玉木雄一郎共同代表記者会見
2018年7月31日(火)17時00分~17時27分
編集・発行/国民民主党役員室
★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/aQrMMc0lYOE
■冒頭発言
■質疑
- 杉田議員「LGBTは生産性ない」発言について
- 憲法論議 同性婚をめぐる議論について
- 通常国会における国会対応について
- 参議院選挙について(1)
- 党代表選挙について
- 日大アメフト問題 第三者委員会の最終報告について
- 健康増進法改正案採決時の投票行動について
- 参議院選挙について(2)
- 動画を活用した情報発信 「たまきチャンネル」開設について
- 参議院選挙について(3)
- イージス・アショア取得経費の増加について
- 党勢拡大に向けた取り組みについて
■冒頭発言
○日銀金融政策決定会合について
【共同代表】
まず冒頭、日銀の政策決定会合について申し上げたいと思います。
今回、日銀は大規模金融緩和の政策を修正せざるを得なくなったと認識しています。マイナス金利によって銀行収益が悪化したり、あるいは国債市場での取引が成り立たなくなったりということで、この副作用が最近非常に目立ってきておりましたので、その意味では政策をいよいよ修正せざるを得ないという局面に入ったのだと思います。
ただ一方で、依然として年間80兆円の国債の買い入れをめどにする、あるいは2%の物価上昇ということは変えずに書いておりますので、その意味では、出口を出たいのか出たくないのか、日銀として何をしたいのかよくわからないような、非常に混乱した政策に陥っているのではないかなと思っております。
本来短期で終わらせるべき大規模金融緩和がこれほど長引いていること自体、政策的な効果が非常に薄れてきている、あるいはむしろ問題が大きくなっているということだと思いますので、今回に限らず、本来目指してきた政策を目的等も含めてよく検証して、マーケットに対して金融政策として何を打ち出していくのか、そういったわかりやすいメッセージを市場に伝えていくことが必要ではないかと思っております。今のままでは非常に混乱したメッセージしか伝わらないと思います。
○カンボジア総選挙 日本政府の対応について
【共同代表】
次に、カンボジアの総選挙の結果について一言申し上げたいと思います。
フン・セン政権が最大野党の党首を突然逮捕し、同党を解散させ、またメディアに対しても多数廃刊や廃業に追い込むという中で、与党であるカンボジア人民党が圧勝することになりました。
日本は、こうした状況を把握しながらも、8億円もの、例えば投票箱を送るなどの支援をしてきたわけであって、この民主化に逆行するような選挙をサポートしてきたことは大変問題だと思います。さすがに選挙監視団の派遣は中止しましたが、依然として日本としてこの選挙についてのコメントは出しておりません。
我々国民民主党としては、同僚議員も何度も外務委員会などで問題点を指摘してきましたし、アメリカも声明を出しているように、我々としても自由で公正な選挙が行われたとは思っていません。
ですから、これからもやはり日本としては価値観、自由、公正、法の支配といったような価値外交を重視することを求めたいと思いますし、民主化に逆行するような現状には反対をすると明確にすることを求めたいと思います。
○衆議院議長談話(今国会を振り返っての所感)について
【共同代表】
次に、本日、大島衆議院議長から所感が発表されました。それはさきの国会を振り返っての所感ということで、全部で5項目にわたる所感が公表されております。
これは議長として、この間の国会を振り返って、「民主主義の根幹を揺るがす問題」が発生して、「改善を図らねばなりません」と言っていること。
また、森友問題を初めとする、政府におけるさまざまな問題。決裁文書の改ざん、厚生労働省の裁量労働制に関するデータがおかしかったこと、自衛隊の日報問題など、「立法府の判断を誤らせるおそれがあるものであり」「議院内閣制の基本的な前提を揺るがすものである」と、大変厳しく断罪しております。
その上で、今回のことを「一過性の問題として済ませるのではなく」「運用改善や制度構築を強く求める」ということを書いています。
「国会においても、その責務を十分に果たしてきたのか、国民の負託に十分に応える立法・行政監視活動を行ってきたか、については、検証の余地がある」ということを書いています。
衆議院、立法府の長として、政府・与党に対しても大変厳しい言葉を投げかけているということは、ぜひ政府・与党にも重く受けとめてもらいたいと思います。
私たち野党としても、議長から提案があったような運用改善・制度構築ということは当然必要だと思いますので、いわゆる国会改革、これは単に政府・与党に有利になるものではなくて、国権の最高機関として国会が正しく機能するようなものにしていく必要があると思っていますので、私たち野党側の意見もしっかりと踏まえた国会改革が行われるように働きかけを強めていきたいと思っています。
■質疑
○杉田議員「LGBTは生産性ない」発言について
【「フランス10」・及川記者】
先週の金曜日に自民党本部前で杉田水脈さんの議員辞職を求めるデモが行われ、数千名集まったということだが、その受けとめを伺いたい。
【共同代表】
LGBTの皆さんに対する大変不見識極まりない主張だと思いますし、そのことに対して、ご本人も、また所属する自民党としても、明確な謝罪やコメントを出していないことは大変大きな問題だと思っております。
我々は多様性を重んじる政党でありますから、誰かの価値観、誰かの視点で、他の人を「普通ではない」と烙印を押して、その人たちに対するさげすみの言葉などを発することはあってはならないと思っておりますので、ぜひご本人、また自民党としても、見解を示すべきだと思います。強く求めたいと思います。
○憲法論議 同性婚をめぐる議論について
【「LGBTV」・酒井記者】
ゲイレポーター、酒井佑人です。立憲民主党が同性婚を可能にする法整備の検討をするということだが、国民的議論がないまま解釈改憲だけで同性婚を法制化することに対して当事者から疑問の声も上がっている。こちらのほうはどのようにお考えか。
【共同代表】
憲法の文言上は、「両性の合意」と書いていますから、当然、二つの性別(それぞれ)を有する者の合意というふうに書かれていますので、その意味では男女の合意というふうに読むのが素直だと思います。
ただ、これは学説では、明治憲法下においては両性、両者ではなくて、親、家、こういったものの合意なくては婚姻ができなかったことに対するアンチテーゼとして書かれているということなので、必ずしも同性の結婚を憲法上否定するものではない、という学説も有力だとは承知しております。
ただ、これはある意味憲法9条とも似ているのですが、文言上はどう見ても「両性」と書いていますから、仮に国民的合意で同性による婚姻ということを認めるのであれば、やはり憲法にさかのぼって、憲法上もそれを明確にするのが一番わかりやすいし、明確だと思いますので、いわゆる解釈改憲ということのある種の不安定さを排除したいのであれば、憲法上明示することがより望ましいと思います。
さまざまな意見もありますので、まさに憲法改正の議論の中で、必要であればこれは議論をしていくテーマだと思います。
【NHK・及川記者】
関連だが、党は今、憲法調査会で憲法に関するさまざまな議論を進めているかと思うが、この同性婚のあり方という部分についても、今後、党の議論の俎上に上げるお考えか。
【共同代表】
そうですね、我々はあらゆる差別を解消していきたいという党の立場でありますし、また、多様性を重視するというのが綱領にも書いた党是でありますから、その意味では憲法上の議論として、この同性婚については議論していきたいと思います。
○通常国会における国会対応について
【共同通信・小笠原記者】
きょう17時から党本部で、支援組織が対象だと思うが、国会対応についての説明会を開いているが、これの狙いを伺いたい。
【共同代表】
今回、「働き方改革」やカジノ法案については、若干、野党間の連携が乱れたのではないかとの指摘もいただいております。
ご存じのとおり、いずれの法案も最終的には反対ということで野党の足並みはそろっておりますが、例えば戦術として、もう成立が明らかになった時点で附帯決議を一つでも二つでも取って政府に対して釘を刺す、あるいは今後の議論の一つの礎、橋頭堡をつくりたいというような戦術で臨んだことが、少し政府に対して厳しく迫っていないのではないのかという誤解も生じた部分があると指摘されていますので、そういった正確な我々の意図や、あるいは附帯決議で一体具体的に何を取ったのかということについての理解を正確にしていただくために、今回の会を設けたと承知しております。
○参議院選挙について(1)
【共同通信・小笠原記者】
来年の参院選で、支援組織も含めた野党共闘をどう進めればいいとお考えか、改めて伺いたい。
【共同代表】
野党共闘については、もちろん我々、それぞれ別の政党ですから、自分たちの考え、カラーを出していくことが大前提だと思いますが、ただ、自民党・与党に対して漁夫の利を与えてはならないという思いもまた共通していると思いますので、その意味ではできる限りの協力関係ということについては模索をし続けたいと思います。
○党代表選挙について
【読売新聞・淵上記者】
国民民主党の代表選に絡んでの話だが、先ほどの総務会の後のブリーフで党員・サポーターの数の発表があったが、昨年8月1日現在では23万人強だったものが、国民民主党としては7万6596人と。まず、この党員・サポーターがこれだけ数として少なくなっていることの受けとめについてと、代表選に対する玉木さんの出馬も含めて、今どのようにお考えなのか伺いたい。
【共同代表】
5月7日に結党しまして、通常、民主党・民進党のときは5月末に党員・サポーターの締め切りをしておりました。今回、その意味では少し集める期間が短かったのと、党が途中でできたので特段ノルマを課すことをしていなかったということ。何より所属する議員が、たしか去年は150名ぐらいだったと思いますが、そこから60名強に減っている。地方議員の数も約半分に減っているという中で、去年に比べて3分の1に減ったということだと思います。
ただ、総支部によっては、頑張ってふやしている、あるいは数を維持しているところもあります。国会議員がいるところではそれなりに、現状維持あるいは前よりも増えているというところもありますので、党勢拡大にしっかりと努めていきたいと思っています。
7万人強の方に登録いただきましたので、そういう方にはぜひ代表選挙に参加をいただきたいと思っております。
私自身の代表選への出馬については、現時点では未定です。
○日大アメフト問題 第三者委員会の最終報告について
【「FACTA」・宮嶋記者】
日大の附属高校が三つ甲子園に出る。選手には頑張ってほしいが、ある意味で気の毒だなと思う。あわせて、その日大の理事が学生をおどしあげて、潰してやると。こんなことがあっていいのかと思うが、かかる状況をどう思うか。あるいは、この日大全体に150億以上の公的助成が投じられていることをどう考えたらいいのか。さらに、トップがやはり説明責任を果たしていないことを、国会がやっていたらやはり国会で聞くぐらいのことがなければ学生がかわいそうだと思うが、いかがごらんになるか。
【共同代表】
第三者委員会が最終報告書を出されました。その中には、ちょっと信じられないのですが、反則した選手に、監督からの指示はなかったと説明するように暗に求める。それをやるなら一生面倒を見るが、しなかったときには「日大が総力を挙げて、潰しにいく」と、そう発言したということも出てくるわけですね。口どめです。
教育機関としてはあるまじき対応だと思いますし、田中理事長がまだ説明責任を十分果たしていないというのは私もそのとおりだと思います。
多額の助成金が入っているということも踏まえれば、やはりこれはしっかりと説明責任を果たしてもらう必要があると思いますし、国会を開けば国会の中でも、事実関係はどうだったのか、本当に再発防止がなされるのか、私学助成金を多額に交付し続けていい大学なのかどうか、こういったことはしっかり検証すべきだと考えます。
○健康増進法改正案採決時の投票行動について
【毎日新聞・遠藤記者】
先ほどの総務会で、平野博文総務会長からもブリーフがあったが、参議院の長浜議員の健康増進法に対する党議拘束違反について、総務会では議題に上がらなかったらしいが、一応幹事長注意という処分ということだが、それについての受けとめを伺いたい。
【共同代表】
そこはもう幹事長に委ねております。
○参議院選挙について(2)
【東京新聞・木谷記者】
参院選の野党の選挙協力に関して。1人区一本化を進めていると思うが、複数区、特に2人区で立憲民主党も必ず候補を立てるとおっしゃっている。現状、自民党と国民民主党で議席を分け合っている選挙区もあるが、2人区でも国民民主党としては立憲民主党に政局区調整などを求める努力をされるか。
【共同代表】
我々は2人区では現職がいますので、当然現職の当選に全力を挙げたいと思いますし、先ほど申し上げたように、1人区は当然ですが、2人区においても候補者の出方によっては与党を利することにもなると思いますので、選挙協力できるところは当然、立憲の皆さんともよくコミュニケーションしていきたいと思っています。
○動画を活用した情報発信 「たまきチャンネル」開設について
【日本経済新聞・溝呂木記者】
先週金曜日の15時に「たまきチャンネル」がユーチューブにアップされたが、どのような反響があったか。数日たつが、今のところの感触と、今後考えていらっしゃることなどを教えていただければ。
【共同代表】
そうですね、さまざまなご意見はいただいております。賛否両論ということかなと思いますが。
ただ、いろいろな方から、普段あまり政治に関心のない方、若い人も多かったのですが、意外に高齢者の方も「チャンネル登録しましたよ」という声をかけていただいたりしました。一つの狙いは、普段あまり政治に関心がない方にも少しでも政治に関心を持ってもらいたいということで始めましたので、その意味では一定の手応えは感じております。
【日本経済新聞・溝呂木記者】
定期的にアップするわけではないということか。
【共同代表】
定期的にアップしていきたいと思います。もう既に幾つか撮りためているものもあるのですが、少しタイミングを見て発信していきたいと思います。
町に出て意見を伺う突撃タイプのものと、あとはいろいろな制度の解説、難しい政治用語の解説を、私の第一議員会館706号室で「スタジオ706」という形で発信していこうかなと。特に、表参道などで聞いたら、若い人でも年金など社会保障制度の将来に対して不安がある方が多かったので、今度は例えばいわゆる世代会計、世代によって社会保障の受益と負担の関係が若い人ほどある意味損になっているというようなことなども、わかりやすく解説して発信できればなと思っています。
○参議院選挙について(3)
【フリーランス・堀田記者】
参議院選挙の1人区について。もう長崎などは国民民主党は公認したが、共産党さんはいつものようにどんどん1人区で公認している。野党同士の話し合いというのは、1人区に関してだが、いつごろから始まるか。
【共同代表】
まだ我々も1人区で立てているところが少ないので、他党と調整するというよりも、まずは我が党独自の候補者を発掘して擁立できるところに擁立していくことに全力を挙げたいと思っています。ですから、調整するという段階にはまだまだないなと思っています。
とにかく今は一人でもいい候補者、とりわけプロフェッショナルな女性にぜひ立っていただきたいと思いますので、今そのことに全力を挙げているということです。
○イージス・アショア取得経費の増加について
【共同通信・小笠原記者】
防衛省がイージス・アショアの経費について発表したが、歯どめなき軍拡だという声もほかの野党からは上がっているようだ。必要経費がどれだけふえるのか、まだちょっとわからない面もあると思うが、代表はどうお考えになるか。
【共同代表】
このたび一定の金額が発表になりましたが、当初800億とか1000億とか、いろいろな数字が出ておりましたが、それを上回る金額になっています。
ただ、経費がそもそもそれで全てなのか。あるいは、付随する経費がさらに出てくるのではないか。全体像がいまだよくわかりません。
加えて、やはり北朝鮮情勢の変化ということについてもしっかり踏まえて対応すべきではないか。
例えば、私も国会で要求しましたが、PAC3の配備は中四国ではむしろそれは取りやめるということになっていて、防衛省自身、その意味ではミサイル対処については一定の緩和の方向だという認識を示しているのだと思います。だからこそPAC3は一部地域では撤収ということになっていますので、そもそもの必要性。
また、何より大切なのは、山口県にしろ秋田県にしろ、地元の理解と納得が必要だと思います。まだまだそういった理解・納得が得られていないと思いますし、強い電磁波など周辺住民に対する影響などもしっかりと説明する必要があると思います。何より地域の納得が必要だと思います。
その意味では、国会でしっかりと議論した上で、導入する、しない、そういったことを決定していくことが必要だと思います。
○党勢拡大に向けた取り組みについて
【NHK・及川記者】
先ほど、党員・サポーターの話の中で、党勢拡大に今後努めたいというお話があったが、具体的にどのような取り組みをして党勢拡大につなげていきたいとお考えか。
それから、若干関連するかもしれないが、今掲げている、対決もするけれども解決もするという党の方針。解決策を重視していくという方針は変えないというお考えでよろしいか。
【共同代表】
党勢拡大は、まず国会議員がいるところは自分の選挙区、閉会になりましたからしっかりと地元活動をすることによって、またその中で国民民主党という新しい政党をぜひ売り込んでいってもらいたいと思います。
国会議員がいない地域については、やはり地方議員の皆さんに頑張っていただくと同時に、国会議員がペアになって、今、国会議員がいない都道府県については訪問して街頭活動あるいは地域の支援団体との交流を深めるなど、いない地域でも党勢拡大する活動を計画的に行っていますので、そういったことを通じて党勢拡大あるいは党員・サポーターの拡大に努めていきたいと思っています。
「対決」と「解決」の話でありますが、やはり前から申し上げているように二刀流でいきたいなと思います。
ただ、もちろん解決策を我々は模索しますが、だからといって、それは政府に対する対決の姿勢を弱めるものではありません。一部野党のように「ゆ党」化する、あるいは不信任案に反対したり予算案に賛成するようなことは我々はありませんから、その意味では政策的な課題も含めて「おかしなところはおかしい」と厳しく対峙していきたいと思います。
特に秋の臨時国会では、今、一部、会計検査院からの指摘があるようなさまざまな官製ファンド、例えばクールジャパンのファンドなどは屍累々のような事業も出てきておりますので、そういった税金や政府資金の無駄遣いといったようなことについてはどの党よりも厳しく政権に迫っていきたいと思いますので、対決姿勢はむしろより強めていきたいと思っています。