衆院で15日、政府提出の「文部科学省設置法の一部を改正する法律案」に関する本会議質疑が行われ、国民民主党・無所属クラブから源馬謙太郎議員が質問に立ち、(1)文科省及び文化庁の任務の変更(2)所掌事務の変更(3)文化庁の京都移転――等の論点についてただした。

 同法案は、文化庁の京都への全面的な移転にあわせ、新・文化庁にふさわしい組織改革・機能強化を図り、文化に関する施策を総合的に推進するというもの。

 源馬議員は冒頭、文化庁の京都への全面移転について「明治政府樹立以来の中央省庁の東京以外への設置であり、わが国の歴史上非常に大きな意味を持ち、文化新興のための抜本的な組織改革と機能強化は、わが国の文化史の大きなメルクマールとなる」との期待感を表明した。

 質疑では、まず、文科省と文化庁の任務を「文化の振興」から「文化に関する総合的な推進」へと変更する点に関して「具体的にどのような効果があるのか。『文化の振興』を主眼としていた今までとは何が違うのか」をただした。林文部科学大臣は、文化庁に政府全体の文化行政を担えるよう権限と責任を付与することによって「文化庁が直接担当する文化振興施策のみならず、各府省庁の文化関連施策との連携を一層深めることができ、新しい切り口からの日本文化の魅力の発信や各施策の相乗効果、好循環の創出を期待できる」等と説明した。

 これまで文科省が所管していた「芸術に関する教育の基準の設定に関する事務」を文化庁に移管することについては、「どのような具体的な効果があると見込まれるのか」を質問した。これに対して文科相は、「学校教育としっかりつながる形で全ての子どもたちへの芸術に関する教育の充実や文化芸術の振興、トップレベルの芸術家の育成等一体的に担い、国民の文化芸術に関する素養のさらなる向上と文化芸術を担う人材の育成強化を図りたい」と答えた。

 最もインパクトが大きいと思われる文化庁の京都への移転については、「この移転による効果について、地方の発展という側面と、日本全体の行政組織の変化という側面の両面の意義」について梶山地方創生大臣に見解を求めた。地方創生相は「文化行政の企画立案のさらなる強化、国際発信力の向上、文化財を活用した観光の強化推進等、地方創生の視点から意義が大きい」等と答弁した。

 これに対して源馬議員は、文化庁の京都移転が歴史的な一大事業であると評価しつつ、「今回の移転は、国の機関が物理的地理的に地方に移動するというだけであって、権限や財源の移譲を伴っていない」と指摘。本当の意味で地方が豊かになる道筋をつけていくためには、「首都機能の移転や、国から都道府県への本格的な権限の委譲、その先には今は下火になってしまっている道州制の導入の議論」を再び始めるべきだと説いた。

衆院本会議源馬謙太郎議員質問予定稿