国民民主党の玉木雄一郎代表は16日、島根県を訪れ県連結成大会に出席、「国民民主党のこれから」と題して時局講演を行うとともに、IT企業支援でユニークな取り組みをしている「しまねソフト研究開発センター」の視察も行った。県連大会は、森本秀歳松江市議を代表、岩田浩岳島根県議を幹事長に選出するなど新役員を決定した。

県連大会

 玉木共同代表はあいさつで、国民民主党について「もう一度、政権交代を担える野党の大きな固まりを作りたい」との思いからの結成だったと説明。党の現状については、大きな固まりに向けた第一歩と位置づけ、「今はしっかり国民の期待と信頼を得られる政党に育て上げたい」との考えを表明した。そのうえで、今後必要になる第2幕、第3幕に向けて尽力していくとの決意を語った。

 また、過去半年希望の党に所属し、地域組織も自治体議員も党員・サポーターもいなかった経験を振り返り、「政党は、地域組織や自治体議員、地域で一生懸命に人々の暮らしに向き合っている方々の声を聞かないと、本当の意味での政党にならない。それが身に染みて分かった」と吐露し、だからこそ「地方、地域をとにかく大切にする政党でありたいと心の底から思っている」と力を込めた。

時局講演会

 冒頭、森友・加計学園問題を取り上げ、「(役人が)正面からうそをつくという前代未聞のことが起こっている」と指摘。役人にはうそをつく動機付けがないにもかかわらず、なぜ300カ所もの決裁文書の改ざんをしなければならなかったのかと問いかけ、「答えは明白だ。役人より偉い人、大臣や総理の国会答弁や政治姿勢を守るため」だったと指摘した。行政の現状を「溶けている」と評し、「溶かしているのが政治だ」と安倍政権を痛烈に批判し、内閣総辞職を求めた。このような政治に対抗するために野党の再生が必要であると説いた。

 その再生の一歩が国民民主党の結成だと述べ、新党の目指す理念について(1)時間的な共生(2)社会的な共生(3)地球的な共生――の3つの共生を根本理念にしていると述べた。これからの日本が「人生100年時代」「AI時代」「人口減少時代」「アジアの時代」――の4つの時代を生き抜いていかなければならないとことを示し、それに対応するために(1)技術革新で人口減少克服(2)日本版ベーシックインカム(3)自立分散で地方豊かに――という政策の3本柱を提案するとともに、公文書改ざん防止法案を国会に提出したことを報告した。

 

ぶら下がり記者会見

 党島根県連が結成された所感について玉木共同代表は、「無事に立ち上がってよかった。私たちは地域、地方を大切にすることを党の大切な柱にしている。とりわけ私は、(島根県のように)わが党の国会議員がいない地域を重点的に回っている。それはわが党が国会議員だけの政党ではない。地方組織に支えられて成り立っていることを明確にするためだ」と語った。

 次期参院選の山陰地域での取り組みについては、「合区が短期的に解消されることは難しい。来年の選挙は、合区で戦うことを前提にすれば、早急に(島根・鳥取)両県の県連を中心に候補者の選定を進めていただきたい。他党、とりわけ立憲民主党ともよく調整する。1人区は候補者を1人に絞る必要があるので、ともに推せる良い候補者を早期に発掘したい」と述べた。

しまねソフト研究開発センター視察

 島根県内企業がITを活用したサービス・製品を創出する事業活動を支援する「しまねソフト研究開発センター」を訪れた玉木共同代表は、島根県情報産業協会の吉岡宏会長らの案内でセンター施設内を見て回った。頭部装着型のコンピュータであるホロレンズや業務用スマートヘッドセットであるモペリオプロを実際に装着しその機能を体験した。

 IT分野における人材育成、人材確保、技術支援や研究開発、事業創出支援などの一連の取り組みが功を奏し、島根県ではIT産業集積が順調に進んでいるという。玉木共同代表は意見交換の中で「高齢者の見守りとか認知症対策とか、IT技術を生かせるところはいっぱい出てくると思う。地域の課題をテクノロジーで乗り越えるというのは、これから絶対にやっていかなければいけない分野だ。マーケットを作りながら社会的課題を解決できればベストだ」と語った。

しまねソフト研究開発センター視察

しまねソフト研究開発センター視察