参院で29日、「働き方改革」関連法案の本会議採決が行われ、国民民主党・新緑風会の浜口誠議員が採決に先立って反対の立場で討論した。

 浜口議員は法案について、働く者の立場から、時間外労働の上限規制の導入、中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増し賃金の適用、年5日の年次有給休暇の取得義務化、同一労働同一賃金、非正規労働者への待遇差の説明義務化、産業医・産業保健機能の強化等に関して、「法案の方向性に賛同する」と表明した。

 一方、「高度プロフェッショナル(高プロ)制度の創設は、長時間労働や過労死を招く懸念が極めて大きく、労働者保護の観点から絶対に導入してはならないと、法案からの削除を繰り返し強く求めてきたと強調。連合、過労死遺族で作る全国過労死を考える家族の会なども高プロの削除を求めており、とりわけ全国過労死を考える家族の会は、「過労死を増やす法案が成立することは、絶対にあってははらない。過労死で愛する家族を失い、地獄の苦しみを味わうのは、私たちだけでたくさん」と安倍総理に面会を要請したが、拒否されたことに言及。「働き方改革関連法案だと声高に主張する総理が、過労死を考える家族の会の皆さんから直接声を聞かずに、高プロ制度を創設することは絶対に許されない」と問題視した。

 浜口議員は反対理由の第1として「高プロ制度は立法事実が不明確」だと指摘。労働法制は本来、経営者よりも立場の弱い労働者を保護するために制定されたものだが、高プロ制度は、労働者を保護するための時間外労働、休日労働、深夜労働の規制がなく、実労働時間の管理も全く行われない点を問題視し、「働く皆さんがこうした働き方を本当に望んでいるとは到底思えない」と述べ、経営者ニーズだけが優先された結果、残業代削減を目的に高プロ制度が創設されたのではないかとの見方を示した。 反対する第2の理由としては「長時間労働や過労死につながると強く懸念される高プロ制度に対する様々な懸念や疑問が全く払拭されていない点」を、第3の理由としては「法案内容に関して国会審議で議論が深まっておらず、先送りとなった項目が多く、国民の理解が進まなかった点を指摘した。

 そのうえで、本法案の議論に関連して今後、政府に対して適切な対応を求めたい点として、(1)時間外労働の上限規制に対しては、今回適用猶予あるいは適用除外となった自動車運転業務、建設事業、医師等や研究開発業務については、早期に一般則適用となるよう対応すべきこと(2)学校の教員の長時間労働是正への取り組みも不可欠で、給特法の見直しに向け議論を加速すべきこと(3)副業・兼業に関する課題、フリーランスなどの雇用類似の働き方、管理職の働き方など、労働行政に関わるさまざまな課題に対して労働者保護の観点から迅速な対応や法整備を求めること――等を列挙した。野党提出法案に織り込まれている勤務間インターバルの義務化や裁量労働制の要件の厳格化、労働時間管理の義務化等の実現も求めた。また、参院審議中の野党提出のパワハラ規制法案やワークルール教育推進法案について「働く人たちが本当に必要としている法律、国会の総意として、与野党連携して成立を」と求めた。

参院本会議「働き方改革関連法案」反対討論(予定稿)浜口誠議員