玉木雄一郎代表記者会見

2018年12月12日(水)14時02分~14時27分
発行/国民民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/7jL74A8QOo4


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○産業革新投資機構 民間出身役員の辞任について

【代表】
 まず冒頭、産業革新投資機構の件について申し上げたいと思います。
 (民間出身の)9人の役員が辞任するということを表明されましたが、これは前代未聞の大不祥事だと思います。国のつくったファンドが正しく機能を果たせない状態に陥っている。しかも所管する経済産業省との信頼関係が毀損されたと理由に挙げているということは、関係者の責任が厳しく問われる問題だと思います。
 かつ、田中元社長が「『民のベストプラクティスを活用する官民ファンド』ではなく『100%近い株式を保有する株主である国の意向を反映する官ファンド』へと重大な変化を遂げつつある。本来目指した目的を達成することが困難で辞職する」と表明したということは、中におられた幹部の方が本来の目的ではなくなっていると明言するような官民ファンドは解散するべきだと思います。まさに一旦組織を畳んで、一から出直すべきだと思います。
 産業革新投資機構だけではなく、クールジャパンのファンドであるとか、あるいは国土交通省が新たにつくったファンドであるとか、今、山のようにこのファンドがつくられて、そして赤字を垂れ流しているところもございます。また、単なる役人の天下り先になっているところもありますので、これは我が党としても、この官民ファンドについては厳しく調査し、来年の通常国会で各委員会・予算委員会などで厳しくこの実態を追及していきたいと思います。
 いずれにせよ、今回これだけの不祥事を起こした以上、経産大臣を初めとする経済産業省の大臣以下の責任は厳しく問われると思いますし、まず、一旦この産業革新投資機構は解散するべきだと思います。

○軽減税率・ポイント還元の問題点について

【代表】
 次に、消費税増税に伴うポイント還元についてでありますが、迷走を極めていると思います。
 大手のチェーンであれば2%の還元、チェーンではない中小は5%の還元ということのようですが、当初出したものとまた違ってきていますし、じゃあ中小のチェーンはどうなるのか。そもそも何が10%で何が8%なのかという軽減税率を適用する対象もよくわからない中で、大手のチェーン店かどうかで判断するということがまた新たに加わっていくので、二重三重に複雑な仕組みとなって、消費者はもとより事業者にとっても極めて複雑怪奇な制度になっている。
 税の公平性、中立性、そして簡素ということを著しく毀損する、このような複雑怪奇な軽減税率と、複雑怪奇な対策を講じざるを得ないこのようなもとでの消費税増税には、賛成することができないと申し上げなければなりません。
 ぜひ、今からでも遅くはないので、この軽減税率の導入については撤回するという政治判断を政府に求めていきたいと思いますし、通常国会では改めてこの問題を提起していきたいと思っています。


■質疑

○「無所属の会」の解散方針について(1)

【毎日新聞・遠藤記者】
 先日、「無所属の会」の岡田代表が、立憲民主党の会派に合流する方針を決定し、記者会見をした。それについて代表の所感を伺いたい。

【代表】
 まだ最終的にどうなるかというのはわからないのでコメントは差し控えたいと思いますが、大きな野党のまとまりをつくろうということは従来からおっしゃっていたので、そういう思いは共有していると思いますけれども、当初予定されていたようなことが必ずしもうまくいかなくて膠着しているといったことをおっしゃっていたので、そういった思いの中で今回の判断なのだと思います。
 それぞれの政治家の判断だと思いますが、いずれにしても野党の大きな固まりをつくっていくという思いは共有していると思います。

【毎日新聞・遠藤記者】
 立憲民主党の会派の人数が今後かなりふえる見込みになり、国民民主党との差が少し広がるのかという印象もあるが、来年の参議院選や統一地方選など選挙に与える影響を感じる部分があれば伺いたい。

【代表】
 野党全体としてどうやって安倍政権に向き合っていくのかということが大切だと思います。野党の中の数の増減というよりも、野党全体としてどうやって安倍政権に向き合っていくのか。
 参議院選挙はあくまで戦うべき相手は与党でありますから、その与党に対して、どうやって野党がまとまれるのか。このことが問われると思いますし、いい方向につながる第一歩であることを期待したいと思います。

○「記者会見で質問無視」河野外相の対応について

【朝日新聞・山岸記者】
 日露関係について伺いたいが、河野外務大臣がきのうの記者会見で、日露関係の質問をされた際に4回にわたって回答を拒否するという出来事があった。記者会としても抗議をしているが、こういった政府あるいは河野大臣の対応のあり方に関して、代表の所感を伺いたい。

【代表】
 感じ悪いね。もちろん外交に関わることだから言えないのはわかっているし、聞く記者もそれをわかった上で聞いているのでしょうけれども、少し河野大臣らしくないなというか、安倍政権の傲慢さが蔓延してきているなという感じがします。やはり緊張感のある謙虚な向き合い方というのは大切だと思いますが、ああいうことを言っても許されてしまう、数の力で押し切ってしまうという、この政権の傲慢さ。こういったものを河野大臣の発言も体現しているのかなと。そんな印象です。

【朝日新聞・山岸記者】
 関連して。代表は記者会見を開かれて、いやな質問とか、「またこいつか」みたいなことがあると思うが、代表は回答拒否は私が知っている限りないように思う。どういった気持ちで記者会見の場に臨まれているのか、どういうふうに発言されようとしているのか、そういった代表なりのお考えがあれば伺いたい。

【代表】
 正直、あまり心地よくない質問があるのも確かですが、ただ、皆さんが報じていただけるその先には多くの国民がいらっしゃると思って、少しでも我が党の考え、自分の考えを国民に伝えることができればという思いで、できるだけ丁寧に対応しようと心がけております。

○「無所属の会」の解散方針について(2)

【共同通信・岩田記者】
 「無所属の会」の関連だが、代表もかねて、今おっしゃったように大きな固まりをつくることが大事であると、統一会派というようなお考えを示されていたと思うが、1月1日の政党交付金の算定基準日をにらんで、国民民主党として何かそういった合流であるとか統一会派といったことを、現時点でどのように考えておられるか。

【代表】
 交付金の算定基準を意識して何か行動を決めようと思ったことは、一切ありません。
 ただ、これは前から、むしろ私が一番最初から申し上げているのは、やはり野党が、できれば統一会派を組む、あるいは、言葉遣いは別として、共同で選挙対策も行うようなメカニズムをつくるというのは、代表選挙のころからずっと申し上げてきたことであります。
 ですから、大きな固まりができることについては私も賛成ですし、できれば会派も同じくすれば、例えば旧民主・民進系の人を集めると実は100人以上の人数が集まる会派になりますから、それが実現できれば相当、安倍政権に対してはプレッシャーにもなりますし、国会運営の主導権をとることも可能になってくると思いますので、引き続きそうした大きな固まりを国会の内外でつくることについては努力は続けたいと思っています。

○産業革新投資機構 民間出身役員の辞任について

【日本テレビ・柳沢記者】
 産業革新投資機構の件だが、一旦解散すべきということだったが、今回のこの問題を機に官民ファンドのあり方、国のファンドに対する関与の是非といったものに対して疑問が呈されると思うが、こういったあり方、政府の役割についてどのようにお考えか。

【代表】
 私は官民ファンドそのものを全部否定する気はないのですが、ただ、これはやはり初期段階に政府が役割を果たすものだと思います。つまり、日本には例えばかつての産業再生機構のような、ターンアラウンドしていく、企業再生をしていくような、そこに投資をしていくとか、あるいは銀行の債務をきちんと案分で放棄・延期してもらうような仕組みがありませんでしたので、そういったいわゆる市場をつくるためには官民ファンドは一定の役割を果たすべきだし、果たしてきたと思います。
 ただ、いつまでも投融資を官が担うというのは、高度に発達した市場経済の日本においてはむしろ弊害のほうが大きいと思いますし、どうしても2年に1回、3年に1回で人事異動する役人は長期の視点を持って責任を負い切れないという構造的な問題がありますから、原則全廃すべきだと思います。
 もう官民ファンドでやる時代ではない。むしろ民間がまさに自主的な判断で行っていけるような、そういったマーケットをしっかりつくっていく、育んでいくということが大事だと思っています。
 とにかく役人は困ったら、いつもやるのが温泉宿と金貸しです。つまり、昔だったら保養施設をつくったり、あるいは温泉施設とか、そういうのをつくるのですね。もう一つよくやるのは金貸し事業団みたいなやつをつくるわけです。
 景気対策あるいはGDPを600兆円に膨らますためにお金を積んで、あるいは景気対策を大きく見せるために財投のお金を積んで、「何兆円やりました」みたいなことからもう脱却すべきだと思います。
 むしろ今はメリットよりも弊害のほうが大きくなっているので、こういう官民ファンド、官製ファンドは一旦全廃すべきだと思います。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 JICの民間人取締役9人が全員やめたが、しかし経産・財務から天下っている2人は居座っている。この原因をつくった糟谷官房長、それから経産省の事務次官、これも責任をとらない。玉木さんは役人出身だが、これこそ経産省の過信とおごりではないかと私は思う。まずこの人たちはみずから辞表を書くべきであって、それほどのことだと思う。経産省の過信とおごり、それ以外には考えられないような後始末だと思うが、それはどうか。

【代表】
 冒頭申し上げたように、私もこれは重大な事案だと思います。いろいろな役所の不祥事、ミス、こういったものをこれまでも見てきましたが、これほど、一旦決めたことがひっくり返ったり、あるいは民間の人がそろって辞任したりして、予算要求していたものを取り下げなければいけないなんていうのは、これはもう本当に大臣以下総辞職ものだと思いますよ。
 それだけ実はものすごく大きな問題でありますし、ルールも秩序もへったくれもないような状況になっていて、今、安倍政権というのは「経産省内閣」と言われて経産省の力がいろいろなところに及んでいるとは言いますが、ちょっと調子に乗り過ぎというか、法治主義ではなくて人治主義というか、省治主義、省が決めたらそうなるというような、極めてゆがんだ行政になってきている、その象徴のような気がします。大問題です、これは。

○「国会Gメン」の取り組みについて

【読売新聞・八角記者】
 「国会Gメン」の件で伺いたい。臨時国会で立ち上げて、2回開催されているが、通常国会に向けてどういった役割を代表は求めていきたいか、お考えを伺いたい。

【代表】
 私からもお願いをしているのですが、今申し上げたような官製ファンドを一回総ざらいしてみるのもそうですし、やはり税金の無駄遣いのようなものをきちんと閉会中に調べ上げて、それを通常国会で各委員会・予算委員会で爆発させるという、その仕込みをぜひ閉会中にもやってもらいたいということは国対委員長にもお願いをしています。
 特に来年10月からは消費税が上がるという局面ですから、やはり「無駄遣いがあるのに消費税を上げていいのか」と国民の多くの皆さんも思っているでしょうから、その意味では無駄遣いの発見・撲滅の通常国会にしたいと思いますので、その準備、仕込みとしての「国会Gメン」には期待したいと思っています。

○「無所属の会」の解散方針について(3)

【時事通信・御船記者】
 先日、自由党の小沢代表が、「無所属の会」の解散に関して、国民幹部の人の話を聞いたが、国民を解散して一緒になっていいと言ったけれども立憲側から受け入れられなかったと、そういった話を紹介された。そういった立憲側への働きかけはあったのか伺いたい。

【代表】
 その「国民幹部」という方がどういうことをおっしゃったのか、ちょっと私はよくわからないのですが、小沢さんがおっしゃっているということですか。ちょっと承知していません。

○茨城県議選の結果について

【フリーランス・堀田記者】
 茨城県議選の結果をどのように受けとめていますか。

【代表】
 国民民主党の県会議員が中心になってつくっている県民フォーラムとしては、4人当選、1人落選、また無所属で推薦した方が当選したので、(県議会の会派の)議席としては現有5議席を維持したということなのですが、県都である水戸市の選挙区の議員が落選したということについては、やはり前回よりも票を減らしていますし、どういう理由で減らしたのかということについては、今、分析を進めております。
 電力出身の方だったということもあって、原発政策についての影響がどのようにあったのか、なかったのか。こういったことを中心に、今、選挙の総括・分析をしておりますので、それを踏まえてこれからの選挙戦の戦略に生かしていきたいと思っています。

【フリーランス・堀田記者】
 1人受かったところは不戦勝だ。日立市は4人のうち2人受かった。大畠さん、浅野さんが、ひたちなかの市長選でも失敗したので背水の陣を敷いた。
 茨城の県議選を取材して、共産党さんが、同じ野党である国民民主党に対してものすごく不信感というか、そういったものを持っている。一緒にやれないと。それは筑西市によく表れていて、設楽さんはよく戦ったと思うが、彼女が国民で出ないで立憲に行ったら共産党は候補者を立てなかったと。共産党は立てても負けたが、その結果、彼女は4年前に自民党の現職に勝ったが、それがちょっと負けて差がついてしまった。ひたちなかの市長選挙を含めていろいろな選挙で、国民さんがある意味で「ゆ党」的になってしまっていることに対して共産党さんが非常に怒っているということだったが、そういうのは耳に届いていらっしゃるか。

【代表】
 複数の候補が争う中選挙区・大選挙区においては当然共産党さんとも争うことになるので、そこはどうしても競合相手になるということで、戦わざるを得ませんから、その意味では一定のそういった緊張感というのはあったのかなと思いますが、設楽さんは共産党の候補に勝って当選したので、我々としてはよかったなと思っています。いい候補者でしたから。3期目ですか。よかったです。

【フリーランス・堀田記者】
 2期目のときから票を減らしている。2期目のときに勝った自民党の候補と入れかわっている。2期目のときの自民党の候補がトップだった。

【代表】
 そもそも議席数も減ったりしていますから、同じようには比べられないのかなと思いますが、いずれにしても選挙結果をよく分析したいと思っています。

【フリーランス・堀田記者】
 前回も同じだ。8年前は3議席だったが。

【代表】
 よく分析をしてみたいと思います。

【フリーランス・堀田記者】
 福島さんは一生懸命やっていた。よく分析してください。

【代表】
 福島伸享さんも、よく頑張っていたと思います。

○軽減税率の新聞への適用について

【「FACTA」・宮嶋記者】
 軽減税率が適用される読売さんが1月から10%値上げと。僕らみたいに軽減税率を適用されないメディアから見たら、それは軽減税率適用される前に上げなくてはいけないと考えるだろうな、というふうに見えるが、問題は読売以外にもこれに追随する大新聞があるそうだ。先ほどおっしゃった軽減税率というのは、メディアの価格戦略もゆがめているとしか思えない。どうせこのことは大手新聞は報じないと思うが、読者はちゃんと見ていると私は思う、「何のために軽減税率を受けるのだ」と。本当にそういうことをメディアが報じない日本というのはどうなんだろうと思うが、どうですか。

【代表】
 典型的な駆け込み値上げだと思います。かつ、軽減税率が適用されますから、その意味では何か値上げ分の原資を軽減税率で捻出しているような、そんな感じもしますから、やはり中立・公平・簡素という税の原則を著しくゆがめていると思いますし、新聞だけに軽減税率が適用されていることについては、何度も申し上げていますが、不公平だと思います。

【フリーランス・堀田記者】
 軽減税率が適用されると大混乱が起きる。それはもう実験済みだ。PayPayが2回大失敗した、20%割引ということで。それと同じことが起きると思う。もっとも、新聞はとろうがとるまいが勝手なのだから、新聞のことは絡まないほうがいいと思う。どうせ減っていくのだから。

【代表】
 ありがとうございます。