初めて臨んだ通常国会で、焦点となった「特定複合観光施設区域整備法案」(IR法案)の審議に取り組むなど、積極的な活動を行った森田俊和議員に国会論戦を振り返ってもらうとともに、今後の目指すべき政治について話を聞きました。
森田俊和(もりた・としかず)衆院議員
選挙区:埼玉12区(熊谷市(旧江南町を除く)、行田市、羽生市、加須市、旧川里町(現鴻巣市)
1974年熊谷市生まれ。97年早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、99年同大学大学院政治学研究科修士課程修了、99年4月同大学大学院政治学研究科博士課程入学、同年9月カナダ・マギール大学留学、2005年3月早稲田大学大学院博士課程単位取得退学。同年6月訪問介護ステーション開設、07年4月埼玉県議会議員選挙に初当選。11年4月に2期目の当選、2017年10月衆議院議員選挙3回目の挑戦で8万6,007票を獲得して比例北関東ブロックで復活初当選。
まず自己紹介させていただきます。地元埼玉県で、県議会議員を2期務めさせていただき、その後国政に挑戦して2回落選。今回、3回目の挑戦で国会へ送っていただき、ただいま衆院議員として活動させていただいております。
──はじめて臨んだ通常国会の論戦はいかがでしたか。
小さな党のいいところでもあり大変なところでもあると思いますが、いろいろな法案審議で、1期生であるにもかかわらず、即戦力という形で質問に立つ機会を多数いただきました。忙しい日々でしたがいろんな勉強をさせていただきました。本会議では安倍総理に直接質問する機会もあり、また委員会では各担当大臣に国民の皆さま方の声をぶつける機会が多数ありました。充実した国会活動をこなさせていただいています。
──内閣委員会委員として政府提出の「特定複合観光施設区域整備法案」(IR=カジノ法案)の審議を担当されました。多くの課題が残されたままですが、どうお考えですか。
IR法案はそもそも審議入りする本会議質疑で登壇させていただき、それから内閣委員会審議でも質問に立たせていただきました。IR法案の前段で、ギャンブル等依存症対策基本法案審議でも、取り組ませていただきました。
地域によってはIR法案と聞いてもピンとこないところもあるのかと思いますし、大枠で考えると「海外からカジノを楽しむお客様が日本に来ることはいいことだろう」という話になりがちです。しかし、そうしたなか国会質疑等で非常に問題になったのはギャンブル依存の方々への歯止めが弱いため、制限なしではたくさんのお金を使ってしまう人が出てくるのではないかという懸念があります。IR法案はカジノ事業者がギャンブル客にお金を貸すことができる内容となっていますが、事業者が貸し出す金額を顧客ごとに自分たちで決めるのではなく法律で上限を定めないといけません。ギャンブル依存の人が大金をつぎ込んでしまうという恐れがあります。
現在ある公営ギャンブルやパチンコなどに対しては、依存症にならないよう、刑法の賭博罪との関係で予防線という形でいろいろなしばりを設けています。そういったしばりが、IR法案で大丈夫なのかという不安が、国民の皆さんの賛否の声となっていると思います。
国民の皆さんのそうした不安を一つひとつ丁寧にぶつけさせていただきながら質疑に取り組ませていただきました。
ギャンブル依存症の対応ひとつとっても、例えばIRのカジノに対する制限があっても、ある日カジノとは別の公営ギャンブル、パチンコなどに熱中して24時間やり続けたら、IRでのカジノ制限だけでは足りません。国民の皆さんの生活を守るため、全体を見渡したうえでの対応策を丁寧に積み上げていかなければいけないのです。
──国民民主党は「対決より解決」を主張する政党です。森田議員にとっての「解決!」を教えていただけますか。
私が日ごろ気をつけていることですが、社会全体でも働き方を見直す動きが広がっていますし、今国会で働き方改革法案が可決されましたが、国会内や事務所内の働き方を良くしていこうと強く意識しております。
その考えのもと、委員会の質問でも、委員会の枠組みのなかで質問が急に決まったときなどは実現が難しい場合もありますが、なるべく、大げさに言えば「1分1秒でも早く」質問通告を出し、担当される衆院事務局の方や、担当される省庁の皆さまが、少しでもいわば人間的な環境のなかで仕事ができるような形にしたいと常々考えています。
国会議員であるこちら側は強い思いをもって質問の場に臨むわけですが、思いが強いから通告が遅くてもいいということはありません。省庁の担当者の方々は何人もの議員の質問への対応をかかえていて、大変な思いをされているのではないかと思います。
そういった皆さまが少しでも働きやすい環境のなかで対応していただける状況を作り出すことを心がけて自分で質問通告をしています。そうした点を少しご理解いただけたような声も省庁の皆さんから聞いておりますので、微々たる部分ですが自分なりに働き方改革の一助となることができたかなと思っています。
──国民民主党所属国会議員として今後やっていきたいこと、あるいはやらなければいけないと考えることをお聞かせください。
まず国民民主党のいいところは、良くも悪くも色がついていないことです。そして、組織が小さいので、党役員の方々と直接腹を割って話ができ、「どうでしょうか?」と話しをすれば「よし分かった」ということになります。スピード感がある、早く物事が動くという感じですね。この構造は何かのときにいい働きを発揮してくれるに違いありません。
民主主義の成り立ちという見方で考えても、これはとても大事なことです。私たち国会議員が国民の皆さまの声を受け止め、党の中枢にいる人に届け、政策づくりに生かしていく。それを達成するうえで、風通しがいい組織は有効です。国民の皆さんの側からいえば、「森田に話をすれば党幹部にすぐつながり、こういう結果が出てくる。あるいは結果が出なくても党内で連携する動きができてくる」と受け止めていただける。「幹部に直に言える」という関係は、民主主義そのものを考えてもとてもいいことだと思っています。
やらなければならない政策課題としては、50年100年を見据えた国の形をつくっていきたいと思っています。
初めての国会を経験するなかで思ったこととして、政府から法案が提出され、どうしてもそれに対する質疑に追われてしまって、なかなか長期的な視点に立った政策立案が難しいのが実情ですが、そうした状況に負けずに長期的な視点に立った政策立案にぜひとも取り組みたいと思っています。もちろん目の前にある法案質疑に取り組みながら。
日本という国をどういう方向に持っていくか。もちろんそこでは負担とサービス提供とのバランスを十二分に検討することが重要です。国民の皆さまにどの程度のご負担をお願いするのかを示したうえで、どういうところまでは国として責任を持ってサービスを国民の皆さまに提供できるかを議論し、説明をさせていただく。場合によっては説得をさせていただくことを含めて、これからの新しい日本の形を示し、具体的な形に表していくことが私の国会議員としての仕事だと考えています。50年100年を見据えた国の形をつくること、党としてもその方向でやっていければいいなと思っています。
──最後に、ウェブサイトをご覧の国民の皆さんへのメッセージをお願いします。
国民の皆さんからぜひ広くいろんな声を上げていただきたいと思います。それをしっかりと私たちなりに咀嚼(そしゃく)して、いい政策、いい提案としてどんどん取り上げて形にしていきたいと思っています。どうぞご意見を寄せてください。そして、ぜひご期待をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。