近年深刻化する児童虐待と家庭内暴力(DV)との関連について

 国民民主党の衆院長崎1区選出の西岡秀子でございます。一昨年の衆議院選挙で初当選した一期生です。よろしくお願いいたします。東京の目黒区の船戸結愛ちゃんの事件、また野田市の栗原心愛ちゃんの事件と大変深刻な児童虐待の事件が起こってしまいました。野田市の栗原心愛ちゃんの事件でもそうでしたが、父親が母親にDV(配偶者や交際相手への暴力)があったことは転居前の自治体では把握をしておりました。このことが転居先の自治体に伝えられてはおらず、もしDVの事実が伝えられていたら、もっと早い段階で心愛ちゃんが要保護児童として把握され、命を救えたのではないかという問題意識を持ちました。DVが繰り返される家庭の3割で子どもたちへの暴力、虐待が行われているというデータもあり、児童虐待とDVは密接につながっている問題だと捉えております。

DV法改正による「子ども」を守る体制整備の必要性について

 今のDV法では、DV被害を受けた母親が支援の対象となっていて、子どもはその同伴者という位置づけになっています。そこでもっと子どもたちを守るための法改正をすることで、救える命があるのではないか。例えば、子ども自らが保護を求めたり相談をしたりと子ども自身が主体となってできるような体制をとることも一つではないかと考えています。

DV防止教育の取り組みの重要性 ~長崎県の取り組みに事例ついて~

 DVをなくしていくためには、もっと早い時期にDVに対する知識を身につけ、防止していくための教育をしていくことが大変重要だと思っております。私の地元の長崎県では、中学生、高校生、大学生を対象とした出前授業を県の単独事業として民間団体と協力して行なっています。県や市町の実施と合わせると、県内での防止教育の実施は年間90校、18000人の教育の実績がございます。(2004年からの累計実績は約19万人)。
 防止教育の内容は、中学生、高校生、大学生(向けで)それぞれ少しずつ内容が違いますが、いわゆる「デートDV」と言われる若い世代の交際をしている相手からの暴力という視点で、DVとはどういう行為であるか、交際の中で当たり前に思っていることが実はDVであったりすること、を認識してもらい、そのことを通じて性別に関係なく、お互いを尊重し合う人間関係を作ること、暴力はいかなることがあっても駄目だということ、また暴力を決して我慢するものではないということ、それから嫌なことについては、はっきり「ノー」と言っていいということ、また暴力を受けた時に安心して相談できる窓口があることについて予防教育を通じて伝えています。

DV、児童虐待防止対策の課題

 DV被害者支援は被害を受けるのが女性が多く、子どもがいる場合も多いことから、女性支援の部門と児童相談所の連携をとっていくことが重要です。学校とか幼稚園、保育園の現場でDVケースに出会うことも多いことから、また大学の教職・幼児教育課程や、職員の研修の中にDVについてのカリキュラムも入れることで、DVに対する理解を深め、ひいては児童虐待の早期発見、につなげていくことも重要だと思います。さらにDVを受けた被害者の方が一時的に保護された後、母子で再出発するための中長期的な支援が、今後は大変重要だと思います。
 もう一点は、DV被害者支援の現状は、被害者が保護され逃げるということが中心になっていますが、加害者が暴力をしないように変わるための「加害者プログラム」の実施も、今後の大変重要な課題だと考えております。

今後の国会において取り組んでいくこと

 この様な取り組みを積極的に行っているのは数県だけだと聞いています。県だけの取り組みでは財政的にも厳しいところがあります。DV予防教育の取り組みをぜひ全国どこにいても受けられることが必要です。そのためには国としての取り組みをしていただくということが大変重要だと思います。
 DVを少なくしていくことは児童虐待を防ぐことにもつながります。今まで民間の団体の皆さん中心にボランティアでDVの問題に本当に地道に長い間取り組んでこられた歴史があります。民間の団体がそれぞれ持続的に活動していけるための国のバックアップが大切だと思っております。国としても取り組んでいただきたい。今後とも私も取り組んでいきたいと考えております。

家庭と暴力

家庭と暴力

暴力環境にいる子ども

暴力環境にいる子ども


交際している相手からの暴力

交際している相手からの暴力


DV防止教育時に配布する冊子より抜粋

DV防止教育時に配布する冊子より抜粋