玉木雄一郎代表記者会見

2019年1月16日(水)14時34分~15時02分
発行/国民民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/LrFLAwN1S1w


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○勤労統計不正問題 統計法違反の疑いについて

【代表】
 官房長官がきょうの午前中の会見で、厚生労働省の毎月勤労統計について、統計法違反の可能性があることを明らかにしました。先週の会見でも触れましたが、毎勤統計は基幹統計の一つでありまして、政府の景気判断や政策判断の基礎となる統計ですので、これが法令違反ということであれば非常に大きな問題だと思います。
 統計法11条には、基幹統計について変更あるいは中止する場合には総務大臣に承認を受けるという規定がありますので、勝手にやっていたとしたらこの統計法11条違反になると思います。加えて、同60条には、真実に反するものたらしめる行為をした者については六月以下の懲役も科せられるということで、極めて重いということですから、これは国会で徹底的に真相を明らかにしていかなければならないと思っております。
 また、この毎勤統計だけではなくて、ほかの政府統計についても同じような問題がないのかどうか、これも我が党としてもしっかりと調査を進めていきたいと思いますし、GDPそのものにも疑義があるのではないか。かつて、ある新聞でも、内閣府と日銀の間でGDPをめぐるやりとりがあって、必要なデータを内閣府が出さないということも報じられておりましたので、こういったことも含めて、我が党として改めてこの統計の問題については集中的に取り上げて国会の大きな論戦テーマにしていきたいと思っております。

○北方領土問題 日露外相会談について

【代表】
 日露についてです。先般、外相会談が行われましたが、ひどい内容だったと思います。
 これまで両首脳間で二十数回会ってきたにもかかわらず、これまでの認識の違いが明らかになるというよりも、むしろ広がった会談ではなかったかなと思います。しかも、ロシア側から共同記者会見を拒否したということまで表で言われているということですから、本当に信頼関係がある中で協議が行われるのか心配です。
 一番気になったのは、特に国後島・択捉島について、彼らが「南クリル」と呼んでいる地域についての帰属の問題について、ロシア側に帰属があるのだということを明確にしないと話が一歩も進まないということを(ロシア側が)言っていることであります。当然、両外務大臣のもとで議論するということは、大きな枠組みについては両首脳間で合意をしたということで行われている。ということであれば、安倍総理は国後・択捉についてはロシアへの帰属を既に認めているのではないかとも思えますし、もしそうであれば、これまでの4島を対象とした「4島の帰属の問題を解決して、平和条約を結ぶ」という方針とは大きく変わるわけですから、このことをしっかりと国民に明らかにして、どのような話を両首脳間でしたのかという基礎的な枠組みについてまずしっかり説明をすることが必要だと思いますので、これも国会の中で説明を求めていきたいと思います。

○横綱稀勢の里関の引退について

【代表】
 最後に、本日午後、稀勢の里が引退を表明したということがニュースとして入ってまいりました。19年ぶりに日本人の横綱として活躍しておられたので、大変残念に思います。あの感動的な優勝シーンが思い出されますが、やはり左肩のけが、こういったことが響いたのかなと思います。
 大変残念ではありますが、これからも日本人横綱経験者として、ぜひ日本の角界を率いていっていただきたいなと。これまでのすばらしい取組に改めて敬意を表しますとともに、感謝を申し上げたいなと思います。


■質疑

○五輪招致汚職疑惑について

【NHK・森田記者】
 東京オリンピック・パラリンピック招致をめぐる贈収賄疑惑に関して。まず、きのうの竹田会長の会見を代表はどうごらんになったか。また、以前代表も国会でこの問題を質問されたことがあるかと思うが、今後国会で取り上げるお考えなどがあるか伺いたい。

【代表】
 説明責任を果たした会見だとはとても思えませんでしたし、多くの記者の皆さんも同様とは言いませんが、何で質問に答えないんだというようなやりとりもあったやに聞いております。お金で買ったオリンピックだと言われないためにも、我が国の名誉をしっかりと守るためにも、説明責任をしっかり果たしてもらいたいと思います。
 平成28年5月に予算委員会で私は、竹田会長、招致委員会の元理事長に国会に来ていただいてやりとりをしましたが、あのときにこうおっしゃっています。「我々としては、あくまでも、ブラック・タイディングス社の実績を踏まえて今般の契約に至ったということをお伝え申し上げたいと思います」と言っておられるので、しっかりと確認して、(竹田氏が)その意思決定の中にも関わって決めたということだと思います。にもかかわらず、きのう、「意思決定には一切関わっていない」ということをおっしゃっておられましたので、矛盾があるのではないかと思います。
 あともう一点。これは、当時の馳文科大臣も答えていますが、電通の紹介でこのブラック・タイディングス社と契約を結ぶに至ったということが国会の議事録にも残っておりますので、電通が一体いかなる役割を果たしたのか。電通の子会社がどのような役割を果たしたのか。こういったことについてもやはりきっちりと説明する責任があると思っています。
 とにかく、2020年の東京オリンピック・パラリンピックが多くの皆さんが祝福する形で成功するためにも、このような疑惑をまとったまま当日を迎えることがあってはならないと思いますので、竹田会長、そして電通を初めとした、これまで指摘をされてきたような個人・団体についてはしっかりとした説明責任を速やかに果たしてもらいたいと思います。その意味では、一度国会にも来ていただきましたので、改めて国会にお越しいただいて真実を話していただきたい。強くそう思います。

【NOBORDER NEWS・乾記者】
 今の話に続けて。改めてということだったが、竹田さんにもう一度来ていただくことは一つあると思うが、電通の関わった人たちであったり、きのう無実というか潔白と竹田さんはおっしゃったが、このコンサルとの正式なやりとりをした文書を持っている人、水野さんも含めた具体的にキーパーソンの人たちを、2016年の前回の国会より広げてやっていくという具体的な動きについてどのように考えているか伺いたい。

【代表】
 今申し上げたように、とにかく疑惑を払拭して、お金で買ったオリンピックではないんだということを証明する必要があると思います。
 平成28年5月16日の予算委員会で既に私は、今おっしゃった招致委員会の専務理事の水野氏、そして前事務局長の樋口氏の参考人招致を求めています。竹下予算委員長のときだったと思いますが。改めて求めたいと思いますし、電通についても、実際そのときの国会のやりとりでも竹田会長の言葉として「株式会社電通さんにその実績を確認いたしましたところ、十分その業務ができる、そして実績があるということを伺い」ということがあるので、もう国会の中でも竹田会長自身が電通さんの名前も出しておられますから、疑惑の完全な払拭のためにはぜひお越しをいただいて真実を話していただくことが必要だと思います。

【NOBORDER NEWS・乾記者】
 それは喫緊の課題として取り組まれるということでよろしいか。

【代表】
 はい、そうです。通常国会でやりたいと思います。

○沖縄訪問・視察について

【朝日新聞・山岸記者】
 沖縄に関して伺いたい。きょう野党の代表団が辺野古視察をしており、代表も近々沖縄入りされると伺っているが、沖縄は、この間、野党共闘のシンボリックな地でもあったし、この後、県民投票また衆院補選と、ことしの選挙イヤーにおいても重要な位置を占めている地域だ。改めてことし1年、沖縄問題、辺野古問題にどう取り組まれるか、代表のお考えを伺いたい。

【代表】
 まず、沖縄に関して、私、今月中に現地に入りたいと思います。というのも、これまでずっと申し上げてきました、年末に日米地位協定改定の我々としての考え方をまとめましたので、これをぜひ与野党の理解を得て前に進めていきたいと思いますので、改めて沖縄県側のご意見も伺いたいと。最終的なすり合わせをしていきたいと思っております。
 基地の問題に関しては、何度も申し上げていますが、2回連続、辺野古の新基地建設に反対する知事が通ったという、沖縄の民意が示されたという事実。そしてまた、県民投票を行いたいという、そういった知事の思いもあるということからすれば、そういった民意を無視した形で強引に進めることは、結果として日米同盟あるいは日本の安全保障にとってもプラスにはならないと思います。やはり丁寧な、沖縄の民意にも寄り添った進め方をすべきだと思いますので、そういった観点から、私たちもしっかりと沖縄の皆さんの声も聞きながら対応していきたいと思っています。

○統一地方選における共産党の方針について

【時事通信・中山記者】
 統一地方選と参院選について伺いたい。共産党は4月の統一地方選で野党批判を行わない方針で、参院選での野党共闘への影響に配慮しての判断だと思うが、国民民主党としてはこういった共産党の方針は望ましいとお考えか。

【代表】
 他党のことなのでコメントは差し控えたいと思いますが、それほど「今の政治を変えなければいけない」「安倍政権を打倒しなければいけない」という共産党さんの強い思いだと思いますので、野党がしっかりとまとまっていかなければいけないという意味では非常に理解できるところでもありますし、そういう判断をされたということは本気度を推しはかることができるものだと思います。
 やはり我々も申し上げているとおり、今の安倍一強体制というのはさまざまなひずみやおごりやゆがみを生じさせているので、変えていかなければならない。そう思っています。

○衆院会派「社会保障を立て直す国民会議」の結成について

【毎日新聞・遠藤記者】
 本日、野田前首相が新しい衆院会派を立ち上げ、7名の方が参加することになった。野田代表は、今後も立憲民主党と国民民主党の間に立って活動したい、社会保障などについて立憲民主党や国民民主党に勉強会を呼びかけたい、という話をされた。受けとめをお願いしたい。

【代表】
 喜んで一緒にやりたいと思います。党大会でも申し上げましたが、とにかく今、野党がやることは二つで、安倍政権の問題点を厳しく鋭く追及することと、そして安倍政権に取ってかわる大きな固まりをつくる、国民の選択肢をつくる、「もう一つの選択肢」をつくるということが、二つの大きな仕事です。
 ですから、野田前総理が、分かれてしまった国民・立憲、これをまとめていこうとお考えになってそういう発信をされていることは非常にありがたいことだと思っておりますし、社会保障については私たちの党も取り組むべき大きな政策の柱ですから、その意味では一緒にできるところはしっかり一緒にやっていきたいなと思います。そういった呼びかけは非常にありがたいと思っておりますし、待つだけではなくて、こちらからもしっかりと働きかけ、呼びかけをしていきたいと思いますし、究極的には自民党に対抗できる大きな野党の固まりをつくっていくために協力をしていきたいと思います。

○伊藤議員の離党について

【フリーランス・堀田記者】
 伊藤さんは、きのう離党届を持ってきたのですか。

【代表】
 きのうだと承知しています。

【フリーランス・堀田記者】
 枝野さんたちは常任幹事会で会派入りを認めているが、非常に人間的におかしいと思う。同じ日本人同士、同じ政治家同士で、例えば立憲のほうから「こういうことがあるんだけれども」という話は玉木さんのほうにあったのか。

【代表】
 ないです。

【フリーランス・堀田記者】
 それについてどう思いますか。離党するならば党大会の前にきちんとやるのが人間じゃないかと思う。党大会において、どれくらいの人間が来るかとか、そういった組織的なことを確認するための大会でもあったわけで、それが終わってある程度安堵をして、それで裏切ったわけですよ。裏切った人間を健やかに入れる立憲民主なんかとこれから手をとって、野党共闘ではなく、いろいろとやっていけますか。

【代表】
 去年、災害の多い年で、「災害」の「が」を「わ」に変えると「幸い」になるので、我(が)を抑えて和(わ)を尊べば災害のようなマイナスも幸いに変わっていくかなと思いますし、和を尊びお互いを尊重することが、野党の皆さんの幸いと、何よりも国民の皆さんの幸いにつながっていくかなと思いますので、私どもとしては、あくまで自民党にかわるもう一つの大きな選択肢をつくると。この大きな大義の中で行動していきたいと思いますし、私たちの思いをしっかりと訴えていきたいなと思います。

○衆参同日選挙の可能性について

【時事通信・中山記者】
 何度も聞いて恐縮だが、衆参ダブル選挙について伺いたい。昨日、自民党の甘利選対委員長が、衆参ダブル選の可能性に関して「参院選が非常に厳しい状況になった場合、突破する手段としてはある」と言及された。与党、自民党の選対委員長がこういうふうにおっしゃっていることについての受けとめをお願いしたい。

【代表】
 これも私、前から申し上げていますが、半々の確率で衆参同日選挙ではないかと思っております。我々衆議院にとってはもう常在戦場ですから、いつあってもおかしくないという中で選挙の準備を進めなければいけません。もちろん現職で議席を持っている者はそうですし、今惜敗している者、そして問題は、野党がまだどこも候補者を立てられていない空白地域。これを速やかに埋めていかなければなりません。
 その意味では、衆議院というのは全ての選挙区が1人区なわけです。参議院は一部1人区ですが。1人区について野党で協力してということは言われますが、もっと真剣に、全てが1人区である衆議院についての候補者の発掘・擁立・調整、これについて野党間で真剣な議論を始めないと間に合わない。まず参議院があって次は衆議院選挙だということでいれば、まさにそういったところを狙って官邸は解散を打ってくることが予想されます。逆に、野党がどれだけまとまれるのかということ、野党がどれだけまとまっていないのかということを見ながら解散を決めると思いますので、その意味では、速やかに野党がしっかりまとまって候補者の発掘・擁立・調整を行うべきだと思います。

○「無所属の会」の解散について

【毎日新聞・遠藤記者】
 先ほどの伊藤議員の話にも少し関わるが、先日、「無所属の会」の一部の人たちが立憲民主党の会派に加わった。伊藤さんも加えて計10人が加わり、会派としては立憲民主党は68人で次の通常国会に入ることになった。国民民主党との差が少し広がってしまったかなという印象だが、代表はこれについて何かご意見があれば伺いたい。

【代表】
 大きな第1党になったわけですから、野党第1党としての責任を、しっかりリーダーシップを発揮していただきたいなと期待しております。
 連携できるところは連携をしていきたいと思いますし、独自のカラーを出すところは独自のカラーを出すということでやっていきたいと思っています。

○野党連携について(1)

【NOBORDER NEWS・乾記者】
 先ほどの、立憲とうまくやっていけるのかという話に続くが、これが政権交代をなし遂げるという点においてうまくいったとしても、政権交代した後、玉木さんがやりたいことがあると思うが、その後も含めて、自民党から政権交代をした日本の政治の中で本当にやっていけるのか。そういった先を見据えた上でやっていけるのかという点において、どのような見据え方をしているのかというのをもう一度伺いたい。

【代表】
 自民党にかわる「もう一つの選択肢」をつくらなければならないというのは、小選挙区制度のもとでは野党の一番の責任だと思います。そうでないと、国民は選ぶものがないという政治が、民主主義のもとでは一番悲劇だと私は思います。
 もちろんいろいろな考え方が政治家・政党にはありますが、そういった考え方を束ねて一つの組織あるいは政治勢力を結集していくということがまさに政治の知恵だと思います。本来リベラルという考えは、広く多様なものを包み込み、そしてその間の調整をとっていく、そういう営み、プロセスだと私は思っています。その意味では、民主党政権時代の反省も含めて、多様な意見をいかにまとめていけるのか。何が違うのかではなくて何が同じかということを徹底的に追求する姿勢、これが大切だと思いますし、我々の世代の政治家はそれをぜひ実現したいなと思っています。

○山梨県知事選について

【朝日新聞・山岸記者】
 山梨県知事選について。与党系候補を二階幹事長が全面支援する一方で、野党系候補は、県民党ということもあって、なかなか表立って幹部の方の応援などもそんなにないように思われるが、改めて党として、代表として、どのように関わっていくかお考えをお聞きしたい。

【代表】
 我々は全面的に応援したいと思います。かつての仲間でもありますからね。
 今、戦況は非常に厳しい。大激戦、大接戦となっていますので、応援要請のある範囲で、できるだけ応援したいと思います。県民党ということですから、あくまでその戦っている後藤陣営の意向を最大限尊重したいと思いますが、我が党としてはできるだけの応援をしたいと思いますし、その用意はいつでもできていますので、最後まで可能な限りの応援をしていきたいと思っています。

○カルロス・ゴーン被告の長期勾留について

【共同通信・岩田記者】
 日産自動車をめぐる捜査について伺いたい。前会長のカルロス・ゴーン被告の勾留が長期化し、海外メディアなどから「人質司法」などと日本の司法制度に対して批判が出ている状況だが、代表はこの現状をどのようにお考えか。

【代表】
 現状においては、私は司法の判断を尊重したいと思います。
 一方で、諸外国からさまざま、我が国の刑事手続についての批判があることは、今回に限らずそれがあることについては承知をしております。
 例えば日米地位協定の見直しをする際にも、じゃあ日本で裁くんだといったときに、アメリカと比べて被疑者が人権の観点からより不利な状況に置かれるのではないのかと、こういった問いかけにも答えていかなければなりませんから、このゴーンさんの事件に限らず刑事手続・刑事司法のあり方については不断の見直しが必要だと思いますし、ある種の国際的な調和、ハーモナイゼーションということは必要な時代になってきているのかなと、一般的には思っています。

○野党連携について(2)

【日本テレビ・右松記者】
 野田前総理がきょう会派を結成し、先ほどの代表の発言の中で、「待つだけではなく、こちらから働きかけをしたい」とおっしゃった。他の野党を見てみると、ほかにも自由党・小沢代表もいて、年末に党本部でお会いになっていたが、そういった幅広い連携の中に自由党・小沢代表に対して今どのようなご感想をお持ちか。

【代表】
 自由党さんともコミュニケーションをとっていますし、通常国会の開会までにも一度どこかでお会いしたいと思っております。
 もちろんそれぞれの党、いろいろな立場がありますが、もう党大会で申し上げたように、とにかく一つの固まりにしていくということは、有権者に対する責任として必要だと思いますから、そういった違いを乗り越えながら、できるだけ力を結集していくことが必要だと思いますので、そういった観点、そういった方向性から、ぜひ自由党さんともコミュニケーションを深めていきたいと思います。

○我孫子市長選について

【フリーランス・堀田記者】
 我孫子市長選のことで伺いたい。国民民主党を裏切った長浜さんとか立憲の人たちが主導権を握ってやっているが、玉木さん自身は応援に入る予定はあるか。それとも、奥野さんか。

【代表】
 奥野総一郎県連代表ともよく相談をして、必要であれば私も入りたいと思いますし、まずはどういう形で応援したほうがいいのかどうか、これはまず県連の判断をしっかり聞いて判断していきたいなと思っています。

【フリーランス・堀田記者】
 もう3日しかない。

【代表】
 よく相談したいと思います。