玉木雄一郎代表記者会見

2019年2月27日(水)14時01分~14時28分
発行/国民民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/_wY_ApDi83M


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○米朝首脳会談について

【代表】
 冒頭、私から2点申し上げます。
 きょうからベトナムのハノイで米朝首脳会談が始まります。北朝鮮の完全な非核化に向けた進展を期待しますが、この非核化については、トランプ大統領が既に「非核化については急いでいない」と発言したり、あるいは「差し迫ったスケジュールがあるわけではない」と発言するなど、安易に妥協してしまうのではないのかという懸念がありますので、その行く末をしっかりと注視していきたいと思います。
 寧辺(ニョンビョン)を初めとした一部核施設の廃棄というようなことで合意することも報道されていますが、寧辺以外にも核施設が多数あると思いますし、核(関連施設)のリストを出してもらわないと、安易に制裁の解除や、ましてや経済支援はできないと思いますので、金だけ出して核やミサイルが温存されることがないようにしっかりとチェックをしていきたいと思っております。

○統計不正問題 特別監察委員会の追加報告書について

【代表】
 二つ目に、問題となっております毎月勤労統計の統計不正の問題に関する特別監察委員会の追加報告書が出ました。
 ざっと見ましたが、結局、室長(雇用・賃金福祉統計室長)を初め部下に責任を押しつけて、問題はないとする内容になっていて、極めて不十分かつ残念な内容だと思います。
 しかも、組織的隠蔽があったかどうかということも議論されておりますが、「そもそも『組織的隠蔽』の概念は多義的であり、確定的な定義や見解は見当たらない」ので組織的隠蔽には当たらないというふうにしておりまして、逆に「その場しのぎの事務処理をしていた」ということですが、その場しのぎであれば組織的隠蔽にならないのかということになりますので、何か組織的隠蔽にならないための追加報告になっているような印象であります。
 また、今回のローテーション・サンプリングの導入に関しても、わかりにくさを解消するための措置であって統計学的にも十分な合理性が認められるということを書き切っておりますので、いわゆるアベノミクスをよく見せるための政治的な意図を持って特に官邸が主導して行ったかどうかについては、官邸側に対する調査も不十分だと思います。
 これは引き続き予算委員会を初めとして、またこれから間もなく議論の中心は参議院に移っていくと思いますが、衆参あわせて国会の中で引き続き厳しく調査をしていきたいと思います。
 あわせて、我々がずっと求めております共通事業所ベースでの、いわゆる参考値の、2018年の年率の名目の賃金上昇率と、物価を勘案した実質の賃金上昇率をいまだに出してこないということで、極めて不誠実だと思います。これは単に割り算か引き算をすれば出るので、検討会も何か専門家を入れて立ち上がっていますが、割り算と引き算をする専門の検討会というのも非常に情けないなと思いますし、そこに専門家の皆さんを集めて一体何を議論しているのかと思いますので、これは速やかに出すべきということを改めて求めたいと思います。


■質疑

○天皇陛下御在位30周年記念式典について

【「フランス10」・及川記者】
 天皇陛下の在位30周年式典に出たご感想を伺いたい。

【代表】
 30周年の式典は非常に感動的かつ印象的でありました。時々声を詰まらせて今上陛下がお言葉を述べられていることが非常に印象に残っております。特に、この近現代において平成という時代が戦争がない時代として終わるということに対しての考えを述べられたことについては非常に感銘を受けましたし、平和を祈り、国民の、そして国家の繁栄を祈り続けてきた陛下の思いに接して非常に胸を打たれました。
 あわせて、今上陛下が原稿というか文を飛ばされたところがあって、皇后陛下がそれをしっかりと内容を理解した上でアドバイスを差し上げていた姿を見て、非常に、陛下と皇后陛下と、お二人の支え合う仲のよさ、夫婦の愛というようなことも感じさせていただきました。

○国民民主党新CM動画について

【「フランス10」・及川記者】
 国民民主党のCM動画が、4日前の時点で37万視聴回数、もう一つのが36万視聴回数と、大変多い数になっている。そのことについてのご見解を伺いたい。

【代表】
 動画については、正直、賛否両論をいただいております。
 ただ、いろいろな意味で関心を持って見ていただいていることについてはありがたいと思っていますので、国民民主党や、あるいは政治に対して関心を持つ何らかのきっかけになっていただければと思っております。

○官房長官の記者会見における答弁姿勢について

【時事通信・小松記者】
 昨日の官房長官の記者会見で、そもそもこの記者会見は何のためのものかという東京新聞の記者の質問に対して、官房長官が「あなたに答える必要はない」と言ったことが問題になっているが、国民に対する説明の姿勢として、こういう官房長官の発言についてどういうふうに思われるか。

【代表】
 私もそうですが、時に厳しい質問をされたり、あるいは何度も同じ質問をされたりと、そういうこともありますが、やはり説明責任を果たす人間はどんなときでも丁寧に、その先に多くの国民がいるという思いを持ちながら答えることが大事だと思います。
 官房長官におかれては、ぜひ丁寧な説明を。やはり国民の代表なんだと。東京新聞の代表で国民の代表ではないと(官房長官は)思っているのかもしれませんが、やはりそれを聞いている多くの国民もいらっしゃいますし、その先に国民の思いがある、国民の関心があるのだということを忘れずに真摯に答弁していただくことをお願いしたいと思います。

○児童虐待防止に向けた法整備について

【北海道新聞・玉邑記者】
 政府が、児童虐待防止法改正案に体罰禁止の規定を盛り込む方針という一部報道があった。先週の会見でも少し出ていたが、国民民主党としての対応を改めて教えていただきたいのと、与党が対策を急ぐ背景に選挙対策もあるという見方もあるが、その点についてどうお考えか。

【代表】
 我々としては「チルドレン・ファースト」ということをずっと言ってきましたし、虐待の問題については、さきの結愛(ゆあ)ちゃんの事件のときから特に問題意識を持って取り組んできたテーマであります。
 以前もここで申し上げたと思いますが、私も体罰については明確に禁止すべきだと思います。子どもに対する体罰というのは禁止すべきだと思います。
 その際に、児童虐待防止法や児童福祉法などで明文で規制・禁止していくということとあわせて、民法822条の教育の観点からの親の懲戒権ということについても、もう削除してはどうかと私は思っておりまして、先般の岡本充功座長が務めております我が党の担当部会においても、そういった検討をすべしということをお願いしている、指示をしているところでありますので、我が党としても、子どもたちに対する体罰を禁止する、そういった方向で議論を進めていきたいと思っております。
 選挙対策かどうかについてはコメントはしませんが、ぜひ子どもたちの健やかな学びにとって必要なことを行っていくという観点から進めてもらいたいと思いますし、そのことには協力をしていきたいと思っております。

○予算審議について

【共同通信・岩田記者】
 予算審議について伺いたい。先ほど代表から、議論が参院に移っていくというお話があったが、与党は衆院での採決を提案している。この採決に当たって、厚労大臣の不信任案や予算委員長の解任動議についてはどのようにお考えか。

【代表】
 現場の国対に任せておりますし、野党第1党の立憲民主党さんなどともよく相談をしなければならないと思いますが、先ほど申し上げたように、予算審議の前提である2018年の実質賃金がそもそもプラスなのかマイナスなのか、それさえわからないということであれば、適切な予算編成は本来できないのでありますから、速やかに出していただくことを求めておりますが、これ出していただけないのであれば、またそのときにはそれ相応の対応を考えなければいけないと思っております。
 いずれにしてもまだまだ審議すべきところは多々ありますし、要求している大切なデータや資料も出てきていないということでありますから、引き続き衆議院での審議を積み重ねていく必要があると現時点では思っております。

○ふるさと納税制度について

【日本テレビ・右松記者】
 ふるさと納税制度について伺いたい。大阪府の泉佐野市が寄附額が360億円に達するという記者会見がこの前あり、それに対して石田総務大臣が苦言を呈するということもあった。税の問題は、今、消費税の軽減税率なども言われている中で、公正・公平・簡素であるべきだと代表もおっしゃるが、このふるさと納税制度についてどのような意見をお持ちか。

【代表】
 私は本来のふるさと納税の趣旨は賛成しておりますが、ただ、少し本来の趣旨に反して行われているように見える部分についてはある程度改善していく必要があるのかなと思います。
 一方で、制度として認められた以上は、地方自治体の自主性とか創意工夫が生かされるということも大切だと思います。国がああだこうだあまり言い過ぎないようにすべきであって、問題があるのであれば根っこの法律自体をきちんと改めるべき。法律の中で許されている創意工夫については、できるだけ地方公共団体の自主性が生かされるべきだと思います。
 何か口先行政のようなことで、何ができるか、何ができないのかが事前によくわからなくて、時の権力や大臣や担当者から言われたら変更しなければいけない。この、先の見えない不透明な恣意的な行政ということを一番改めなければならないと思っています。

○統計不正問題について

【「FACTA」・宮嶋記者】
 統計委員会は統計法に基づく、事務局を含めて審査官庁であるから許認可官庁なのだが、そこの前委員長が監察のトップになっている。統計委員会という組織は、もともとこういう「統計ムラ」で、何か知らないが人をとってくるような感じだが、本来、厚生省のこの問題を統計法違反で刑事告発したり、そういうふうにしないと真相はわからないのではないかと私は思うが、その辺をどうごらんになるか。

【代表】
 もともと、この事案が発覚した端緒は、統計委員会の西村委員長が「やはりおかしいのではないのか」とプロの目から見て、事案が発覚したその大きなきっかけになったわけでありますが、その後のさまざまな事実関係の解明であるとか、あるいは責任の所在の明確化ということに関して言えば、必ずしもそのことについてはあまり機能していないのかなという気がします。
 特にベンチマーク更新に関する段差補正をしないということを、明確に統計委員会にかけずに、その明確な承認を得ずに行っていることは、これは統計法違反だと私は思います。そういったことをむしろ統計委員会は厳しく指摘して、承認を得ていない計算方法に基づく統計が世の中にもう既に出回っているわけですから、「それはおかしい」というようなことをしっかり言っていくのが統計委員会の仕事ではないかと思いますので、ある意味もう少し客観性、独立性、第三者性、あるいは専門性ということを高めた上で、こうした統計に対する国民の不信感を取り除くためにもう少し積極的な役割を果たしていただきたいと思っています。

【毎日新聞・遠藤記者】
 本日発表された統計不正問題の監察報告の中で、ローテーション・サンプリングの手法について、かいつまんで言うと、問題なかったというような報告になっていると思う。野党は、アベノミクス偽装ではないかということで、その部分を集中的に質問してきたと思うが、問題ないといった部分について代表としてどのようなご見解をお持ちか。

【代表】
 第1回から第5回の毎月勤労統計の改善に関する検討会においては、まさに専門家が集まって話をしていて、ローテーション・サンプリングについては問題ありと結論を出しかかったわけであります。
 これはきのうの国会でも私申し上げましたが、もちろん理論的にはいろいろなやり方があります。ただ、ローテーション・サンプリングの最大のネックは現場の実務が回らないということです。3年に1回やるのが非常に頻繁になるし、そのことによって事務作業が、会社の数が減ったとしてもトータルとしては変わらないし、実際やっているのは都道府県・市町村の現場ですから、人員や予算の手当てができるのかというのがあのときの議論だったわけです。そのことを無視して、「官邸の意向が働いた」と言われていますが、急に調査方法を変更してやったことについての反省や検証がこの文の中には一切出てきません。
 理論的にはどっちもあり得るということは、これは検討会で既に言われています。ただ、実務が回らないのでどうするんだということが最大の問題だったわけですが、そのことについての言及なく何も問題なかったと言うのは、これは報告書として極めて不十分、あるいは不適切だと思います。
 ですから、結果ありきの、問題がなかったということを言うためだけの追加報告書になっていると思いますし、さっと13ページ、14ページを見ましたが、問題となっている官邸の影響がどの程度あったのかなかったのか、そのことについての検証が残念ながらこの追加報告書の中には出てきません。
 しかも、調査対象者として、例えば総理秘書官であるとか、元総理秘書官であるとか、そういった方も入っているのかと思ったら、入っていないのですかね。その意味でも、問題なしという結果を導くための結果ありきの不十分な追加報告書と言わざるを得ないと思います。

○家計重視の経済政策への転換の必要性について

【朝日新聞・山岸記者】
 統計不正問題をきっかけにして、この間、アベノミクスが果たして国民生活、生活者の実感、あるいは家計にプラスだったのかどうかという問いが出ていると思う。こういった中で、参院選を控えている中で、今後野党がどういった経済政策を打ち出していくべきなのか。国民民主党はどのように取り組んでいかれるのか。この点のお考えを伺いたい。

【代表】
 その点は非常に大事なポイントでありまして、この前の私の総理への質問でも、実質賃金指数の平成に入ってから30年間ぐらいの動きをあえて総理に見ていただきました。民主党政権に比べていいとか、民主党政権は悪夢だったとか、いつまでも人の悪口ばかり言わないで、少し大きな視点で構造的な問題に目を向けていただきたいということを申し上げました。
 つまり、経済政策の大きな変更なくして、この実質賃金が下がっていくというトレンドは変わらないのではないのか。もっと言うと、経済政策の変更を伴わないと国民のふところは豊かにならないということを申し上げたので、ぜひ、家計を第一に考える、家計重視の経済政策に転換をしていきたいと思います。
 もう一つは、消費税の観点でも申し上げましたが、やはり今の安倍政権の政策は金持ち優遇ですよ。金持ち優遇ではなくて、普通の人が豊かさを実感できる政策にするのか。ここが次の参議院選挙でも大きな対立軸になると思います。
 一つ、これも総理と議論していて「やっぱりわかっていないな」と思ったのは、日銀の資金循環表を見て、国民の資産が非常にふえているというような話をされていました。それで胸を張って家計が豊かになっているというふうに言ったのですが、確かに家計の資産は1859兆円と過去最高になっているのですが、問題は中央値です。平均すると、当然全体がふえているから平均値は上がっていると総理は言うのですが、例えば家計資産の中央値というのは安倍政権になって380万円です。「悪夢」だという民主党政権は450万円ですから、ダウンしているのです。ただ、全体として大きくなるということが何を意味しているかというと、むちゃくちゃ金持ちがいっぱいふえているということです。だったらそこは金融資産課税を強化して少し均てん化したらどうかということも言ったのですが、一切そういうことに関心がない。
 だから、総理の頭の中に正しい問題認識ができていない。それは、根っこの資料も間違っているし、あのとおりの頭であのとおりの政策を進めていくのだったら、いつまでたっても庶民は報われないなと強く思いましたので、やはり家計重視の経済政策ということを我々は強く訴えかけていき、それを選挙の争点にしていかなければならないなと、改めてこの前の審議で感じました。

○予算審議について(2)

【「FACTA」・宮嶋記者】
 先生と同じ地元の小川淳也さんは7回(質疑に)立ち、ある日においては、事務局の電話が鳴りやまず、100通を超えるメールが来たり、非常に反響があったように伺っている。玉木先生も非常にエッジのきいた質疑をされていたが、今、どういう国民の反響を受けとめておられるか。メディアの状況を見ると何かあまり火がついていないという感じもするが、今回の質疑に加え、国民の声、日雇いなどは外しちゃっているわけだが、そういうのを含めてどういう声が野党には届いているか。

【代表】
 私も先日質問したら、確かにテレビ・新聞等の取り上げは少なかったと思いますが、かなりのメールや電話や反響をいただきました。特に高齢者の貧困の問題を取り上げたり、あるいは今回やろうとしている消費税増税が高所得者に極めて有利になっているという話は初めて聞いたと。例えば7万円の負担で66万円の受益を得ることができる1500万円の所得の方がいるなんていう話も、そんなの初めて聞いたと。実はあのとき初めて、その日の朝に財務省からもらった資料で私はあの質問をしたのですが、そういうことも含めて、「やっぱりおかしい」ということを訴えかけてくる、そういった反響をたくさんいただいております。
 やはり、全てうまくいっている戦後最長の景気回復だと政府が言う一方で、生活の不安を抱え、あるいは少ない所得の中で一生懸命生きている方が世の中にたくさんいて、むしろそのほうが多数なんだと。そこに向き合う、寄り添う政治をやっていくのが、今、求められているんだなと私自身改めて感じましたので、やはり懐に響く政策、先ほど言いましたが家計第一の、「家計ファースト」の、家計重視の、そういう政策に経済政策を転換していくべきということを強く訴えていきたいと思います。

○自由党との政策協議について

【産経新聞・廣池記者】
 自由党との政策協議について伺いたい。前回の協議では、原発や消費税について説明して、おおむね理解を得たという状況で、協議も大詰めに来ているかなと思う。代表としては、ここまで政策協議は順調に来ていると思うか。それとも、もうちょっと時間をかけてやったほうがいいのか。その辺の手応えを教えていただきたいのが一点。
 また、この政策協議、党内の理解は進んでいるかどうかというところを伺いたい。

【代表】
 最初の質問と二つ目の質問はリンクしていると思います。
 政策協議は、今、幹事長のもとで進めておりますが、おおむね方向性が一致してきたとは聞いておりますが、逆に言うと完全には一致していないということですし、加えて、やはり党内への説明もしっかりやらないと、勝手に決めるわけにはいかないので、そこは地方の声を聞くこと、党内の声を聞くこと、手続は丁寧にやっていかなければなりませんので、もう少し時間もかかるのかなと思います。
 いずれにしても、関係者の理解をよくよく得ながら進めていく必要があると思っていますので、丁寧な協議を継続していきたいと思っています。