大塚耕平共同代表記者会見
2018年6月7日(木)15時00分~15時27分
編集・発行/国民民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/Ab8GEXTvDDc


■冒頭発言
○定例会見について
○森友文書改ざん問題 財務省調査報告書のポイント・瑕疵について
○「骨太の方針2018」原案 生産性の定義について

■質疑
○結党1ヵ月(1) 野党連携・党勢拡大の取り組みについて
○原発・エネルギー政策について
○IR実施法案の対応について
○国民投票法改正案の対応について
○「骨太の方針2018」・財政健全化について
○結党1ヵ月(2) 野党連携・党勢拡大の取り組みについて
○シンクタンク機能について
○結党1ヵ月(3) 解決型の姿勢について


■冒頭発言
○定例会見について

【共同代表】
 皆さん、お疲れさまです。(先週質問のあった)会見場については、ちょっと引き続きここで開かせていただきます。フリーの方が院内は入りにくいとか、いろいろな理由もあるようでありますが、きょうのところはここで開かせていただきたいと思います。

○森友文書改ざん問題 財務省調査報告書のポイント・瑕疵について

【共同代表】
 まず森友学園事件の調査報告書でありますが、改ざんを認めた上で、理財局の中の問題であったというふうに結論づけた報告書になっていますが、とても額面どおりに受け取るわけにはいかないと思っています。
 そして、あの報告書には1点大きなポイントと、1点大きな瑕疵があります。
 大きなポイントは、報告書の4ページの脚注に書いてあるように、あれはそもそもの土地の算定基準等々の適正さについて検証したものではない。そこから後の話だというふうにわざわざ脚注で書いてあるので、あくまでその改ざんが行われたまさしく経緯について弁明をしているだけであって、もしその前提となる土地の算定基準等において不正があったとかということになると、あそこに書かれている動機そのものがまた変わってくることになるので、非常に不十分かつ恣意的な報告書であるということが、あの4ページの脚注から明らかになっている。これが一点であります。
 それから、もう1個、瑕疵があるのは、事案が終了した後は公文書を公文書の管理ルールどおりに廃棄を指示したと、こういうストーリーになっているのですが、ご興味があれば一昨日の財金の議事録を読んでほしいのですが、一緒に公開された応接記録の中に、事案終了後に、報告書に書いてあるその日時以後に、その土地取引に関わる土地並びに森友からの支払い代金に質権を設定することに関して金融機関と理財局がやりとりをしている文書が出てきています。ご興味があれば議事録を見てください。
 これはどういうことかというと、「事案が終了する」というのは、もう国が関わる権利義務関係に移動が生じないということをもって「事案終了」と言うのです。ところが、森友学園に支払い能力が必ずしもないかもしれないという中にあって、森友は金融機関から融資を受け、その融資の担保として森友の支払い代金やあるいは土地に関して金融機関が質権を設定しようとしている。それに理財局が応じているわけです。ということは国の権利義務関係に移動が生じる可能性があるので、「事案終了」という定義そのものに瑕疵があるわけです。
 こういう点は今後もちゃんと詰めていかないとこの問題は終わりませんので、繰り返しになりますが、調査特別委員会の設置を求めるのは当然だと思います。たしかニュースによると、自民党の小泉進次郎さんも委員会を設けるべきだと言っていますので、極めて正当な感覚、真っ当な感覚だと思います。総理、小泉さんにかわったほうがいいのではないですかね。そう思います。

○「骨太の方針2018」原案 生産性の定義について

【共同代表】
 それから、もう一つだけ申し上げます。「骨太の方針」(経済財政運営と改革の基本方針)2018年版の原案が公開されましたが、相変わらず、「潜在成長率の引上げ」というくだり、3ページあたりに、「労働生産性を引き上げる取組が不可欠である」と、労働生産性だけにこだわった記述が見られます。
 繰り返し申し上げているように、生産性の中には生産要素に関わる生産性が全てあって、労働の生産性、資金の生産性、設備の生産性、土地の生産性、いろいろなものがあって、それらに分類できないものが最後、全要素生産性となってくるわけで、なぜ労働生産性だけにこだわるのかということは、あれだけ予算委員会で丁寧に総理に考え方をお示ししたにもかかわらず、十分に理解していただけていない。そして、それを理解した上でしっかり事務方に指示を出せていない。
 こういう「骨太の方針」では、日本の経済、そして産業、社会のかじ取りはさらに迷走していく可能性があると思っていますので、この「骨太の方針」についても正式に閣議決定された暁にはしっかりと議論をしていきたいと思っています。

■質疑
○結党1ヵ月(1) 野党連携・党勢拡大の取り組みについて

【共同通信・河内記者】
 国民民主党結党からきょうで1ヵ月になるが、1ヵ月を振り返ってと、今後党勢拡大に向けてどういう取り組みをするか。さらに来年の参院選に向けて野党共闘、野党の連携をどういうふうに進めていくべきだとお考えか伺いたい。

【共同代表】
 まず、1ヵ月、あっという間だったと思います。同時に、あっという間ではありましたが、党内の各部門は順調に回り始めていることに加え、その中でも重要なつかさである総務会については、その総務会の位置づけが十分に理解もされ、皆さんご承知のとおり昨日は地方のブロック幹事にもご参加いただいて、地方の声をしっかりと反映した党運営にしていくという方向性についても具現化してきているので、円滑にスタートできていると思います。
 そういう中で、これから支持率を上げていかなくてはいけないとは思いますが、これは何か手品があるわけではありませんので、やはり来年の参議院選挙あるいは統一地方選挙までに自力で、つまり地道な努力によって自力で上げていく部分と、それから選挙の洗礼を受けていないということは極めて認知度に大きな影響を与えますので、現時点では選挙の洗礼を受けていないので、選挙を経ることによって認知度が上がる部分がありますから、この二つをしっかり認識した上で対応したいと思います。
 つまり、これからの党勢拡大のためには、1点目は、地道な努力によって自力で支持率を上げ党勢を拡大していく部分。それから2点目は、選挙を経ることによって、選挙の機会に十分に認知度を高めていく部分。この二つを区別して、しっかり対応したいと思います。
 その中でも、1点目・2点目双方に関わる話ですが、参議院選挙、そしてその前の統一地方選挙。これは我々自身の党勢拡大、さらには野党全体の勢力を拡大していくという意味において、野党間の選挙協力は極めて重要だと思います。先般の6党派党首・代表での懇談会、我々の結党を祝しての懇談会をお開きいただいたわけですが、そこでも、参議院選挙の1人区、それから衆議院選挙は全部1人区、そして統一地方選挙、特に都道府県議会議員選挙や政令市の1人区であったり非常に厳しい2人区・3人区においては、協力をし合うということが会話の中で飛び交っておりますし、特に参議院選挙の1人区と衆議院選挙については、それはもう野党一本化が当然だよなというようなご発言を小沢さんが枝野さんにも志位さんにも語りかけ、みんなで笑顔でうなずいていたという場面もありましたので、そういう方向で調整がされることが望ましいと思っていますし、そのことが野党全体の拡大並びに我々にとっても党勢拡大にとって重大な影響を与えると思っております。

○原発・エネルギー政策について

【「フランス10」・酒井記者】
 ゲイレポーター、酒井佑人です。原発の問題を伺いたい。「2030年代・原発ゼロ」の目標を掲げているが、島根原発3号機が規制委員会で審査中で、合格して稼働した場合に、40年間稼働を前提にすれば2019年に稼働しても2059年になる。これでは「2030年代・原発ゼロ」は不可能ではないか。お考えを伺いたい。

【共同代表】
 まず、我々は原発の再稼働に関しては、地元の理解並びに避難計画がしっかりと確立されていること等々、さまざまな前提条件が必要だと思っていますので、今の稼働を前提とした時間軸のご質問には今お答えする状況にはないと思います。
 我々はあくまで「2030年代・原発ゼロ」を目指す。そして、その時点でもし稼動しているものがあれば、それはゼロに向かわせるためにどのような合意をそこでしていくかということを考えますが、今の島根のことについては、あくまで地元の合意、そして避難計画等、所定の必要条件が全部満たされることをまず見きわめるということが大前提ですので、この段階で「2030年代ゼロ」の目標と絡めてお答えするのは適切ではないと思っています。

○IR実施法案の対応について

【NHK・稲田記者】
 IRをめぐって、実際どうなるかは別にして、内閣委員会であすにも採決という声が一部にあるが、国民民主党としてどう対応するのか。委員長の解任であったり、石井大臣の不信任案、あるいは内閣不信任案といったことをお考えか。

【共同代表】
 国会対応については、もちろん現場並びに国対委員長にお任せしております。
 しかし、この間、かなり強引な国会運営が今の政府・与党には目立っていますので、あしたどういう展開になるかを見きわめた上で、どのような対処をするかというのは決めていきたいと思います。あした採決するというような、また暴挙に出ないことを期待したいと思います。

○国民投票法改正案の対応について

【NHK・稲田記者】
 国民投票法の改正案だが、先ほど衆議院の憲法審幹事懇が終わり、与党側は今国会の提出を目指したいと言っているが、現状、共同提出の可否、そして与党側がまとめている改正法案に対する賛否、これはどういうふうにお考えか。

【共同代表】
 憲法については、これは憲法そのものの改正や、あるいは憲法改正に関わるさまざまな手続は、極力全会一致が望ましいと思っています。やはり憲法の中身もそうですし、手続についても、できる限り多くの国民の皆さん、そして公党として届け出をなされている政党が基本的に全会一致でなされるのが望ましい姿だと思っているということをまず申し上げたいと思います。
 その上で、この国民投票法についても、今申し上げた文脈から言えば、できるだけ全ての政党が合意した上で前に進むことが望ましいと思っていますので、我々としてそういう対応が可能かどうかということは、現在、憲法調査会並びに政調の中で議論をしている最中であります。

○「骨太の方針2018」・財政健全化について

【日本経済新聞・藤田記者】
 冒頭ご発言があった「骨太の方針」関連だが、財政健全化目標がかなり甘いのではないかという指摘があるが、現状その原案で議論されている内容について代表はどういうふうにお考えかということが一点。
 自民党は若手議員中心に財政健全化や成長で議論していたりすると思うが、国民民主党として財政問題についてどういうふうに議論を進めていくか、お考えをお聞きしたい。

【共同代表】
 1点目と2点目、関わりがあるのですが、まず、今原案で書かれている内容は、その前提となる試算並びにその試算のさらに前提となるデータそのものがまだ十分に開示されていないので、そもそも論評するに際しての十分な情報が足りないと思っています。
 その上で、目標先送りは明らかですから、甘いと言えば甘いと思います。
 我々も、この財政健全化並びにそれと表裏一体の社会保障財源の確保をどうするかということは議論をしている最中ですし、これからもしていきますが、近々に、これはまだ党の正式決定を経ておりませんが、結党のときの玉木雄一郎共同代表のスピーチの中で申し上げました「ABC」、AI(人工知能)・BI(基礎的所得給付)・CI(地域コミュニティの自立)、これに関わる、「ABC調査会」なのか「ABC研究会」なのかわかりませんが、こういうものを立ち上げる中で、特にBI、ベーシックインカムに関わる部分は社会保障との関わりが出てきますので、これは今の財政健全化の話とリンクしていきます。
 それから、もう一つ、党としてシンクタンクを立ち上げていくということも申し上げたわけですが、これは私のほうで今、基本的な考え方を整理しています。このシンクタンクには、やはり外部の専門家、特に財政関係の若手の研究者にも関わっていただきながら、我々としてもちゃんとデータに裏づけのある財政健全化策を出さなくてはいけないと思っています。
 この仮称「ABC調査会」とシンクタンクが連携しながら、財政健全化計画を練りたいと思います。
 その際に重要なのは、自民党でも若手の皆さんが関わられる、これは重要なことです。次の世代にみんな関わってくる話なので、我が党も若手の議員の皆さんに関わっていただくと同時に、それから若手の研究者ですね。2000年代は、政権交代に向けて、その当時若手や中堅であった研究者が随分いろいろな意味で政治や政策に関わってくださいましたが、今ちょっとフェーズが変わってきていますので、研究者の世代も変わってきていますから、今の若手・中堅の研究者にも関わっていただいて。政治だけが非現実的な計画を立てて、これを国民の皆さんに「目標だ」と言って旗を振っても、本当にそれが実現可能かどうかというのは非常に難しい問題ですから、若手・中堅の研究者の皆さんにも関わっていただいて、我が党としての財政健全化についての考え方は整理していくつもりでおります。

○結党1ヵ月(2) 野党連携・党勢拡大の取り組みについて

【朝日新聞・河合記者】
 国民民主党1ヵ月に絡んで2点伺いたい。
 昨日、維新の党の馬場幹事長が、国民民主党のこの1ヵ月間の国会での論戦を振り返って、我々の是々非々路線に近い、歓迎する、これから連携していける部分があるのではないか、と発言された。この維新との関係、これから立ち位置であるとか連携のスタンスなどを伺いたい。
 2点目が、きょう今まさにやっている9条改憲についての院内集会だが、野党各党が参加している中で国民民主党は今回参加を見送っている形だと思うが、この判断について伺いたい。

【共同代表】
 まず1点目ですが、維新の皆さんとどういう関係でいるかということについては現状白紙です。しかし、野党が大きく連携していくことの必要性は申し上げているわけですので、維新の皆さんがその連携ができるという条件が整うのならば、それは連携するという可能性は一般論としては否定しません。しかし、現状では白紙です。
 そして2点目でありますが、これは別に特段の意味はありません。院内集会ですから、もちろんいろいろ日程とか都合がつけば参加もしますが、きょうは特段、我が党からは誰も参加していないというのは日程の都合上の問題もあると思います。
 それから、これは今の1点目の質問や野党連携全体との関係もありますし、最初に河内さんから聞いてくださった、我が党の党勢をどうしていくかという話とも関わりがあるのですが、今、我々はスタートして1ヵ月。そして、次の政権交代に向けて、その中核となり得る新しい党をつくるということでスタートしたわけですから、これは他党の皆さんとの比較とか、他党の皆さんとの関係における立ち位置とか、あまりそういうことは気にしておりません。我々自身がどのような原理原則と考え方に基づいた政党となっていくか、ここに全ての関心とエネルギーを集中したいと思います。その結果として、今出たご質問や先ほどの党勢拡大についても一定の結論が出てくるものだと思っておりますので、基本的には今は自分たちのことに集中してエネルギーを投下しているという状態です。

○シンクタンク機能について

【NHK・稲田記者】
 シンクタンクの件で伺いたいが、これからつくられるということだが、基本的に事務局機構や党本部の建物が与党時代から大きく変わっていない中で、議員数も大幅に減って、来年から入ってくるお金もかなり減ると思うが、これ財源などはどこからどういう形でやるのか。企業献金などを募るのか。何をベースにして、外部の方を招いてやっていこうとお考えか伺いたい。

【共同代表】
 相当気が早いのと、かなり過去にとらわれていると思うのですが、今どきシンクタンクはバーチャルでもつくれますから。ネット上での連携だけでも十分つくれますし、何かすごいインフラがあって、そこに常駐の人がいなければいけないということでもない。それに、もはや政治の世界にもAIは大きな影響を与えてきていますから、AIそのものがシンクタンクの重要なアドバイザー機能を持つかもしれません。
 我々も、あまり既存のシンクタンクや、過去民主党時代に持った「プラトン」(公共政策プラットフォーム)みたいな、ああいう形にとらわれているわけではありませんので、柔軟に、しかもそれほど資金的負担のかからない形を考えていきたいと思っています。

○結党1ヵ月(3) 解決型の姿勢について

【読売新聞・平田記者】
 先ほど来質問の出ている国民民主党結党1ヵ月に関連してだが、結党の際に解決型野党と打ち出されていたが、国会論戦等を通じて解決型野党という姿勢を示せているかどうかという点と、1ヵ月を振り返ってみて、大塚さん自身、この国民民主党というのはどういう政党だなと感じているか、感想をお聞きしたい。

【共同代表】
 まず、提案型野党あるいは解決型野党というのも、こちらが「野党」と言う必要はないので、解決型政党としてその姿を示せているか。もちろん、「もりかけ」のところ以外の委員会では、さまざま皆さん建設的意見も言いながら質疑をやっていますので、できていると思います。また、党首討論では、皆さんご承知のとおり、玉木共同代表がああいう討論をしてくれましたので、やはり1ヵ月の間に基本的な私たちの志向性はお示ししていると思います。
 それから「もりかけ」も、きょうの私の冒頭で申し上げたように、何か「責任とれ」とか「不真面目だ」的な感情的批判だけをしているわけではなくて、先ほど申し上げたように調査報告書の中身を解析して皆さんにも論点をお示しているわけですから、「もりかけ」問題ですら解決型政党として一定のクオリティーを示せていると思いますし、そういうつもりでやっています。
 それから2点目、感想は、先ほど申し上げましたようにあっという間だったと思いますが、それなりに円滑にスタートできているのではないかなと思います。
 逆に、最後にもう一回森友のことを申し上げますが、前代未聞の報告書が出てきました。これは前代未聞のことが起きているわけで、であれば過去に例を見ないような責任のとり方があってしかるべきなのに、全く責任をとろうとしていないのは前代未聞の開き直りだと思っています。前代未聞の出来事が起きている中で、前代未聞の開き直りをしている。これをやはり見過ごすわけにはいきませんので、解決型政党としては、この問題を解決するためにはやはり財務大臣にはまずおやめいただかなければいけない。解決というのは何も政策ばかりではないですからね。国会が停滞していることを、物事を前に一歩進めるための解決策ということには、やはり政治的責任をとっていただくということも解決策にとって非常に重要なことでありますので、そういう理解の上で今後も対応させていただきたいと思います。