安全労働社会実現法案



政府案の問題点①

安全労働社会実現法案


 今回の政府の「働き方改革関連法案」は「時間外労働の上限規制を導入する」など、働く人々にとって有益な改正内容も含まれています。しかし、働く立場に立って考えると、もっと充実してほしいことが残されています。

【政府「働き方改革関連法案」の問題点】

■パワハラ規制は特に設けず。
■法令違反に対する罰則の水準は現行通り。
■教員の長時間労働やフリーランスの労働者保護などには触れていない。

政府案の問題点② 高度プロフェッショナル制度

安全労働社会実現法案


 また、今回の法案には「高度プロフェッショナル制度」という高度の専門業務で働く人々に「休日手当」や「残業代」を払わなくてよいとする制度が盛り込まれています。
 これは「職務の範囲が明確で一定の年収(1075万円以上)を有する労働者が、高度の専門的知識を必要とする等の業務に従事する場合」に一定の条件の下で、労働基準法に定める労働時間、休日、深夜の割増賃金等の規定を適用除外するというものです。
 企業は残業代などを支払う必要がなくなり、理論上、24時間連続かつ48日間連続で働かせることが可能になってしまう制度です。実労働時間の把握が困難で、過労死しても労災認定されない危険性が高いという問題もあります。
 過労死や過重労働を助長する「高度プロフェッショナル制度」は断じて認められません。
過労死などを懸念して規制すべき政府が、法律で残業代を出さない制度を作るのは、納得できるものではありません。

提出法案の概要

安全労働社会実現法案


 私たちは、政府の法案について、対案として「安心労働社会実現法案」を国会に提出しました。
 この法案には、各種のパワハラについて、働く人々の安全や健康を守るための予防・保護措置を事業者に義務付け、法令に違反した場合の罰則を強化するといった規定を盛り込んでいます。また、教員の長時間労働の規制や、フリーランスとして働く人々を保護するなど、規制強化を政府に義務付ける内容も盛り込んでいます。

【安心労働社会実現法のポイント】

■1日の勤務終了から次の勤務開始まで一定の休息時間(インターバル)を確保することを義務付けます。
■現在認められている裁量労働制についても規制を強化します。
■事業主に個々の労働者ごとに労働時間管理簿を作成して、始業・終業時刻等を記録することを義務付けます。
■違法残業など法令違反に対する罰則を強化。
■各種のパワハラについて、労働者の安全・健康を守る予防・保護措置を事業者に義務付けます。
■教員の長時間労働規制やフリーランスの労働者保護など、労働者保護の規制強化を政府に義務付けます。
※「高度プロフェッショナル制度」は盛り込んでいません。

可決した政府案に47の付帯決議

 政府の「働き方改革関連法案」は6月29日に採決され成立しましたが、その際、国民民主党は47項目の付帯決議を付けて、これからの法律の運用や政府の検討に縛りをかけました。
 今後も国民民主党は、付帯決議の内容を踏まえ、「高度プロフェッショナル制度」によって過労死や健康被害が起きないよう、政府の対応や制度の運用状況をしっかり監視していきます。また、過労死根絶、ワークライフバランス確立等を目的とした真の改革の実現に全力を挙げて取り組んでいきます。