参議院幹事長の榛葉賀津也です。

 今日は国民民主党が参議院に提出しました、 定数6人減の法案について説明します。
 まず、参議院は衆議院と異なり、戦後昭和22年に貴族院から参議院に替わって発足しました。その時の定数が250で、その後の沖縄返還で252になりました。これがマックスの定数でしたが、人口動態の変動で1票の格差(注)が大変大きな問題になってまいりました。その後4増4減とかいろいろな試行錯誤をして、格差の是正をしてきました。従来は1票の格差が5で合憲でしたが、2015年に4.75となり、違憲判決が出ました。

(注)選挙で、一人の議員が当選するために必要な得票数が選挙区によって異なること。そのため、有権者の一票の価値に格差が生じることをいう。

 これでさあどうしようかという議論が始まり、参議院改革協議会で各党が いろいろな議論をしてまいりました。そこで出たのが10増10減。そして島根と鳥取、徳島と高知を合区にするという案でした。衆議院は小選挙区ですから選挙区を小さくすれば容易に調整できますが、参議院は選挙区の単位が都道府県ですから、選挙区をいじることはできません。加えて、参議院の選挙は衆議院のような全員改選ではなく、3年ごとに半数改選が行われますから、必ず最小の選挙区の数が2になります。こうした理由から、1票の格差の調整が大変難しかったのです。そこで各党がいろいろな案を出しましたが、最終的には10増10減で4県を合区にするという案に決まりました。
 かつて252がマックスだったのが、定数を削減する努力をして今は242まで削ってまいりました。ところが、今度は自民党がこの人口減少の時代にもかかわらず定数を6増やして、そして特定枠で拘束名簿で当選できるという大変不可思議なルールをつくりました。いわゆるゲリマンダー(選挙において特定の政党や候補者に有利なように選挙区を区割りすること)なのですが、2018年7月に参院定数6増法を数の力で通してしまいました。
 定数6増によって、参議院の事務経費が30億円以上かかる、議員会館の改修に1億5000万円以上かかるというとんでもない事態となりました。われわれは身を切る改革、そして人口減少社会に定数を増やすのは時代に逆行すると考え、定数を6減し、しっかりと元に戻すという案を提出しました。
 また今国会では、この定数増や特定枠の導入によってコストがかる部分を政府・与党は参議院の歳費を削って、これを穴埋めしようという案を出してきました。これはまさに自分たちの定数増に瑕疵がある、後ろめたい、その証左として参議院の歳費を削減しようとしています。
 衆議院と参議院の歳費が異なる、三権の長の衆議院議長と参議院議長の歳費が異なるという極めて由々しき問題です。
 われわれは国会の身を切る改革には賛成です。ですから衆参ともに歳費削減を考えるとか、政党助成金のあり方、選挙制度のあり方をトータルで議論する必要があろうかと思います。しかし、自分たちの党利党略で、定数を増やし特定枠を作るなどという案には到底賛成できません。したがって、6人減をして元に戻せという法案を提出したわけです。