城井崇WT座長

城井崇 9月入学検討WT座長

 「公正な大学入試の機会を確保すべき」。国民民主党文部科学部門の9月入学検討ワーキングチーム(WT)の中間報告が3日、総務会で了承されたことを受け、城井崇WT座長が会見をおこなった。

 同中間報告は、9月入学の一律的な導入は見送るとした一方で、新型コロナのため受験勉強の機会が奪われた高校3年生らのために(1)来年度に限り、大学入試を後ろ倒しで2回行う「ダブルチャンス入試」の導入(2)今年、実施できなかった学校行事、スポーツ・文化イベント(大会など)の実施を政府が支援する「セカンドチャンス体験」――等を提言している。9月入学の議論は今後も中長期的に継続していく、とした。ただ9月入学の導入は就職活動などにも影響するため、これを実現するためにはかなり広範囲な制度の見直しが必要だとして、党内に部門横断的な議論の場の設置を求めた。

 今年度の9月入学導入見送りについて城井座長は、新たな学齢の線引き次第では「学習が早い児童と遅い児童の分断を生んでしまうことを心配する声を、未就学児童の保護者から相当頂いた」と述べた。また9月入学を導入することで保育士が約1・7万人程度不足し、待機児童も約26・5万人発生するとの試算があると説明した上で「物理的な人手不足を短期間で乗り越えるのは困難」だと述べた。  

9月入学

 他方、同報告書は新型コロナ蔓延で勉強の機会が奪われた大学受験生のため、来年度に限り大学入試を後ろ倒しで2回行う「ダブルチャンス入試」の導入を提唱。共通テストを1か月程度遅らせた上で、2次試験を4月前と9月前の2回行う具体案を示した(9月に入学することになる生徒についてはその分在学期間が短くなるため、これら生徒のための「伴走型」カリキュラムを想定)。

ダブルチャンス入試(案)

 また新型コロナにより失われた機会は勉強に限らないとした上で、実際には行われなかった学校行事やスポーツ大会の再実施を政府が支援していく「セカンドチャンス体験」も提唱。このようなイベントの例として、甲子園地方大会やインターハイ、文化活動の大会を挙げた。

ダブルチャンス入試

 さらに同報告書は、中長期的な課題として「アフター・コロナ」「ウィズ・コロナ」の教育政策を9月入学と同時に議論すべきだ、として(1)教育格差の是正(2)脱・詰め込み教育(3)AIや「飛び級」を活用した学びの個別最適化(4)3才からの義務教育、等を挙げている。

PDF「「9月入学・9月新学期」案に関する中間報告」「9月入学・9月新学期」案に関する中間報告