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 全国の仲間の皆さん、そしてインターネット中継をご覧頂いている全国のみなさん、こんにちは。国民民主党代表の玉木雄一郎です。通常であれば冒頭にご来賓の皆様にお礼を申し上げる所ですが、今回の党大会は新型コロナウイルスの感染が拡大しているという状況を踏まえ、出席者を最小限に絞りました。

 ご来賓の皆様など、外部の方のご招待は控えさせていただくとともに、今年度の活動方針や予算などの議案を、ネットを活用して、この会場にお越しいただかなくても参加、議決できるようにしました。国民民主党流の「テレワーク」の推進でもあります。同時にユーチューブやニコニコ動画でライブ中継を行い、開かれた党大会としています。新型コロナウイルスの感染拡大が懸念される困難な状況でありますが、こうした新しいチャレンジをすることで仲間同士がしっかりと心合わせをして、同時に国民の皆さんに私たちが何を目指し、何をしていくのかを、ご理解していただける大会にしていきたいと思います。

 まず、新型コロナウイルスへの対策ですが、国民民主党では政府や他党に先駆けて1月28日に対策本部を設置し、1月30日には政府に対して緊急の申し入れを行いました。政府もこれに呼応し、中国・武漢からの帰還費用の免除などを速やかに実行に移しました。事は国民の生命、健康に関する事ですので、皆で力と知恵を出し合って、全力で取り組んでいこうではありませんか。

 ただし、今、局面は変化しつつあります。水際対策は引き続き重要ですが、既に国内で感染者が増加していることを踏まえ、重症率や死亡率の極小化やそのための医療提供体制の整備に重点を移していく必要があります。 同時に、景気・経済対策も非常に重要になっています。中国は世界のサプライチェーンに組み込まれており、その経済の停滞は我が国経済に大きな影響を与えることは必至です。地域経済の柱となっている観光需要やインバウンドは、風評被害も含めて、既に大きな影響が出始めています。後で述べますが、予備的・予防的緊急経済が不可欠な状況です。

 先日政府は新型ウイルスに対する緊急対策を取りまとめましたが不十分です。そこで、昨日は、共同会派として政府に申し入れも行ったところです。今、国会で審議中の新年度予算案には、新型コロナウイルス対策の予算は一円も含まれていません。カジノ管理委員会関連の予算を削るなどして、この予算案を組み替えるべきです。来週、具体的な組替案を出していきます。

 安倍政権の危機管理には綻びが出ています。3人の閣僚が16日に開かれた国の対策本部の会議を欠席したことにも如実に現れています。特に、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」への対応は、国内だけでなく、海外からも多くの批判を受けています。 アメリカなどが中国全土からの渡航者の入国を拒否する中で、我が党からの指摘もあってわずかな対象地域の拡大を行いました。それでも未だに中国の一部地域に限っています。国内の検査体制、医療提供体制も本当に国民の健康や命を守るものになっているのか不安は拭えません。同僚議員の皆さんにも国会で何度も提案してもらいましたが、今こそ、新型インフルエンザ特別措置法の適用を検討すべきです。特に、特措法に基づく「緊急事態宣言」を発し、できることを全てやり切るべきです。やり過ぎだと思われるくらいやって、収束してくれば緩めればいいのです。今後、どこまで感染が広がるか予断を許しませんが、最悪のケース、つまり大流行で重症患者が溢れ返るケースを想定した場合、日本の基幹病院の機能は大幅に制限され、相当な混乱が予想されます。とりわけ、大学病院や日赤や市民病院などの基幹病院機能の維持が大きな課題になるのは明らかです。医療崩壊のような事態を絶対に起こしてはなりません。だからこそ、私たちは、国民の皆さんが感じている不安や、最前線で闘う医療現場の皆さんの声をお聴きし、重症者や死亡者を最小限に抑える方策を考え行動していきます。皆さん、私たちは、この国家的危機に対して、危機管理を重視する政党として、国民の生命・健康、そして暮らしを守るための、まさに「新しい答え」を積極的に提案し実現していこうではありませんか。

 国会では現在、毎日、予算委員会が開催され、渡辺周筆頭理事を先頭に、予算委員会のメンバーの皆さんが激しい論戦を行なっています。その中でも際立つのが、安倍総理の奢り、長期政権の緩みです。これまでも国会に提出する公文書を隠す、改ざんする、また、聞かれたことには答えず関係ないことを長々としゃべることを繰り返してきました。今国会ではさらにそれが極まり、国会での質疑者に対して「意味のない質問」とヤジを飛ばしたり、「桜を見る会」の問題でも、多くの国民が総理の説明に納得していません。

 極めつけは検察官の定年延長の人事です。法律を捻じ曲げてまで自らに都合よく定年を延長しました。総理大臣さえ逮捕できる権限を持つ検察官人事への違法性を伴う介入は、法治主義を放棄し、人治主義がまかり通るおそるべき政治への堕落です。まさに民主主義の危機ともいうべき危機的な事態に陥っています。この事態に、私たち一人一人が強い危機感を共有し、政権に厳しく向き合っていこうではありませんか。来週26日に行われる予算委員会の集中審議では、私自身、この問題を取り上げ、人事の撤回を求めていきたいと思います。

 安倍政権は政策的にも行き詰まりつつあります。安倍政権の看板は経済でした。確かに、日銀や年金積立金を総動員することで株価は上昇し、一部の大企業や都市部には恩恵が及んだかもしれませんが、本日地方から直接、またネットで参加いただいている皆さんも実感しておられるとおり、多くの国民、特に地方に暮らす多くの国民の生活は良くなっていません。また、将来の安心が増すどころか、人生100年時代といいながら、年金への不安をはじめ、増しているのは将来不安だけではないでしょうか。

 そんな中、安倍政権は昨年10月に消費税率を引き上げました。軽減税率やポイント還元制度には豊かな人ほど有利に配分される「逆再分配機能」があり、かえって格差を拡大するおそれがあります。また、景気が下降局面であり、消費が伸び悩んでいるときに消費税を上げれば我が国経済や国民生活に大きな打撃を与えることは明らかです。事実、先日発表された昨年10-12月期のGDPは、年率でマイナス6.3%という大幅な下落です。これに追い打ちをかけているのが、新型コロナウイルスによる経済への影響です。先ほども申し上げましたが、中国は我が国最大の貿易相手国であり、その経済の停滞は我が国経済に対して、かつてとは比べものにならないくらい大きな悪影響を与えます。にもかかわらず、安倍政権の経済の認識は極めて甘い。甘過ぎます。皆さん、今の経済政策を続けていて、国民の生活を守ることができると思いますか。今こそ、経済政策の転換が必要です。

 このように、安倍政権の限界が近づいているからこそ、安倍政権に代わる、信頼できる政権の受け皿を、協力できる政党や会派と一緒に作りあげなくてはなりません。

昨年は春の統一自治体選挙、そして夏の参議院選挙と、全国的な選挙が2つありました。 結果はいずれも厳しいものであり、特に比例区において現職2名が落選したことは痛恨の極みです。また、2つの選挙を通じて東京、大阪などの大都市部がわが党の弱点であることが明らかとなりました。国民民主党として初めて戦った2つの全国選挙の反省と教訓、そして悔しさを、来るべき総選挙に生かしてまいります。そのため、運営体制を含めた執行部の再構築を図ってまいります。

 そして、総選挙に向け、私たちの政策をさらに研ぎあげることが必要です。昨年の統一自治体選挙、参議院選挙を通じて各分野にわたる国民民主党の考え方、政策を整理しました。総選挙に向けては、優先順位を明確にし、私たちが政権を取ったらどのような政策を実行するのか、どのような社会を目指すのか、分かりやすく示していきます。

 そこで、核となるのはなんと言っても経済政策です。私たちは昨年の参議院選挙を「家計第一」の経済政策で戦いました。安倍政権の大企業優先、大都市優先の経済政策では国民生活が豊かにならないばかりか、社会の分断・格差を拡大します。今こそ、家計優先、地域優先の「家計第一」の経済政策へ大きく舵を切らなくてはなりません。鍵は内需、とりわけGDPの6割を占める消費です。外需やインバウンドに頼れない経済に変質しつつあるからこそ、「消費を軸とした新しい好循環」、いわば「令和の好循環」を作っていかなくてはなりません。そのためには、教育や科学技術への投資も大胆に増やしていかなくてはなりません。「家計」「教育」「科学技術」この3つのKを中心とした新しい経済発展のモデルを示していきます。 こうした考えを具体的な政策として練り上げていくため、代表直属の組織として「ポリシーユニット」を設置し検討を開始します。特に、不況の入口にある日本経済と国民生活を救うため、今、大型の「家計減税」が必要で、その具体策を示していきます。その際には、皆さんの声も反映していきたいと思いますので、ぜひ、ご協力お願いします。

 選挙に向けたもう一つの大きな柱は、野党の大きな固まりをつくり、できる限りの多くの選挙区で1対1の構図を作ることです。昨年1月の党大会で「大きな固まり」を目指すという方針を確認し、これに沿って自由党の皆さんとの合流、そして秋の臨時国会での共同会派へと歩みを進めてきました。昨年12月6日には、立憲民主党の枝野代表から政党合流の呼びかけがあり、その後の協議の経緯は議案書にあるとおりですが、引き続き、本年1月20日の両院議員総会で確認した方針に沿って、粘り強く協議を継続していく方針です。

 大切なことは、選挙で一人でも多くの仲間が勝利できる環境を作ることだと考えています。そのために何がベストなのか、あらゆる選択肢を模索していきます。その際には国民民主党の理念、基本的な立ち位置、基本政策を堅持しつつ、最大限の協力を野党間で行い、全員の勝利を目指します。

 昨年は統一自治体選挙と参院選と、全国的な選挙が2つあり、代表として全国を回りました。そこで改めて感じたのは、全国にいる仲間の皆さんこそが国民民主党であり、私たち党本部は皆さんに支えてもらっていることを痛感しました。これまでもこれからも、国民民主党は、地方を大切にし、地方の皆さんのがんばりに報いる政党でありたいと思います。全国の自治体議員や地方組織の皆さんの力があれば、いや、その底力があってこそ、政権交代は実現可能だと確信しています。執行部の仕事は、地域の皆さんの熱意、活動、能力が最大限発揮できる環境を作ることだと考えています。

 また、国会での活動を見れば、我が党所属の国会議員の仕事ぶりは秀でていると感じています。特に、昨年、民間英語試験導入延期を実現した城井崇議員の活動には、当事者である多くの高校生や学校の先生から大きな賞賛が寄せられました。そこに、若者とつながる新しい民主主義の可能性を感じました。国民民主党は若者の声をダイレクトに反映できる、若者のための政党でもありたいと思います。

 子ども子育て政策や女性、そして、若者に関する政策も国民民主党の強みです。先の代表質問で取り上げた「選択的夫婦別姓」や「シングルマザーの養育費途絶問題」「内密出産」「若者減税」には、私自身も驚くほど、多くの反響が寄せられました。選択的夫婦別姓については、昨日お目にかかったサイボウズの青野社長からも感謝されましたし、連合をはじめ、多くの賛同者によるうねりが今まさに生まれてきています。養育費途絶問題については、男女共同参画推進本部において徳永エリ本部長が中心となり議員立法を取りまとめています。また内密出産についても私自身が一昨日、熊本県の慈恵病院に現場取材に行き、課題を整理してきました。

 私たちの仕事は、国会や地方議会での質問をテコに社会を動かすことです。多くの国民は、総理や大臣、知事や市区町村長に想いを直接伝えることは出来ません。質疑によって不条理をただすことも出来ません。それができるのは私たちだけなのです。だからこそ、私たちの責任は果てしなく重大なのです。この会場にいらっしゃる皆さん、そして、ウェブを通じて参加して頂いている皆さん、社会のあちらこちらにまだ解決されず放置されている問題や、声にもならない小さな声を丁寧に取り上げ、議会に持ち込み、「新しい答え」で実現する、その「執念」を、改めて確認しあおうではありませんか。

 私たちは、穏健保守からリベラルまでを包摂する「改革中道政党」という理念を掲げ、正直で偏らない現実的な政治を目指す政党です。そして、そのために、必ず政権を担うのだという強い意志と責任感を共有した政治集団です。

 これまでも様々なことがあり、そしてこれからも様々なことがあるでしょう。しかし、いついかなる場合でも、どんな形になろうと、私たちは、この理念と責任を共有していることを忘れず、進んでいこうではありませんか。 なぜなら、日本だけではなく世界で分断や格差が拡大し、極端な主張がまかり通る中、私たちの掲げるこの理念や政策は、単に国民民主党にとって必要というのではなく、野党全体や日本の政治全体にとっても絶対に不可欠だと信じるからです。 ここに集う、そして、つながる仲間の皆さん、近い将来、必ずや、政権の一翼を担おうではありませんか。今日は、その思いを改めて確認し、力を合わせ、心を合わせてスタートする大会としたいと思いますので、どうかよろしくお願いします。ありがとうございました。