参院で23日、政府提出の「気候変動適応法案」についての本会議での質疑が行われ、国民民主党・新緑風会の礒﨑哲史議員が質問に立った。

 本題に入る前に礒﨑議員は、民間機関の行った共同世論調査を取り上げ、「政治家を信用していない」「官僚を信用していない」の回答がそれぞれ7割台と高い結果が出たとし、「今回の安倍政権下での不祥事の数々は、国民の皆さんが抱く国会議員への不信感を増大させることはあっても、その逆がないことは容易に想像がつく。こうした不信感を取り除く方法は不祥事の真相究明しかない。その責任を果たすつもりがないのであれば、早期に退陣いただくことが政治の信頼を取り戻すことにつながる」と指摘し、加計学園問題の真相究明に後ろ向きな態度を続ける安倍政権を批判した。

 「気候変動適応法案」は、温室効果ガスの排出削減対策(緩和策)と、気候変動の影響による被害の回避・軽減対策(適応策)は車の両輪であるとして、本法案により適応策を法的に位置付け、関係者が一丸となって適応策を強力に推進しようとするもの。

 礒﨑議員は、「世界の平均気温は上昇し、21世紀末に向けて、気候変動の影響リスクが高くなると予想されている。このため温室効果ガスの排出抑制等を行う『緩和』だけでなく、すでに現れている影響や中長期的に避けられない影響に対して『適応』を進めることが求められている」と現状を指摘。「本法律案は、適応策を法律に位置付けるということで、総合的に強力に実施していくことを目指すものだと受け止める」とした上で、本法律案提出の経緯及び背景の説明を求めた。中川雅治環境大臣は、「気候変動の影響はさまざまな分野において全国各地で表れており、今後さらに深刻化する恐れがある。将来の気候変動の影響に関する科学的知見に基づき、適応策を充実強化することが重要」「これまでの取り組みを着実に進めてきた結果として、各方面からいただいた提言や要望を踏まえ、今般わが国の適応策を法的に明確に位置づけ、国のみならず地方公共団体、事業者、国民と連携協力して、適応策をさらに強力に推進するために本法案を国会に提出した」と説明した。

 礒﨑議員は、地方公共団体の適応計画策定について、「国には適応計画の策定が義務付けられているが、地方公共団体は、地球温暖化対策計画と同様に努力義務にとどめられている。しかし、適応策は、緩和策に比べても、地域の特性に応じたよりきめ細かい対応が必要となるので、地域のステークホルダーが連携して適応策に取り組むことができるよう、計画を策定していくことがより重要と考える。特に市町村の間では、適応策への取り組みに差が大きいことが指摘されており、国によるサポート強化など、一層の推進が必要だ」と訴えた。中川環境大臣は、「地域に足を運び、環境省が旗振り役になり後押ししていく」と答えた。