玉木雄一郎代表記者会見

2019年12月4日(水)14時00分~14時39分
発行/国民民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/I7uTOnWn1T4


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○横沢参議院議員が車椅子で初登壇

【代表】
 きょう、参議院の本会議で、冬季パラリンピックの元選手で国民民主党所属の横沢高徳参議院議員が車椅子で初登壇をいたしました。
 本会議場の演題に向かう階段にはスロープがございませんので、閣僚席から、後ろから遠回りをして登壇したわけでありますが、この国会から、つまりさきの参議院選挙から、そうした障がいを持つ、あるいは車椅子を利用された議員がふえましたので、我が党の横沢参議院議員も今回初登壇ということでありましたが、より一層、参議院だけではなくて衆議院でもバリアフリー化を進めていきたいと思いますし、国会が率先してそういう姿を見せることによって社会全体のバリアフリー化に国民民主党としても積極的に取り組んでいきたいと思っています。

○「令和の不平等条約」日米貿易協定の可決について

【代表】
 次に、本日午前、参議院本会議で日米貿易協定が可決・承認されました。これはもう何度も指摘をしてきましたが、とてもウイン・ウインとは呼べない、あえて言えば「令和の不平等条約」と言ってもいいぐらい非常に問題のある内容だと思います。加えて、国会審議の中でも、言葉は悪いですが、これほどうそをつきながら通した協定もないのではないかなと思います。
 非常に大きな問題を抱えておりますが、まず一つ、自動車に対する追加関税がこれでかからないという説明は全く納得のできないものでありますし、私も予算委員会で追及したように、むしろ追加関税の可能性が残っている、あるいは、そのことをむしろ認めた内容になっていると思います。
 加えて、関税率の撤廃の比率が非常に低い。特に日本車にかかる、自動車あるいは部品に対してかかる関税の撤廃の約束がとれていませんので、その意味では関税撤廃率が6割を下回るかもしれないという中で、WTO協定違反の可能性もあるということで、極めて将来に禍根を残す、再度申し上げますが「令和の不平等条約」と言っていいような大変問題のある中身が通ってしまったことは大変残念であります。
 ですから、これからも引き続きしっかりと我々としては注視、ウォッチをしていきたいと思いますし、交渉の第2ラウンドも始まると聞いておりますので、しっかりと追及は引き続きしていきたいと思っております。


■質疑

○野党連携について(1)

【日本テレビ・右松記者】
 昨日、国民民主党の若手・中堅議員らが、年内の立憲民主党との合流の協議を開始すべきだというような主張を玉木代表を初め執行部にされたということだが、この受けとめと、どういったあり方の政党合流、そして大きな固まり、こういったものをどういうふうにイメージされているか伺いたい。

【代表】
 従来、ずっと大きな固まりと言い続けてきました。ただ、相手が政党だったり会派だったりしますから、相手のある話なので、こちらから「この形式で」ということをあらかじめ決めることはできないし、これは交渉によって決まってくるものだと思っております。
 ただ、いずれにしてもしっかりとした、特に選挙を一体となって戦うためにどうしていくのかということは常に考えてきましたし、今も考えておりますし、いろいろなやりとりを水面下で進めております。ですから、これからさらにそういった協議を深化させていきたいなと、そう思っています。

○日本の捕鯨文化について

【「フランス10」・及川記者】
 昨日、パーティーのお土産の中に鯨のイラストを描いた1枚の用紙というか、そういう物が入っていたが、その心を伺いたい。

【代表】
 ありがとうございます、パーティーにご参加いただきまして。
 私どもはずっと、この捕鯨の問題について取り組んでまいりました。日本の長い伝統文化の一つだ、食文化だということで、IWCにも参加をして、日本のこうした文化を世界の皆さんに理解してもらう、そんな活動もしてまいりました。今般、商業捕鯨が再開するということになって、日本国民だけではなくて世界に対して、日本のこうした長年維持されてきた、鯨類を保護し、そしてまた利用していくという文化をぜひ理解してもらいたいなと。そういう観点で、来場者の皆様にあの下敷きを入れて配らせていただきました。

○「桜を見る会」問題(1)予備データ存在時点での「破棄」答弁について

【共同通信・中田記者】
 「桜を見る会」について伺いたい。菅官房長官が本日の記者会見で、「桜を見る会」の招待者名簿の電子データについて、5月の7から9日に削除したというようなことを言っているが、5月21日に内閣府が国会答弁で「破棄した」と説明した時点ではバックアップデータが残っていたことを認めた。要は、削除をされていたが、そのバックアップデータは残っていた時点で「破棄した」と国会答弁しているという話だが、こういった対応についてどういうふうにお考えになるか。

【代表】
 極めて問題です。
 内閣府はぜひ理解してもらいたいし自覚してもらいたいのは、公文書管理委員会を所管している省庁ですよ。そこが、5月の7日、9日で文書を破棄して、答弁した時点では電子データが残っていたのに、それも調べずに答えていたとしたら、それは虚偽答弁ですよ。かつ、意図的にそれやっていたとしたら、これは大問題です。
 今回、「桜」の問題、あるいは森友・加計学園のときもそうでしたが、やはり根本的に非常に問題だと思うのは、公文書の管理、つまり公的に保存されている文書やデータというのが国民みんなのものだという意識が全くないということです。とにかくその場だけを過ごすような、国会答弁だけ何とか乗り切ればいいというようなやりとり自体が国家の基本的なあり方として大問題だと思いますし、これは実は安倍政権の極めて本質的な問題がここに出ていると思っていますので、これは深刻な問題だと思っております。
 加えて、我が党としては既に法案としても提案をしておりますが、公文書の意図的な破棄や、あるいはその保存義務をきちんと果たせないことについては、罰則規定を設けて厳しく対応すべきだと。公文書管理のあり方についての抜本的な見直しを我々は提案していますが、ぜひこれを実現していかなければならないなと、改めてそう思いました。

【フリーランス・安積記者】
 今回すごく不思議に思ったのは、公文書というのは保存期間があり、その後は破棄なのだろうけれども、それから公にするというか国民の「知る権利」に応えて開放するというのがある。今回、1年未満というのは破棄を前提としていて、何も公開を前提としていないような設定の仕方だと思うが、こういう設定についてどういうふうにお考えになるか。

【代表】
 これはたしか私も国会で質問に立ちましたが、防衛省の例の日報の記録が、随時破棄していいと。使ったらもうそれはすぐ破棄していいということで1年未満の保存になっていたと理解していますが、これそもそも1年未満に指定すること自体が極めて恣意的にできるのですね。そういった指定のあり方自体についてもきちんとルール化しないと、まずいものは全部1年未満にしてなきものにするというようなことが役所の裁量で自由にやれてしまうこと自体、非常に問題だと思います。
 この会見でも何度も申し上げましたが、民主党政権のもとでも、私も招待を何人かしましたが、それは電子データで、エクセルのデータ形式で(名簿を)内閣府に提出をしていますから、きちんと公開することを前提に情報を集めているはずなのです。それを会が終わったからといって破棄するということ自体が極めて不自然だと思いますし、きちんと残すことを前提にしていたはずです。
 時の政権・権力にとって不都合なことは保存期間を自由に変えてどんどん破棄できるということになれば公文書管理の本来の趣旨が失われますから、そういったことも含めてルールの見直しと、それを破った者に対しては厳罰に処すということがセットで必要だと思います。

○自動車の排気ガス規制について

【フリーランス・堀田記者】
 さきの貿易のことに関連して。アメリカの現在の排気ガスの規定はダブルスタンダードで、トランプ流とカリフォルニアがある。カリフォルニアのほうがまともに進んでいて、ホンダさんはこれを採用している。確かに厳しいでしょう。プジョー・シトロエンなども。トヨタは、泣く子とトランプには勝てないというので、GM・トヨタ流でトランプのやり方になっているが。これをどう思うか、地球の将来を考えて。

【代表】
 非常に大事な問題だと思います。特にアメリカと中国がこのことに対してどう対応するのかということが温暖化対策や脱炭素を進めていく上では極めて重要だと思っています。油断していると、もう中国でも相当な規制を入れてきていますし、インドも含めてほかの国でもこういった対応は進んでいるので、そうは言っても、厳しい環境規制に対応した、そういった車づくりや製品づくりができないと長期的には世界の市場から取り残されてしまうと思いますので、そういった厳しい規制の中で鍛えられた商品を日本がしっかりと提供していくことがいずれにせよ大事になってくるかなと思います。その意味では、環境に配慮した、あるいは地球温暖化に対応した製品づくりや技術開発ということが不可欠だと思っています。

○日米貿易協定について

【日本農業新聞・岡記者】
 日米貿易協定の話だが、冒頭、「不平等だ」というお話があった。自動車、要するにとった部分が限定的だという部分だと思うが、譲った点、特に農産品についての内容の評価と、あと第2ラウンドの話があったが、第2ラウンドで政府は自動車の関税撤廃期間をとりにいくという答弁をしてきたが、それについての見解を伺いたい。

【代表】
 まず、「令和の不平等条約」だと申し上げたのは、農産物では譲りに譲っていますね。TPPと同じ水準と言っていますが、TPP11で定めたセーフガードの基準は変わっていないので、事実上TPPよりも譲る形になっているのが農産物。加えて、TPPではそこまで譲って何とか、2.5%の乗用車についての関税撤廃、あるいはピックアップトラックについても30年での撤廃ということをかち取っていますから、かち取るものが何もないのにTPP以上に農産物を譲っている今回の日米貿易協定は負け以外の何物でもありません。
 しかも、第2ラウンドと言っていますが、医薬品とかいろいろなことについては交渉が始まっていくのでしょうが、自動車については全くアメリカはやる気を示していません。実際、今回ライトハイザー通商代表は記者会見の中で、自動車は含まれないということを明確に言っています。この英語の文章の解釈でも非常に、予算委員会でも私はこれを詰めましたが、将来の関税撤廃、自動車の関税撤廃は全く合意されていません。
 その意味では非常に不利な状況に置かれてしまったし、仮にですよ、農産物を交渉材料として差し出してこの自動車関税の撤廃をかち取ろうと思っても、もう多くの農産物を既に差し出してしまったので交渉のテコがありません。だから、たぶんこれからやるとしたら、もうコメを差し出すのでしょう。コメは守られたと言うのですが、そうではなくて、次にとられるのがコメとして残っているだけです。非常に日本にとっても重要なコメについての関税の削減や撤廃が次に控えていることを覚悟しなければいけないということで、非常に日本としては、いわゆるアーリーハーベストということを急いだために、交渉はパッケージでやらないと意味がないのに、一部部分的に譲ってしまったことによって本来とるべきものをとるためのテコを失ってしまった状態に陥ってしまったことは、極めて日本の交渉力を下げることになってしまったということで、致命的な交渉結果だと思っています。

○参議院選挙における一票の格差について

【日本経済新聞・島本記者】
 一票の格差の問題について伺いたい。先ほど、4月の参院選について東京高裁が「合憲」と判断した。参院選をめぐって全国16件起きたうちの最後の判決になったわけだが、受けとめをお願いしたい。

【代表】
 それなりの努力はされてきて、合区も導入したということで、一定のそういった評価なのだと思いますが、ただ、合区のあり方についても我々は憲法上あるいは法律上見直したほうがいいのではないかと考えております。というのは、人口ということだけをとって憲法14条の平等性が果たして図れるのかどうか。私も実際に高知県・徳島県の合区で選挙したことありますが、その選挙期間中に一度も街宣車の声を聞くことができない、そういう国民が現に生じています。そのことは別の意味での不平等を生み出しているのではないかと思いますので、やはり合区の解消も含めた憲法上の根っこからの議論を進めていくべきではないかと思います。もちろん法律上で対応できるという意見もありますが、合区の問題についても憲法上及び法律上の議論をしっかりと進めていくべきだと考えています。

○終盤国会の対応について

【産経新聞・千葉記者】
 国会だが、国対のほうでは延長を求めていくということだが、それがなければ最終盤になってくる。内閣不信任決議案については代表はどのようにお考えか、お聞かせいただきたい。

【代表】
 2人も大臣がやめて、そして「桜を見る会」の問題などで非常に野党全体として追及を強めていますから、当然内閣不信任案を出すと、それはもちろん我々としても重大な決意を持って出していくということになろうかと思います。共同会派を組んでいますので、立憲民主党さんを初めとする他党とよくそこは相談をして最終的に決めることになろうかと思いますが、私としては出さない理由はないのかなと思うぐらい、先ほどの公文書の問題もそうですし、いろいろな問題がありますので、ここは我々としては厳しく政権に対峙していくということが必要ではないかなと。ただ、今、国対間で話が進んでいると聞いていますので、まずはそれを待ちたいと思います。

【NHK・米津記者】
 関連するが、内閣不信任案のほかに、総理や官房長官、萩生田大臣などの不信任を出すお考えがあるかということが一点と、野党側が要求してきた予算委員会の一般質疑について与党側が応じないということで、この予算委員長の解任決議案を出す考えはあるか伺いたい。

【代表】
 それも含めて、大臣あるいは委員長に対してどうするかというのは国会終盤のある種の国会戦略の肝となるので、それも含めて今パッケージで野党国対間で話をしていると思いますので、それを待ちたいと思います。ただ、やはり肝は内閣不信任案を出すかどうかということだと思いますので、「内閣を信任せず」ということで我々としては迫っていきたいと思いますし、安倍政権をかえて、よりよい政策・社会をつくるんだと、そういう気概を野党として示していくことが必要だと思っています。

○野党連携について(2)

【朝日新聞・小林記者】
 政党合流のことでお尋ねしたい。小選挙区を戦う上で一つの大きな政党になったほうが有利だというのが基本的に合流を求める側の見方だと思うが、一方で、野党側で候補者調整さえ済めば、一本化さえできればそれで構わないんじゃないかという見方もあると思う。その点について代表はどうお考えか。

【代表】
 仮に合流するにしても、選挙の目的だけでやると、それは有権者はよく見ていますから、そういうことで合流するということではなかなか国民の理解は得られないのではないか。仮に合流するのであれば、政策・理念、そういったことをしっかりと、公党同士ですから、よくすり合わせて、そして一体何を力を合わせて国民に訴えていくのかという、そういった旗。こういったものも明確にしていかないと、結果として有権者の皆さん、国民の皆さんのご理解が得られないと思いますので、今おっしゃったような観点は非常に大事ではありますが、国民目線から見れば、一緒になるなら何のためにやるのかということは、あわせてお示しをしていかなければならないと思います。

○自治体議員選挙・被選挙権の居住要件について

【フリーランス・宮崎記者】
 地方議員の居住3ヵ月間の要件に関してお伺いしたい。一部、来年の通常国会で議員立法という気運があるようだ。この居住3ヵ月だが、これまでも毎年のように多くの人が、当選したのにその地位をすぐ追われるという形になっていたり、あるいは、表沙汰にはなっていないが直前で断念している人というのは、この理由でやめた人は結構多い。政党の公認が出てから。刑事罰もとなるとちょっと厳しいかなと思うが、その辺のお考えを伺いたい。

【代表】
 我々国会議員は、その地域、例えば私は香川県第2区ですが、私がたしか最初に出たときは、その時点で私は香川2区に住民票はなかったと思います。国会ではこれは認められています。自治体議員選挙においては、その居住要件ということが課せられているのですが、実際私も候補者を口説いたことがあるのですが、どうしても3ヵ月より前に当該地域、同じ県内なのですが当該区域に住んでいなかったということで、出馬を断念したケースがあります。ここは、いろいろ人の移動が激しい時代ですから、よく検討して、何がベストなのだということをしっかり議論すべきだと思います。

○饗宴の儀における丸山議員の不適切言動疑惑について

【東京スポーツ・小林記者】
 丸山穂高議員が、饗宴の儀での行動について議運で取り上げられた件に関して、先週、玉木代表と牧義夫議員に対して公開質問状を提出していると思うが、回答期限が昨日で、先ほど本人のツイッターを見ると、回答がないということみたいだが、どのように対応されていくか。

【代表】
 国対で対応していると思うので、すみません、私自身は承知しておりません。

○「桜を見る会」問題(2) シュレッダー担当職員に言及した首相答弁について

【時事通信・近藤記者】
 「桜を見る会」の招待者名簿の件で、廃棄した当日の担当の方が障がい者雇用の方だと安倍総理が本会議で言ったことについて、あえて言う必要があったのかという疑問の声が上がっている。これについて代表の考えをお聞きしたい。

【代表】
 あえて言う必要はありません。働く場において、障がいを持つ方も、そうではない方も、合理的配慮の中で同じように働く環境を整えていくのが、それは政治の、特に政府の役割だと思います。何か、障がいがあるから不備があったかのように示唆するような発言を総理大臣はすべきでありません。これは強く、私は批判したいと思います。

○野党連携について(3)

【フジテレビ・羽山記者】
 合流話に関連して。先週の記者会見でも聞かれているが、以前インターネット番組で「一つの党より連立」という発言を代表はされていて、これについての考えは現時点ではどのようになっているか伺いたい。

【代表】
 先ほどもお答え申し上げましたが、一つの固まりというのはいろいろな形態があると思います。あのネットの番組で申し上げたのは、日本というよりも世界を見渡したときに、イギリスでさえ、かつての保守党・労働党というきれいな二大政党制にはなっていなくて、自由民主党が出てきたり、ブレグジット党が出てきたり、独立党があったり、非常に社会の多様化を映して多様化・多元化していっているのが実態です。かつ、そういった連立を組む国あるいは政府がふえてきているというのが、世界的な今の潮流なのかなと思っています。翻って日本を見たときに、いわゆる自公政権も自民党・公明党ということで連立を組んでいますし、1993年の小選挙区制度導入以降、むしろそういった連立ということが主流という実態を申し上げました。
 ただ、これからの一体として選挙を戦っていくという、そういったことに関してどのような形態がいいのかということについては、繰り返しになりますが、相手のある話なので、こちらから「これがベストだ」「これしかない」ということを申し上げるものでもないので、さまざまな可能性を探りながら、国会での対応は共同会派ということで一枚岩で今やっていますが、今度は選挙をどのように一枚岩でやっていけるのか。このことについてはあらゆる対応策があると思いますので、しっかりと関係する政党や会派と話を詰めていきたいと思います。

【産経新聞・千葉記者】
 合流の件だが、けさの執行役員会あるいは幹事長を初め役員とか幹部との意見交換の中で、きのう提起のあったことについて何か意見交換なりがあったかどうかということと、もしあれば何か内容を差しさわりのない範囲でご紹介いただければと思う。

【代表】
 当然、意見交換はありました。中身は、差しさわりがあるので言えません。

【フリーランス・安積記者】
 一つになるという意見だが、先ほど、選挙目当てだったら国民の理解を得られないとおっしゃったが、もう一つ進んで、果たして政党に対して国民が何を期待しているのかをうまく組み込んでいないのではないかという感じが、支持率の低下でちょっと見られる感じがする。たぶん国民の多くは、国民民主党については穏健な保守勢力みたいな役割を期待しているのに、保守なのか革新なのかわからないというところがあり、すごく関心のある人は熱烈に支持をするが、いまいち広がらない。今回の一つにまとまるというのも、何か選挙目当てに立憲民主と組んだら比例の復活がしやすいみたいなところが見え見えという感じがしていて、国民にしたら、選挙だけ、短期的な保身に走る議員と、もう少し長距離というか大きな視野で物事を見たい、時間的にも長いレンジで見たい国民との乖離がすごくあるような気がするが、そのあたりは。

【代表】
 鋭いご指摘だと思います。やはり、国民から我々がどう見られているのか。こういった動きについても、どう一般の国民の皆さんから、つまり永田町界隈のプロの人たちだけではなくて、広く一般のいわゆる無党派といわれる人たちからどう見られているのかという、そういった客観視してみる目、俯瞰して見る目というのは、おっしゃるとおり非常に大事だと思います。
 当然政党というのは、所属議員あるいは候補者を当選させるという機能が政党にとっては非常に大事な役割の一つではありますが、同時に、やはり掲げた理念・政策をしっかりと国民の中に訴えながら、そこに賛同を得ていくという、非常に大事な役割もあります。そういう意味では我々の改革中道、右に左に偏らず、極端なことを言わない、現実的で偏らない正直な政治を行っていくという国民民主党のアイデンティティと立ち位置というのは、単に我が党にとってだけではなく日本の野党あるいは日本の政治全体にとって不可欠な立ち位置だと私は信じていますので、この理念はかすむことなくしっかりと訴えていきたいと思っています。

○年金制度改正の議論について

【フリーランス・宮崎記者】
 いわゆる全世代型社会保障に関して、ここ1週間ぐらい読売新聞の一面で、後期高齢者の自己負担2割という話、それともう一つは、在職老齢年金の話ではなくなって、65歳から70歳までの人が保険料を払いながら年金をもらうときに、働いて保険料を多めに納めている人は例えば67歳の年の年金が月1000円ぐらい上がるというふうな話がどんどん出ている。特に後期高齢者になると、公明党が来年に先送りしたいが、財務省は前倒ししたいなんていう話も、全て野党抜きでされている。この件に関してどう思われるか。

【代表】
 社会保障というのは、政権がかわっても一人ひとりの生活に極めて重要な役割を果たしていきますので、もちろん与党間で議論することも大事なのですが、野党を含めた、要は国会でしっかりと議論することが必要だと思います。
 先ほどの、ある程度余裕のある高齢者の皆さんにご負担をいただくという方向性は理解はできますが、全体のパッケージでそれを示していただかないとなかなか判断もできないし、国民も当惑するのではないか。年金制度は基本的に報酬比例で、例えば厚生年金だと掛けた分ちゃんともらえると思ってみんなやっているので、基本的にはその原則でやるのも筋かなと。ただ、そのときに、もし余裕のある高齢者がいらっしゃるのであれば、所得税の累進を高めるとか、そういったものとセットで示さないとお金持ち優遇と言われるし、やはり全体像を税も社会保障も示して、その中で議論をし、国民の理解を得ていくことが必要だと思います。

○野党連携について(4)

【フリーランス・堀田記者】
 大きな固まりをつくって、高知の県知事選では見事に負けた。岩手は勝ち、埼玉も勝ったが。大きな固まりとなるということは、党が一緒になるということを玉木さん自身は認めていらっしゃるのか。

【代表】
 先ほども同じ質問をいただいているので、同じ答えになりますが、大きな固まりというのはさまざまな形態があると思っています。相手のある話なので、こちらが「こういう形態が大きな固まりですよ」と言っても、相手の意見も思いもあるでしょうから、そのやりとりの中で決まってくる面もあると思います。ただ、国会と選挙においてできるだけ一枚岩で戦っていくということは大事だと思いますので、そういった大きな目標・方向性の中で、その形態を今後詰めていくということになろうかと思います。

【フリーランス・堀田記者】
 毎年、年末になると民主党系の風物詩でゴタゴタと。これは国民は支持しない。ああ、またかと。だから選挙に勝てない。それは事実だ。玉木さん、あなたは国民民主党の代表なんですよ、国民民主党というのがあるんですよ。だから、出ていきたいやつは出て行けと、そのかわり金はやらないと、はっきり言ったらどうですか。そうすれば支持も上がりますよ。

【代表】
 堀田さんはいつもはっきりした口調ではっきりとしたご意見をいただきますが、もう繰り返しになりますが、私はこの国民民主党の結党の理念やアイデンティティは極めて大事だと思っています。日本の政治全体にとっても、この我々の中道改革勢力というポジションは維持していきたいと思いますし、日本の政治にとって不可欠だと思っています。
 その一方で、野党が今ばらばらになっている状況の中で、どのような力合わせができるのかという中で、国会、そして選挙という、主にこの二つの側面においての協力関係をさまざま模索してきましたし、模索している現状ということでありますので、年末になったから年中行事という話がありましたが、そういうことではなくて、もうそう遠くないうちにあるだろう選挙に対しての備えということは、これは野党の責任としてしっかり用意をする。国民の皆さんに選択肢を示していくということは民主主義を正しく機能させていく上でも不可欠だと思っていますので、それがどのような形態で果たしてできるのか。あるいは、やるべきなのか。これを、相手のある話ですから、しっかりと関係する政党や会派とコミュニケーションを深めながら決めていきたい、定めていきたいと思っています。

【共同通信・中田記者】
 合流に関連して。昨日は党内の若手・中堅グループが執行部に早期の合流協議の開始を要求したと。本日は、立憲民主党、国民民主党、社保、そういったところの若手グループが、「直諫の会」の方々だが、立憲・国民・社民党等に合流についての申し入れをされに行った。若手・中堅からこの時期になって合流に対する声が上がっている現状について、どういうふうにお考えになるか。

【代表】
 我が党は自由闊達な議論を容認する政党ですから、党内外とはさまざまな意見があれば自由に言ってもらえばいいですし、いろいろなコミュニケーションを深めていけばいいかと思います。
 ただ、我々は執行部ですから、いろいろなことを考えながらこれまでも党運営をしてきましたし、今も幹事長を中心にさまざまなシミュレーションも含めてやっておりますので、そういった意見も建設的に受けとめながら、よりよい解決策につなげていければと思っています。