定稿