安全保障政策(現実的平和主義)

  • 戦後日本が追求してきた「平和主義」と「専守防衛」を堅持し、我が国を取り巻く諸情勢の変化を踏まえ、我が国の領土、領海、国民の生命及び財産を守るという観点や、集団安全保障に基づいて国際的な責任を果たすという視点からの新たな要請を不断に検討し、必要な対策をとっていきます。具体的には「現実的平和主義」を基本理念に、「近くは現実的に、遠くは抑制的に、人道支援は積極的に」を安全保障政策の原則としています。

  • 「近くは現実的」の原則に基づき、日本の領土・領海を着実に守ります。海上保安庁の体制を強化し、自衛隊やその他の政府機関との連携を深め、グレーゾーン事態に海上保安庁と自衛隊が適切に迅速に対応し 事態の深刻化を防ぐため、シームレスな対応を可能とする「領域警備法案」の成立に取り組みます。

  • 「遠くは抑制的に」の原則に基づき、安倍政権が強行に成立させた安保法制を廃止する「平和安全法制整備法廃止法案」や、日本から遠く離れた外国の領域や、地球の裏側に行ってまで他国軍の後方支援をすることのないよう、安保法制の必要な見直しを行う、「周辺事態法改正案」「国際平和安全法廃止法案」を成立させます。現実的な安全保障、立憲主義に基づき安保法制を改正します。

  • 「人道支援は積極的に」の原則に基づき、国連の平和維持活動(PKO)や災害派遣活動に、自衛隊の救命救急活動の強化や国会による監視など万全の体制を整備した上で積極的に参加します。国際的な人道支援活動のニーズに合わせ、DDR(武装解除・社会復帰支援)、SSR(治安部門改革)などの活動メニューを追加した「PKO法改正案」を提出しました。なお、現代のPKO5原則が国際社会のニーズに合致しているかを不断に検証し、国際の平和に「積極的に」貢献できる体制を整えてまいります。

  • 激変する安全保障環境に、日米安保体制をさらに安定的に強固なものにしていくことは、日本の安全のみならず、アジア太平洋地域の平和と安定にとって不可欠です。日本の外交・安全保障の基軸である日米同盟を深化させます。

  • 日米同盟を基軸に、現実的な安全保障体制を構築していきます。中国の急速な軍備拡大の状況、頻繁な領空・領海侵犯、ロシアによる北方領土への新型ミサイル配備や北朝鮮のミサイルの脅威など、変化する安全保障環境や、防衛技術の進歩、サイバー、宇宙などの新たな領域等に対処できるよう、専守防衛に徹しつつ、効率的で効果的に、日本の防衛力を維持・整備します。例えば、いずも型DDH護衛艦へのF-35B搭載等は、広範な排他的経済水域を守る上での効果的な運用についても、あくまで憲法の許容する、必要最小限の実力の範囲内に留めるよう、歯止めを検討してまいります。

  • 防衛予算の規律を取り戻します。厳しい財政状況の中で、効率的な防衛調達を進めるべきです。安倍政権はイージスアショア2基*1や、最新鋭戦闘機F35、147機*2の調達を決めましたが、米国からの兵器調達「対外有償軍事援助(FMS)」は、増加を続け、2011年度の約10倍、約7000億円に達しています。防衛予算は過去最大となり、硬直化も危険なレベルです。防衛予算を厳しく見直します。
    *1 2基で2400億円、30年間の維持運営費を含め4389億円。
    *2 一機116億円の見積もり(一兆円超)

  • 日米地位協定は“現代の治外法権”ともいえる不平等協定と指摘されています。日本政府はすべての基地管理権を米軍へ委譲しており、日本の国土、領空、領海の管理に空白地帯を生じさせています。事件事故が発生した場合にも日本の公権力が及ばない状態が放置され、各種訓練の事前通知なども不十分なままとなっています。米軍、軍人、軍属、その家族に対する国内法の原則順守、日本による米軍基地の管理権などについて、米国と協議します。利便性の向上にもつながる、横田、岩国空域及び管制権の返還を求めます。

  • 在日米軍再編に関する日米合意を着実に実施し、抑止力の維持を図りつつ、日米地位協定の改定を提起し、沖縄をはじめとする関係住民の負担軽減に全力をあげます。約9千人の海兵隊員を国外移転し、嘉手納以南の土地返還を実現させます。

  • 在日米軍の配備態勢は、日米同盟の実効性を担保しつつ、時代や技術の変化とともに不断に見直すべきです。沖縄の民意を尊重し、軟弱地盤の問題もある名護市辺野古の埋め立ては中止し、在日米軍専用施設の7割が集中する沖縄の負担軽減を求め、同県内の移設を前提とする現行の普天間飛行場返還計画を見直します。

  • 東南アジア諸国の海洋警察力などのキャパシティ・ビルディングを支援しつつ、域内諸国との二国間・多国間の安全保障協力・交流を促進していきます。

  • イージスアショアの配備については、国民に対し費用対効果を含む戦略上の必要性について納得する説明が尽くされていること、さらに、配備候補地に対し、候補地の適正性、健康被害、安全確保体制等について、正確で詳細な説明を行った上、地元の合意を得ない限り配備しません。

北朝鮮問題(核・ミサイル・拉致問題)

  • 米朝関係が対話局面に転換し、2018年6月及び2019年2月末に2度の米朝首脳会談が行われましたが、北朝鮮の「完全で、検証可能で、不可逆的な非核化(CVID)」にコミットする意思はいまだ示されていません。日本をはじめ、国際社会は一致して、北朝鮮が完全な核・ミサイル廃棄に向けた検証可能な具体的な行動を起こすよう制裁を維持すると同時に、米朝の対話の継続に全面的に協力して行くべきです。

  • 完全な非核化と日本を射程にするミサイルの廃棄が確実にならない合意では、日本に対する核・ミサイルの脅威が固定化してしまいます。日本も当事者として、国際社会と協力し非核化のプロセスにおける査察・検証などに人的・技術的協力を行う用意があることを示し、積極的に関与していくべきです。

  • 米朝間の非核化の対話の進展とともに、ミサイル・拉致問題の包括的解決を進めるべきです。日本は「拉致問題の解決なしに経済支援はない」という姿勢を貫きつつも、米朝対話に並行して、自らの努力で北朝鮮との対話へと持ち込み、打開策を見出すよう最大限の努力をすべきです。

  • 北朝鮮に拉致された被害者及び被害者のご家族の高齢化が進んでいます。主権と人権の重大な侵害である拉致問題について、これまでの関係者が一体となって取り組んできた国際世論への喚起が身を結び、国連人権理事会が拉致問題を「人道に対する罪」に認めました。今後とも国際社会と連携して断固たる措置を実施し、「特定失踪者」も含め全ての拉致被害者の救出に全力をあげます。

  • 拉致交渉等を政府拉致対策本部及び警察で行い、外務省も含めたオールジャパンで取り組みます。米国をはじめ、関係各国の協力も得ながら、直接交渉への道筋に向けて、全力で取り組みます。

主権・領土

  • 尖閣諸島が我が国固有の領土であることは歴史的にも国際法上も疑いがなく、現に我が国はこれを有効に支配しています。同諸島を巡って解決すべき領有権の問題は存在せず、今後とも平穏かつ安定的に維持・管理していきます。

  • 我が国固有の領土である北方領土については、四島の帰属の問題を解決し平和条約を締結すべく、これまでの日露間の諸合意及び法と正義の原則を基礎として、ロシアとの交渉を進めます。

  • 主権を曖昧にした二島(歯舞群島、色丹島)の先行返還は受け入れられません。日本政府の北方領土に関する主張が後退したと受け取られないよう、政府が北方領土四島の主権を対外的に周知していくように求めます。

  • 日露間の経済協力については、領土問題が解決しないまま、過度な経済協力を約束させられることがあってはありません。国益を損ねるようなことがないよう交渉を注視していきます。

  • 我が国固有の領土である竹島の問題は、国際法に従って平和的な解決を粘り強く求めていきます。

  • 排他的経済水域等の根拠となる離島の命名等、引き続き「海洋国家」として離島の安定的な維持・管理のための取り組みを進めていきます。

  • 国際的な企業活動等に従事する在外邦人・企業の安全を確保するための態勢を構築します。