生命を守る防災力強化

  • 阪神淡路大震災から20年以上、東日本大震災からも数年が経過しましたが、この間の政府の災害対策の取り組み状況等を検証しつつ、我が国の法体系を再検討し見直しを行います。熊本地震や頻発する火山災害や水害等も念頭に、災害対策基本法、災害救助法、被災者生活再建支援法などを全面的に見直し、国民の命と暮らしを守る実効性を高めます。併せて、耐震化、地震係数、前震・本震・余震の考え方等についても総括と更新を行い、新たな地震防災対策の戦略策定を行います。

  • 災害等への対応を強化するため、各種情報やデータを自治体と早期に共有し、災害対応に活用できるように取り組むとともに、被害が起きてからの対処のみならず、予防的な施策にも積極的に取り組みます。企業や自治体などの事業継続計画の策定支援、帰宅困難者対策などを進めます。

  • 大規模災害発災時の被災自治体バックアップ体制を強化します。発災後72時間への対応及び、応急対処レベル向上のため、経験・ノウハウを持つ全国の自治体職員をより早期に被災自治体へ派遣可能とする仕組み等を新設し、被災者の命と暮らしを守る力を強化します。また、大規模災害対応のノウハウを持つ、内閣府・国土交通省・消防庁をはじめとした各府省庁の担当者を現地の自治体に早急に派遣するなど国が責任を持つ仕組みを整備します。

  • 災害時に国民の命を守る緊急対応の観点を重視し、避難施設や経路の確保、ラジオ、インターネット、アプリ等を活用した防災情報の周知徹底、防災訓練などのソフト面における対策を徹底的に見直します。また、地方における先駆的な取り組みを広く周知するとともに、その導入支援を積極的に行います。合わせて、地域のコミュニティを活かした地域防災力の強化を進めるため、地域で災害に備えて専門的に取り組む人材を育成し、消防団、防災士、自主防災組織、市民消火隊、女性防災クラブ、災害ボランティア、町内会など様々な住民組織や住民の参加協力を得ながら、地域における避難計画の策定や防災教育と訓練など防災への取り組みを進めるとともに、防災資機材の整備を推進します。

  • 事前防災を強化するための支援制度を創設します。噴火等の災害が予想される段階での規制措置に伴う地域経済や生活へのダメージを軽減する「災害予防措置支援制度(仮称)」を新設し、事前防災措置を発動しやすくします。実際に災害が発生した場合に、復旧・復興への後押しを進めやすくします。

災害発生時における生活・復興の支援

  • 被災者に寄り添うきめ細かな対策を行うため、指定避難所以外に避難している方々(非指定避難所、車中泊等)の正確な把握や、避難先におけるトイレなどの衛生面、エコノミークラス症候群などの対策等に万全を期します。生活不安や避難生活での心身の疲労やストレスに対する心のケア対策、乳幼児、児童、生徒等に対するカウンセラーの派遣支援強化などを行います。アプリ、インターネット等を使用した安否確認システムの確立、導入促進と、避難所ごとの連絡手段の確保を図ります。

  • 特に、高齢者、病院入院・通院患者、小中学校、幼稚園、保育園、障がい者施設、児童養護施設などの要援護者の方々の避難計画に万全を期すとともに、避難先となる公立小中学校をはじめとした施設のバリアフリー化を推進し、災害が発生した際の長期的で安全な避難先を確保します。また、非指定避難所も含めた福祉避難所等の拡大と整備を一層図るとともに、これら施設について、定員以上の人員を収容している施設への財政支援、福祉人材の派遣元への財政支援等を行います。

  • 旅館・ホテルなどの民間施設を借り上げた際の避難期間等の弾力的運用、また、みなし仮設住宅の充分な確保(広域での空き家住宅・賃貸住宅の借り上げ等による住宅確保)をより迅速に行います。

  • 被災者生活再建支援金については、支給範囲を大規模半壊から半壊にまで拡大し、最高額を300万円から500万円へ引き上げます。

  • 中小企業・小規模事業者の事業の早期復旧と事業継続のため、政府系金融機関等による金融支援をはじめとした総合的支援、従業員の雇用維持のための雇用調整助成金等の拡充、雇用保険の給付日数延長、雇用対策の実施、観光をはじめとする風評被害に対する対策の強化と行政の指定外の寺社や史跡等の復旧費用補助を検討します。また、農林水産業等支援として、農林水産業施設等の災害復旧事業の早期実施、経営困難な農林水産業従事者に対する特別支援の実施を行います。

  • 経験を有する災害ボランティア団体等と行政、ボランティア団体同士の連携がスムーズとなるシステムを構築し、きめ細かく機能的に連携した被災者支援が可能となる環境を整えます。

  • 被災された方や被災地を支援する際の負担を軽減するための税制を創設します。

  • 「災害損失控除」は、災害による損失控除を、雑損控除とは別に創設します。災害損失控除以外の所得控除等(雑損控除を含む)をまずは適用し、最後に災害損失控除を適用する結果、所得税の負担が軽減されます。控除しきれない金額は雑損控除同様に繰越ができるようにします。

  • 「ボランティア活動支援税制」は、災害支援ボランティア活動を行うときの交通費等の実費について、自己負担分を税額控除することで活動を支援します。

  • 「防災設備等導入促進のための設備投資税制」を創設し、設備の耐震化や防火設備の導入を支援します。