「胸を張って、次の世代にバトンタッチできる社会にしたい」と語る矢田わか子議員。第196通常国会の振り返りや今後取り組んでいきたいことを聞きました。


矢田わか子 参院議員
参院比例代表選出
 1965年9月生まれ。大阪市出身。松下電器産業株式会社(現パナソニック株式会社)入社後、松下電機産業労働組合中央執行委員、パナソニックグループ労働組合連合会副中央執行委員長、電機連合男女平等政策委員長を歴任。第24回参院選挙にて比例区より立候補し初当選(現在1期目)。好きな言葉は「意志あるところに道はひらける」。

本会議で代表質問する矢田議員

本会議で代表質問する矢田議員

 ──自己紹介をお願いします。


 2016年の参院選挙比例区で当選した矢田わか子です。プライベートでは、1児の母です。いま高校1年生の息子と一緒に議員宿舎で生活しています。


内閣委員会での質疑

内閣委員会での質疑

 ──前国会、内閣委員会理事として活躍されていました。振り返ってみていかがですか。


 内閣委員会には多くの法案が付託され、前国会もTPP関連法案やIR実施法案など与野党が激しく対立した重要法案の審議は、最後まで難航しました。このため積み残しになった法案が数本出ましたが、一方で、議員立法として「ギャンブル依存症等対策基本法」、それから「政治分野における男女共同参画法」など評価できる法案も成立しました。


 ──内閣委員会所管の政治分野における男女共同参画法が成立しました。女性議員の1人として、どうすれば女性議員が今後増えていくとお考えですか。ご自身の経験を踏まえて教えていただけますか。


 国会議員になってみて、女性議員が周りに少ないと感じます。審議される法案の中身を見ると、生活者の視点、子育ての視点、消費者の視点で、意見提起をしていくべき事項が数多くあります。まずは、女性が政治に入ることにより自分の生活、それから社会を変えていくことに自分が参画できる、という意識を持っていただくことがスタートだと思います。
 今回法案が成立したことにより、都道府県や各政党に対しても数値目標を掲げて計画を立てて取り組んでくださいという方向付けができました。ぜひそういう意識が広がっていけばいいなと思っています。
 この法案も参院だけは付帯決議をつけました。この付帯の意味は“理念法”と言われるものに、いかに実効性を担保し具体的な取り組みにつなげるのかという点にありました。ぜひ地方自治体議員の方々と一緒に少しでも立法した意味や意義を持たせることができるようにしていきたいと思っています。
 自分のことについて言えば、会社員だった私を突然擁立していただいたこと。子育てや介護もしていた時に国会議員になりました。大変なのは当然と思います。両立ということの領域を超える、何か決心なり意識なりがなければできない責務があるわけです。男性も一緒なのかもしれませんが、国会議員としての役割も少し見直しをしていかないと、この世界に本当に女性が入って仕事をしっかりやっていこうと思うときのハードルが、いくつもいくつもあるような気がします。皆さんと一緒に、より働きやすい環境整備に努めていかなければならないと思っています。


支援組織の社会政策委員会の皆さんから「働き方改革」「社会保障制度」「少子高齢化」「教育」などをテーマに政策提言をいただき意見交換

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カジノ法案に付帯決議をつけたことでギャンブル依存症問題を考える会から激励を受けた

カジノ法案に付帯決議をつけたことでギャンブル依存症問題を考える会から激励を受けた

 ──前国会はカジノ(IR)整備法案への対応がありました。振り返ってみて感想や、こうしておけば良かったということがあれば教えていただけますか。


 カジノ法案の審議が始まった時に西日本を中心とした豪雨災害が起こりました。被害が広がる中で、カジノ法案のために委員会を開いていいのかという強い思いがありましたので、当然やるべきではないということをもっと強く法案審議の前に主張して、この法案を今国会で可決しないで次回でも良いのではないのかと止められなかったのが一つの大きな反省です。もう一つは、審議を進めていく中、委員長職権で5回委員会が開かれましたが、中身についていえば、この集中豪雨の災害に対する質問が大半を占めてしまいましたので、法案自体の審議が深まらなかったという反省もあります。
 もっと時間があれば、多方面からの課題を追求することができたのではないかという反省は残しました。だからこそ、できなかった審議の部分、積み残した課題をかかえた法案が可決されようとした時、追いかけて詰めていくことができるという思いも含めて立法府の責任として付帯決議をつけました。



国政報告とともに多様性推進委員会の活動について職場からの要望など意見交換

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 ──国民民主党が結党してから、ご自身の中で解決できたことがあれば教えていただけますか。


 国民民主党ができて、2カ月間が国会の最終盤と重なりました。私は、この党が大きく掲げた「対決より解決」が自分なりにどういう意味なのか咀嚼(そしゃく)する努力をしてきました。最後の時点で、カジノ法案について、最終的に付帯決議を付けたことが、その具体策として自分の中では一つ達成できたことだと思っています。
どうしても、野党の役割は、不誠実な法案が出てきたときに反対だという意思表示をする、最後まで戦うということに今までは陥りがちでした。それはそれで大事なことです。ただ、圧倒的に大多数の与党の前に、少数である野党が何をできるのかを考えた時、世の中に法律を新しく出す立法府の責任として何らかの形で、「これは課題のある法案だ」ということを皆さんにもお知らせしておかなければいけない。この課題について解決してくださいねということを示していかなければいけない。そういう責任が私にはあると思っていましたので、付帯決議にはこだわりました。それが、「対決」から国民に対する「解決」策を示すというフレーズの自分なりの解釈としての行動につながったと思っています。


 ──今後取り組みたいことは何ですか。


 私は働く者の代弁者として国会へ出てきたつもりです。まず立ち位置は、働く者。働く人がコツコツまじめに働いて報われるという実感を持てる社会にしたいです。皆さん一生懸命働いてきちんと税金を納めています。所得税、住民税、消費税、そして社会保険料も。それがやっぱり自分たちの今の生活の安心や将来の不安の解消に少しでもつながっているのかという視点で、政策やこの国のありようを示していきたいと思っています。
 加えて、母親としての視点で、子どもたちに胸を張って、次の世代にバトンタッチできる社会にしたいです。この日本が課題山積と言われて久しいですが、少子化一つとっても解決の糸口が全く見えない。少子化担当大臣を置いてすでに何年になるのか。一つひとつの課題に真摯に向き合い、国民の皆さんに時には耳の痛いことも言わなければいけないかもしれない。でも、私たち政治家がリーダーシップをとって、この国の現実をきちんと踏まえ、「こんな国を目指したいので、皆さん一緒に歩んでくれませんか」と具体的な解決策を提示できるような、政治を目指していきたいと思っています。


保育園入りたい集会に参加

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