チルドレン・ファーストで、日本を変える

  • 国民民主党は、教育の格差を解消し、人への投資、未来への投資によってわが国の将来を切り拓き、全ての子どもと若者たちに夢とチャンスを贈るため、チルドレン・ファーストの政策を推進します。

教育費への予算配分

(教育予算・財政)

  • 日本は就学前教育における公的支出を含めた教育支出のうち、家計の私費負担の割合がOECD諸国の中で最も高くなっています。

  • また、高等教育における私費負担割合も高く、重い負担となっていることから、教育に係る予算の確保・充実を図り、著しく低い日本の教育への公的負担を大幅に引き上げていきます。
    (参考)

    • 就学前教育の私費負担割合OECD諸国平均17.2%、日本52.1%
    • 高等教育の私費負担割合OECD諸国平均34%、日本67.6%

教育の無償化

  • 国民民主党は、家庭の経済力に左右されず、誰もが同じスタートラインに立てる社会の実現を目指し、教育の無償化を推進します。
     旧民主党政権下で高校の授業料無償化を実現、2012年には国際人権規約A規約第13条の留保の撤回を決断し、国際的に中等・高等教育を漸進的に無償化する責務を負うことを明確にしてきましたが、さらに、就学前教育から高等教育まで公教育全体を通じた無償化を進めます。

(就学前教育の無償化)

  • 全ての就学前教育・保育の無償化を推進します。

  • 待機児童の解消を目指し、保育園の質と量の確保を推進します。幼稚園の認定こども園への移行を推進するとともに、保育士・幼稚園教諭等の待遇改善を図ります。

(就学支援)

  • 学校給食について、未実施の自治体への支援を行い、実施率を高めつつ、公立小・中学校の給食費を無償化します。また、食育や地産地消による地域再生を推進します。

  • 学費以外にかかる副教材、修学旅行などの学年費の補助を行い、負担軽減を図ります。

(教育に要する費用の更なる軽減)

  • 教育に要する負担を軽減するため、塾代等の民間教育費等について特定支出控除の対象とすることを検討します。

(貧困状態にある子どもへの学習支援)

  • 「生活困窮者自立支援法」における子どもの学習支援事業は、任意事業にとどまり、自治体の実施率が質・量ともに低くなっています。自治体に対する支援策を講じることを前提に、学習支援事業を必須事業とし、また、その際に全ての子どもの学びの場を確保する観点を明確にします。

(高校無償化と高校生等奨学給付金の拡充)

  • 所得制限のない高校授業料無償化を復活させ、家庭の状況に応じて学習支援、生活を支える高校生等奨学給付金の拡充など、高校生等が安心して勉学に打ち込める環境を目指します。

(大学授業料減免と奨学金制度改革)

  • やる気と能力があれば誰でも大学に進学できる社会を実現するため、大学等の授業料減免を拡大し、将来的には大学の無償化を目指します。

  • 大学や専門学校等に進学を希望する若者が、親の収入など家庭の状況によらず入学でき、奨学金による借金を背負わずに卒業できる環境をつくります。そのために、先進国では当たり前の、返済のいらない給付型奨学金を拡充します。同時に、全ての奨学金の利子をなくすことを目指します。

  • 奨学金を借りている人については、所得に応じて無理なく返済できる所得連動返還型無利子奨学金や、返還猶予制度などをより柔軟に運用します。

(私学助成の充実)

  • 建学の精神や大学の個性と多様性を尊重するとともに、多様な教育の機会を確保するために私学助成の充実を図ります。

安全と安心、子どもを最優先する学校へ

(虐待・いじめ・自殺防止対策の推進)

  • 児童虐待防止対策やいじめ防止対策を強力に進め、子どもの自殺を防ぎます。いじめ対策推進法を強化し、学校の相談体制の強化、学校と教育委員会の取り組みへの責任の確立、日常的な児童相談所と警察との連携強化を推進します。

  • また、児童相談所職員の量的・質的両面において抜本的な拡充を行います。

  • 子どもたちの多くは、格安スマホのIP電話(ネット電話)やSNSで連絡を取り合っていますが、いじめをはじめ、子どものSOSを受け止めるために文部科学省が実施する『24時間子供SOSダイヤル』などは固定電話・携帯電話しかつながらない設定になっているため、IP電話でもつながるように施策を講じます。

(体罰・セクハラ等の一掃と相談体制の充実)

  • 体罰は学校教育法で禁止されており、決して容認できるものではありません。子どもの心身への暴力・強制わいせつ、スクールセクハラの一掃を図るための体制を整備します。

  • 全国の小学校、中学校、高等学校にスクールカウンセラーやガイダンスカウンセラー等の配置を進め、相談体制の充実を図ります。

(少人数学級のさらなる推進)

  • 子どもの「見守り」機能の拡充と一人ひとりの子どもがきめ細かい教育を受けられるよう、義務教育における国の学級編制の基準について、公立の小学校2年生から中学校3年生まで順次、35人以下学級とするよう法定化します。

(インクルーシブ教育・バリアフリー)

  • 希望する子どもたちが障がいの有無などにかかわらず、同じ場でともに学ぶことを追求します。個別の教育ニーズのある子どもに対し、適切な指導と必要な支援を提供できるインクルーシブ(ともに生きともに学ぶ)教育を推進します。学校のバリアフリー化を推進します。

(マイノリティの人権確立)

  • 学校設備、授業や学校生活全体を通じて、性的マイノリティを含めて人権の尊重を貫き、あらゆる人が孤立したり、排除されたりせず、学校と地域が協力して人権の砦となることを目指します。

(通学安全確保の取り組み)

  • 「児童通学安全確保法」を制定し、国が責任を持って体制整備を行うことにより、通学路などでの子どもの安全を守ります。

(学童保育・放課後子ども教室の拡充)

  • 自治体の方針に基づき、学校施設を活用した放課後の子どもの居場所支援、学習支援事業に中央省庁が予算を含めて協力する態勢をつくります。

(学校の施設整備<耐震化・老朽化・トイレ対策>)

  • 公立学校施設、国立大学などの耐震化を完了させ、私立学校についても早期の完了を目指します。

  • 子どもたちが安全で安心な学校生活がおくれるよう、「学校安全対策基本法」を制定し、学校における防犯、防災、老朽化、事故防止、つり天井対策、環境衛生対策などに万全を期します。

(学校体育と部活動)

  • 組体操の一部禁止や部活におけるしごきや精神論の強要の禁止など、スポーツ医学等の科学的識見に基づく体育授業、自主性と人格尊重の課外活動などを進めるとともに、教職員に部活指導を強要するのではなく、地域クラブや企業チーム、プロスポーツ界との連携づくりを促進します。

(学校のあり方)

  • 安易な株式会社化、公設民営学校等には厳しく慎重な姿勢で臨みます。

多様な教育機会の保障

(不登校の子どもへの支援とフリースクール・夜間中学への支援拡充)

  • 一人ひとりの学ぶ権利と人権を尊重し、多様な学びを保障します。不登校の子ども一人ひとりに寄り添い、子どもの意思を尊重した支援を拡充します。また、フリースクール等への支援を推進します。

  • 学齢を超過した後に就学を希望する人に対する教育機会の確保を進めるため、夜間中学の拡充を図ります。

(小中・中高一貫教育と統廃合、学制改革)

  • 新しい学校種である義務教育学校(小中一貫教育)や中高一貫教育について、安易な学校統廃合ではなく、学力の向上やいわゆる「中1ギャップ」などの負担軽減、不登校の減少などの効果を引き出すために計画的に進めるものについては自治体の自主判断で進めます。

  • 6・3・3制の見直しなど学制改革については慎重に検討していきます。

(特別支援学校)

  • 一人ひとりに応じた支援を行うため、特別支援教育のあり方について検討を進め、充実のための体制整備を図ります。

(「ヤングケアラー」への支援)

  • 大人が担うような家族の介護や世話を家庭内でしている、「ヤングケアラー」と呼ばれる子どもや若者がいます。学校生活や健康状態などに支障をきたしている場合が多くあることから、支援策を検討します。

地域活性化と高校教育・高等教育改革

(職業技術教育・就労支援と高専の充実)

  • 高校、高専を通じて職業技術教育と資格取得への助成を進めるとともに、高校、大学等における職業技術教育を大幅に拡充するため、企業に協力を求め、その企業規模に応じて、職業技術教育、インターンなど生徒・学生の受け入れを要請します。

(国公立大学改革)

  • 地域における教育機関、地場産業、地方自治体の協力と連携を強化し、教育・研究・地域産業・地域再生の拠点としての国公立大学、高等専門学校づくりを進めます。大学学部改革はあくまでも大学内の議論と方針に拠るものとし、文部科学省や財政当局が介入することを厳に戒めます。

(大学運営費交付金)

  • 大学運営費交付金減額の議論については、授業料の値上げ等につながらないよう、維持増額を図ります。

(寄附税制)

  • 教育・研究への支援拡充を図るため、寄附文化を醸成し、大学等への寄付にあたっての税額控除の拡充などを推進します。

(ICT教育の推進)

  • 2019年に成立した「学校教育の情報化の推進に関する法律」にもとづき、(6/21現在未成立)全ての小・中・特別支援学校へのネットワーク基盤環境の整備、デジタル教科書の普及、教育クラウド(情報ネットワークを活用した教育)の実用化に取り組みます。また、インクルーシブ教育実現のために、障がい者の生活を助ける技術(アシスティブ・テクノロジー)の研究・開発・普及体制を強化します。

(EdTechの推進)

  • AI・IoT・VR・ブロックチェーン等の先端技術や安定期に入った汎用技術等のデジタルテクノロジーを活用して、公教育のみならず、企業研修、リカレント教育、個人の学びも含めた教育のイノベーションを推進し、学習・教育効果の向上、自動化・効率化、価格破壊、市場創出等従来の教育の仕組みや産業構造に大きな変革を起こします。
    ※EdTech(エドテック)
    Education(教育)とTechnology(テクノロジー)を組み合わせた造語。

(専修学校・各種学校の充実)

  • 専修学校や各種学校が社会の実学を支え、広く産業・社会の人材養成の基盤となっていることを踏まえ、適切な助成を充実させるなど、学校制度上での位置付けを明確にします。

(外国人の子どもへの支援及び日本語教育の充実)

  • 中長期に渡って日本で暮らす外国人が増加していることから、外国人の子どもの就学機会の確保や就学支援、学習支援を行います。

  • 外国をルーツとする子どもたちの幼児教育を含めた教育のあり方を検討するとともに、不就学や不登校の問題に取り組みます。

  • また、海外における日本語教育の推進を図るとともに、日本語学校の普及を進めます。

(入試改革・研究活動支援)

  • より充実した教育の質の保障、研究開発能力の向上、大学の国際化、入試改革、少子化による大学再編などを、国民的な議論を深めながら積極的に進め、日本に世界的な高等教育・研究センターを構築していくことを目指します。

(法科大学院のあり方の見直し)

  • 法曹志願者数の減少に歯止めをかけ、より良い法曹養成制度にするため、司法試験の受験資格、方法及び試験科目並びに司法修習の期間の見直し、弁護士への研修機会の提供等の措置を講じます。

教育の仕組み

(文科省・教育委員会改革)

  • 教育委員会制度については、教育行政に関する権限と責任の所在が不明確であり、審議が形骸化しているなどの課題が指摘されています。現在の教育委員会を中心とした地方教育行政制度を抜本的に改革し、教育の中立性を確保しつつ、より首長の責任の強化と議会、教育監査委員会がチェックすることを目指し、教育における責任の所在を明確にします。

  • 文部科学省の集権的・通達行政的な「古さ」を解消し、学校や地域の必要性に応える教育行政組織への改善を進めます。

(教科書検定のあり方)

  • 教科書検定のあり方を見直します。また、学校単位でも教科書を採択できる仕組みを検討します。

(全国学力テスト)

  • 子どもたちの学力、学習状況を調査するための全国的な学力調査(全国学力・学習状況調査等)のあり方について、抽出型も含めて、真に子どもたちのためになる方法を検討します。

(教育環境の整備・改善)

  • 教職員が、いじめや不登校など様々な状況に置かれている子どもとしっかり向き合う時間を確保するため、学校現場への専門家配置の充実、臨時的な加配措置によらない教職員定数の充実を図ります。

  • 労災認定基準を上回り、国際機関(OECD)に「世界一多忙」と指摘された教職員の勤務環境を改善します。

(教員免許と研修の充実と効率化)

  • 教員免許更新制は、より主体的・効果的な研修体系の整備を前提に、抜本的に見直します。十年経験者研修の実施時期の弾力化等を受け、研修と免許更新との科目の整理や相互認定などの互換性を図ることにより、更新にかかる教員の負担軽減を進めることで、教員が子どもと向き合う時間を確保します。

(コミュニティースクール)

  • 保護者、地域住民、学校関係者、教育専門家などが参画するコミュニティースクール(学校理事会)の導入を促進し、それぞれの学校が創意工夫を発揮できるようにします。

(男女共同参画教育の推進)

  • 義務教育から高等教育課程において、男女共同参画社会の実現のための教育及び啓発を進めるとともに、教育現場における男女共同参画社会の推進を図ります。

(主権者教育の推進)

  • 18歳選挙権の実現を契機に、現実にある課題や争点について学び、自ら考えて判断し行動する能力を身に付けるための主権者教育を、高校だけでなく小・中学校から積極的に行うことを推進します。

  • 学校現場での取り組みが萎縮しないよう、公職選挙法との関係などを整理し、主権者教育や「模擬選挙」等の実施について支援します。

(高校生の政治活動)

  • 高校生の政治活動・選挙活動については、主権者・有権者にふさわしい対応とし、無用な制限に向かわないよう取り組みを進めます。

(社会人教育)

  • 通信教育、夜間大学院などの充実を図り、学び直し(リカレント教育制度)など多様な教育ニーズに対応する生涯学習社会の実現を目指します。