今年10月に予定する10%への消費増税。政府は、景気対策として軽減税率とポイント還元制度を導入しようとしていますが、制度が複雑で分かりづらく混乱を招き、高所得者を優遇するのではないかと指摘されています。後藤祐一政務調査会長代行にポイント還元制度の問題点を解説してもらいました。


 衆議院議員の後藤祐一でございます。消費税増税に伴う軽減税率、ポイント還元の問題点について指摘したいと思います。

 まずこの二つを組み合わせるとこのようになります。

食料品をカードで買った場合の税率

食料品をカードで買った場合の税率

食料品をカードで買った場合、大手スーパーで持ち帰りで買うとポイント還元がありませんから実質8%、コンビニで買うと2%のポイント還元で6%、中小企業のお店で買うと5%ポイント還元で実質3%。店内飲食の場合はそれぞれ2%増えて、3、5、6、8、10と5つの実質的な税率が存在することになります。分かりにくいですよね。

 また、ポイント還元制度は2019年度予算で約3000億円。その次の年度分と合わせて約4000億円の税金を使うことになります。1人あたり約3000円の参加費を払って、クレジットカードを使った人だけが得するゲームに強制参加させられるようなものです。不公平ですよね。お年寄りや田舎に住んでいる方からすると、なかなかカードを使う店がない。不公平だという声が上がっています。また、上限がないようなブラックカードというカードもあって、例えば1億円の不動産をカードで中小企業の不動産屋で買えば500万円分のポイントがつくんですね。これは政府に確認していることです。お金持ち優遇じゃないですか。また、消費者も混乱します。資本金5000万円以下のスーパーは中小企業ですから、5%のポイント還元がつくんですね。中小企業ではないスーパーではポイントがつきませんから、1円2円で争っているスーパーからすると、競争に対する政府の大変な介入になるわけですね。

 不正を防ぐこともできません。AさんからBさん、BさんからCさんと100万円の指輪を次から次へと転売していって、違うカードでそれぞれ決済した場合、どうやって不正を見つけるんですかと予算委員会で聞いたら、「カード会社に頑張ってもらいます」という答弁でした。防げませんよ、そんなの。本当に防ごうと思ったら、全てのカード決済情報をどこかに一元化して、その重なりをチェックする。それはそれで怖いことなんですよね。このように、分かりにくい、税金の無駄遣い、不公平、金持ち優遇、消費者は混乱する、不正は防げない、天下の愚策。このポイント還元制度は、即刻撤回すべきだと考えます。

 われわれ国民民主党は、消費税は長い目で見た時の社会保障の財源として必要だと思いますが、このようなポイント還元ですとか、複数税率を前提としたような引き上げには反対です。むしろ消費拡大策がどうしても必要だというのであれば、一律10%にしたうえで、所得税を減税するとか年金支給額を上乗せするだとか、分かりやすいやり方でやるべきだと思います。

 ただし今回10月の消費税引き上げには、国民民主党は「反対」だと申し上げます。