玉木雄一郎代表記者会見

2018年10月24日(水)14時48分~15時16分
編集・発行/国民民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/oSk546xNUWA


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

【司会・西岡秀子役員室次長】
 それでは国民民主党代表会見を始めさせていただきます。私、きょう司会を務めさせていただきます、役員室次長・衆議院議員、西岡秀子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは代表、よろしくお願いいたします。

○臨時国会開会に当たって

【代表】
 本日、臨時国会が召集されました。やっと臨時国会が開かれたという印象です。これまで累次にわたる災害等がありまして、1日も早い開会と補正予算の審議を求めてまいりましたが、やっと開いたということでありますから、まずはしっかりと災害対策・防災の議論をやらせていただきたいと思っております。
 それと、今月2日に第4次安倍(改造)内閣が発足いたしました。早速、閣僚のさまざまな問題が出てきておりますので、そうした新閣僚の資質、あるいは理念、考え方、こういったことについてもしっかりと質問していきたいと思っております。また、麻生副総理・財務大臣が留任したことについても私たちとしては問題だと思っておりますので、こうしたことについても徹底的に質問していきたいと思います。
 それと、この間さまざまな政策課題も出てきておりますが、三つの大きなごまかしがあると思います。
 一つは、まず憲法についてであります。自衛隊を明記するという案、何度も国会でも議論しましたが、「何も変わらない」、こういう説明でしたが、実際には自衛のための必要な措置を講じることができるということで、実は自衛権の範囲が無限に広がってしまうことになろうかと思います。フルスペックの集団的自衛権も、今のような記述のままでは認められるということですから、憲法についての「何も変わらない」という説明にごまかしがあるのではないか。ここをまずしっかりと議論していきたいと思います。
 二つ目に、移民の問題です。「移民ではない」と言いながら入管法の改正案を出してくるということですが、家族を連れて、そして期限の定めなく日本に入れる、定住ができる道を開くというのは、どう考えてもこれは移民だと、少なくとも国際的には思います。「移民ではない」と言いながら事実上の移民政策を推し進める。こういったことについてもしっかりとただしていきたい。
 最後に、日米物品貿易協定という、日本でしか使わない、いわゆるTAGと言われていること。これはもう明らかにFTAそのものでありますから、こうしたごまかし、また農家への裏切りといったことがないかどうか。これも厳しくただしていきたいと思っております。

○風疹予防接種の呼びかけ 国民民主党の取り組みについて

【代表】
 それともう一点。今、首都圏を中心に風疹患者が激増しております。昨年の13倍を超えているということですし、アメリカのCDC、疾病対策センターは、妊娠中の女性が日本に来ることを自粛したほうがいいという自粛勧告まで出しております。
 国民民主党としては、広く国民に予防接種を働きかけていきたい。特に妊娠している女性が感染すると(出生児が)難聴を初めとした先天性のさまざまな障害を抱えるというリスクもありますので、来週30日に希望する国会議員・秘書・職員を対象に党本部で予防接種を行いたいと思っております。
 これは国民運動本部を中心に行いますので、後ほど大西健介国民運動局長から詳細の説明をさせていただきたいと思っております。


■質疑

○所信表明演説を受けて(1)

【毎日新聞・遠藤記者】
 本日、臨時国会で安倍首相が所信表明演説をされ、憲法改正を初め諸課題について触れた。それについての受けとめをお願いしたい。

【代表】
 あまり心に残るところがなかったなというか、何か同じテープをもう一回聞いているような感じがしましたね。
 印象に残ったのは、横から見ていると、自民党席で拍手をしている人が、前から半分、前のほうは1期生・2期生・3期生ぐらいまで拍手していましたが、上のほうに座っておられる方が非常に冷たい。拍手をしていない方が目立ったなという印象です。

○所信表明演説を受けて(2) 憲法論議について

【毎日新聞・遠藤記者】
 関連で、総理が最後のほうで憲法改正について触れて、憲法審の中で進めるのが国会議員としての役割だという趣旨の発言があったが、これについての受けとめもお願いしたい。

【代表】
 まず、「国の理想を語るものは憲法です」とおっしゃいましたが、そもそも憲法についての認識が間違っているなというのが印象です。
 中世以来、近代国家の形成の中で、絶対王政から新しい市民社会に移行する中で、「権力を縛る」というのが憲法の基本的な理念ということなのですが、どうもそうではなくて「権力者が描きたい夢を書き込む」のが憲法というのが安倍総理の憲法観だなということがよくわかったので、なかなか折り合いがつかないなということは率直に思いました。
 ただ、憲法は大事なものですから、議論をしっかり進めていきたいと思っています。

【東京新聞・木谷記者】
 関連して。憲法に関して、与党側は今国会で国民投票法改正案の成立を目指す考えだが、この議論に対してどう対抗するかということと、先ほどの自衛隊を憲法に明記する案について「しっかり議論していきたい」と。これはどの場で議論されたいということか。

【代表】
 もちろん我が党としてもさまざまな議論を今進めております。
 安倍さんの言う改憲案、9条改憲というのは我々は反対です。自衛権の議論をまともにせずに自衛隊だけを明記して、「何も変わらない」と言いながら事実上自衛権の範囲を広げていくような中身は非常に問題があると思います。ですから私たちは、自衛権の範囲を、その制約をしっかりと憲法に書き込むことも含めて党内でしっかり議論した上で、私たちの考える憲法改正案ということもしっかりとお示しできればなと思っております。
 ただ、その大前提として、さきの国会から積み残しになっている国民投票法。これをしっかり議論することが必要だし、とりわけCM・広告規制をしっかりと盛り込んでいただくことが大前提になりますので、まずはこの国民投票法の議論、これをやはりしっかりと進めていくべきだし、私たちの考え方もしっかりと受け入れていただく。これが大前提だと思います。

○入管法改正・外国人労働者受け入れに関する議論について(1)

【「フランス10」・及川記者】
 移民政策について二つ伺いたい。海外から見たら今回の安倍政権が目指しているのは移民政策の拡大だが、国民民主党は移民政策、大量受け入れというか拡大についてどのようにお考えになるのかが一点。
 もう一点は、現在技能実習生という名目で外国人労働者が働いているが、アメリカの国務省が強制労働もあると言うくらい過酷な労働環境に置かれている。私が取材したケースでは4LDKに18人の外国人が詰め込まれて働かされていたケースもある。移民の現在の過酷な労働状況についてどう思うか伺いたい。

【代表】
 まず、政府の案を見ても、どういう業種か、そして入ってくる外国人の方の規模が全くわかりませんから、まずはそれを政府からしっかりとお示しいただくのが先だと思います。
 私どもとしては、多様な社会のあり方を認めていますから、外国人にも働きやすい、そういった日本であるべきだと思っております。
 その上で二つ重要だと思うのは、単に安いから外国人を使うという発想から、人権や、あるいは人としてどう待遇するのかという観点をしっかりと持つことが重要だと思っています。今ある外国人技能実習制度、また留学生(資格外活動)週28時間、また二世・三世といったさまざまな(在留資格の)カテゴリーがありますが、そういったものに横断的な外国人の待遇・人権、こういったものを考える包括的な制度・仕組みが必要だというのが一点です。
 二つ目は、家族も帯同するということになれば、日本語教育を初めとした社会の定着や、社会保険をどうするのか、あるいは住居・居住地、こういったものをどうするのかという総合的な社会定着の仕組みをしっかりと整備せずに大量に受け入れるということがあると、いわゆる移民問題が生じてしまうので、移民だと正面から認めた上で適切な移民対策をとって、いわゆる移民問題が生じないようにすることが大事だと考えています。

○党シンクタンクの取り組みについて

【読売新聞・須藤記者】
 現在、コミュニケーション戦略本部で検討されていると思うが、バーチャルシンクタンクについて、改めて意義と、どのような政策づくりに生かしていきたいかお聞きしたい。

【代表】
 間もなく公式にお示しできると思いますが、我が党、小さくなったということもあるのですが、今、企業でもそうなのですが、いろいろなことを決めていくときにオープンイノベーションという手法をとります。外部のさまざまな意見や知見を活用して行っていくということですから、私たちも政策づくり、こういったものに外部の力をかりたいということです。
 かつてやっていたABC調査会のような、特に先進的な分野については、国会議員だけで、あるいは職員だけでやっていても、新しい知見や新しい知識がなかなか取り込めませんから、そういう特にテクノロジーや新しい分野については外部の人の知見も取り入れるという意味で、そうしたバーチャルシンクタンクを中心に、もちろんリアルなものもやりますが、ネット上でさまざまな知見をため込んでいくというような仕組みをつくりたいと思っていますので、間もなく発表させていただきたいと思っています。

○入管法改正・外国人労働者受け入れに関する議論について(2)

【TBS・室井記者】
 入管法の改正について、国民民主党は4回ぐらい外国人労働者受け入れに関するPTをやっているが、これは今国会中に対案を出すつもりなのか、あるいは野党共同で対案を出すことを考えていらっしゃるか伺いたい。

【代表】
 今、中川正春先生のところで、そういった社会定着に関する議員連盟で少しこういった議論を党派を超えてやっておりますが、ただ、政府案の中身がまだ固まっていないので、そういったものをよく見定めながら、どういう形の対案にするのか、そしてその対案を法律の形で出すのか出さないのか検討していきたいと思います。現時点ではまだ法律という形で今国会に出すということは決めておりませんが、いずれにしても私たちの考えはしっかりとまとめていきたいと思っています。

○所信表明演説を受けて(3) 外交政策について

【時事通信・中山記者】
 所信表明に関連して。安倍総理は外交問題に関しても、拉致問題の解決であったり、「長門合意は前進している」と語り日露の領土問題解決にも意欲を示した。実現可能性なども含めてどのように受けとめられたかお聞きしたい。

【代表】
 そうですね、いつも気合いだけという感じがしますね。
 特に拉致問題に関しては少し今までと言いぶりが違って、自分が「金正恩(キム・ジョンウン)委員長と向き合わなければならない」と。「向き合う」とは言っていないのですね、「向き合わなければならない」。「北朝鮮との国交正常化を目指します」というのは日朝平壌宣言のとき以来の方針ですし、何か新しいものがあるわけではないということですね。
 私は、先般の皇后陛下の誕生日のときに発表された文の中に、拉致被害者に関する記述がありました。皇后陛下も大変な思いをいたしているんだなということがわかりましたが、ただ、きょうの総理の発言を見ても気合いだけという感じがして具体的な道筋が見えませんので、これはこれからの国会、代表質問や予算委員会を通じて総理の具体的な解決に向けた方針をただしていきたいと思っています。
 日露についても同じで、長門の会合から前進していると言うのですが、あれから2年ですからね。2年たってウニの養殖とイチゴの品種が決まったぐらいで本当に「進んだ」と言えるのでしょうかというのが正直な印象ですし、先般根室に行きましたが、やはり「なかなか姿が見えないな」というのが現地の皆さんの声でもありましたので、ここも含めて国会の中でしっかりとこれからの方針をただしていきたいと思います。

○臨時国会における重要テーマについて

【朝日新聞・山岸記者】
 今国会の全体的な追及の方針を伺いたいが、会期が短い中で、結果的に法案が全部通ってしまって総理もなかなか国会に出てこないというようなことにもなりかねない状況の中で、野党として何をとりにいくか。どういったことを追及し、最低限実現して一定成果を上げていくのか。そのあたりの見通しを伺いたい。

【代表】
 冒頭申し上げましたが、一つはやはり閣僚、とりわけ新閣僚の資質について、さまざまな疑義が出ているものについてはしっかりとただして、問題がある方についてはやめていただくということだと思います。
 もう一つは、やはり外交が大きなテーマですね。日露にしても日米にしても、あるいは移民の受け入れというのも対外的な関係に関することだと思いますが、こういう問題については非常に重要なテーマになります。
 あとは何といっても憲法ですね。憲法は、なかなか進まないのだろうと言われる一方で、今の新しい憲法審のメンツを見ると強引にいきなりやってくる可能性も否定できないので、やはり憲法については私たちとしても、単に反対するのではなくてしっかりとした備えを行っておくことが大事だなと思っています。

○郵政政策について

【郵湧新報・園田記者】
 野党における郵政事業の支援について、議連体制など現在どのような形で進められているか伺いたい。

【代表】
 我が党も郵政出身の奥野総一郎議員初め、あるいはずっと担当してきた古川元久議員を初めとして、非常に郵政関係に造詣の深い議員もおります。
 この間、会社が分かれてしまって、例えば会社間の取引に消費税がかかる。それが今度消費税がアップするとさらなる負担がかかっていくという中で、ユニバーサルサービスが本当に維持できるのかというような問題についても多くの方が今懸念をお持ちです。ですから私たちとしてはやはり地域のそうしたユニバーサルなサービスを守っていくために、そのユニバーサルサービスを維持するためのコストを誰がどのように負担するのかという観点から、政府が一定程度対策は講じておりますが、本当にそういうことで十分なのかということも含めて、私たちの支援策の検討をこれからも積み重ねていきたいと思っています。

○日米通商交渉について

【日本農業新聞・岡記者】
 冒頭代表がおっしゃった日米物品貿易協定だが、党として追及していくのは、FTAなのかそうではないのかという部分なのか。共同声明もいろいろあるが、主な問題意識を持っている部分はどこなのかもう少し具体的に教えていただきたい。

【代表】
 まず、もちろん定義上の問題をしっかり明らかにしたいと思います。これはそもそもGATT整合的なものでないと(GATT第24条上の「関税同盟」・「自由貿易地域」として)認められませんから、そういったGATT/WTO体制と全然違うものはあり得ないわけです。
 そういったことはしっかりと確認したいし、あと(米政府が)議会に通報しているのは日本との貿易協定だけを通報しているのではなくて、同時にヨーロッパとの関係とかいろいろなものを通報しています。同じように書いているので、日本だけが何か特別なものを認められたわけではない。
 こういったことも含めて実態をまず明らかにすると同時に、茂木大臣が、「マキシマムレベル」というのは全体としてTPPを上回らないということですが個別にはTPPよりさらに関税引き下げするものがあるような発言をしていますから、そういったことを一体アメリカとどこまで約束してきたのかというようなことについてはしっかりと追及していきたいと思っております。
 加えて言うと、TPPについても、アメリカが抜けたら見直しをするということになっていました。特にセーフガードについては、今のままだと事実上発動されません。アメリカという大国が抜けたのに、あの基準を満たすことは不可能ですから、事実上セーフガードは発動しないということです。これは「見直す」と言って全く見直す気がないので、こういった点もしっかり追及していきたいと思っています。

○離党届の扱いについて

【フリーランス・堀田記者】
 確認をしたい。長浜さんの離党は認められたのか。それから、今井さんの離党は認められたのか。

【代表】
 きょうの総務会で決定するということなので、現時点においてはまだ決定しておりません。

【フリーランス・堀田記者】
 2人とも認められていない、決定していないということですね。

【代表】
 今の時点では決めていません。党としては最終的には総務会で決定しますので、そういう意味では決まっておりません。

【フリーランス・堀田記者】
 ですが、2人とももう立憲の会派に入った。

【代表】
 会派離脱届を出して、その会派の離脱については認めたということですから、そうなっているのだと思います。

【フリーランス・堀田記者】
 正式な手続というか、礼節を重んじていない、立憲民主党は。そういう立憲民主党と、これからいろいろな点で話し合いができると思いますか。

【代表】
 いつも堀田さんには厳しいご意見とご指導をいただいていることは本当に心から感謝しております。お互い礼節が大事ですね。

【フリーランス・堀田記者】
 わかりやすく言えば、あなたは親から受け継いだ遺産をどんどん減らしているわけだが、責任をどのようにおとりになるのか。

【代表】
 おっしゃっている意味がわかりかねるのですが、臨時国会、しっかりと力を合わせて頑張っていきたいなと思っています。

○シリアで拘束されていたジャーナリスト「解放」情報について

【「フランス10」・及川記者】
 3年間シリアで行方不明だった安田純平さんが、どうも4日前には安全な場所に戻られたということで、菅官房長官が昨夜23時に記者会見されてもうすぐご本人の確認もなされるということで、解放されたということはほぼ確定的だと思うが、安田さんの解放についての代表の見解をお伺いしたい。

【代表】
 報道は承知しておりますが、まずは実際に安全であるということが速やかに確認されることを期待したいと思います。

○風疹予防接種の呼びかけ 国民民主党の取り組みについて

【西岡司会者】
 それでは時間もそろそろでございますが、先ほどの風疹の急増の問題につきまして、国民運動局長の大西健介衆議院議員より説明をお願いいたします。

【大西健介国民運動局長】
 国民運動局長を務めております衆議院議員の大西健介でございます。私から二つ、ご報告、お知らせをしたいと思います。
 一つは、代表からあった風疹の予防接種の件でありますが、既にお話がありましたように大流行しております。特に男性の患者が80%を占めている。30代から50代、集団接種が行われなかった時期の皆さんが抗体をお持ちでないということでありますので、ぜひ我が党として積極的に取り組んで、そのことを通じて国民の皆さんに予防接種を働きかけていきたいと思っております。
 先ほどお話がありましたように、10月30日・火曜日、午前10時から午後3時まで党本部ホールにおきまして予防接種を行うということで計画を進めております。国会議員、議員秘書、それから党職員を対象にして行う予定であります。
 ちなみに我が党は玉木代表を先頭に若い議員が多い政党でありますが、現在でもまだ子育て中あるいは小さなお子さんをお持ちの議員がたくさんおられます。きょう実はここに来てくれていますが、関健一郎議員が7月に第4子がお生まれになったということで、今回この集団予防接種については関議員からご提案があり国民運動局において行うことになりましたので、一言、関議員からお話をお願いします。

【関健一郎衆議院議員】
 皆さん、お疲れさまです。衆議院議員の関健一郎です。
 私はちょうど「30歳から50歳の男性」に入る40歳なのですが、7月に4人目の子どもが生まれました。妻が妊婦の間というのは特に風疹の感染はリスクが高いものになるので、気を使ってはいました。
 そうした中で、今、感染がふえているという中で、実は私の母親が会館に助けに来てくれているのですが、こういう「風疹の予防接種を打ちなさい」というメモを置いていきました。こういうのがきっかけで政党の運動にもなり、周りに妊婦の方がいる男性を中心として1人でも多くの方が予防接種に動いていただければという思いから申し上げて、実現していただいた次第です。
 メディアの皆さんにおかれましても、1人でも多くの方が「行かなきゃな」と思っていただけるような形で報道していただけると幸いです。