法務部門・検討PT合同会議

 「我々も重大な問題意識を持って注視している。対案や法案化も含め、しっかりと議論を進めていきたい」。16日、共同会派法務部会と「外国人受け入れ制度・多文化共生社会検討PT」の合同会議を開催。法務大臣の私的諮問機関が先月まとめた「(難民申請者等の)送還忌避・長期収容の解決に向けた提言」について、法務省やNPO団体等からヒアリングを行った。

 会議の前半では、法務大臣の私的諮問機関である第7次出入国管理政策懇談会「収容・送還に関する専門部会」が6月19日に公表した報告書「送還忌避・長期収容の解決に向けた提言」の概要等について、法務省出入国管理庁による説明があった(※下の画像)。会議の後半では、認定NPO法人難民支援協会、全国難民弁護団連絡会議、NPO法人移住者と連帯する全国ネットワークの3団体が、上記「専門部会提言」に対する意見を陳述した。

【法務省】(資料)報告書「送還忌避・長期収容問題の解決に向けた提言」(概要)

【法務省】(資料)報告書「送還忌避・長期収容問題の解決に向けた提言」(概要)

 会議に出席した3団体は、専門部会提言の問題点として(1)現行法で認められている難民認定申請者の送還停止効(入管法61条の2の6第3項)について、一定の例外を設けようとしている(難民認定されなかった人が、新たな事情のないまま再申請した場合等は、強制送還を可能とするよう提言)、(2)強制送還を拒む個人に対し、新たな罰則を設けることを提言している、(3)収容期間に上限を定めるべき、との意見を採用しなかった、点などを挙げた。

 (1)について3団体は、2011年から18年までの7年間に難民認定された212人の10%、人道配慮された1245人のうちの31%が、複数回申請した末に認められており、現状では、「難民として認められるべき人すら認めることができていない状況だ」と述べた。また(2)についても、強制送還を拒む個人は、母国での迫害や日本生まれの子どもやその両親など、それぞれやむを得ない個人的な事情を抱えていることも多く、仮に刑事罰を設けたとしても、「刑事収容↔入管収容」の無限ループに陥るだけだろう、と述べた。(3)については、先進国の多くが、収容に上限を設けていることなどを取り上げ、収容の可否について、司法的な審査が行われるべきだ、と述べた。

 参加議員からは「諸外国で、制度が実際にどう運用されているのか、きちんと調査すべきではなかったか」「現状、難民認定申請者の99%以上は追い返されている、ないしは長期収容されていることをどう受け止め、どう改善しようとしているのか」など、法務省に対する厳しい質問が相次いだ。

PDF「200716-外国人の収容・送還に関する支援3団体からの提言」200716-外国人の収容・送還に関する支援3団体からの提言