玉木雄一郎代表記者会見

2018年9月25日(火)17時02分~17時23分
編集・発行/国民民主党役員室


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○日米通商協議 国内産業への影響の懸念について

【代表】
 日米首脳会談が27日に行われる予定ですが、それに先立ってトランプ大統領と安倍総理の間で夕食会が行われました。また、その前にトランプ大統領が、「軍事と貿易の話をする」ということを(ツイッターで)つぶやいておられました。「建設的な議論が行われた」とは言いますが、大変心配をしております。
 日本政府はこれまでアメリカとの関係では、TPPへの復帰を呼びかけるという、ある意味一貫した方針をとってきましたが、報道によると、FFR(日米通商協議)からさらに踏み込んで関税協議を行うということを言っております。ということは、農産物などについてTPP以上の譲歩をする可能性が出てきたということでありますから、これはこれまでの国会答弁とも違うので重大な問題だと思っております。
 また農業を犠牲にするのかという強い懸念を持っておりますので、帰国次第、国会を速やかに開いて、何を話したのか、もちろん外交交渉ですから全てを明らかにすることはできないと思いますが、全国の農家、畜産農家、大変心配をしていると思います。
 加えて自動車業界についても、追加関税をかけないかわりに一定の協議を行う、場合によっては数量制限というようなことを、米韓FTAのように受け入れる可能性も出てきているので、これも極めて問題だと思っております。
 農家だけでなく自動車産業にも大きな影響のあることがひそかに話し合われている可能性があると思いますので、我々としては、帰国次第、臨時国会の速やかな開会または閉会中の予算委員会等の開会を強く求めたいと思います。

○沖縄県知事選挙について

【代表】
 いよいよ今週日曜日に沖縄県知事選挙の投開票日を迎えます。マスコミの皆さんの調査でも大接戦ということが報じられておりますが、私も、玉城デニーさん、応援をしておりますので、あさって現地に入りまして、とにかく大接戦ですから1票でも多くデニーさんがとれるように応援をしていきたいと思っております。
 全国の仲間にも呼びかけて、きのうの全国幹事会でも、1人でも多く、沖縄に知り合いがあれば、デニーさんに投票してほしい、そういった呼びかけをしてほしい旨の依頼も既にしております。

○市民連合・山口氏と意見交換

【代表】
 最後に、きょう「市民連合」の山口二郎先生が党本部に来られました。
 いろいろな意見交換をさせていただきましたが、とにかく来年の参議院選挙、1議席でも多く野党側が勝たなければ今の安倍政権の数に任せた強引な国会運営も変わらないだろうということで意見交換をさせていただき、我が党としてもそういった趣旨については同じ思いであるので、これからもできるだけコミュニケーションは密にしていこうということできょうは話をいたしました。


■質疑

○市民連合・山口氏との意見交換について

【読売新聞・淵上記者】
 冒頭の代表のお話にもあった「市民連合」の山口さんとの話だが、「市民連合」というのはいわゆる安保法制の廃止を掲げている団体だと思うが、ここら辺の懸念というのはないのか。

【代表】
 安保法制に関しては、我が党の考え方を逆にこちらからご説明を申し上げました。
 当時はいわゆる安保法制という固まりとして安保法案の廃止ということを求めてきましたが、既に自衛隊法、武力攻撃事態法等々、既存の法律の中に溶け込む形で成立をしておりますから、いわゆる違憲の部分あるいは違憲のおそれのある部分を改めろということであれば、それは法改正の形で具体的にやっていくことが我々の考えるベストの方策であろうということで、安保法制の一部に問題があるということについては認識を共有しておりますが、その手法については、より具体的な、こういった形があるのではないかという提案を申し上げました。

【読売新聞・淵上記者】
 それに対して、山口さんは。

【代表】
 耳を傾けておられました。

【共同通信・小笠原記者】
 山口さんのほうに代表から、というか党として提案したということだが、どういった提案をされたのか。

【代表】
 今申し上げたように、各党それぞれ立場がありますし考え方がありますが、大きな方向性としては野党全体としてできるだけ力を合わせて頑張っていこうということですから、違いを強調するのではなくて、共通点をお互いに探り合って、その共通点の中で力合わせをしていくことが大事ではないかと。違いばかりを探っていると野党間の亀裂がむしろ深まって、かえって安倍政権を利することになるということは重々配慮していただきたい、ということは私から申し上げました。

【毎日新聞・遠藤記者】
 山口二郎さんとの会談で、具体的に立憲民主党とか共産党とか、党と党の間の連携について何か意見交換はされたか。

【代表】
 具体的にはあまり細かい話はありませんでしたが、やはり各党間で力を合わせていくということであれば、選挙区において各党が出し合ってかえって与党を利するようなことは1人区においても2人区においても避けるべきだということは申し上げましたし、そのことに対しては山口先生も同意をしていただきましたので、その意味では力合わせをするための環境整備ということについては各党それぞれが汗をかく必要があるということで認識は一致したと思います。

○会派構成・国会対応について

【読売新聞・淵上記者】
 本日、希望の党にも所属されていた寺田議員が立憲民主党の会派入りとなり、さきの小川淳也さんに続く会派入りだと思うが、立憲が着々と国会内で勢力を拡大していく中で、国民民主党としての国会内の勢力拡大についてどう考えていらっしゃるのかというのが一点。
 2点目に、一方で参院では国民民主党が第1党なわけだが、さきの国会で立憲と国民の間で国会戦術について若干違いが見られたかなと思うが、臨時国会、次の国会ではどのような運びをしていくべきだとお考えか。

【代表】
 野党全体でしっかりとした協力関係を構築していくことが大事だと思っていますので、よく各党ともコミュニケーションを深めていきたいと思っています。
 個々の議員の政治選択については、それぞれの政治信条、考え方に基づいて行われるものですので、コメントは差し控えたいと思います。

○「翁長氏の四十九日」「沖縄県知事選挙」について

【毎日新聞・遠藤記者】
 沖縄県知事選の関係で、きょう増子輝彦幹事長代行が翁長前知事の四十九日ということで慰霊碑みたいなところに行かれると伺ったが、その理由と、党として沖縄県知事選に向けてどのような態勢で支援されているのか伺いたい。

【代表】
 各党代表がきょうは四十九日のお参りをしていると聞いておりますので、我が党からは増子幹事長代行に出席をお願いしているということです。
 我が党の応援態勢ですが、もうこれまで既に秘書も30人以上入っていると思いますし、議員もそれぞれ自己完結型で入って、沖縄の企業や知人・友人、そういった方がいらっしゃる方については個別の働きかけをしていただいているということで、我が党としても全力で応援をしているということであります。

【毎日新聞・遠藤記者】
 今まで国政野党はあまり表に出ないで「オール沖縄」を支援していくという形をとられていたと思うが、今回、ある意味で国政野党の代表の方たちがそろって沖縄でそういったことをされるというのは、ちょっと方針を転換されたということなのか。

【代表】
 翁長さんの四十九日のお参りに行っている、ということであります。

【朝日新聞・竹下記者】
 代表はあさって沖縄に入られるということだが、具体的にどういった活動をしようと思っているかということと、先ほどの質問でもあったが、これまで他党があまり表立って玉城候補と並ぶといったことがないが、そういうふうに野党が控えている狙いや理由についてお考えがあれば伺いたい。

【代表】
 これは、翁長知事もそうですが、その遺志を受け継ぐという玉城デニーさんも、やはり沖縄のアイデンティティーを大事にしたいということを我々も最大限尊重したいと思っています。
 先ほど申し上げた支援も、秘書なり本人なりもあくまで自己完結型で、ある意味目立たないように側面支援・後方支援に徹するということにしておりますので、私も参りますが、関連の自分自身のそういった知り合いも含めた、応援できるところに応援をして回りたいと思っておりますので、街頭に立つようなことについては、行った場合でもする予定はありません。あくまで側面支援・後方支援に代表の私自身も徹したいと思っています。

○原発・エネルギー政策について

【時事通信・岸本記者】
 原発の再稼働について伺いたいが、先日のBS番組やけさのラジオ番組でもおっしゃっていたが、原発の廃炉費用捻出のためには再稼働はやむを得ないとお考えか。改めて代表のお考えを伺いたい。

【代表】
 廃炉費用のために再稼働が必要だというわけではありません。今現在、基準を満たして動いているものについては、もちろん大変厳しい、世界最高水準の基準を満たすということが必要ですが、そういった稼働する原発から得られるような収益等もありますので、そういったものも廃炉に回していくべきだと思っていますし、逆にそれがないのであれば、どこから廃炉の財源を持ってくるのか、もっと言うと、原子力工学や原子力に詳しい、つまり廃炉を担える人材を育成し維持することはどうやってやるのかということも、これはしっかり示さなければいけないと思っています。
 私たちは「30年代・ゼロ」を目指すということで、ゼロを目指すことはもう掲げておりますが、具体的に、より現実的にそれに近づけていこうということなので、廃炉を担う人材、そして財源の問題、あわせてしっかりとお示しをしていくという中で、国民の皆さんにも納得いただきたいと思いますし、電力で今現在働いておられる方も含めた関係者、皆さんの納得をしっかり得ていくことが政治の責任だと思っています。

【時事通信・岸本記者】
 つまり、その選択肢の一つに再稼働というのも入ってくるということか。

【代表】
 いや、もともと「30年代ゼロ」というときには三つの原則を明確にしていました。
 40年廃炉を徹底するということ。
 新増設は行わないということ。
 世界最高水準の基準を満たしたものについては、それは例外的に再稼働を認める。
 これに加えて、国の責任を明確にして避難計画をしっかりつくるであるとか、その後いろいろなことがあったので、さらにそういった基準も満たさなければいけないと思いますが、さまざまな条件をクリアしたものについては再稼働ということになっていますので、そういうことを行いながら現実的に徐々に減らしていく。それでいくと30年代にはかなりの数、減っていきます。
 そういった中で廃炉を具体的に進めていくというのが現実的ではないかと私たちは考えていますが、具体的な道行きについては、現在、大野元裕会長のもとのエネルギー調査会で具体的な工程表等の作成について議論していますので、最終的にはそこでの結論を待ちたいと思います。

【時事通信・岸本記者】
 立憲民主党が提出した原発ゼロ基本法案は、再稼働はしないとあるが、その点は立ち位置は両党では異なってくるか。

【代表】
 一つの考えなのだと私は思いますが、即ゼロにした場合は、では廃炉の費用を誰がどのように捻出していくのか、即ゼロにしたときの廃炉を担当する技術者や人材はどこからどのように確保していくのか。そのことについては現にやろうとすると当然必要になってくるので、その点はまた立憲民主党さんにもお話を伺った上で、人と金の問題というのは廃炉を進めていく上では不可欠だと思いますので、その辺をしっかり折り合えばそんなに違うところには着地しないのかなと私は思っているので、よく立憲民主党さんのご意見も伺ってみたいと思っています。

○沖縄県知事選挙について

【朝日新聞・竹下記者】
 沖縄県知事選だが、きのうの全国幹事会の代表の挨拶の中でも、沖縄知事選で勝つ負けるで日本の政治状況に大きな影響を与えるというふうにおっしゃっていた。安倍総理の3選が決まった総裁選の直後だが、どのような影響があるとお考えか伺いたい。

【代表】
 そうですね、自民党・公明党・維新の皆さんは必死ですよね。総裁選挙の間も菅官房長官が現地に入ったりしておりましたので、その意味では政権挙げての選挙だと思います。その結果というのは、当然、政権のありように対する一つの評価ということになろうかと思いますので、その意味では今後の政権運営や、あるいは内閣の構成といったことにも影響を及ぼし得るのではないかと思います。
 ただ、逆に野党側が負けてしまうと、また野党にとってもそれは今後の政治を考えていく上での一つの大きな意味を持つ選挙になると思います。
 与党が勝っても野党が勝っても、日本のこれからの政治においては重大な影響を与える選挙になると思っていますので、我々としても、側面支援ではありますが、できるだけ玉城デニーさんを応援していきたいと思っています。