党外交・安全保障調査会

 国民民主党は26日、外交・安全保障調査会(渡辺周会長=副代表)を国会内で開き、東京外国語大学大学院の伊勢崎賢治教授を招いて日米地位協定や日本の安全保障に関する法制度や憲法条文の問題点などについて意見を聴いた。

 伊勢崎教授は冒頭に、25日に韓国と北朝鮮、国連軍司令部の3者が進めていた板門店の共同警備区域(JSA)の非武装化が42年ぶりに実現したことを紹介。一方で、現在休戦中の朝鮮戦争に対応するために、日本と国連との間には今も「朝鮮国連軍地位協定」があり、在日米軍司令部のある横田基地に「朝鮮国連軍後方司令部」が存在することを指摘し、「もし北朝鮮が開戦しても、わが国には開戦の決定権もない。勝手に決められて、自動的に交戦国になってしまう。そんな国は世界中で日本以外に存在しない」と警告した。さらに、アメリカが持つ125の地位協定の中で「日本ほど主権度の低い国はない」として、国際人道法の視点や、他国の事例と比較しながらその異常性を列挙。日米地位協定を正常化する必要性を強調した。

 会議には玉木雄一郎代表も参加。伊勢崎教授との意見交換を受け、「今回の沖縄県知事選挙の結果を受けて日米地位協定の見直しの機運が高まっているが、われわれ自身も問われている。それは、自衛隊を軍事的公権力の主体として正面から認めた上で、その範囲を一体どこまでにするのか。本質的なことを避けていては地位協定の改定には入って行けない。(日本ジブチ地位協定のような)他国には同じようなことを強いて、自分たちがそれから免れたいという、ある種のダブルスタンダードを整理して、乗り越えていかなければならない」と述べ、党として今後も地位協定や憲法9条問題について本質的な議論を進めていきたいとの意向を重ねて示した。

伊勢崎教授と意見を交わす玉木代表

伊勢崎教授と意見を交わす玉木代表