玉木雄一郎代表記者会見

2019年2月20日(水)14時00分~14時26分
発行/国民民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/geePeUk1Dg0


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○統計不正問題 首相秘書官の関与について

【代表】
 まず冒頭、私から何点か申し上げます。
 今も予算委員会が行われていますが、毎月勤労統計、この統計不正の問題であります。
 本日の立憲民主党・長妻議員の質疑の中でも明らかになりましたが、18日に私からも毎月勤労統計の改善に関する検討会、第5回と6回で方向性が大きく変わっているという話を申し上げました。
 改めてちょっと申し上げますが、この2015年8月7日の第5回検討委員会で「当面、現在の全部入れ替えで行うことが適当」とまとまったのですが、第6回(2015年9月16日)になるといきなり「部分入れ替えも引き続き検討」ということが役人の姉崎厚労省統計情報部長(当時)から提案があり、中間的整理をまとめ、引き続き検討ということになりましたが、以後1回も開かれない。その間に、中江首相秘書官(当時)が総理にこのサンプル入れ替えのことを説明した。官邸の関与がこの大きな方針変更にあったのではないのかということを指摘申し上げました。
 きょう明らかになったのは、この16日の2日前、9月14日に実は中江秘書官から姉崎部長に対してメールが送られていて、要は、全部入れ替えではなくて部分入れ替えにしたほうがいいのではないかといった趣旨のメールがあったということがきょう明らかになりました。具体的なメールそのものはまだ出てきていませんが、これは私が18日に指摘したように、やはり官邸主導で、アベノミクスの成功を演出するための意図的な統計手法の変更がここで行われたということが改めて明らかになったと思います。
 これは引き続き厳しく追及していきたいと思いますが、やはり官邸主導、政治主導で統計がゆがめられている可能性が、その疑惑が高まったと思いますので、一層厳しく追及していきたいと思っております。
 二つ目に、きょう安倍総理は、吉田茂元総理に並んで連続在任期間2位ということになりました。吉田元総理は『回想十年』というご自身の著書の中で、「戦時中からとにかく我が政府は故意に、または無意識に、自分に好都合な数字のみを発表することが癖になっていた」ということを書いておられますが、安倍総理には、同じような、自分に都合のいい数字を出すことを故意に、または無意識に、しないようにぜひしていただきたいと思います。

○国政選挙候補者公募の実施について

【代表】
 次に、22日から、衆参同日選挙も言われておりますので、衆議院の候補を中心に国政の候補者の公募を新たに開始したいと思います。22日から特設サイトを設けるなど、公募活動を強化していきたいと思います。
 第1次の締め切りを4月末ということで取り組みたいと思っております。
 22日は改めて記者会見をしたいと思いますが、衆参同日選挙も見据えて、常在戦場の態勢を組んでいきたいと思っております。

○自民・田畑議員の性犯罪報道について

【代表】
 一部報道に、自民党の田畑議員が元交際相手の女性から告訴されたという報道があります。また、一部週刊誌でも詳細な報道がありますが、もし報道が事実であればこれは議員辞職に値すると思いますし、自民党としても、(田畑議員から)離党届が出ているようですが、単に離党届を受理するということではなく除名を初めとした厳しい処分をすべきだと思いますので、その意味では自民党の対応も厳しく注視していきたいと思っております。

○児童虐待防止のための法整備の検討について

【代表】
 最後に、今、児童虐待の問題が大きな問題になっておりますが、我が党としても体罰防止を児童虐待防止法あるいは児童福祉法に明文として盛り込むべきだと考えます。
 あわせて、親の懲戒権を定めた民法822条についても改正を検討すべきということで政調部門に指示をおろしました。
 できれば今国会中に我が党としても、子どもへの体罰を明確に禁止する法案を用意していきたいと思っております。


■質疑

○戦前の不正確な統計と開戦の判断について

【フリーランス・堀田記者】
 吉田茂さんの回想録、非常にいいが、あのとき、統計問題は別にして、ABCDラインによって日本はある意味で窮地に立たされた。玉木さんが吉田茂であれば、このときはどのような態度をとるべきだと思われるか。

【代表】
 難しい質問ですね。開戦をいかに避けるかということに全力を挙げたのではないかと思いますが、猪瀬直樹さんが書いておられる、若手の官僚に当時客観的に分析をさせたら、「アメリカにはやはり勝てない」という分析が当時あって、そのことを無視して結局多くの人の命が失われる戦争に突入していったわけであります。やはりその時々の国力、自分たちが置かれた立場ということを客観的に分析した上で、それに基づいた最良の選択をしていくことが重要だと思いますので、そういった歴史を鏡として、教訓として胸に刻んでこれからに備えたいと思っております。

○原発・エネルギー政策について

【毎日新聞・遠藤記者】
 昨日、国民民主党のエネルギー調査会の総会があり、そこで中間報告の原案が出てきたと思うが、その中に「原発ゼロ」という表現がなかったようだ。党の基本政策の中には「原発ゼロ」という言葉があるが、今回、表現としては原子力エネルギーに依存しない社会を目指すというような表現だと思うが、「原発ゼロ」という表現を使っていない理由を伺いたい。

【代表】
 まだ中間的整理の途中段階の文書だと思いますので、私自身、見ておりません。党として正式に決定するのは、この後、政調、あるいは役員会、総務会という手続を経ることになると思いますが、まだ役員会にも政調にも正式に諮っていないと理解しています。
 いずれにしても「2030年代・原発ゼロ」ということを我々掲げておりますので、どれだけ具体的に1日も早く原発ゼロを実現していくのか。その具体的な道筋を国民の皆様にお示しするのが責任だと思っております。
 とりわけ、国の責任でしっかりと避難計画をつくっていくこと。あるいは、誰がやってもこれは避けられない使用済み核燃料の処分の問題。特に最終処分場、そしていわゆる核燃サイクルをどうするのか。こういった根本的なところ、そして現在そういう建前で取り組んでいるけれども果たして本当にこのまま進められるのかということがたくさんありますので、そういったことに一つ一つ片をつけながら、1日も早い原発ゼロ、2030年代という大きな目標を掲げておりますが、少しでも前倒しできるように具体化を進めていきたいと思っています。

【毎日新聞・遠藤記者】
 重ねてだが、今、自由党との連携強化に向けた協議もされている中で、2030年代の原発ゼロについては小沢代表も気にされているようで、昨日、平野幹事長との会談の中でも問い合わせがあったようだ。代表の先ほどのお話だと、まだ決まってないということだったが、今後「原発ゼロ」という言葉が中間報告に盛り込まれる可能性はあるのかということと、自由党に対してはどういった説明をされるのか伺いたい。

【代表】
 自由党とは今、幹事長を中心にやっていますので、これは途中段階ですからコメントは差し控えたいと思いますが、我が党は結党したときに基本政策を既にまとめておりまして、その中にあらゆる政策資源を投入して「2030年代・原発ゼロ」を目指すと書いておりますので、これが揺らぐことは一切ありません。

【毎日新聞・遠藤記者】
 中間報告に入る可能性はあるか。

【代表】
 まだ、中間報告が今どういう状況なのか報告を受けていませんので、これもコメントは差し控えますが、繰り返しになりますが、基本政策に書いた「2030年代原発ゼロに向け、あらゆる政策資源を投入」、この方針が変わることはありません。

【朝日新聞・山岸記者】
 原子力政策の関連で。政調のほうで3月に福島第一原発の視察を予定されているが、代表ご自身は行かれるかどうかということと、行かれる場合は、原子力政策に関心が高い時期でもあるので、狙い、訴えたいことを伺いたい。

【代表】
 福島第一原発の事故の後、私も現地を訪れましたし、改めて今回現地を訪れたいと思っておりますが、特に私は与党だった時代にあの3月11日の事故を迎えましたので、政治家としては自分の一生の仕事として、廃炉、あるいは福島の復興ということに全力を挙げていきたいと思っておりますので、実際に現状を見た上で、今、何が本当に必要なのか、何が不足しているのか、しっかり目に焼きつけてこれからの党の政策に反映させていきたいなと思っております。
 できるだけ原発に依存しない社会をつくっていくというのは、これは多くの国民の願うところだと思いますし、私自身もそう思っていますので、単にお題目だけではなく具体的にどのように原発に依存しない社会をつくっていくのか。単なる供給面だけではなくて需要の面、あらゆる観点からそれを具体的に道筋をつけていきたいと思っています。

○参院選 候補者擁立について(1)

【日本経済新聞・溝呂木記者】
 参院選の1人区の擁立状況について伺いたい。32の1人区で一本化ができているのは、国民民主党、立憲民主党、無所属、あるいは沖縄の諸派、合わせて12と弊紙は計算している。3年前のちょうど同じ日、2月20日の時点は、同じ32の選挙区で21立っていた。これだけ比較すると1人区の擁立が野党として遅れているように見えるが、状況を教えていただきたい。

【代表】
 前回に比べて若干、勝利をおさめた東北地方で、前回と比べれば若干遅れがあるのかなと。あとは、いわゆる合区の島根・鳥取、徳島・高知。そして一部の九州というところが、まだ前回に比べれば少し遅れているところがあるかもしれませんが、ただ、いずれもある程度めどを立てながら進めておりますので、そう遠くないうちにしっかりと擁立を図っていきたい。
 その中で、先般1月28日に行った党首会談の決定に基づき、きょうも行われますが、幹事長・書記局長を中心に一本化の作業を加速していきたいと思っています。

【日本経済新聞・溝呂木記者】
 状況の雰囲気だが、例えば岩手・富山・滋賀のように各政党が立っていて一本化を進めているところもある。代表のご地元である香川県、ここは国民民主党だと思われるが、今のとこまだ公認候補が立っていない。野党で一本化を進めている状況なのか、そもそも候補者が見つかっていないところも結構あるのか。そのあたりの雰囲気、感覚を伺いたい。

【代表】
 全く候補者の当てがないところは極めて少ないと思います。私の香川でも、むしろ数名の中から今、選んでいるという最中なので、全く当てがないというのは数県にとどまるという認識です。

○児童虐待防止のための法整備の検討について

【NHK・森田記者】
 冒頭の発言にあった児童虐待の防止に向けた検討だが、民法の懲戒権を削除すべきかどうかという点については、どのようにすべきだというお考えが現時点であればお聞きしたいのと、立憲民主党なども児童虐待防止に向けた法案提出などを準備する動きがあるが、他の野党と一緒にやっていくという考えがあるかどうか伺いたい。

【代表】
 民法822条、一部改正されていますが、やはり親の懲戒権、教育的な観点からの懲戒権を容認しているということなのですが、さまざまなこれまでの虐待事案を見ると、しつけなのか、あるいは虐待なのかというのは極めて曖昧で、境界線を引くことが難しいのが実態です。ですから、もちろん一定程度しつけの観点からそういった懲戒が必要だという意見もありますが、スウェーデンなどでも禁止をするということで、体罰以外でしっかりしつけをしていくという、これは意識の改革も必要だと思うので、その意味で私は民法822条は改正すべきだと思います。
 その上で、虐待防止に関して既に法案をまとめているところがありますが、体罰の明確な禁止ということは今の野党案にも盛り込まれていないと思いますので、盛り込む場合についてはぜひ連携できる野党とはしっかり連携して法案提出につなげていきたいと思っています。

○参院選 候補者擁立について(2)

【岩手日報・佐藤記者】
 参院選岩手選挙区だが、先日、地元の組織で野党統一候補について、国民民主党を除く共産・自由・社民の3党で自由党が推す候補で合意したが、それに対して国民民主党の県連は最初から自由党の候補ありきだと反発している。今後、党本部に判断を仰ぐことになったが、今回の件についての受けとめと今後の対応を伺いたい。

【代表】
 まずは4者の枠組みがこれまで丁寧に議論を積み重ねてきたと思いますので、3党で決めたという事実関係については詳しく承知しておりませんが、これまでの4党の枠組みを機能させて、みんなが一致協力して推せる候補をぜひ選んでいただきたいなと引き続き希望しております。
 いずれにしても、岩手も1人区ですから、野党が結集して応援できる候補を、そして勝てる候補を選んでいくことが大事だと思いますので、その観点からぜひ4者で丁寧な合意形成をとっていただければなと思っています。

【岩手日報・佐藤記者】
 関連で。その際、国民民主党の県連が候補として黄川田徹元衆院議員を推したが、それが受け入れられなかったという経緯がある。党として今後も黄川田元議員を推していくというか、主導していくお考えはあるか。

【代表】
 一義的には、岩手に限らず、まずは各都道府県連レベルで発掘そして調整ということは委ねておりますので、まずは県連レベルの判断に委ねたいと思っております。
 ただ、二つ大事なことがあって、一つは、他の野党も含めて関係者で一致して応援できるということ。二つ目は、やはり勝てる候補をいかに選ぶのかということが大事だと思いますので、その観点から地元でまずしっかり調整していただくことを見守りたいと思っています。

○桜田五輪担当相「がっかり」発言について(1)

【フリーランス・堀田記者】
 桜田さんのことで伺いたい。あれは政治部が追っかけたのか運動部が追っかけたのかというのはちょっと違ってきているが、それを受けて玉木さんはぶら下がりで、罷免に値するとか、そのようなことをおっしゃった。それはどの部分を聞いていたのか。

【代表】
 これは前回も質問いただきましたので申し上げていますが、やはり18歳の女性アスリートが命にかかわるような病を得たときに、オリンピックを、最も選手に寄り添うべき大臣であるはずの桜田大臣が発言したことについて、ふさわしくないということを申し上げまました。

【フリーランス・堀田記者】
 つまり、桜田大臣が発言したことは全部、玉木さんはそのぶら下がりの記者から聞いたわけか。

【代表】
 全部は聞いていません。

【フリーランス・堀田記者】
 今、ファクトニュースと一緒に切り取りやら剥ぎ取りの問題があるが、なぜそのときに全部を聞いて判断しなかったのか。

【代表】
 発言部分は確認しました。確認した上で発言しました。

【フリーランス・堀田記者】
 最初から全部か。

【代表】
 その当該部分については発言を確認して、それで、やはりオリンピックを担当する大臣としてはふさわしくないということで申し上げました。

○統一地方選について

【毎日新聞・遠藤記者】
 統一地方選について伺いたい。4月の統一地方選までだいぶ時間がなくなってきているように思うが、党として統一地方選をどのように戦うのか改めて聞きたいのと、地方では一部、立憲民主党と候補者がパッティングするような事例もあるかと思うが、それについての認識を伺いたい。

【代表】
 党の公認・推薦候補の全員の当選を目指したいと思います。
 さらに、まだ時間がありますので、引き続き新人候補の擁立をしていきたいなと思います。きのうも新たに県会議員に出たいという女性も手を挙げてきましたので、その意味ではまだまだ最後まで働きかけを続けて、とにかく党勢拡大に努めたいと思います。
 同じ会派を組んでいたりする都道府県、特に地方においてはそういうところが多いので、かなり立憲さんとのすみ分けが進んでいるところも多いと思います。一方で、当然地方選挙というのは複数区、いわゆる大選挙区でありますから、そこは切磋琢磨するところがあるということで、民主党・民進党のときも同じ党から複数出て争うことはありましたから、当然そこはお互いに出て切磋琢磨して、野党の議席を1議席でもふやすような戦いをともに行っていくということは大事だと思います。

○桜田五輪担当相「がっかり」発言について(2)

【フリーランス・堀田記者】
 毎日新聞の山田孝男さんが月曜日の「風知草」で書いているが、今、切り取りだとかファクトニュースというのがあるが、桜田さんが言ったことは最初から読めば別に間違っていない。それに対して、部分的なことを聞かせて、テレビなども急いでいたものと思うが、それで言った玉木さんの答えは非常に情けないと思う。玉木さんも野党第2党の党首として、桜田さんが言ったことを初めから終わりまで全部読めば、あのようなことは出ないと思うが。

【代表】
 オリンピックの関連予算も答えられないような大臣が適切とは、私は思えません。

○顔真卿の書について

【フリーランス・安積記者】
 今、東博(東京国立博物館)で顔真卿展が開かれている。王羲之を超えた書家とか、安史の乱でかなり活躍した政治家・軍人というような位置づけで注目されているが、こういったことにご関心はあるか。次の政権を狙う立場としては、そういうところまでちょっと配慮していただきたいなという感じで、関心も持っていただきたいなと思うが。

【代表】
 私は高校時代に書をやっていましたが、その手本として一番使ったのが顔真卿です。中国を訪れたときも、顔真卿の現物の刻まれている碑があるのですが、それを見に行って、やはり書には一人ひとりのその精神とか思いが宿るので、時を超えてある種の書く側の緊張感とか、そういったものが伝わってきて非常に感動したことを覚えておりますので、ぜひ時間があれば顔真卿の書を見に行きたいです。

【フリーランス・安積記者】
 24日までです。

【代表】
 そうですか。予算委員会の隙間を狙ってぜひ行きたいなと思っています。非常に尊敬している書家の一人です。