5月27日発表
国民民主党追加経済対策
~財政支出100兆円で国民の命と生活を守る~
Ⅰ 対策の必要性
- 〇 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、4-6月期の経済成長率は戦後最悪となる見通しである。民間エコノミストの予測の平均は、年率換算で前期比マイナス21.8%にもなる。ワクチンや新薬が開発されない限り、日本のみならず世界的な景気回復は望めない。
- 〇 政府の経済対策は、この失われた需要と所得を埋め合わせ、その後の経済回復を加速させるには家計支援を中心にGDPに直接寄与する財政支出が足りない上、遅きに失している。
- 〇 国民生活における安心を取り戻し、日本経済を安定した成長軌道に乗せるためには、大規模・簡素・迅速な経済対策が必要不可欠である。
- 〇 ポスト・コロナの「新しい生活様式」に対応した対策も必要である。
- 〇 経済安全保障の重要性に鑑み、国民生活の安定及び国内産業の維持発展に資する支援策を実施すべきである。
- 〇 財源は国債発行により調達する。経済が回復した段階で、新たな中長期の財政計画を検討する。
Ⅱ 3つの大きな柱
(1) 家計支援 (30兆円)
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① 国民一人一律10万円の追加給付 (13兆円)。
〇 ベーシックインカムを推進する観点からも、第一次補正予算と同額の一人一律10万円の追加給付を行う。給付は、マイナンバーを活用して簡易・迅速に行えるよう環境整備を行う。 -
② 消費税減税 (13兆円)
〇 消費税率を10%から5%に引き下げる減税を、1年間の時限措置として行う。 -
③ 雇用調整助成金の拡充 (2兆円)
〇 雇用調整助成金の上限額を15,000円以上に引き上げるとともに、失業給付金の日額上限引き上げなどを行う。 -
④ 児童手当の拡充 (1.1兆円)
〇 児童手当支給を18歳まで延長し、額も一律で月15,000円に拡大する(参議院選挙政策・国民民主党「新しい答え2019」)。 -
⑤ 児童扶養手当受給者への臨時特別給付金 (0.3兆円)
〇 児童扶養手当受給者に対して、半年の間、児童扶養手当の額(全部支給の額)の臨時特別給付金を支給する(5月15日に国会提出済みの「コロナ困窮子ども支援法案」)。
(2) 事業者等支援 (47兆円)
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① 万全の減収補償 (46兆円)
〇 持続化給付金の大幅拡充による補償・資金繰り対策を行う。期間の長期化に対応し、4半期ごとに支給(年度内にあと3回)するとともに、給付限度額を中小法人等は1000万円、個人事業主等は200万円に引き上げ、事業収入減少要件の緩和や、新規創業者、地域の雇用と経済の担い手である任意団体(法人番号有)等も対象とする。さらに、緊急事態宣言解除後も、なお自粛を求められたり、クラスターによる影響を大きく受けたりしている公共交通や宿泊、飲食事業者、エンターテイメント業界関係者等への支援を行う。 -
② 農林水産業への支援 (1兆円)
○ 自粛等により生産・流通現場が直撃を受けた農林水産業への支援を図る。 - ③代位弁済による速やかな家賃支払猶予 (別掲、財政投融資)
- ④経済安全保障のための企業の資本強化 (別掲、財政投融資)
(3) 医療・地方・学生への支援 (22兆円)
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① 医療機関に対する支援(緊急包括支援交付金の拡充を含む)(8兆円)
○ 検査体制の拡充
○ 歯科を含む全ての医療機関・診療科への支援(医療機関の経営を支えるための医療機関等支援給付金の創設、診療報酬の拡充など)
○ 医療従事者への慰労金等
○ 医療用物資の確保等
○ 治療薬やワクチン等の研究開発
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② 介護・福祉・保育施設への支援 (0.2兆円)
○ 介護・障害福祉従事者等への特別手当(全ての介護・障害福祉従事者等に対して5万円)の支給
○ 保育士への特別手当(全ての保育士に対して3万円)の支給
○ 認可外保育施設の利用者や施設に対する支援
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③ 地方創生臨時交付金(一括交付金)の追加 (5兆円)
〇 自治体が地域の実情に応じ、休業協力金などの給付、テナント賃料の補助、介護施設への給付、保育や学童保育の支援などを独自で実施できるよう、地方創生臨時交付金を大胆に増額する。
〇 地域主権型社会の構築に資するよう、その性質は自由度の高い一括交付金とし、交付手続も簡易・迅速なものとする。
〇 緊急事態宣言が解除された自治体についても、経済回復までには時間がかかることから、十分な額の交付を行う。
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④ 授業料半額免除及び給付金 (1.3兆円)
〇 今年度分の授業料の半額を免除するとともに、アルバイト収入が半減した学生に対し、20万円を上限に給付金を支給する(5月11日に国会提出済みの「コロナ困窮学生支援法案」)。 -
⑤ 学資貸与金等の返還免除 (0.7兆円)
〇 今年度中に返還の期限が到来する学資貸与金等の返還が困難な者に対し、返還を免除する(5月11日に国会提出済みの「コロナ困窮学生支援法案」)。 -
⑥ 「新しい生活様式」に対応できる学校にするための支援(1兆円)
〇 少人数学級の実施等のための教員の加配、オンライン教育等へ対応するための学習支援員の増員を行う。
〇 施設面において、学校における「感染防止対策費」の給付や夏休み中の授業実施に対応するための、特別教室や学校調理場への空調設備の導入を支援する。 - ⑦ 感染症対策予備費 (5兆円)
Ⅲ 財政投融資 (20兆円)
(1) 代位弁済による速やかな家賃支払猶予 (5兆円)
- 〇 テナント家賃の支払猶予を、政府系金融機関による代位弁済等により速やかに行う(4月28日に国会提出済みの「家賃支払猶予法案」)。
(2) 経済安全保障のための企業の資本強化 (15兆円)
- 〇 航空や鉄道などの交通インフラや安全保障や医薬品・医療機器の分野におけるコア技術・資産を外国による買収から守るため、経営基盤が傷んでいる大企業・中小中堅企業に対して、優先株や劣後ローン、デット・エクイティ・スワップ(債務の株式化)など資本性の支援を強化する。
- ○ かつての産業再生機構のような組織を新設し、出資、貸付、債権買取、デッド・エクイティ・スワップ(債権の株式化)などを通じ、苦境に陥っている日本の基幹産業の支援及びポスト・コロナに向けた企業再生・再編を図る。
以上