左から、藤田幸久参院議員、玉木雄一郎代表、渡辺周外交安保調査会長、後藤祐一衆院議員

 国民民主党は14日、外交・安全保障調査会を党本部で開き、外務省からヒアリングを行った。今回のヒアリングは、第4回東方経済フォーラムでのプーチン大統領との共同記者会見(10日、ロシア連邦ウラジオストク)の内容を受け、急きょ開いたもの。

 玉木雄一郎代表は冒頭のあいさつで、「先般の東方経済フォーラムでのプーチン大統領の発言は、これまでのさまざまな合意の積み重ねをちゃぶ台返しするような、問題の多い発言だった。正直、外務省の皆さんもびっくりされたと思う。わが国の国益に関わる極めて重要な問題だ。いわば領土問題の棚上げ、先送りだ。もちろん平和条約を締結することはわれわれも強く望むものではあるが、領土問題の解決をかえって遠ざけるものになってはならない。国益にかなうような交渉が行われるよう、われわれとしてもしっかり見守っていきたい」と述べた。

 ヒアリングでの主な質疑は(1)平和条約に先行し4島返還を行うという日本の従来の立場を無視したプーチン大統領の発言に安倍総理は反論したのか(2)今後の日ロ交渉はプーチン大統領の提案を含んだものになるのか(3)日本の立場に対するロシアの認識(4)共同経済活動をどのような法的な枠組みの下で行うのか――などの点に集中した。

 「ロシアの外務次官から、プーチン大統領の提案も含めて今後協議していくという発言があったが、日本もそう理解しているのか」という玉木代表の問いに外務省は「プーチン大統領の発言に関する外務省としての立場は、4島の帰属を解決して平和条約を締結するというもの。ロシアもわれわれの立場を承知している」と回答。「プーチン大統領の発言を聞いて、安倍総理が笑みを浮かべていたという報道もあったが、総理として、自身の意思を示すような場面がその後あったのか」という渡辺周外交・安全保障調査会長の問いには「交渉に関わるので回答を差し控えたい」と答えるなど、やりとりは概ね平行線をたどった。 

 「現地に行って温室野菜を栽培したり他の経済活動をする際に事故が起きたりした場合、ロシアの法律が適用されてしまうのではないか」という後藤祐一議員の懸念を受けて、玉木代表は「法律的なことを詰めずに話を進めた官邸主導外交の失敗だ。おかしなことが積み重なっておかしな方向にいかないように、外務省には頑張ってもらいたいし、われわれもサポートしていきたい。臨時国会は10月末という報道もあるが、われわれとしてはそこまで待っていられない。自民党総裁選が終わり次第、早急に外務委員会、予算委員会の閉会中審査を求める」と発言した。

発言する渡辺周外交安保調査会長

発言する渡辺周外交安保調査会長