玉木雄一郎代表記者会見

2019年2月6日(水)14時02分~14時32分
発行/国民民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/HP-1XT1SbYw


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○補正予算審議 統計不正・児童虐待防止・北方領土問題等について質疑

【代表】
 昨日、補正予算が衆議院を通過し、本日から参議院に論戦の場が移っております。
 きょうの予算委員会では我が党の足立信也参議院議員、大塚耕平参議院議員がそれぞれ質問に立ちまして鋭い質問をしていましたが、衆議院もそうでしたが参議院も相変わらずまともに答えないし答えられないということでたびたび審議がストップする姿を見ていて、本当に政府は、そもそも今の事案の深刻さがわかっているのか、そもそも全容解明する気があるのかということを改めて感じました。
 加えて、きょう足立議員から幼児虐待に関するさまざまな問題提起がありまして、我が党としては児童虐待防止法案(改正)を提出しております。その意味では児童福祉司の人数の拡充、あるいはきょうもありましたが、結愛(ゆあ)ちゃんのときもそうでしたが、引っ越したり児童相談所の管轄が変わったときの情報共有であるとか、あるいは、親である今回の容疑者などが強い態度に出たときの対応についてまだまだ不十分だなというところがありますので、我が党としても引き続きこの児童虐待の問題については力を入れて取り組んでいきたいと思います。
 また、大塚参議院会長はきょうは日米地位協定の問題、そして北方領土問題など外交問題にも取り組みましたが、やはり気になったのは「我が国固有の領土」という言葉を使わなくなっている。「主権を有する島々」という非常に弱々しい表現になってしまっていて、やはりロシアから言われているのでしょうか、「我が国固有の領土」と今まで当たり前のように与野党越えて言ってきたことが随分後退しているなという印象ですから、非常に、ある意味ロシア側に忖度しているということなのかもしれませんが、交渉がどんどん不利な方向に行っているのではないかと大変懸念を改めてきょうは感じたやりとりでありました。引き続きこの問題については我が党としても力を入れて取り組んでいきたいと考えております。

○「米朝首脳会談 ベトナムで開催」報道について

【代表】
 先ほどニュース速報で、今月27日・28日にベトナムにおいて米朝首脳会談ということが発表されました。
 事実であれば北朝鮮の非核化に向けた大きな一歩になることを期待したいと思いますが、一方で、北朝鮮には中距離・近距離のミサイルも存在していて、東京に届くスカッドミサイルや、西日本を射程に置いたようなスカッドER、こういったものについての交渉が置き去りにされないように、しっかり、これは厳しく日本としても日本の国益の観点から見守っていかなければならないと思っています。

○米露のINF条約破棄表明について

【代表】
 もう一つ。INF条約(中距離核戦力全廃条約)をアメリカも、そしてロシアも破棄するという方向性が発表されましたが、大変懸念をいたしております。
 こういうことをアメリカもロシアもやっていますと、北朝鮮に非核化を要求していくその根拠が極めて弱くなってしまいますので、その意味でも安倍総理は、プーチン大統領ともトランプ大統領とも話せるとご本人はおっしゃっておられるわけですから、やはり米露に中国も巻き込んだ、あるいは北朝鮮も巻き込んだ形の、東アジアにおける核管理、あるいはミサイル管理の新たな枠組み、新しい条約といったものをつくり上げていく、そのイニシアチブを日本こそが今発揮すべきではないかと思いますし、安倍総理にはそういったイニシアチブをぜひ発揮していただきたいと思います。


■質疑

○補正予算審議での基本姿勢について

【読売新聞・八角記者】
 代表の冒頭のお話にあった関係で、予算委員会の質問だが、賃金データ問題に限らず幅広く国民民主党は取り上げているように見えるが、そのあたりの党の狙いを伺いたい。

【代表】
 二つありまして、まず一つは、野党の力合わせということを重視しておりますので、きのうも申し上げましたが、衆議院においては立憲民主党さんとも質問もある程度調整しながら、特に国家の信用の根幹に関わる統計の問題については力を合わせて取り組んでおります。
 あわせて、生活に身近なところ、生活に身近なテーマに特に力を入れて取り組みたいと。賃金の問題はまさにそうですし、国民の多くの皆さんが「戦後最長の景気回復」と言われてもその実感がない。それが感じられないのは感覚の問題だと麻生大臣は言いましたが、これは感覚の問題ではなく、事実なのだと思います。そのことをまさに今回統計問題で取り上げ、国民の皆さんの率直な「あまりよくなってないけどな」という感覚をしっかり代弁するような、そういう審議をぜひしたいと思っていますし、階猛議員が取り上げたのは、いわゆる軽減税率に伴って導入されるポイント還元の問題についてもやはりさまざまな問題があるし、使える人、使えない人が出てきて、むしろ格差を広げるような形になっていく。お年寄りや地域でお住まいの方々で、カードを使わないのでポイント還元なんて全く受けられない、その一方で税金だけ上がっていくということにしっかりと寄り添っていくような質問を心がけております。

○参院選 統一名簿案について(1)

【朝日新聞・山岸記者】
 参議院選挙の野党の統一名簿方式に関して伺いたい。統一名簿のアイデアは前から出ているが、最近だと自由党・小沢代表が熱心な一方で、立憲民主党・枝野代表は「迷惑だ」とまでおっしゃって拒絶している状況だ。国民民主党、また玉木代表の統一名簿方式への姿勢を伺いたい。

【代表】
 とにかく野党全体でいかに議席をふやしていくのかという観点で私たちは考えていますので、もちろんアイデアの一つだとは思いますが、ただ相手があるというか、立憲民主党さんがなかなか乗り気でないという中では現実的にどこまで可能なのかということはあろうかと思います。
 いずれにしても野党全体で1議席でもふやせるような、そういった工夫・努力は引き続き続けていきたいと思っています。

○橋下氏・小沢自由党代表との番組共演について

【「フランス10」・及川記者】
 先週、橋下徹さん、小沢一郎さん、玉木さんで、あす番組が流れるそうだが、お話しになったと思う。その感想と、玉木さんの橋下評を伺いたい。

【代表】
 あす番組が放送されるので見ていただければと思いますが、橋下さん、今は民間人ですから、特段私としてコメントすることはございませんが、発信力のある方だなと思っておりますし、そういった発信力は学ぶところがあるなと思っています。

○離党届の扱いについて

【毎日新聞・遠藤記者】
 参議院の関係で伺いたい。藤田議員が離党届を提出されていると思うが、先週、平野博文幹事長もお会いになってお話を聞いたようだが、その後の藤田さんの取り扱いというか、今後の取り扱いについて伺いたい。

【代表】
 きょう役員会がありまして、この間の報告を幹事長から受けました。
 今後の対応については幹事長に一任するということで、了承が得られました。

○地方での党活動について

【「FACTA」・宮嶋記者】
 きのう地方の組織といろいろ交流があったが、ミカン箱の上に乗って小沢さんと、という話があった。そういう試みというのは、地方は本当に戦っているわけだが、具体的な動きというのはどうなるのか。

【代表】
 予算委員会、今始まったばかりなので、少し予算委員会が落ちついた段階でぜひ地方に行って街頭演説をすると同時に、やはり地方の声をしっかり聞いていきたいと思います。特に小沢代表はいわゆる川上戦術ということでやっておられるので、できるだけ、なかなか光が当たりにくい、声を出しにくい、受けとめにくい、そういった地域に行ってしっかり地域の声を聞いていく活動を強化していきたいと思っています。

○統計不正問題 「総雇用者所得はプラス」首相答弁について

【テレビ朝日・中丸記者】
 統計不正問題だが、予算委員会の審議を通じて、例えばきのう根本大臣は野党の試算に基づくと実質賃金が2018年マイナスになっているということを「機械的に計算すれば」という言い方でお認めになったと思うが、総理は「総雇用者所得で見てほしい」と。この総雇用者所得の推移で見るべきだという総理のお考えについては、代表はどのようにお考えか。

【代表】
 まず、毎月勤労統計という基幹統計の話をしているのに、総雇用者報酬のところに話を持っていって長々と話をするのはもうやめていただきたいと思います。ごまかし以外の何物でもない。まさに都合のいいところだけつまみ食いする、あるいは都合のいい手法に変えていくということが問題になっているのに、都合のいい統計を持ち出してそれを延々しゃべるのは、この統計不正問題を招いた安倍政権の体質をまさにあの総理答弁が表していると思いませんか。まともに答えない。都合のいい数字だけもって延々しゃべる。こういうことを改めないと統計不正の問題なんか直らないですよ、これは。まずこれが一点です。
 総雇用者報酬というのは、ある種、働いている全ての方掛ける賃金の総体です。この間、総雇用者報酬がふえているということは、安倍さんも言っているように雇用者総数がふえているからそうなるのだと思います。ただ、一方で、その中で実質賃金が下がっていることは何を意味しているかというと、一人ひとりの稼ぎが少なくなっている。
 もっと言うと、200万人以上ふえているという中の多くは、実は高齢者の就労がふえているわけです。これは安倍総理がどこまで意識しているかわかりませんが、総雇用者報酬がふえているにもかかわらず実質賃金が下がっているということは、低所得で働かざるを得ない高齢者がふえているということをまさに表しているのです。その理由を聞くと、やはり生活の糧として働かざるを得ないということが高齢者が働く理由の一番に挙がっていますから、退職して、そして「人生100年」だと言われて老後の生活が長い中で、年金が少ない、働かざるを得ない。そういう中で比較的低い賃金でたくさんの高齢者が働かざるを得ない状況を、総理はまさに自分の口で語っているのだと思いますよ。
 もう一つ言うと、景気がよくなっている局面は、こういう低所得の人が新しく労働市場に入っていくので、こんなことはあり得る現象で、そのうちまた賃金が上がってくると言っているのですが、今申し上げたように、新しくふえた雇用者の多くは高齢者です。じゃあずっと働けば、その後、若い人のようにどんどん彼らの賃金が上がるかというと、上がらないですよ、それは。若い人の賃金体系と高齢者は違いますから。
 だから、やはり厳しくなっている人がふえているということを総雇用者報酬の増加も実は表しているんだということに対して理解が及んでいないのではないか。まさに都合のいい数字を都合のいいように解釈してしゃべっている典型だと思います。

【テレビ朝日・中丸記者】
 関連して。総雇用者所得の上昇だが、その総雇用者所得自体が毎勤統計をもとにした賃金数値に雇用者数を掛けているということで、そのもととなる毎勤統計のデータの信頼性が揺らいでいるということは、総理が認識している総雇用者所得の数字もまた信頼性が揺らいでいるのではないかと思うが、この点に関していかがか。

【代表】
 全くそのとおりだと思います。
 きのうも私、申し上げましたが、毎月勤労統計というのは基幹統計なのですね。数ある統計の中で不正にそれを改めようとしたり不正な調査をした場合には懲役刑まである。6ヵ月以下の大変厳しい懲役を科せられるような、刑事罰が科せられるような、そういった重い統計なんだということを総理は十分ご理解していないし、そのことがおかしくなると、今おっしゃったような総雇用者報酬を含め、GDPも含め、あらゆるものに直接・間接に影響がある。だからこそ大事なんだという認識が全くないなと思いますので、引き続きこの問題は厳しく取り組んでいきたいと思っています。

○原発政策について(1)

【産経新聞・廣池記者】
 党の原発政策について、玉木代表はこれまで、世界最高水準の基準を満たしたものについては例外的に再稼働を認めるとおっしゃってきたが、この考えに変わりはないか改めて伺いたい。

【代表】
 加えて、これは民進党最後のマニフェストになりましたが、そこには加えて、「国の責任で避難計画をしっかりつくる」ということと、やはり一番の問題は使用済み核燃料をどうやって処分するのかという「最終処分場についての選定プロセスがしっかり動き始める」と。
 よく「トイレのないマンション」と言われますが、やはりトイレを見つけるプロセス、あるいはトイレが見つかったということがなければ、再稼働をどんどんすることは無責任だということで、かつて、これまでずっと言ってきた、40年廃炉を徹底する、新増設はしない、そして世界最高水準の規制基準を満たしたものは例外的に認めるということなのですが、今申し上げた二つ、国の責任での避難計画、そして最終処分場をしっかりと見つけるというそのプロセスが動かない限りは逆に言うと再稼働はできないということですから、事実上大変厳しい再稼働の基準がかかっていると考えていただければ結構です。
 ただ、いずれにしても「2030年代ゼロ」ということを言っていますので、その意味では残された時間はそう多くないと思いますので、原発ゼロに向けてあらゆる政策資源を投入していくし、具体的なロードマップ、計画をしっかりと詰めていくことが大事だと思います。

○北方領土問題 「固有の領土」表現避ける首相答弁について

【朝日新聞・山岸記者】
 冒頭の発言にもあった日露の関係で伺いたい。先ほど、総理が「固有の領土」という言葉を使わなくなっているのではと。その関係できょうの委員会でも質疑があったが、総理は答弁の中で「一貫して、この国会ではこういう表現をしています」とおっしゃっており、ちょっと認識が総理は違うのかなと思ったが、代表は、この国会ではこういう答弁で一貫しているという総理の発言に関してはどう思われるか。

【代表】
 ちょっと正確に総理の発言を聞いていなかったのですが、「この国会」と言いましたか。

【朝日新聞・山岸記者】
 そうですね、「この国会では」と。

【代表】
 そこはまたセコイですね。「ご飯論法」の一つかなと思うのですが、明らかに「固有の領土」とずっと言ってきたのです。でも、この国会では言っていないという、子どものような対応だと思いますし、そんなことを聞いているのではなくて、自民党結党以来、歴代いろいろなことを繰り返しながら4島の帰属の問題を、ある意味ソ連・ロシアに領土問題の存在を認めさせ、4島を交渉の対象にしてきたという先人の努力がまるでなかったかのように発言しているのは、自民党総裁としてもどうなのかなと。
 私は、みずからも現実的な一つの案として1956年の日ソ共同宣言に基づいて歯舞・色丹ということに重点を置いて議論することを言ってきましたので、その意味では2島に重点を置いてやっていくことについては否定しません。ただ、もしそのことが国後・択捉をある意味永久に放棄するということにつながるのであれば、それはしっかりと、ごまかすことなく国民に説明して、丁寧に、「これまでの方針とは違うけれども、これが今とり得る現実的な方策なので、国民の皆さん、理解してくれ」という、その誠実さの中で交渉を続けないと、国民をごまかす、だますことになってしまうと思います。
 ですから、もちろん外交交渉ですから全部説明することは難しいのは百も承知ですが、姑息なうそはやめてもらいたいと思います。

○地方選挙における候補者擁立について(1)

【フリーランス・堀田記者】
 野党合同とかいろいろ言っているが、とにかく近ごろの選挙、野党が合同しようが何しようが全部負けている。千葉県我孫子市長選では珍しくも5党が推薦、プラス野田佳彦さんがついて、それから市民ネットがついたが、負けている。それから、野党全体ではないが山梨県も負けているし、先週は山尾さんの本拠地である尾張旭市長選挙でも負けている。近頃、野党は全然勝っていない。国民民主党は選挙に勝っていない。これをどのように思われるか。
 それから、本来であれば今週の日曜日、那珂市長選挙の投開票だったが、これは東海第2原発と非常に関係があるが、自民党の梶山弘志さんの系統の人が出て、その日のうちに決まった。国民民主党は同じ東海第2原発20キロ・30キロ圏内にあるひたちなか市長選挙には自民党と組んで候補者を出して負けた。ひたちなかの市長選挙、同じ茨城県連の中にあるが、それと那珂市長選挙はどのように違ったか伺いたい。

【代表】
 自治体選挙はさまざまな要素が組み合わさって勝敗が決定されると思っていますので、国政の枠組みだけで語ることはできないと思っています。
 ただ、一番大切なのは、やはりいい候補者をしっかりと前もって発掘して擁立していくことが大事なので、この政治の世界に、特に現職に挑戦する形でチャレンジャーとして入ってきてくれる人材を、優秀な人材を、市民・県民・国民の皆さんに自信を持って出していける候補者をいかに発掘していくのかというのが私たち政党の大きな責務だと思っておりますので、特に高齢化が進み、若い人はなかなか立候補しないというような状況の中で、そういう若い、いい人を積極的に擁立していく新しい仕組みづくりが必要だと思います。
 その意味では、我が党としても取り組んでおります30%の女性候補者の擁立目標というものは首長選挙にも適用して、とにかく新しい人材としての優秀な女性の政界進出ということをしっかりとサポートしていきたいと思っています。

○世論調査の結果について

【毎日新聞・遠藤記者】
 2月2日・3日に弊社で世論調査を行い、国民民主党の支持率が1%と出た。小沢代表の自由党と統一会派を組んだ直後ということで、支持率自体は変わっていなかったが、受けとめをお願いしたい。

【代表】
 引き続き努力していきたいと思います。

○参院選 統一名簿案について(2)

【朝日新聞・山岸記者】
 最初にお聞きした参院選の統一名簿の関係でもう一問伺いたい。枝野代表は厳しいから難しいという現実はあるかと思うが、国民民主党にとっては参院選の、とりわけ比例の労働組合等をバックボーンとする組織内候補の当選が危ぶまれる中においては、統一名簿というのは非常に魅力的な提案というか可能性だと思うが、代表ご自身はあまりこれにこだわっていないようにも見える。あえてそんなに推進するわけではないという理由があったら伺いたい。

【代表】
 もちろん一つの有力な選択肢だと思います。野党全体で票をふやしていくことにつながると私は思っていますが、なにぶん相手のある話なので、こちらから一方的にどうかと言っても詮ない話ですし、今はとにかく我が党自身の地力をつけるために、比例で戦う皆さんが1人でも多く当選できるように全力を挙げるのが今の私たちの立場です。

○地方選挙における候補者擁立について(2)

【フリーランス・堀田記者】
 先ほどの、ひたちなか市と那珂市の選挙の違い。1ヵ月くらいは違っていたが、それで候補者を出さなかった。同じ茨城県連で。そのことの答えがないが。

【代表】
 すみません、ちょっと詳細を承知していないので、またよく話を聞いてみたいと思います。

○野党連携 共産党との関係について

【「FACTA」・宮嶋記者】
 小沢自由党と組むことで、原発政策もやはり少しくっきりとわかりやすくなってくると思うが、参議院選挙に向かって共産党と国民民主党との間合いというのは、自由党と組むことで、街宣とかそういうので少し間合いが変わってくると見ていいのか。共産党との関係というのは何か少し変わるのか。

【代表】
 具体的にまだ話はしておりませんが、先般、5党1会派で党首会談をしまして、とにかく国会においては、政府のさまざまな問題が出てきていますから、しっかりと力を合わせて向き合っていこう、あわせて32ある参議院の1人区においては一本化を図っていこうということで合意しましたので、既に20以上の選挙区で共産党さんは候補を立てておられますし、現にぶつかっているところも幾つかありますので、まずはそういったところの調整を通じて共産党さんとも当然調整をしていかなければならないと思いますので、こうした党首会談での合意に基づいてやれることをやっていきたいと思っています。

○原発政策について(2)

【フリーランス・堀田記者】
 原発問題で伺いたい。日立が、海外や国内で新設するということはできないとこの前の取締役で東原社長が認めたが、これに対して会長である中西経団連会長が、再稼働はどんどんやるべきだと言って力強く宣言している。これについてどう思われるか。

【代表】
 私も代表質問で質問をさせていただきましたが、トルコにしてもイギリスにしても、いわゆる原発輸出というのが事実上頓挫した形になっています。これは何を意味するかというと、市場原理・経済原理のもとではなかなか民営原発ということがマーケットメカニズムの中で非常に難しくなってきている現実があるのだということを、これは率直にメーカーの皆さんもお認めになっている話です。もちろんもうかるから事業をやるのであって、もうからない事業はやらない。
 逆に今、原発は世界で結構動いているじゃないかと言うのですが、特に中国・ロシアですね、これはもう主に国営会社でやっています。つまり、ある種マーケットメカニズムの外で国の何らかの直接的な責任と関与がなければ、原発を動かす、少なくとも新増設することは割に合わなくなってきているというのが、輸出においてもそうだし、国内においてもその傾向は極めて強まってきているのではないかと思います。
 特に再生可能エネルギーの単価が落ちれば落ちるほど比較優位というのがだんだんなくなっていくので、その中で原発政策をどうしていくのかということを考えなければならないと思っているのです。
 中西会長の発言というのは、ある種、経済人としては経済合理的なことを発言されているのかなと思うのは、たぶん新増設はもう完全に割に合わないということなのだと思います。

【フリーランス・堀田記者】
 それは東原社長がちゃんと言った。中西会長は、資本投下したからでしょうね。

【代表】
 そうです。ですから企業としてはつくった原発についてはできるだけ回収を図ろうというのも、これはマーケットメカニズムからそうなんだということでご発言されているということなので、企業人としての立場としてはそうだということなのだと思います。
 ただ、我々は政策を担う人間なので、中長期的に考えたときに原発の経済合理性が果たしてどうなっているのかということも含めて考えていくことが必要だと思っていますので、こういう新しい事情・事案、こういったことも含めて「2030年代ゼロ」に向けてあらゆる政策資源を投入していくということが大事だと思っています。