衆院で25日午後、「卸売市場法及び食品流通構造改善促進法の一部を改正する法律案」の本会議採決が行われ、与党などの賛成多数で可決された。採決に先立ち緑川貴士議員が反対討論を行った。

 卸売市場法の改正案は、中央・地方の卸売市場の開設を従来の認可制から認定制にし、民間事業者の参入も認めるというのが主な内容。その結果、現行卸売市場法では細かく規定されている各種取引ルールを、新制度ではすべて各卸売市場が自由に設定できることになる。 また卸売市場の取り扱い品目が食品と花きであれば制限がなくなり、例えば現行制度では扱えない米も扱えることになる(医薬品目的など特殊なものについては制約が課せられる)。

 緑川議員は、卸売市場について、「国民に食料を安定供給する社会インフラであり、国民の暮らしを支えるうえで極めて重要な基盤だ」としたうえで、政府の本改正案の目的に関する説明については、「疑わしい部分が多い」と改正案に反対することを表明した。反対する主な理由としては、(1)制度見直しを直ちに行わなければならない理由が不明(2)制度改正により食糧を安定供給する社会インフラとしての役割が一変してしまうかもしれない(3)不公正な取引の横行が生じる可能性――などをあげた。

 緑川議員は、「多数の品目を効率的に取り扱うことによって、生産者、実需者どちらの利益も最大限守ろうとするバランスのとれた公益性の高い仕組みこそが、卸売市場の骨格だ」と訴え、安倍内閣が進める「農業競争力強化プログラム」については、「農業分野においても経済至上主義の考え方をとり、あまりにも性急な効率化・大規模化の道筋を突き進んでいる」と懸念を示した。そのうえで、「拙速すぎるこの改正の動きは、さまざまな弊害を生み、国内農業の持続性が失われる」「結果として困るのは、決して生産者だけではなく、安全・安心な食べ物を求める全国の消費者、全国民にとってみても、『食』の危機は、『命』の危機につながる」と強調し、効率優先主義に立脚するアベノミクス農政に対峙(たいじ)していくと強く主張した。

衆院本会議「卸売市場法及び食品流通構造改善促進法の一部を改正する法律案」緑川議員討論原稿(未定稿)