「アジアの時代」の世界的共生外交

  • 21世紀は成長の中心がアジアに移り、政治・経済でもアジアの相対的な影響が大きくなる「アジアの時代」となっています。アジア太平洋地域をはじめ、世界との共生を促進し、世界的なパワーシフトが起こりつつある中で、日本の未来を見据えた外交戦略を進めます。

  • 日米同盟を基軸としつつ、同じ価値観を共有する国との関係を強化して国際社会が共有してきた秩序や多国間の合意を尊重し、国連やASEAN+3等の国際機関や、APECなどの経済協力の枠組みを通した多国間協調外交を推進し、アジア太平洋地域をはじめ、成長市場とともに日本の持続可能な平和と繁栄を創造します。

  • 開かれた国益を追求し、保護主義・一国主義に陥ることなく、自由で公正なルールに基づく高いレベルの経済連携を主導し、世界の平和と繁栄に貢献します。日米通商交渉、RCEP等の自由貿易交渉を行うにあたっては、自由貿易を前提としつつ、自動車や農業分野などを中心に安易に妥協することを許さず、日本の国益を守ることを最優先に位置付け、主体的・戦略的な経済外交を推進します。

  • INF協定やイランの核合意、中東和平といった、国際的な平和への取り組みが危機に瀕する中、世界の平和と安全を追求する国際的努力を積極的にリードします。

  • 日韓両国間では、1965年に締結した日韓請求権協定により、両締約国及びその国民(法人を含む)の財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が、完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認されています。韓国内で元朝鮮半島出身労働者(元徴用工)による訴訟が相次いでおり、我が国の企業へ賠償を求める等の動きがありますが、国際法を尊重した適切な対応を行うよう、日韓請求権協定に基づく協議を行い、我が国の企業の利益を守ります。慰安婦に関する最終合意についても、韓国に対し誠実に順守することを厳しく求めます。

SDGs(持続可能な開発目標)2030アジェンダの推進

  • 国際社会が合意した「持続可能な開発目標(SDGs)」の実現に取り組みます。「誰一人取り残さない」を掲げる2030アジェンダのグローバルな取り組みに、NPO、NGO、民間セクター等とともに、国全体で、各地域においても貢献していきます。課題先進国として「人間の安全保障」の理念に基づき、気候変動対策、クリーンエネルギーの推進、人権の保護、ジェンダー平等と女性・女児のエンパワーメント、包摂的(インクルーシブ)で公正な社会の構築など、道義的かつ持続可能な途上国の経済開発に、日本として積極的な役割を果たしていきます。

  • 人間の安全保障の理念に基づき、また、政府開発援助(ODA)の対GNI比0.7%という国際目標に向けて、戦略的に拠出先を絞り込むとともに、ODAの拡充や積極的活用や「見える化」に取り組み、貧困削減、持続可能な成長、平和構築、民主化支援などを進め、途上国の発展に寄与します。

  • 「パリ協定」を順守、推進し、気候変動・温暖化対策を進めます。食料安全保障、水不足対策、砂漠化、生物多様性の喪失等の深刻化する「地球環境問題」の克服に努めます。日本の強みである技術力や人材、プログラム構築等、民間力も生かし責任ある立場で貢献します。

  • アフリカ開発会議(TICAD)等を通して、アフリカ諸国等との関係強化を図ると同時に、中東諸国を含めた資源外交を強化します。

  • 国際社会に対する深刻な脅威であるテロ勢力の拡大に対応して、在外邦人の安全の確保策や、入国管理規制・テロ目的の資金移動の監視、麻薬取引の厳格な監視、国際的な取り組みに対する協力等、国際テロ対策に取り組みます。テロの温床となっている紛争や差別、過激なナショナリズム、貧困問題の解決に積極的に取り組みます。

  • UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)等の国際機関やNGO、市民社会等との連携のもと、世界各地の難民問題に関する国際的な取り組みを支援します。我が国の周辺事態における難民の発生について対応策を検討します。

  • 国連改革を進め、安保理常任理事国入りを目指します。

経済外交

  • 日米通商交渉、RCEP等の自由貿易交渉を行うにあたっては、自由貿易の重要性を強調するとともに、自動車や農業分野などを中心に日本の国益を守ることを最優先に位置付け、日本が主体的・戦略的な経済外交を推進します。

  • 通商交渉経過の透明性を確保するため「重大通商交渉情報提供促進法案」の成立を目指します。

ソフトパワー外交の積極的推進

  • 日本と日本国民の文化力・我が国のソフトパワーを駆使して文化交流を促進し、NGOとの連携のもと、外国世論への積極的な働き掛けを中心とする戦略的なパブリック・ディプロマシーを強化します。世界の中の「文化立国日本」としての立ち位置を確立します。

  • 我が国への理解や交流の担い手を育てるため、海外における日本文化や、日本語教育の普及、留学生の招へいに努めます。また、海外留学等を推進し、ITを活用するなどした幼児期からの国際交流等も重視します。

核兵器のない世界の実現

  • 2017年7月、国連で核兵器禁止条約が採択されましたが、安倍政権はその交渉に参加すらしませんでした。唯一の戦争被爆国として、「非核三原則」を堅持し「核兵器のない世界」を実現するため、積極的に核保有国と非核保有国の橋渡しに取り組み、国際社会において主導的な役割を担います。