玉木雄一郎代表記者会見

2019年9月18日(水)15時01分~15時35分
発行/国民民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/R3VPoOwf6gk


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○日米貿易協定「25日にも署名」報道について

【代表】
 日米貿易協定についてでありますが、安倍総理が国連総会出席のために訪米した際に、25日にも日米首脳会談を開催して、先月大枠合意をした日米の貿易協定について両首脳が署名するという報道があります。
 既に私、ここでもお話ししましたしブログにも書いていますが、そもそも今回の貿易協定自身がWTO協定違反の可能性があると思っていますので、そういった自由貿易の枠組み自体に反するようなことを国民に何の説明もないまま結んでしまうということについては大変懸念しておりますので、速やかに国会を開いて、中身について、全く国民にも国会にも明らかにされていませんから、しっかりと説明を求めていきたいと思います。

○新制度での携帯電話料金について

【代表】
 次に、携帯電話の料金についてでありますが、NTTドコモさんが携帯電話の新料金プランを公表しました。これで通常国会で改正をした電気通信事業法に沿った大手3社の料金プランが出そろったことになりますが、もともとこの見直しは菅官房長官が、日本の携帯料金は高いので4割程度は引き下げが可能ということで始まったわけです。ただ、携帯の端末料金と通信料金を合わせた例えば2年間の支払いの総額で見るとほとんど変わっていないので、菅長官の顔に泥を塗られた形になっているのではないのかと思いますし、もともとマーケットで決まるべき携帯料金に政治・政府が、官邸が介入すること自体、無理があったのではないかと思います。
 楽天の三木谷さんが携帯電話に参入するということで、ちょっと遅れているという話もありますが、こういう新しい、半額ぐらいになると言われている4社目の携帯電話サービスが始まることによって、適正な市場原理が働いて料金が下がっていくことを期待したいと思っていますので、その意味では楽天にも頑張ってもらいたいと思っています。


■質疑

○携帯電話事業への新規参入について

【フリーランス・堀田記者】
 三木谷は結局は他人のふんどしで相撲をとるようなことをやって、それでとにかく長引かせて、それをやる予定にしている。とにかく、ちょっとたるんでいる。

【代表】
 基地局の整備が遅れているというふうに言われていますが、また新しい基地局をかなり独自につくられておられるということらしいですが、とにかくサービスが使う側にとっていいものが提供されて競争がしっかり働くということが大事だなと。
 私も、携帯料金高いと思いますよ、本当に。若い人にとっても、もう不可欠なものになってきていますからね。災害のときに情報を得る手段としても、もう生活必需品と言っていいのでしょうね。ですから、やはりもう少し安価にさまざまなサービスが使えればと思いますから、ぜひ楽天さんにも頑張ってもらって本格参入をきちんと成功させてもらいたいと思っています。

○立憲民主党との統一会派について(1)

【フジテレビ・高橋記者】
 統一会派について、今現在の進捗状況と、あしたの党首会談に対する見通しなどを教えていただきたい。

【代表】
 あした、もう時間は決まったのかな。今、鋭意最終的な調整を幹事長中心にやっていますので、あした円滑・円満にできればなと思っております。

【フジテレビ・高橋記者】
 あしたので党首会談で具体的にどのようなお話をされるご予定か。

【代表】
 幾つかのことを決めようと思っていますが、それも最終的には幹事長が調整しています。
 国会も10月4日からと言われていますから、会派運営協議会を具体的に回していかなければいけませんから、それこそ安倍さんとトランプさんではないですが大枠合意をして、詳細なものは会派運営協議会で決めていく、ということを決めていくのだと思います。

○韓国「日本をホワイト国から除外」措置について

【日本経済新聞・島本記者】
 きょうから韓国政府が日本に対して輸出管理を強化ということになったが、一連の韓国政府に対する受けとめをお願いしたい。

【代表】
 理由がないと思います。
 これは日本政府にも私は申し上げていますが、自由貿易を制限するときには幾つかの根拠が必要で、一つは安全保障上の貿易管理ということで、当該物質あるいは物品が安全保障上の障害になる、あるいは武器等に転用される可能性があるというものについては、安全保障の観点から貿易管理の強化ということができます。日本もそれにのっとって行っている範囲においてはWTO協定に合致していると思いますから、ほかの理由で貿易を制限するようなことはあってはならないということは日本政府には申し上げてきました。
 そのことに関してはしっかりと韓国側とコミュニケーションしているけれども、韓国側がきちんとやっている確証が得られないのでホワイト国から外すということで、一応説明は聞いております。そのことをしっかりと証拠に基づいてWTOでもしっかりと説明をしてもらいたいと思います。
 一方、韓国の主張については、報道で見る限りにおいては、そういった日本が何か貿易管理、特に安全保障の観点から不適切なことをしているから外すということではなくて、今回の措置の報復措置としてやっているということで、WTO協定上も根拠はないのではないかと思います。こういったことは適切ではないし、やめるべきだと思います。

○福島第一原発の汚染水処理について

【日本経済新聞・島本記者】
 福島第一原発の汚染水処理について、前の環境大臣が、希釈して放出するしかないとおっしゃって、この前のIAEAの総会でも日韓のほうで問題になっているが、この一連の発言についてはいかがか。

【代表】
 これも前に申し上げましたが、三つの原則が大事だと思うのです。
 まず何より大切なのは、科学的な根拠や科学的なバックグラウンドに基づいて判断し対応するということが一番です。やはり科学というか、しっかりとしたサイエンスに基づく対応ということがまず大事だと思います。
 その上で、科学だけではなかなか説明し切れない風評被害の問題です。この風評というのは、科学で全て説明できるのであれば風評被害は生じないので、そういった風評に対しての対応も必要だと。
 三つ目は、やはり地元の方々の理解を丁寧に求めていくこと。
 この3点がこうした問題については不可欠ではないかと思います。
 これまでも、つまり東日本大震災の前も、そして現在も、きちんとした基準を満たした、つまり基準以下のトリチウムを含む処理水に関しては海洋放出を、これは日本だけではなくて各国もしてきていますので、そこは冷静に、一体どういう基準であれば人体に影響がなくて、しっかり基準を満たしているということを確認できるのか。こういうことをきちんとまずやるべきだと思います。
 その上で、そうは言っても過去のああした過酷事故があったわけですから、風評被害などにも配慮しながら、地元の皆さんにきちんとした説明を丁寧にしていくということが大切だと思いますので、こういった三つの観点を持ちながら対応していくことが重要だと思っています。

【フリーランス・堀田記者】
 韓国は日本のこの放水のことを非難しているが、韓国もやっている。日本の8倍もの値でやっていて、この前、竹本さんに対してIAEAの会議で言っているのは、まさに盗人たけだけしい。あの韓国という国は。韓国の周りでとれた魚がどういったことになっているかということも全然発表していない。
 ただし、地元の吉野さんに言わせると、まだ福島第一原発の敷地内にタンクを建てる場所はたくさんある、だからとにかく漁民を泣かせてくれるなと。私は原田さんとも親しいし、吉野さんとも親しいので、いろいろと我が心は迷っているが。確かに風評被害というものはあるが、とにかく韓国よりまともにすばらしいことをやっているのが日本だ。小泉さんは、一石を投じてはいけないと言っているが、経験がないからああいったことを言っている。よく環境大臣を叱ってやってください。

【代表】
 国会で頑張りたいと思います。
 改めてですが、やはり科学に基づいてきちんとやるということがまず大事だと思います。今も冷却水が、当然原発は冷やさなければいけませんから、どうしてもそういった一定の処理水が発生する。ALPSを初めとしたさまざまな核種を取り除く機械はありますが、どうしても、水に近い構造なのでトリチウムというのは技術的に取り除くことが非常に難しい。これもこれからの技術の発展の中で、世界から応募すれば、コストとの兼ね合いだと思いますが、安価にトリチウムを取り除く技術が出てくることもあり得ると思いますから、それは募集すればいいと思います。ただ、世界でも、これまでも基準を満たした基準以下のものについては海洋放出しているので、そこはやはり冷静に対応していく必要があるのかなと。
 ただ、福島の皆さんは大変な事故のもとで、風評被害にも苦しんでこられたので、その科学(的基準)を満たすことはまず必要条件として、その上で、やはりしっかりと皆さんの理解を得られるように説明をして、風評被害にも配慮しながら対応していくことが必要だと。
 韓国側の主張は我々としては受け入れられないと思いますし、日本としては適正にしかるべきことをしています。残念ながらWTOで負けてしまいましたが、水産物についても我々はきちんとした線量のチェックもした上で大丈夫なものを輸出しようとしているわけですから、韓国が課している我が国の輸出水産物についての規制というものは早く撤廃していただきたい。そのことは改めて求めていきたいと思います。

○消費税増税について

【朝日新聞・伊藤記者】
 消費税について何点か伺いたい。10月1日まで2週間を切った段階で、国民民主党として凍結とおっしゃっていたことについて、この9月の間に具体的にどういうことをされていくのか。また、予定どおり上がった場合に減税法案を出すことの真剣度というか現実味をどういうふうにお考えか伺いたい。

【代表】
 この前、野党国対間で、我々としては8%に据え置いて10%に上げるなということを参議院選挙でも主張してきましたので、上がる前には上げない法案、上がった後には8%にとどめ置く法案、こういったものを検討してはどうかということで、今、各党持ち帰って政調部門を中心にやっておりますが、今まで言ってきたことと整合性をとるのであれば、減税を求める法案を出していくのは一案だと思います。実際に始まってしまった後、またそれを戻すことは非常に、技術的と現場の混乱も踏まえてなかなか難しいという意見も出てくるかもしれませんが、整合性をとるのであれば8%に引き下げる法案を検討するのも一案かなと。
 仮に一回上がったものを今から引き下げるということがなかなか難しい場合であっても、私はずっと申し上げているインボイスだけはやめたほうがいいと思います。これは導入に相当年月をかけて入れていくのですが、やはりインボイスを求められることになるわけで、そうすると今の免税事業者、売上1000万円以下の業者はインボイスを発行できませんから、そうすると仕入れの税額控除を取引先が受けられないので、もう取引から排除、取引排除を受けますので、たぶん廃業が続出すると思うのです。もうこの機会にやめちゃおうと。
 ですから、8%から10%に上がった際に幾つか我々として対応していかなければいけない政策を法案の形でまとめていきたいと思います。まずは8%に戻すということ、軽減税率をやめるということ、あるいはインボイスはもうやめると、幾つかメニューがありますが、それは具体的に10%に上がった後に、これは現場の声も聞きながら、最終的にどういうことを我々として求めていくのか。また、野党全体として、共通政策として何をメニューとして訴えていくのか。今、それぞれに党で検討していますので、その検討結果をまとめた上で、また党をまたいで協議もしていきたいと思っています。

【朝日新聞・伊藤記者】
 その際に、消費の下支え、要は景気への影響と今までおっしゃっていたと思うが、反対に将来世代まで見通したときの社会保障の持続可能性を考えたときに、総理は10%は10年ぐらいは上げる必要ないとおっしゃっているが、玉木さんご自身も、10%に上がったとしても当面これはそのままでいいというお考えか。社会保障の財源についてはどうお考えか伺いたい。

【代表】
 これから社会保障給付がふえていきますから、当然それに伴う安定財源が必要だと思います。
 消費税ということに、どちらかというと今まで一本足打法で頼りがちだったのですが、私も参議院選挙で訴えましたが、これからの10年、特に輸出にはあまり頼れない経済になっていくと思います。なぜなら、米中の貿易戦争がしばらく続くと思うからです。そうなるとやはり鍵は内需で、しかもGDPの6割を占める消費をとにかく活性化しない限りは日本経済はもう浮上しないと思います。そうすると、消費にはなるべく悪影響を与えないような税体系にしていかなければいけないと思っていますので、もちろん消費税というのは基幹税の一つでありますが、それ以外の財源確保措置が本当にないのかということを総合的に考えていかなければいけないと思っています。
 我々は、金融所得課税とか、所得税の見直し、資産税の見直し、あるいは、内部留保がこんなにたまっていて、にもかかわらず世界的に進む法人税減税みたいなことが、本当にこのまま進むことでいいのかということも含めて、総合的な税体系の見直しをしていきたいと思います。
 また、社会保障の財源ではありませんが、教育や科学技術の予算については、私が従来から申し上げている「こども国債」を発行して、しかも今、50年・100年の低金利、マイナス金利ですから、超長期の国債でそういった将来の人材がふえるような支出・投資については国債発行して、浮いたお金をむしろ社会保障の安定財源に回していくというような、総合的な財源見直しの議論をしっかりしていきたいと思っています。

○「たまきチャンネル」でのN国・立花代表との対談について

【J-CAST・工藤記者】
 先日ユーチューブのチャンネルに上がっていたN国の立花さんとの対談について、党内から、あり得ないという声が原口国対委員長から上がったりしている。二つ伺いたいが、そもそもこういった対談が実現したきっかけというか、どういった形で対談しようとなったのかが一つ。もう一つは、今回非常に笑顔で、いい雰囲気で対談されていたが、今後のN国さんとの距離感というか向き合い方、今後党として連携するとか、そういったことは方向性としてあるのか、今後の方向性について伺いたい。

【代表】
 まず後段の質問からお答えしますが、「たまきチャンネル」は私が代表になる前からやっている個人チャンネルなので、あくまで今回も個人の立場でやったものなので、党として何かということにはつながらないので、その点はご理解いただきたいと思います。
 経緯については、前の回でNHK出身の我が党の議員である関健一郎さんとN国問題について議論し、それを先方がごらんになって挨拶に来られたので、それで撮ったというのが経緯です。

○立憲民主党との統一会派について(2)

【「FACTA」・宮嶋記者】
 あした3党の会派が当然できるものと私は思っているが、これは国会の戦闘力ということもあるが、実はこのままいくと連合が10月になると支持政党なしと機関決定をする。そういう流れにあるが、枝野さんあるいは玉木さんが連合にも働きかけて何かそういう関係をよくするという、それがまとまったら連合にもちゃんとというような、今は蚊帳の外だが、その辺のことは何かお考えがあるのか。

【代表】
 連合は30周年を迎えられるので、いろいろな経緯があって、この間、かつて分かれていたものが一緒になって、そして30年の歩みを刻んでこられた。そういった団結ということは大事なので、力が分散するのではなくてまとまっていくということは、これは労働運動においても政治運動においても重要なのかなと思います。
 我々も今回、分かれて選挙を戦ってみて、もちろんそれぞれ分かれていることによって個性がより発揮できるところもあるのですが、分かれていることによってまた力の発揮できないところもあるなということを選挙ではまざまざと感じたところもありますので、それぞれの党の個性を出しながら協力できるところをできるだけふやしていこうということでやっていこうと思っています。そこは連合さんともよく話し合いをしながら進めていっています。
 力を合わせて実現していかなければいけない政策課題や解決しなければいけない問題もありますので、力を結集できるところは結集していきたいと思っています。

○うどんチェーン店をめぐる話題について

【TBS・小林記者】
 政治とは直接関係のない話題だが、今、インターネット上でうどんをめぐる議論が広がっている。丸亀製麺をめぐって、香川県に関係ない会社だが「丸亀」という名前をつけるのはどうかとか、そういう議論がさまざま行われているが、この一連のことと、香川選出の議員としてうどんについて今どう思っておられるか伺いたい。

【代表】
 これは語ると長いんですよね。
 この丸亀製麺さんは、知っている方はいらっしゃると思いますし、知らない人はあれなのですが、トリドールさんという会社はもともと神戸の会社で、私が聞いているのは(創業者の)おじいさんが香川県の坂出の出身で、このうどんビジネスを始めるときに丸亀製麺という名前をつけて始められて、私はたしか初めて香川県に1店舗だけできたときに食べに行ったのですが、まあまあ美味しかったかなと。ただ、やはり激戦区・香川県ですから残れなくて撤退しちゃったのですね。
 でも、すごいなと思うのは、全国に、そして世界に、これだけ店舗展開できたというこのビジネスモデルは、香川県の会社ではありませんがやはり非常に驚嘆すべきことで、香川県のうどん屋さんとかうどんの会社からこういう世界展開できる企業が出てこなかったことは逆にちょっと悔しいなという思いはあります。讃岐うどんの名前を全国に広めてくれたのはやはり丸亀製麺の大きな功績の一つだと思うのです。
 ただ、やはり本場のうどんのほうがおいしいと思います。なので、丸亀製麺で讃岐うどんを知った方は、ぜひ本場の香川県に来て讃岐うどんをしっかり食べていただきたい。行く店に困ったら、私が案内しますから。ぜひ讃岐に来て讃岐うどん食べてもらいたいなというのが感想です。

○南シナ海問題について

【フリーランス・安積記者】
 南シナ海問題について伺いたい。日本もライフラインの一部がそこに入っているので関係ないわけではないと思うが、中国とほかの国との間に領海をめぐる争いがある。中国とフィリピンだが、2016年に仲裁裁判所が中国の請求を却下した経緯があるが、最近中国がフィリピン政府に対して、もし領海であることを認めればEEZの中の資源を折半してもいいという交渉を持ちかけているという話だ。日本のライフラインと多少関係があるし、また東シナ海の問題にもリンクしてくるのではないかと思うので、これについてのご見解を伺いたい。

【代表】
 南シナ海は我が国にとっても極めて重要な地域だと思います。アメリカは「航行の自由作戦」ということでやっていますが、やはり開かれた海ということは世界の経済あるいは自由経済にとっても極めて重要だと思いますので、もちろんそれぞれが権益を主張するとは思いますが、日本も含めた国々に自由に開かれた海であることが非常に大事だと思っています。

○台風15号被害(1) 政府の初動対応について

【NHK・喜久山記者】
 台風15号の政府の対応について伺いたい。停電等、まだ被害が長引いているが、野党の一部からは、台風の被害がある中、11日に内閣改造をしたことについて批判の声も出ている。玉木代表はこの政府の対応についてどうお考えか。

【代表】
 本日11時半現在で、まだ4万9000戸が停電しているということですし、農作物にも大変な被害が出ていますから、そういった復旧・復興に全力を傾けるというのが今やるべきことだと思います。
 ただ、確かにご指摘のあったとおり、内閣改造の直後からずっとこの対応が続いているわけで、初動体制に不備がなかったかどうかというのは、これはもう少し落ち着いてからきちんと検証していかなければいけないと思っています。
 ですから、それも含めて臨時国会でしっかりと、時系列で一体どういうことをしたのか、特に防災担当の大臣・副大臣・政務官、また、停電に関することですから経産大臣・副大臣・政務官、こういった担当の方々がどういうことを任命以降したのかということについては、今後のことにも役立たせなければいけませんから、そこはしっかり検証していかなければならないと思っています。

○台風15号被害(2) 山林の災害対策について

【フリーランス・安積記者】
 今回非常に問題になっているのが、樹木がすごい数で倒れた。特に山間部の樹木が非常に大変な状況で倒れていて、それで被害が重なり、特に山間部で生活している人達の水道とかそういったものを遮断している。要するに山林政策の欠缺というか不足していたのではないか、山林がきちんと伐採され間伐され手入れされていたら防げたが、そうではなかったからここまでになったのではないかという批判もあるが、これについては。

【代表】
 鋭いご指摘だと思います。
 鳥獣対策もそうなのですが、山に価値があって戦後植えられた木で、伐採適齢期の木が多いにもかかわらず、国産材の価格がなかなか競争力がなくて搬出間伐もされないということで、山がほったらしになっている、そのことでさまざまな問題が生じているということはあると私は思います。その意味では今のご指摘は非常に重く受けとめて、我々としてもしっかり調査をして、だったらどういう対策が必要なのかということについても考えていきたい。
 鳥獣害の対策もそうで、人が山に入れば今ほどイノシシもシカもふえていないはずなのですが、やはり人が山に入る経済的インセンティブがなくなってきているので、山が荒れ、いざ災害のときにはああいうふうに大きな木が倒れたり、あるいはそもそも、竹林などが多いのですが、地滑りをしたりということになる。今回の災害対策の一環で、山林対策がどうあるべきなのかというのは、防災の観点からも考えていかなければいけないと思っています。

【フリーランス・安積記者】
 今回は千葉県とかだったので比較的ため池などがなかったわけだが、西日本だったら結構ため池が多い。例えば山の中に手入れされていないため池があると、それが決壊した場合は陸津波みたいな感じになる。某テレビ局は「ポツンと一軒家」みたいな感じで、ドローンを飛ばして、いろいろなことを細かくやっているわけで、これを何か生かしてそういう対策をやるというのはお金をかけずにできると思うが、このあたりは。

【代表】
 ため池の管理保全に関する法律が通ったので、これまで以上にため池に対しての管理保全は進んでいくと思いますが、ため池に限らず農地等の管理についても地理的な情報システム、これは複数あるのですが、そういったものをうまく活用する。今言ったドローンもそうですが、ランドサットが飛んでいるので、そういった衛星からも地上のさまざまな情報というのはわかるので、そういった分析が進むような、ITとか画像処理技術の向上というものを使いながら、未然防止あるいは災害が大規模化することを防止するようなシステムづくりということもこれから必要になってくると思いますので、農水委員会中心に取り組んでいきたいと思っています。