今回は、茨城6区選出の青山大人(あおやま・やまと)衆院議員に登場してもらいました。青山議員の話を伺い一番印象に残ったのが、「誰かが始めなければ変わらない」「人がやらないことをやらなければ」という2つのフレーズでした。そのまま青山議員の人生観や、政治信条に通じているようにも感じました。 茨城県議会議員の初当選まもない12年前、「動物愛護」というものが、世間的には必ずしもよく理解されてなかったにもかかわらず、これに取り組み始めたこと。社会起業家でもあり、現役の国会議員でありながら、予備校で世界史の塾講師を務めているというのも異例です。これまでの経歴や地元選挙区、特に力を入れて取り組んできた活動などについて語ってもらいました。


プロフィール:

青山大人 衆院議員
1979年1月24日生まれ。茨城県土浦市真鍋新町出身。土浦市立土浦第三中学校、茨城県立土浦第一高等学校、慶應義塾大学経済学部卒業。衆院議員秘書を経た後、27歳で茨城県議会議員選挙初当選(当時、都道府県議会議員としては全国最年少)。35歳で国政選挙に挑戦するも落選。落選中に起業。2017年衆院議員に初当選。茨城県第6区(土浦市、そしてつくば市、つくばみらい市、かすみがうら市、石岡市、小美玉市の一部)を選挙区として活動している。現在1期目。妻と子どもの3人家族。国会議員でありながら、大学受験の予備校で、世界史を教える塾講師の顔も持つ。


 ──簡単な自己紹介をお願い致します。


 はい。衆院議員、茨城県第6区選出の青山大人(やまと)です。


 ──一般企業ではなく、あえて政治の道を目指したきっかけは?


 学生時代に国会議員の事務所でアルバイトをして、それが直接的なきっかけになりました。
 やはり政治というのは、遥か遠い存在のような部分もありますが、私たちの生活に大なり小なり関わってくる大事な部分です。ただ私も、また多分多くの方たちも思ってると思いますが、政治に対して胡散(うさん)臭いとか、信用できないとか、そう思っていた一人です。とはいえ、誰かが政治に携わって良い方向に変えていかなければいけない。私はそういう気持ちから、自分が政治の道に入ろう、そう決心しました。

自身が主催する政治塾にて

自身が主催する政治塾にて


 ──国会議員として当選するまでにいろいろな苦労があった、と聞いておりますが。


 まあ苦労かどうかは、それぞれの人が感じることですけども。私の場合は、国会で衆院議員の秘書をし、その後27歳で地元の茨城県に戻って、県議会議員に挑戦しました。それから35歳まで8年間、茨城の県議会議員をし、衆院議員の選挙に挑戦し、落選しました。自分も35歳になって、どうしようかと思う中で、もう一度、自分の原点、本当に自分は政治をしたいのか、私が政治をしていいのか。こうしたことを自問自答しました。当然仕事もしなくてはいけません。落選後は、まず地元の警備員の会社で、深夜警備員のアルバイトや、地元の土木の現場で働かせてもらったり。半年間そういう経験をしました。そういう中で、やはり自分は政治家として、この社会を変えていきたい。皆が幸せになれるような、そんな国を作っていきたい。あらためてそういう思いを強くし、自分で会社を起業して、会社を経営しながら、政治活動を再びはじめました。


 ──どのような会社を起業されたのですか?


 障害を持つ子どもたちを支援する会社を立ち上げました。元々、茨城の県議会議員の頃から、いわゆる発達障害児の支援に取り組んできました。私も実際、子どもたちと関わる中で、政治の現場では見えなかったまさに現場の実情をたくさん学ぶことができましたし、こういった経験を政治の場に、より反映させていこうと思っております。


 ──地元の選挙区の特徴を教えて下さい。


 私の茨城県第6区は、私が生まれ育った土浦市、そしてつくば市、つくばみらい市、かすみがうら市、石岡市、そして小美玉市の一部(旧玉里村)が選挙区です。私は、この茨城県第6区、「日本の縮図」だと思っています。東京からも約1時間という好アクセス。電車も2本通ってます。歴史の街であり、商業の街である。農業地帯かつ工業地帯でもあります。山や湖もあります。つくばエクスプレスの開通によって、若い人たちの人口も増えました。本当に近代的な都市と、昔ながらの日本の田園風景が入り混じった、そんな選挙区です。そういった今の「日本の縮図」である、この茨城6区を元気にすることが、日本全体の元気にもつながると思ってます。


 ──動物愛護の活動を続けてこられたと聞きましたが?


 動物愛護の話ではそもそも、茨城県は、最近まで犬や猫の殺処分数が全国で一番多かったのです。もちろん法律的な問題もありますが、この問題について茨城県議会議員に当選した12年前から取り組んでおりました。というのも結局、犬や猫が処分されるということは、人間の責任――飼い主の責任放棄とか、野良犬や野良猫を作ってしまう環境――というのは、すなわち茨城県人のモラルが問われている問題だと感じたからです。今でこそ動物愛護は、社会的な問題にもなっておりますし、党派関係なく各国会議員や地方議員の方たちも取り組んでいる問題なのですが、10年以上前は、まだまだ動物愛護というと、何かちょっとこう――政治で取り組むべき問題なのかとか、そもそも人の命を守ることに限られた資源を投入する中で、犬や猫の問題ばかりを取り上げるのは如何(いかが)なものか――そういった声があったのも事実です。ただ、誰かが始めなければ変わらない。そういった思いで、私は茨城の県議会議員として取り組み、今では茨城県で殺処分を減らすための条例なども制定され、だいぶ改善されたという結果も出ております。まさに今、国会でも議員立法で動物愛護法の改正が議論されております。ここは超党派で、しっかりと取り組んでいきたいと思っています。

土浦市消費生活展にて茨城県動物愛護推進員の皆様と

土浦市消費生活展にて茨城県動物愛護推進員の皆様と


 ──最近、特に関心のある政策的テーマは?


 私、3年前に結婚しまして、今1歳半の子どもがおります。私も今、毎日、国会と地元を電車で通っています。帰って疲れる中でも、子どもの笑顔を見ると本当に癒されます。ただそういった子ども達が将来、この地で、日本で暮らす中で、本当に将来この子たちに誇りをもてるような国・街を作っていけるのか。例えば今回、外国人労働者の受け入れの法案が、拙速に決まろうとしています。私も含め、国民民主党は、外国人労働者の受け入れについて、賛成です。ただ、なし崩し的に外国人の労働者を受け入れるのではなくて、まずは本当に必要な業種から受け入れ始める。それと同時に、外国人と日本人の共生社会をしっかり作っていかなければいけない――そういうことを提案しています。
子ども達が育っていきやすいような環境を作っていく。子育てのしやすい環境を作っていく。そして子どもたちがしっかりと教育を受ける。まさにそういった基本的なことが今、失われつつあるのが、日本の現状です。子ども達の将来のために、政治の役割をしっかりと果たしていきたい。そのように思っています。


 ──塾で世界史の講師をされているそうですが?


 はい。5年前から 大学受験の予備校で、高校3年生の世界史の授業を持っています。私は世界史の専門家ではありませんが、昔から世界史に関心がありました。また子どもたちに教えるという、なかなか得難い、貴重な経験と思って、今も続けております。私が子ども達に最初の授業で言うのが「大学に入ることは、目的じゃないよ」と。今のうちに、自分がどういう職業、どういうことを将来したいのか。まずその目標を持つように、と語っています。そしてそれを実現するために、どういった学校へ行ったらいいのか。どういった学部へ行ったらいいのか。夏休みなどを利用して一度その大学へ行ってみる。まずそれを生徒たちに伝えます。と同時に、世界史の楽しさ。まさにこれからの時代、今まで以上にグローバルな社会になると思います。日本だけで完結できない世の中になってきます。子どもたちに単純に受験の世界史を教える以外に、今の海外の情勢だとか、日本との関わりなんかを伝えながら、そういう授業を行っております。同時に私も、今の子どもたちからたくさんのことを得ることもできます。

世界史の夏季講習で教鞭を執る

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