法案提出の経緯
「主要農作物種子法」は1952年5月に制定された法律で、国民の基礎的食料である米、麦、大豆の優良な種子の生産と普及を進めるため国と都道府県の役割を定めたものです。そして、この法律を廃止する「主要農作物種子法を廃止する法律案」が昨年制定され、本年2018年4月1日に施行されました。理由は、「種子法が民間企業が種子産業に参入しにくい障壁」になっているというもの。
「廃止法」ができた背景には、「TPP」対策の一面があるほか、農業者をはじめ、関係者からの意見聴取も不十分なまま、規制改革検討会議の結論ありきだった政府の姿勢があり、種子の供給不安、外資系企業の参入による種子の支配などの懸念が、農家はもちろん安全な食料を求める消費者にも広がっているのです。
提出法案の概要
4月19日、当時の野党5党1会派は、「主要農作物種子法復活法案」を衆院に提出しました。
6月6日には衆院農林水産委員会で同法案の質疑が行われ、答弁に立った筆頭提出者の後藤祐一議員は、「米、麦、大豆という主要農作物を日本できちんと自給をしていく。そのための種子の生産、普及をしっかり図る重要性はいささかも変わっていないとの認識を持っている。その上で、種子法が廃止された中で、都道府県では種子の生産、普及に係る業務を自らの業務としては継続することはできず民間移行を進めるところも出ており、中長期的な予算確保が困難になるおそれも指摘されている。われわれは、種子は農と食を支える根幹であり、公共の資産と位置づけるべきだと思い、国と都道府県が公的な責務としてしっかり管理していくことが必要だ」と法案の意義を述べました。
なお、野党案の単独審議はまれなことです。委員会として高い問題意識が共有された結果です。国民民主党は、種子供給の安定と食の安全を守るため、本件に引き続き取り組んで参ります。
【主要農作物種子法復活法案のポイント】
本法案は、廃止前の主要農作物種子法に定められている(米、麦、大豆を対象に、都道府県による種子生産ほ場の指定、生産物審査、原種及び原原種の生産、優良品種の指定等)をそのまま復活させるとともに、種苗生産に関する都道府県の知見を外国企業も含めた民間事業者に提供させる農業競争力強化法の規定を削除するもの。