泉健太衆院国対委員長は22日、国会内で定例記者会見を開いた。この間明らかになった政府の不祥事の連鎖について「本当にひどいの一言に尽きる。正常な国会の法案審議、国会における諸課題の審議が、政府・与党の不祥事によって一方的に狂わされることの連続だ。そして疑惑追及に時間を割かねばならない。そのことの連続を大変悔しく残念に思わざるをえない」と発言した。
愛媛県が21日に参院予算委員会に提出した加計学園の獣医学部新設に関する記録文書については、「(報道されている)愛媛県の文書が出た以上、書かれていることについて、総理や関係者にあらためて確認せねばならない、という状況になっている。愛媛県の文書には、総理と加計学園の面会、会食の記録があり、その会食での言葉として『獣医大学いいね』というような総理の発言まで記録されている。これらの真偽は確かに分からないが、どういう形で接触をされ、どういう形で受け取ったのか。これを知っているのは、加計学園と総理だ」と、指摘した。
その上で、衆参両院で予算委員会の早急な開催を強く求めるとともに、安倍総理、加計孝太郎・加計学園理事長、柳瀬唯夫総理秘書官(当時)、また藤原豊内閣府地方創生推進室次長(当時)といった人々の証人喚問はもちろんのこと、加藤勝信内閣官房副長官(当時)や中村時広愛媛県知事についても参考人招致を行うべきだ、との考えを明らかにした。
現在の国会が置かれた状況について「今、与党は急に6月20日の会期末に向けて、ただひたすら全てを片付けることを目指し始めている」と分析。その上で、本来重要で充実審議が求められている「働き方改革」、IR(カジノ導入)、ギャンブル依存症、TPP11の関連法案などについて、与党が一方的に「審議時間を削ろうとしている。これは絶対に認める訳にはいかない」と与党の国会運営を厳しく批判した。
特にIR関連法案については、いわゆる重要広範議案にあたり、通常行われるはずの丁寧な質疑時間を飛ばして、ただ採決ありきという姿勢で与党が臨むならば、そういった委員会運営をした委員長や当該大臣について、解任なり不信任というものについて検討しなければならない、とした。とはいえ、こうした決議案は「それ自体が目的ではなく、あくまで国会における充実審議が目的だ、ということをあらためて訴えたい」とも述べた。
最後に「繰り返しになるが、様々な疑惑を発生させているのは与党であって、法案の質疑時間の確保を滞らせているのも与党だ」と指摘した上で、現在の状況下でも各委員会では法案審議が行われており、文部科学委員会の文化財保護法等の改正案(※)、環境委の気候変動適応法案といった法案については、「賛成させていただきたいと思っている」と述べた。
※「文化財保護法及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案」