玉木雄一郎代表記者会見

2018年10月10日(水)14時00分~14時22分
編集・発行/国民民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/iRg5GjUwetQ


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○沖縄協議会を設置 日米地位協定等の議論に着手

【代表】
冒頭、2点申し上げたいと思います。
 昨日、沖縄に参りまして、翁長前知事の県民葬に参列してまいりました。その後、玉城デニー新知事ともお目にかかり、さまざまな意見交換をさせていただきました。
 その中でも話をしましたが、今回の知事選挙では与党の推薦した佐喜真候補も公約に掲げておりました日米地位協定の見直し、これは不可避になったと思います。ですから我が党としては改めて沖縄協議会を、本日の執行役員会で、大枠の人事も含めて再び新体制でも発足するということを決めましたので、大塚耕平代表代行をトップに、この日米地位協定の問題、そして辺野古崎への新基地移設の問題、こういったことを我が党としても検討に着手し、速やかに結論を得て、我が党の考えをまとめていきたいと思っております。
 特に地位協定の見直しについては具体的に進めていきたいと思いますし、他の野党や、あるいは一部公明党の皆さんも「見直すべきだ」とおっしゃっていますので、与野党を超えて日米地位協定の見直しを現実的に進めていきたいと思っております。

○日米通商交渉「包括的なFTAではない」政府見解について

【代表】
次に、いわゆる日米物品貿易協定、TAGについてであります。
 アメリカのペンス副大統領が、今回の合意について「日本と歴史的なFTAに関する交渉を始める」というふうに述べています。日本側は「これはFTAではない」という説明をしておりますが、アメリカ側はこれはもうFTAだということを高官が何度か発言しております。
 菅官房長官はこれに対して「包括的なFTAではない」と反論しておりますが、まさにGATT24条8項の自由貿易地域における協定ということに該当せざるを得ないと思います。そうなると、ほとんど全ての貿易について関税を撤廃するということが(最恵国待遇原則の例外として)GATT整合的に認められる条件になりますので、一部の限られた物品について何か二国間で取り決めができるというものではありません。包括的な、かなり高度な関税の撤廃が求められる協定にならざるを得ないということですから、これはFTAそのものと言わざるを得ません。
 こういったことについては、間もなく始まります臨時国会で、政府の説明のごまかし、うそ、こういったものをしっかりと明らかにしていきたいと思っております。


■質疑

○翁長前沖縄県知事の県民葬について

【「FACTA」・宮嶋記者】
 きのう県民葬に行っておられたわけだが、菅さんに対して「うそつき」コールが起こったと報じられている。何か感想があれば伺いたい。

【代表】
 菅官房長官が安倍総理の言葉を代読していたときに、やじが飛びました。私も一番前に座っていてそれを聞きましたが、驚きました。というのは、1人ではなくて複数の方がそういった発言をしておられましたし、退席する際にも「帰れ」というような声も飛んでいて、その意味では非常に沖縄の皆さんの今の政府のやり方に対する憤りというものを私自身ひしひしと感じました。
 今回の玉城デニー知事の当選によって、辺野古崎への移設に反対することを明確にした知事が2回連続当選したということでありますから、やはりこの民意は重いと思います。官房長官もきのう直接そういった声を受けたわけですから、ひしひしとその民意の重さということを感じられたと思いますので、とにかく強引に沖縄の民意を無視して進めることがないように、丁寧な話し合いをまずは玉城デニー知事と持っていただきたい。官邸にも玉城デニー知事は行かれるようですが、しっかりと話を聞いて、まずは相互でよく話し合うということが大切だと思います。

○スルガ銀行不正融資問題について

【「FACTA」・宮嶋記者】
 スルガの問題だが、これはまれに見るひどい事件だ。なぜ金融庁はもっと早く検査に入らなかったかということを含め、やはり臨時国会での大きなテーマではないかと思うが、このスルガの問題について今どうお考えなのか伺いたい。

【代表】
 スルガ銀行の件については、ゆゆしき問題だと思います。一時はむしろスターのように持ち上げるような風潮もありましたが、やはり金融庁としても、もちろん検査検査だけではだめですが、バブルの崩壊、そして不良債権の処理という一連の歴史的大事業が終わって少しほっとしているときなのかなと思いますが、大規模な金融緩和の陰でひそかに進行しているさまざまなリスクというものについて金融庁としてもいま一度しっかりと現状把握をし、正すべきところは正してもらいたいと思っております。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 金融庁の担当大臣は例の麻生さんだが、そのことはどうか。

【代表】
 財金分離がなされて金融庁の力が落ちたとか、財務省の力が落ちたとか、いろいろなことが言われますが、今トップは同じですから。その意味では、いわゆる旧大蔵省の所管については麻生大臣が全面的に、そして包括的な責任を負っておられるわけですから、こういうことを見逃していることについての罪は重いと私は思いますし、また、日銀が大規模な緩和をしている中で、日銀と政府の合意の中では財政再建をしっかり進めていくということもあったのですが、これも麻生大臣はできていないということで、ある意味、財政・金融両面にわたっての麻生大臣の罪は重いと私は思います。

○日米通商交渉「包括的なFTAではない」政府見解について

【TBS・室井記者】
 冒頭代表からあったTAGについてだが、日本側が主張するTAGと、アメリカ側は実質的なFTAを主張している。この両国の認識のずれについては、何となく日本側が不都合なものを表に出さないためにTAGを前面に出しているようなふしもあるが、こういった不都合なものを出さない政府の姿勢に何か思うところはあるか伺いたい。

【代表】
 ぜひ皆さんも、今回の英文で出された原文と日本政府が出している日本語訳を読み比べていただきたいと思います。第3パラグラフだったと思いますが、あれはちょっと言葉を強く言うと捏造です。あえて正しく英文を訳さずに、TAGという略語を創設し、これがFTAではないというような国内向けの説明をするために意図的に誤訳をしてつくられた捏造文書と言ってもいいと思います。このことをメディアもそのまま報じておられますが、日米両国間ではTAGなんていうものはありませんから、存在しないものを報じることはぜひ慎重にしていただきたいと、お願いがまずあります。
 その上で、先ほど申し上げましたが、(政府は)「包括的なFTAではない」という説明をしますが、GATT24条に整合的なものしか(最恵国待遇原則の例外として)認められません。二国間で何か取り決めをするときには最恵国待遇の例外を何らかの形で満たさなければいけませんが、そのときの条件は、GATT24条8項に規定する関税同盟か自由貿易地域における協定か、この2種類です。それを満たす条件は、先ほど申し上げたように、ほぼ全ての貿易に関して関税を撤廃すること。最恵国待遇の例外として認められるには、この条件を満たすしかあり得ないのです。だから、自動車と農産物だけで日米だけに個別に特定に適用されるという、そんな都合のいい協定などはあり得ない。日本はもちろんGATT/WTO体制のもとにありますから、例外的に認められる二国間の協定をするのであれば、ほぼ全ての貿易に関して関税を撤廃するしかないわけです。包括的でないようなFTAというのは、定義上あり得ません。
 政府の説明は極めて不誠実、強く言えばうそをついているということでありますから、森友・加計学園でも同じようなことがありましたが、公文書の改ざんに次いで外交文書も改ざんしているのではないかと、私は非常に憤りも感じますので、ぜひそこは国会の中でも厳しく追及していきたいと思います。

○国会対応について(1)

【朝日新聞・山岸記者】
 国民民主党・長浜参議院議員が離党の意向を固められたと報じられている。これが実現すると、参議院における野党第1会派・第2会派の順位が逆転する形になり、両院とも立憲民主党第1会派、国民民主党が第2会派になる。こうなった場合、臨時国会の野党共闘のあり方、国会運営にどういう影響があるとお考えか伺いたい。

【代表】
 まだその事実について私は聞いておりませんのでコメントは差し控えたいと思いますが、ただ、国民の目線から見て、参議院の会派がどちらになるかというのは、たぶん国民の皆さんはほとんど関心がないと思います。むしろ大事なのは、今のバラバラの野党がいかに力を結集してまとまって、この問題の多い安倍政権に向き合っていけるのか、向き合ってくれるのかということを国民の皆さんの多くは期待しているし、関心があると思います。
 これは私は代表選挙のときにも申し上げましたが、国会が間もなく始まりますが、やはりできるだけ大きくまとまって安倍政権に向き合っていく。その意味では、できるだけ協力できる党派・会派とは、例えば統一会派を組んで大きな固まりとして向き合っていくことをむしろ働きかけをしていきたい。一義的には野党第1党の立憲民主党さんがイニシアチブを発揮されると思いますが、そういった働きかけや相談といったこともそろそろ始めていきたいと思っています。
 とにかく大切なことは、野党間で誰がどこに移るとかではなくて、野党全体でまとまって安倍政権にどう向き合っていけるのか。ここが国民にとっても大切なポイントだと思いますので、そういった観点から汗をかきたいと思っています。

【朝日新聞・山岸記者】
 今後、例えば無所属の議員の引き抜き合いとか、そういうことも予想されるわけだが、代表としては必ずしも国民民主党が参議院で第1会派を維持することにはこだわらないと理解してよろしいか。

【代表】
 野党全体でいかにまとまって安倍政権に向き合えるかということが大切だと思いますし、選挙においても、いかに野党全体の議席をふやし、そして今の与党の議席を減らすことができるのか。このことが重要だと思います。

【東京新聞・木谷記者】
 関連して。所属議員の動向だが、今井雅人衆議院議員が近く離党するとの報道があるが、代表として把握している事実があればお聞きしたい。

【代表】
 具体的には聞いておりませんので、コメントは差し控えたいと思います。

【NHK・及川記者】
 臨時国会での協力の呼びかけについての関連だが、立民は統一会派などの枠組みについてかなり消極的な考えを持っているかと思うが、代表として呼びかける際には、あくまで統一会派ということにはこだわらないのか、それとも一義的には統一会派ということを呼びかけるのか。それから、その呼びかけというのは何か立民さんと党首会談などを想定して調整するお考えなのか。そのあたりはいかがか。

【代表】
 統一会派も含めて、どのようにすれば連携の強化が図れるのか、国会として委員会も含めて鋭く政権与党側に迫れるのかという観点で、ベストなやり方を探りたいと思います。
 そのためにはもちろん他党・他会派とよく話をしなければいけないと思いますので、もちろん代表同士が話すこともあり得るとは思いますし、まずは事務で話すということもあり得ると思いますが、具体的にはまだ決めておりません。
 いずれにしても国会が始まる前には一度そうした大きな固まりで、強い力で安倍政権・政権与党に向き合っていく、そのためにはどうすればいいのか、何がベストなのかということを話し合う機会はぜひ持ちたいし、持っていただきたいと思っています。

○日米地位協定・普天間基地問題等の党内議論について

【NHK・及川記者】
 冒頭ご発言があった日米地位協定について伺いたい。速やかに党としても検討して結論を得たい、かつ具体的な見直しについて進めたいということだったが、「具体的」ということは、ある程度条文化というところまで考えていらっしゃるのかと、「速やかに」ということは、臨時国会が始まるが、そのあたりをめどにというスケジュール感で党内議論を進めるということなのか。

【代表】
 これは議論を急ぎたいと思います。早ければ来週にでも沖縄協議会、場合によっては外交・安保調査会とも合同で会議を開いて、まずキックオフをしたいと思いますし、沖縄にも伺おうと思います。
 現地に行って、沖縄県としてホームページにも載せていますが、例えばイタリアやドイツと比べても過剰に日本はある意味譲り過ぎているというところなども既に沖縄県側としても整理されていますし、全国知事会としても初めて、これは全国知事会として地位協定を見直すべきだという提言も出しておられますので、こうした声も伺いながら具体的な改正項目を詰めていきたいと思います。
 できれば年内にはそうしたあらあらの方向性を出せる、そういったペースで進めていきたいと考えています。

【フリーランス・堀田記者】
 確認をしたいが、沖縄県知事選は玉城さんが勝ったが、佐喜真さんがいなくなった宜野湾では佐喜真さんの後継者が勝った。この後継者が勝ったということは、こちらにはほとんど知らされていない。
 今一番困っている問題の一つというのは、危険な普天間基地の周りに暮らしている人たちのことだ。もっとも、普天間基地がなくなって困るという、はっきり言うと飲み屋のおばさんなどはいるが。これが辺野古の基地ができて移るのが早いか、それともそれが時間的に遅くなるかということはまだわからないが、国民民主党は鳩山民主党の流れをくんでいるわけだが、辺野古基地の問題については今どのようなことをきちんと決めているのか。

【代表】
 まず、普天間基地の返還ということは必要だと私たちも思っています。
 その上で、移設先の辺野古崎の新基地については、これは当時、民主党政権時代の岡田外務大臣のときにも「唯一の選択肢」ということで決めた経緯があります。
 ただ、先ほど申し上げたように、もう2回連続して新基地建設反対の知事が当選したという、この民意は極めて重いと思います。その意味では、辺野古崎への移設が決まって二十数年たっていますが、果たして本当に安全保障の観点からも辺野古崎がベストなのかということについてはゼロベースでレビューすべきだと思いますし、先ほど申し上げた沖縄協議会などでもう一度こうしたレビューをゼロベースで行っていくというのが今の我が党の方針です。
 ですから、もちろん相手がある話でありますから、アメリカ政府とも、アメリカの関係者とも話が必要だと思いますので、いずれにしてもそこは丁寧に検証を進めていき関係者の合意を形成していくことが重要だと思っています。

○国会対応について(2)

【NHK・及川記者】
 先ほどのところを改めて確認だが、野党間での協力の呼びかけの話だが、これはあくまでも国会が始まる前に話し合いたい相手というのは立民さんになるのか、それとも、今、衆議院の場合は6党派が今一つの固まりになっているが、そこ全体を巻き込んだ形でまず投げかけたいと思っていらっしゃるのか。その交渉というか話し合いの相手というのは今どこを想定していらっしゃるか。

【代表】
 まずは野党第1党の立憲民主党さんだと思いますし、ほかにも、党ではありませんが「無所属の会」の会派の先生方、こういった方々にも声かけはしていきたいと思いますし、それ以外にもこうした統一会派というようなことに一定の理解を示していただくところには、呼びかけ、働きかけ、ご相談に伺いたいと思っています。