玉木雄一郎代表記者会見

2018年12月19日(水)14時34分~14時56分
発行/国民民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/Du7F31GXMl4


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○妊婦加算制度の凍結について

【代表】
 いよいよことしもきょうと来週1回となりました定例会見ですが、きょうはまず冒頭私から何点か申し上げたいと思います。
 一つは、本日の中医協で妊婦加算が1月から凍結されるということが決まりました。
 これは何度も申し上げてきたように、我が党の大西健介衆議院議員が衆議院の厚生労働委員会で何度も取り上げ、また、参議院では桜井充参議院議員がテレビ入りの予算委員会で総理に対しても問題点を指摘して、我々としては改善すべきだということを従来から申し上げてまいりました。そのことが政府にも受け入れられ、こうして見直しの方向が決定したことについては評価をしております。
 ただ同時に、これを(導入することを)決めたのも今の安倍政権です。それを何か、直して手柄を上げているようにおっしゃっている方もいますが、そもそも、よく考えずにこういうことが決まった、その経緯もしっかりと分析してもらいたいと思います。議論なく拙速に物事を決め進めていくということが、こういった妊婦加算にもあらわれているのではないかと思いますので、ぜひしっかりと、特に議会での議論を充実させていくことが重要なのだと、政府の中でよくわからないところで決めるということがないように、改めて政府には申し上げたいと思っています。

○新在留資格「来年4月開始は3業種」報道について

【代表】
 次に、拙速に法律を通したという意味では、入管難民法について。
 来年4月から施行ということで国会の審議も進んでまいりましたが、国会の中でも14業種ということを言ってきたはずですが、どうやら4月から実施できるのは3業種にとどまるという報道があります。事実であれば、あれほどまでに強引に進めてきた国会の議論は一体何だったんだと、非常に強い憤りを感じます。
 地域の人手不足が深刻だということは我々もよくわかっておりますが、ただ、そういったことにしっかり耳を傾けて、14業種、急いでやるということだったのではないでしょうか。結局、14業種と言いながら、ほとんどが空振り、4月には間に合わないということであれば、果たしてあれほど急いでやる必要があったのかどうか。改めて疑問が湧いてきます。
 大島衆議院議長の指導によって、来年3月までに新たな外国人受け入れ制度の全体像を示すということになっておりますので、この4月開始の業種が非常に限定されるということになったことも踏まえて、全体像をしっかりと示して、閉会中審査を速やかに行っていただくことを求めたいと思っています。

○ジェンダーギャップ指数2018の発表を受けて

【代表】
 次に、世界経済フォーラムが男女格差指数を公表いたしました。我が国は、対象となる149ヵ国のうち110位という極めて低い順位となりました。昨年よりは少しは改善しましたが、依然として非常に低い。特に先進国の中では最も低いということであります。
 特に政治分野においては女性の進出が遅れているということで、これは我々国会に身を置く者として大変大きな責任を感じております。さきの通常国会で政治分野における男女共同参画推進法が成立したこともあり、我が党としては、できれば50%、最低でも30%の目標を掲げて各級の選挙に取り組む、その候補者の擁立に全力を挙げていきたいと思っております。
 なお、来年の参議院選挙の候補者については女性30%というのは達成のめどが立ちつつあると思っております。

○国会改革案・骨子の取りまとめについて

【代表】
 次に、あす、我が党の政治改革推進本部において、我が党としての国会改革の骨子を取りまとめたいと思っています。さらに深化させていくところは多々ありますが、まずは第1弾、我々の党としての案をまとめたいと思います。
 幾つかのメニューがありますが、特にこの臨時国会を振り返っても、国権の最高機関と言われる国会が全くその機能を果たせていないという大変な危機感の中で、議会制民主主義の危機だという認識の中で、まず一つは通年国会を提案しております。日程闘争に明け暮れて、とにかくその限られた会期の中で与党は無理やりにでも法案を通そうとするし、野党はその中で何としてもその成立を阻止すると言ってさまざまな手段に出る。こういったことが繰り返されるその大きな原因には、この会期制、特に会期の中で成立しなければ原則廃案になってしまう、こういったルールがあることも大きな原因でありますので、事実上の通年国会にしていくということを提案しております。
 また、小委員会制度を積極的に活用して、条文の逐条審査、あるいは予算の項目ごと、あるいは各省ごと、費目ごとのチェック、審議ということを充実させていこうということも提案しておりますし、そもそもこれは私が従来から申し上げておりますが、やはり特に与党の事前審査制と党議拘束のあり方、ここが国会改革の本丸だと思っていますので、こういったことも国会の中での審議を充実させる観点から積極的な提案を行っております。
 また、アメリカのGAO、行政監視院といったものを国会の中に設けて国会の持つ行政監視機能をより高めていく、組織的な見直しも提案をしていく予定になっております。
 以上、こうしたことをまとめた上で、我が党としての国会改革の方向性を明確に示し、小泉進次郎さんを初めとした超党派での国会改革の原案がございますが、そこにも我が党案としてお示しをしていく予定にしております。


■質疑

○「過去最大101兆円」2019年度予算案について

【NHK・森田記者】
 来年度予算について伺いたい。閣僚折衝が終わり、一般会計総額が過去最大の101兆4600億ということで固まった。詳細、細かい分析はこれからだと思うが、現時点でどのような感想をお持ちか。

【代表】
 まず、平成が終わろうとしているのに、昭和の香り漂う大臣折衝なんていう茶番劇をやっていること自体、自民党が先祖返りをしているように感じます。あんなものをやらなくてもきちんとまとめてくればいいのであって、かつての自民党はこれを廃止しましたが、また復活しているということは、選挙向けのパフォーマンス。こういうことをやめることが無駄な作業から役人の皆さんを解放することにもなるし、まともな予算編成に変えていく第一歩だと思っていますが、まずそういう意味で予算編成のあり方自体が極めて先祖返りしている。昭和に戻っているなという感じがします。
 その中で、財政規律が緩んでいますね。名目上は国債発行額をことしも減らしました、対前年度で減らしましたと言いますが、私が問題だと思っているのは、預金保険機構からの何千億もの繰り入れを、法律を変えてまでやる。これは掟破りです。もともと預保に積み上げられているお金というのは、いざ何か金融システムに不安があったときにきちんと預金者の皆さんに一定額は払い戻すために積み上げているものであって、もしそれが金融システムが安定して余っているというのであれば、それは保険料を下げるか預金者に還元するものであって、国が召し上げるものではありません。8000億ぐらい預金保険機構から無理やり取り上げておいて、それで去年に比べて8000億ぐらい国債発行が減ったと言うのは、とにかく「前の年より国債発行を減らした」と見せかけの財政再建を繕うためのさまざまな工作が行われている予算編成だと思いますので、来年の通常国会、とりわけ予算委員会では、こうした点を厳しく追及していきたいと思っております。
 また、今回、官製ファンドのさまざまな問題が取り上げられましたが、こういったものについても、財政投融資についても十分な厳しい査定が行われているとは思いません。参議院選挙を目当てとしたばらまき予算になって、ついに100兆円を超えたということは、非常に重大な、越えてはならない一線を越えたような予算だと思います。

○衆院沖縄3区補欠選挙について

【朝日新聞・山岸記者】
 一票の格差をめぐる最高裁の判決がこの後出るが、この結果を受けて沖縄3区補選の日程が決まることになる。沖縄3区補選への国民民主党の対応を伺いたい。

【代表】
 玉城デニーさんが知事になったことによって、補選が行われます。我々野党側としては死守したい議席でありますので、我が党としても積極的に取り組んでいきたいと思っておりますし、野党統一候補として必ず議席をとりにいきたいと思っています。

○「無所属の会」の解散について

【NOBORDER NEWS・乾記者】
 昨日、「無所属の会」の岡田代表が、6名が立憲の会派に入るとおっしゃいました。今まで国民民主党と立憲民主党の野党での共闘を目指して調整役を担っていこうという人たちが立憲のほうに流れてしまったというのは、国民民主党としてはちょっと見限られてしまったのではないかという見方もあるのではないかと思うが、そのあたりのお考えを伺いたい。

【代表】
 どういった会派になるのかということについても、政治家それぞれのご判断だと思っております。
 岡田代表が行かれるかどうかについてはまだ承知をしておりませんが、ただ、これまで「野党の大きな固まりをつくる」ということで、そうした経験のある先生方が国民民主党と立憲民主党の間に入って、その接着剤、つなぎをするということで活動されてこられたと思いますので、仮に立憲民主党の会派に行かれても、今の与党に対抗する大きな野党の固まりをつくるという、この本来の目的のために引き続きご尽力されることを期待したいと思います。

○参院選 候補者擁立・選挙協力について

【日本経済新聞・溝呂木記者】
 来年の参院選の野党の協力、選挙協力について伺いたい。今時点の1人区での野党の一本化の状況、進捗をどのように見ていらっしゃるかが一点。もう一点は、相互推薦・相互支援、あるいは野党の統一名簿の考え方を、現時点で改めて教えていただきたい。

【代表】
 着々と進んでおります。皆さんもご存じのとおり、1人区においては、国民民主党と立憲民主党で両方が立てて調整が必要だというところはあまりないと認識しております。それよりもむしろ、どちらからも立て切れていない空白区をいかに埋めていくのかということが現在の最大の課題だと思っていますので、まずは年内をめどに、できるだけの選挙区、空白区がないように埋めていきたいと思っています。
 統一名簿というのは、もう少し先になって考えることかなと思いますが、いずれにしても野党側の議席を1議席でもふやして与党側の議席を1議席でも減らせるような協力関係を築き上げていきたいと思っています。

【日本経済新聞・溝呂木記者】
 相互推薦・相互支援の考え方だが、例えば立憲民主党と相互推薦をするという考え方はあるか。

【代表】
 私たちとしては、もちろん力を合わせてやりたいと思いますので、立憲民主党さんが立てて、「みんなで力を合わせていこう」ということであれば、我々としてはしっかりと応援していけるところはしていきたいと思っています。

○八千代市議選の結果について

【フリーランス・堀田記者】
 千葉県八千代市の市議選が行われた。立憲は1人だけ公認でトップ当選だが、1人ぐらいしか公認する力がない。国民は2人を公認したが、1人は落ちた。もう1人は28人中の25位ぐらいで当選はしたが、とても芳しくない成績だった。玉木さんが応援に行って、千葉には今、奥野総一郎さんしかいないが、どんな感じを受けたか。

【代表】
 自治体議員選挙は特にそうですが、衆議院選挙もそうだと思いますが、何より日ごろの地元活動だと思います。もちろん、時の党勢ということで、アップサイドというか時の風というのが大きく影響を与えると思いますが、通るか通らないかは、自治体議員の選挙はほぼ地元活動。地元の皆さんに4年間どれだけ尽くして、貢献して、評価をされ、顔を売っているかということが大切だと思います。これまでの各級選挙を見ても、やはり地元活動を常に丁寧にやられている方はしっかり通っています。そのことが如実にあらわれる選挙かなと思いますし、そういう結果だったのではないかなと思っています。

○税収内訳について

【「フランス10」・及川記者】
 消費税について伺いたい。消費課税による税収の比率が、2015年には全体の34.6%だった。付加価値税の標準税率が25%のスウェーデンの税収比率は36.7%、税率20%のフランスの税収比率は39%で、つまり日本は税率8%段階で既にスウェーデンやフランスに匹敵している。この過度に消費税に税収を頼っている税制についてどうお考えか伺いたい。

【代表】
 アベノミクスが失敗しているということに尽きると思います。
 本来であれば、GDPが成長する、特に企業経済が活発化して法人税収が大幅に伸びて、そのことが財政再建にもつながっていくということでありましたが、今、具体的な数字があったように、ほとんど消費税の増収分に頼っている財政になっていることは、今ご指摘があったとおりだと思います。
 その意味では、消費税に頼っている歳入構造というよりも、法人税収や所得税収が思ったふうに伸びていない。つまり「経済成長によって全てを解決できる」と言ってきたアベノミクスが失敗しているということが、まさに今おっしゃった数字にあらわれているのではないかなと評価しています。

○維新・希望の統一会派結成について

【共同通信・中山記者】
 きょう、参院のほうだが、維新と希望が統一会派を組むことが確認された。「無所属の会」の立憲会派入りも含めて、来年の通常国会に向けて一つの大きな固まりになろうという動きが加速しているように思えるが、代表はこうした動きをどのように見ていらっしゃるか。

【代表】
 それぞれの判断だと思いますが、ただ、巨大な与党・政府に向き合っていくためには大きな固まりであるほうが力が結集できると思いますので、もともと私は統一会派は大きく組んだほうがいいということを申し上げてきましたが、それぞれ事情があって、うまくいくところ、うまくいかないところがあるというのが現状だと思います。
 来年の国会の開会までにはまたさまざまな動きがあると思いますが、いずれにしてもできるだけ大きな力を結集して、来年から始まる通常国会に臨んでいきたいと考えています。

【NHK・森田記者】
 関連で。来年の国会までにまたいろいろな動きがあるというところで、国民民主党も参議院で統一会派を模索する動きであったりとか、さまざまあったかと思うが、党としてはどのように取り組んでいかれるか。

【代表】
 今のところはさまざまなコミュニケーションを各党・各会派ととっているということですが、具体的なものは現時点ではございません。
 ただ、繰り返しになりますが、どうやって力を合わせることが、巨大与党に向き合い、政府に向き合い、そして7月の参議院選挙の結果につなげることができるのか。そういった観点で引き続き考えをめぐらしていきたいと思っています。

○水道事業の民営化について

【「フランス10」・高橋記者】
 水道の民営化について、お考えをお聞きしたい。

【代表】
 反対です。法案の採決の際にも我が党としては反対しました。やはり問題が多いということで、私たちとしては反対だということであります。
 各国を見ても、水道料金が大幅に上がったり、あるいは再び公営化したりという事例もございますので、民営化の考え方そのものを否定するものではありませんが、やはり今回政府の提出してきた水道のコンセッション方式を入れた民営化のあり方については反対ということで意思表明をしております。