東京電機大学工学部機械工学科を卒業し、自動車製造に技術者として関わったこともある礒﨑哲史参院議員。サラリーマン時代に「裁量労働制」を経験したこともある。自身のライフワークとしている自動車関係諸税のユーザー負担軽減策と、所属委員会で審議された「働き方改革」関連法について、礒﨑議員に聞いた。
──自己紹介をお願い致します。
礒﨑哲史(いそざき てつじ)と申します。所属の委員会は、厚生労働委員会と議院運営委員会に今、所属をしております。
──ご自身のライフワークとされている、自動車関係諸税のユーザー負担軽減への取り組みについて教えて下さい。
現在、ユーザーが払っている自動車の税金は、(1)買うとき(2)走行する時、それから(3)持っている時(保有時)の3つの段階で、消費税も含め、合わせて9種類もの税金を払っています。特に保有段階に関しては、英国と比較しても2.4倍、ドイツと比較しても2.8倍、アメリカと比較すれば30倍以上、高額の税金を納めているということになります。私たちは特に、保有段階と買った段階、ここの税金については、消費税以外については、自動車税と軽自動車税の2税、これだけにまとめる。まとめることによって税の簡素化とユーザー負担軽減、これを目指していこうと考えています。
──昨年の国会では「働き方改革」関連法案の審議が大きな焦点となりました。サラリーマン時代には、この法案審議で議論となった「裁量労働制」の下で働かれた経験もあると伺っています。また所属されている厚生労働委員会で、直接議論を戦わせたお立場から、今後の改革の方向性について、意見をお聞かせ下さい。
前回の「働き方改革」で一番大きな議論になったのは、「高度プロフェッショナル制度」と「裁量労働制度」でした。この2つは「時間の概念をなくす」という働き方になります。そこで政府がこの制度を導入するためにやったこと──それは実際に時間のデータを比較し、裁量労働制度にすると、短時間の働き方に変わるということを示唆するデータをまとめました。しかし結局、これは比べてはいけないデータを比べて、さも時間が短くなるように見せかけたウソのデータ、捏造(ねつぞう)データであったということが判明しました。サラリーマン時代に、実際にその働き方(裁量労働制)を職場で経験してきた感覚からいくと、どうしても時間管理の概念がなくなる中で—―「責任と権限」というものが、どのように課せられているかがポイントになりますが—―結果として全部を自分でコントロールできないと、長時間労働につながってくいということを経験してきました。つまりこの働き方は、長時間労働につながる危険性が高いですから、とにかく職場の状況をしっかりと把握した上で、この議論をもう1回スタートすることが重要だと思います。その上でこの法律に関しては、「時間を管理する」「時間をチェックする」ということが、そもそも抜け落ちています。こうした法整備も含めてやっていかなければいけない、と思っています。