大塚耕平共同代表記者会見

2018年8月2日(木)15時00分~15時24分
編集・発行/国民民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=SXK-PHh3LvI


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○衆議院議長談話(今国会を振り返っての所感)について

【共同代表】
 きょうは冒頭2点申し上げたいと思います。
 まず、衆議院の大島議長の所感が公表されて、行政による公文書改ざん、虚偽答弁等を念頭に、「民主主義の根幹を揺るがす問題」だと指摘されました。全く同感であります。
 かねてより我々がそのようにも申し上げていますし、私自身も、まさしく日本の民主主義は安倍政権下で劣化していると思いますので、議長の発言を重く受けとめて、政府・与党には大いに反省し改善の努力をすることを求めたいと思います。

○日銀金融政策決定会合の決定内容について

【共同代表】
 日銀の政策決定会合が行われまして、新たな今後の運営方針が発表されました。
 今の見通しでは、2%の物価上昇の達成は早くても2021年になったわけでありまして、2020年までは1%にも満たない。そういう中での黒田総裁の2期目の舵取りでありますが、そうすると当初の任期から通算で8年間、就任時には「2年以内に確実に達成できる」と言っていたことを最低でも8年は達成できない見通しだということを表明したわけでありまして、黒田総裁には、より丁寧かつ誠実な説明責任を求めたいと思います。
 今回の方針変更も、これが出口戦略に踏み込んだものなのか、さらなる緩和継続を意味したものなのか、マーケットも受けとめ方が非常に混乱しているようでありますので、市場とのコミュニケーションをより一層的確に図っていただきたいということを申し上げておきたいと思います。


■質疑

○自民議員から相次ぐLGBTに対する差別的な発言について

【日本テレビ・清田記者】
 自民党の谷川とむ議員がネット放送で、同性愛を念頭に、「趣味みたいなもの」と発言した。受けとめをお願いしたい。

【共同代表】
 一言で申し上げて、これも言語道断であり、理解不能の発言です。さきの杉田水脈議員のときにも同様に申し上げましたが、その杉田議員の発言に追い打ちをかけるように、いわば少数者や価値観の多様性に全く配慮のない、また理解のない発言だと思います。
 このように問題発言が続くと、やはり自民党という組織の潜在的体質ではないのかと思わざるを得ませんので、この発言に対しても、他党のことではありますが、自民党さんは厳格に対応していただくことを望みたいと思います。

【「フランス10」・及川記者】
 先週金曜日の杉田水脈さんやめろデモに数千人集まったことに対する受けとめと、自民党がきのうホームページで「LGBTに関する我が党の政策について」ということを発表し、杉田議員の寄稿文に関して、「個人的な意見とは言え、問題への理解不足と関係者への配慮を欠いた表現があることも事実」だということで、「十分に注意するよう指導したところです」と書いている。この自民党の対応に対する受けとめ。以上2点伺いたい。

【共同代表】
 後者から先に申し上げると、党としての対応は遅きに失した感がありますが、いわば必要最低限の注意をしたということだと思います。より厳しい対応があってもいいほどの暴言であったと思いますので、そのように申し上げておきたいと思います。
 1点目は、やはりそれだけの皆さんが抗議デモをしたということは、この発言がどれほど多くの人を傷つけているかということだと思います。
 同時に、これは当事者の皆さんだけではなく、やはりこの間の安倍政権の姿勢、国会の運営の実態を見ると、自分たちの意見や価値観以外は基本的に認めないという体質がかなり顕著に出ているということから、当事者以外の皆さんもこの杉田議員や谷川議員の発言に大変不安を感じていると思います。そういうことのあらわれが大勢の方の抗議デモにつながっていると思います。

【時事通信・岸本記者】
 杉田議員も谷川議員も首相の出身派閥の清和会出身だ。このほかに稲田朋美元防衛大臣も「護憲派は新興宗教」という発言もあり、こういった出身派閥の議員から失言が相次いでいることに関してコメントをいただきたい。

【共同代表】
 やはり組織というのは、その組織の体質とかトップの考えの影響というものが往々にしてあります。例えば学校でも会社でも校風とか社風というものがあるように、議員の集まりの中にもその派閥の風土であったり雰囲気というものがあっても不思議ではありませんので、これだけ同じ系譜に属する人たちから問題発言が続くということは、やはり総理自身の言動と何か相関関係があるのかどうか、それは私はわかりませんが、総理ご自身がよくお考えになるべき問題だと思います。

【NHK・清水記者】
 先ほど大塚代表がお答えされたことと重複する部分もあるかと思うが、今回、自民党の杉田議員へ指導したという文書には、谷川議員へは特に何も言及がなかった。そのことについてはどうお考えになるか。

【共同代表】
 確認ですが、その文書が出たタイミングと谷川議員の発言のタイミングを私は存じ上げないのですが、谷川議員の発言の後に出たのですか。

【NHK・清水記者】
 後に出た。

【共同代表】
 そうですか。そうであるとすれば、やはり同様に言及すべきだと思います。
 冒頭申し上げたように、杉田議員の発言と谷川議員の発言は同質的な問題を含んでいますので、谷川議員の発言後にその対応文書が出たということであれば、やはりそれは不十分な文書対応だと思います。

【朝日新聞・山岸記者】
 関連して。先ほど安倍総理のぶら下がりがあり、そこでこの問題、杉田議員の発言、どうかと聞かれたが、弁明や陳謝といったものは特段なく、「人権が尊重され多様性が尊重される社会をつくっていくのは当然である。政府・与党の方針でもある」という説明に終始された。こういった批判が非常に出ている中においても、総理がこの問題をどれぐらい深刻に受けとめているかなかなか見えないところがあるが、こういった発言を聞かれて代表はどうお感じになるか。

【共同代表】
 やはり不安を感じますね、総理のこういう発言には。
 これは問題の質は違いますが「もりかけ」の問題などでも、あれだけ民主主義の危機とも言えるような暴挙が行われても、それについてのコメントが非常に表面的であったり、その事態の深刻さについての認識を感じさせない発言が多かったですよね。質は違いますが、この問題でもそのように、みずからがかつて絶賛していた議員がそういう発言をして、これだけの社会的問題に発展しているにもかかわらず、それに関する発言が極めて表面的で、起きている問題の深刻さについての認識を感じさせないという意味では、非常に似たところがあります。
 こういう総理の言動が今の国会や政治の運営に大きな影響を与えていると思いますので、私はその発言はまだ映像で見ていませんが、お伺いした限りでは大変憂慮すべき発言であり、国民の皆さんの中には不安を感じる人が多いと思います。

○文科省汚職事件について(1)

【テレビ朝日・村上記者】
 文科省の汚職事件について伺いたい。逮捕された谷口氏の関係者として、ホームページ上ではあるが、羽田雄一郎議員の名前が挙がっている。この事実関係等、党としてこの問題をどうとらえているか伺いたい。

【共同代表】
 まず、そのような情報が出ていることは認識しております。この点については、説明の必要が出てくれば、羽田議員自身からしっかり説明がなされるべき問題だと思っています。

【テレビ朝日・村上記者】
 この件で羽田議員ご本人とお話をされたか。もしお話をされたのであれば、どのようなことをおっしゃっていたか。

【共同代表】
 こういう報道が出ているということについて、知っていますかということと、大丈夫ですかというやりとりをしました。
 ご本人から、それは自分の問題ですから必要があれば説明をしますという、そういうお答えでした。

○日大問題 文科省の対応について

【「FACTA」・宮嶋記者】
 先ほど、トップのあり方は学校で言えば校風にも影響するという話があったが、例の日大、これは普通に考えて社長に当たる理事長が釈明も謝罪もしない。そういう人だとしても、文科大臣が呼ぶなり何かやらなければ、これは一体どうなっているのだろうと普通だったら思う。東京医大の話はあるにしても、今、甲子園で日大系列の高校が三つやっているわけで、150億のお金を出しているところについて文科大臣が社長も呼べないのだったら、こんな役所は潰してしまったほうがいいと思うが、どうごらんになるか。

【共同代表】
 まず、日大の件、日大のトップないしは経営層に対する対応については、宮嶋さんがおっしゃったとおりだと思います。これは文科大臣あるいは文科省として、やはりより厳格に対応すべき問題が生じていると思いますので、一体、林文科大臣ないしは文科省幹部はどうしちゃったのだろうなという気はします。
 同時に、しかし文科省は今みずからが大変な不祥事続きで、とても人様のことを言える状況ではないという気持ちなのかもしれませんが、そうであるとすれば、もう文化行政をつかさどる組織として文科省はその適格性を失いつつあるということだと思います。
 このあたりは、今、国会閉会中ですが、必要があればやはり関係委員会を開いて話を聞くなりしなければいけないと思いますので、我々も的確に対応したいと思います。

○東京医大「女子受験生を一律減点」報道について(1)

【TBS・室井記者】
 東京医科大学が女子学生の入学を抑制するために点数調整が行われていた問題が発覚した。病院側は、女性は将来的に出産・育児でやめるケースが多い、運営上・経営上やむを得ないという趣旨のことを言っているが、これの受けとめと、根本的にこれを解決するために政治ができること、やるべきこと、何があると思われるか。

【共同代表】
 これもちょっと先に確認ですが、「やむを得ない」という発言は、どなたがされたのですか。

【TBS・室井記者】
 病院側が。

【共同代表】
 病院側が。特定はされていないのですか、カギ括弧つきで「関係者」のコメントですか。

    〔 記者、うなずく 〕

【共同代表】
 もし「やむを得ない」という発言をしているとすれば、もうこれは大学としてのまさしく適格性を喪失していると思います。
 現に在校している学生の皆さんもいらっしゃるし、それから関係の病院で勤務していらっしゃる方、そこにいる患者さんもいらっしゃいますので、軽々に大学としてのいわば存続云々のことに言及はしがたいのですが、もし男女比の定数調整のためにこういう点数調整をしていたことを「やむを得ない」などと発言する職員ないしは関係者が本当にいるのだとしたら、これまた文科省は直ちに対応しなければならない問題ですよね。
 ちょっと私は事実関係はわかりませんが、驚くべき発言だと思います。

○文科省汚職事件について(2)

【共同通信・小野塚記者】
 一点確認だが、先ほどの羽田さんへの確認だが、これはいつ、どういう状況で、直接話をされたりして、どういう状況で確認されたのか。

【共同代表】
 2、3日前というか、報道がなされたり情報が流通するようになってから二度三度お会いしていますので、その中での会話です。ここ(党本部)での会合のときも、もちろん話しています。

○東京医大「女子受験生を一律減点」報道について(2)

【共同代表】
 それから、今のTBSさんの質問、ちょっと追加で回答させていただきますが、政治が何をするべきか。
 これは確かに医学部の学生さんで女性の比率が高くなっているのは事実です。私も地元の大学の医学部で講義をしたことがあるのですが、確かに私たちの世代のときに比べたら女子学生さんの数がものすごく多いのは私もびっくりしました。しかし、その大学の関係者が言っているように、この皆さんが先々結婚や出産でおやめになる確率が高いというような認識であるとすれば、これはお医者さんだけではなくて、やはり女性の皆さんにとって結婚や出産や育児が仕事を続ける上でのいわば障害になるという現実があるということだと思いますので、それを解消するのが政治の仕事ですから、我々もしっかりそこは果たしていきたいと思います。

○参議院の野党第1会派について

【朝日新聞・山岸記者】
 臨時国会に向けた参議院の第1会派のあり方に関して伺いたい。おととい、立憲民主党・枝野代表、自由党・小沢代表、社民党・又市党首が会食され、又市さんの会見での説明によると、参議院でも立憲民主党が第1会派をとっていくべきだということでその場では一致したと説明があった。立憲が衆参を通じて第1会派をとることで統一的な運営をしていくのがいいのか、あるいは国民民主党として参院では第1会派を維持して存在感を発揮していくべきなのか。臨時国会でどういう参議院の第1会派があるべきか、代表のお考えを伺いたい。

【共同代表】
 これは3党間でお話し合いになった内容ですので、私がそれについてとやかく言うつもりはありません。我々は現時点では参議院の野党第1会派でありますので、衆議院の第1会派である立憲さんとよく意見調整をしながら運営をしていくことに尽きると思います。
 それぞれの第1会派がどうあるべきかというのは、これはいろいろ考え方もあるでしょうから、我々としては、繰り返しになりますが、野党として円滑に調整ができるように努力したいと思います。もちろん、それは双方の努力が必要だと思います。

○イタリアの財政問題について

【「フランス10」・及川記者】
 イタリア経済が与える世界への影響について伺いたい。新連立ができて、大幅減税とベーシックインカムをやるということだが、イタリアの国債発行残高はギリシャに次いで2番目で、もしその政策を実行してしまったらユーロ圏が定める単年度予算の赤字「GDP比3%以内」を大幅に超えることになってしまう。イタリアの今の情勢についてどうごらんになるかと、世界経済に与える影響について伺いたい。

【共同代表】
 2009年に端を発したギリシャ危機以降の南欧の財政問題というのはまだ収束していないと思います。及川さんが質問されたような対応が現実にイタリアでなされた場合には、やはりまた南欧の財政問題が焦点になってくる可能性もありますので、世界経済への影響も出てくる可能性・蓋然性はあると思います。
 今では日本のほうが財政赤字の対GDP比はずっと高いですが、イタリアはかつてはG7の中では一番財政状況が悪くて、実はその財政赤字にどう向き合っていくのかという分析や研究はイタリアの財政学者が一番進んでいたのですね。アルベルト・アレシナとかロベルト・ペロッティという有名な学者がいるのですが、実際の主要国の財政健全化への実例をかなりのサンプル数で検証したところ、財政健全化に成功する事例は歳入増加を図るよりは歳出抑制を図ったときのほうがよりうまくということを研究結果として発表していて、これは割と関係の学者などには共有されている話であります。
 イタリアの学者が中心ですから、彼らの検討と照らしてみると、結構逆をいくような話ですから、今後の動向についてはしっかり注視しておきたいと思います。