玉木雄一郎代表記者会見

2019年12月25日(水)14時02分~14時44分
発行/国民民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/QnPVv00Dlns


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○自民・秋元議員の逮捕について

【代表】
 カジノを含むIR、総合型リゾート施設などを担当する国土交通省や内閣府の副大臣を務めていた自民党の秋元司衆議院議員が、IRへの参入を目指していた中国企業から現金を受け取って、賄賂を受け取っていた疑いがあるとして、東京地検特捜部に収賄の容疑で逮捕されました。重大な事案だと思っております。
 一体どういう利権の構造があったのか。また、参入を希望する外国のIR関連企業はほかにもありますので、他に同じような事案がないのか。徹底的に調査をする必要があると思っています。
 また、IR法の成立に至る過程についても検証することが必要だと思いますので、速やかに内閣委員会、また、予算委員会の閉会中審査の開催を求めていきたいと思います。

○かんぽ不正販売問題 郵政3社長の辞任について

【代表】
 次に、郵政グループ3社長が辞任の意向を示しておりますが、かんぽ生命の不正販売についての事案、そしてまた、総務省の対応については極めて問題だと思います。辞任されるということで終わらせずに、総務省、特に旧郵政省からかんぽ生命等に対する天下りについては、今回完全にうみを出し切るという観点から、やはり禁止をすべきだと思います。この天下りを根絶すること、これをぜひ確約すべきだと思います。


■質疑

○かんぽ不正販売問題について

【フリーランス・堀田記者】
 かんぽ関係だが、はっきり言って豊田商事以上の悪いことをしている。要するにおまわりさんができないような、玉木さんのような田舎のことは郵政の人が見て、あの権兵衛はちょっと体が弱っているとか、そういった人たちのやっていたのを裏切った。そのNHKのすばらしい番組を、「東洋経済」もやったし、西日本新聞もよく報道していたが、そのときにPTを開かないで、毎日がスクープして、NHKが鈴木の圧力に屈したということになって、かんぽ・NHK問題にしたのは全く間違っていると思う。何でそういうことをやるのか。

【代表】
 今回のことを機に、やはり旧郵政省・総務省の天下り官僚と、日本郵政グループ、また放送業界というところの、関係、癒着、こういったものをやはりしっかりと洗い直さなければいけないと思います。そういった、ある種の先輩・後輩の関係であるとか、さまざまな許認可権限を有している役所と、そこ出身のOBを受け入れている企業・組織との関係ということは、従来からさまざまな問題が言われていましたが、安倍政権の中である種、権力の長期化、緩みの中で、そういった問題が改めて今噴出してきているのだと思いますので、この問題については野党全体として厳しく対応していきたいと思っています。

【フリーランス・堀田記者】
 私が一番初めに言ったのは、半官半民である日本郵政がだましたこと、これは豊田商事以上の悪いことであって、要するに長年かけていた人がもらえなくなると。そういったのを、この前の会見を見たでしょう、私はあそこに4時間45分いたが、ろくな会見もできない。その事件が起きたときに、NHK問題は別にして、なぜPTを開かなかったのか。はっきり言って野党は目が節穴だと思う。

【代表】
 そこについては我々も反省しなければいけないと思います。一回放送もされたわけですから、そこでアンテナを張って感度高く、特に高齢者あるいは少し認知症を患っているような方々に対してだますような手口で不正に販売をしたということは、多くの善良な国民をだましたことになりますので、そこは私たちとしてももう少し早く対応すべきだったということは反省をしなければならないと思っています。

○立憲民主党との政党合流協議について(1)

【共同通信・中田記者】
 立憲民主党さん等との合流の話について伺いたい。昨日、立憲の福山幹事長が記者会見で、合流に関する合意等の時期について、年内にことさら区切るつもりでやっているわけではないが、通常国会が1月20日に予定されている前提の中で、おのずと時間的な制約がある、精力的に話し合いの場を持っていきたいとおっしゃっている。通常国会とか年内とか、そういった時間的な区切りについて代表はどのようなお考えを持っていらっしゃるか伺いたい。

【代表】
 福山幹事長がそうおっしゃっているので、年内ということは特にこだわらないということだと思いますが、通常国会が始まっていくということで、当然そういったものを念頭に置きながら、今、両幹事長間で本当に精力的に協議を進めてもらっています。私も報告を随時平野博文幹事長から受けていますが、きのうまででもう5回会っていますし、あしたも会うのですかね。ですから、私が近くで見ていても非常に精力的にやっていますし、かつ、それぞれの立場を主張し合いながら厳しい協議をしているということも聞いておりますので、まずはその協議を見守りたいと思っています。

【読売新聞・深澤記者】
 関連で。代表のお考えとしては、通常国会というのは一つの区切りになるとお考えか。

【代表】
 区切りというか、当然我々国会議員にとっては通常国会の開会というのは大きなイベントですからね。いろいろなスケジュール感、例えば衆議院総選挙ということももちろん頭に入れるべき大きなイベントの一つだと思いますが、通常国会の開会、衆議院の解散の時期、そういったさまざまな要素を勘案しながら両幹事長間で今精力的に詰めていると。ただ、問題は多岐にわたりますし、まだ根本のところでなかなか折り合っていないという話も聞いておりますので、まずは話し合いを積み重ねていくと。今の精力的な協議をぜひ継続してもらいたいと思っています。

【読売新聞・深澤記者】
 関連で。かねてから代表は3条件で協議されるということで、その3条件の二つ目、対等な立場での協議ということだが、幹事長間でもいろいろ議論がなされているようだが、代表として対等な立場での協議というのは具体的にどういうことをイメージされているか改めてお聞きしたい。

【代表】
 それぞれが理念・政策を掲げて結党した政党でありますから、それぞれの理念・政策を尊重した形で合意に至るということが大事だと思います。
 協議の形式としては、こうして何度も両幹事長が協議を積み重ねていますので、その意味では対等というか、それぞれ公党の交渉代表者同士しっかりといい議論ができているのだと思いますが、最後はそういった根っこのところの政策・理念のすり合わせができるのかどうかというところがやはり大事になってくるのかなと思います。

○自民・秋元議員の逮捕について

【産経新聞・千葉記者】
 秋元議員の逮捕と関連して。(共同会派の)安住国対委員長がカジノ禁止法案の提出に言及されているが、それについての代表のお考えをお聞きしたいのと、代表は、今も所属されているかどうかの確認も兼ねて伺いたいが、IR議連に名を連ねておられるかと思う。野党側にも比較的カジノを含むIRを推進する立場で活動してこられた方が今でもかなりの数いらっしゃるかと思うが、そのことと法案との整合性についてはどのようにお考えか伺いたい。

【代表】
 もともと私もIR議連の副会長です。今もたぶんそうだと思います。
 もともと民主党政権のときに、インバウンドを進めていこうという一つの起爆剤として、観光の活性化も含めたIRの検討ということを民主党政権の最後のほうに始めて、ただ、その後、政権交代してしまったので、我々としては法案等については民主党政権のもとでは成立させることはできませんでしたが、自民党政権になってこういったIR関連法ということで法案が成立し、最初プログラム法案が成立して、後は閣法でそれを補うような形で法案が成立したという経緯があります。
 私たちは、もちろんいろいろな考え方がありますが、そういったインバウンドをふやしていくための観光振興政策が必要だと思っていますが、それと、関係業者と癒着をして何か賄賂をもらって便宜を図るという話は別物だと思うので、そこは我々はしっかりと分けてきたと思います。もちろん我々は野党になってしまいましたので、そこは何らかの便宜を図るみたいなことはできないし、あり得ないと思いますが。
 ただ、実際にそういったことが今回明らかになりましたので、改めてそういった法案の成立の経緯も含めて検証するために、内閣委員会、予算委員会の閉会中審査を行うべきだと思います。

【産経新聞・千葉記者】
 禁止法案については。

【代表】
 成立してしまっている法案なので、いろいろな自治体の皆さんが期待して、それに基づいて計画を進めているところもあるので、予測可能性、法的安定性ということを考えれば慎重に考えるべきかもしれませんが、ただ、こうした問題が発生しましたので、一旦立ちどまって、本当にそのまま法施行していいのか、それに基づいてカジノを含むIRをつくっていいのかどうかについては多くの国民の皆さんが疑念を持っていると思いますので、禁止法案なのかどうかということはまだ中身をよく聞いていないのでわかりませんが、一旦停止をして改めて法成立の経緯を検証するような手続、プロセスは必要だと思います。
 禁止法案を野党としてまとまって出すかどうかについては、まずはこれから国対・政調部門でよく話し合ってもらいたいと思います。
 いずれにしても、一度立ちどまって検証することが必要だし、金にまみれてつくられたような法案であれば、あるいはその影響を受けてつくられたような法案であれば、やはりそれに基づいてIRをつくることには問題があると多くの国民が考えることも当然だと思いますので、一旦法執行を停止する何らかの手立ては必要だと思います。

○75歳以上医療費「一部2割負担」政府方針について

【日本経済新聞・島本記者】
 政府の社会保障制度改革の中間報告で、75歳以上の医療費負担の一部2割引き上げが書かれている。立憲民主党などはこれについて容認しない方針のようだが、国民民主党としてはどのように考えられているか伺いたい。

【代表】
 一般論で申し上げれば、今の社会保障制度のままであれば、働く若い人に過度に負担がかかる構造になっているのは事実だと思います。例えば健康保険組合の保険料についても非常に高くなっていて、そういったことが働く現役世代に大きな負担になっているということからすれば、負担能力のある高齢者に対して一定の負担を求めることはこれからの少子・高齢化社会の中では方向性としては不可欠だと私は思います。
 ただ、非常に生活に苦しい高齢者の方もいらっしゃるので、一体どういう所得で区切るのか、あるいは区切らないのか。仮に一律2割に上げたときにそれにかわる低所得者に対する代替策は何なのか。パッケージで示さないと、それだけをもっていいか悪いかは判断できないと思います。
 しっかりと党内でも議論をしていきたい。その前に、まず政府として、所得で区切った場合は一体年収何百万円から、現役並みの所得があるというのはどれぐらいにするのかということも含めて、今やろうとしていることを国民にわかりやすく説明することが必要だし、説明を求めていきたいと思います。

○立憲民主党との政党合流協議について(2)

【フジテレビ・高橋記者】
 立憲との合流協議について、先ほど代表は、幹事長同士の会談について、厳しい協議をしている、根本のところが折り合っていないとおっしゃったが、具体的にどういう点が厳しいのか。根本のところとは一体何を指すのか。言える範囲で教えていただきたい。

【代表】
 交渉の中身については言及を避けたいと思います。幹事長に任せていますので、必要であればまた幹事長から聞いていただければと思います。

【東京新聞・大野記者】
 立民との協議だが、行方次第では決裂の可能性もあるのかというのが一点。
 もう一点が、公然と立民との合流を訴えておられる議員さんも少なからずいる中で、協議が決裂した場合、こうした皆さんのことをどうなさるのか伺いたい。

【代表】
 協議が今進んでいますので、予断をもって何かを申し上げることは今の段階では差し控えたいと思います。

○共産党・志位委員長との党首会談について

【「FACTA」・宮嶋記者】
 先般、共産党の志位さんと会談し、三つの合意、それから「たまきチャンネル」にも出ていただいたと。国民の前身の希望のときには共産党と戦ったわけで、そういうのを水に流して、今の立憲と共産党の距離感に近づくような国民と共産党との関係、そういう狙いがあったのだと思うが、志位さんの印象と、過去の参議院選のときの、そういうのは水に流せたような関係になっていると見ていいのか伺いたい。

【代表】
 3点合意したということなのですが、立憲主義を守りましょう、つまり人治主義ではなくて法治主義できちんとやらなければいけないということ、格差を是正しようということ、多様性を認め合うということは、これは我々自身が大切にする価値でもあるので、合意したというよりもそこは当たり前のことを確認し合ったということで、何か新しいことをそこで決めたという認識ではありません。ただ、そういった大きな方向性について価値を共有したことには意味があると思います。
 選挙区の調整ですが、32の1人区を調整した参議院のようなことは衆議院ではできないと思いますし、するつもりもありません。もちろん非常にせっている選挙区で、候補者を一本化することによって小選挙区での当選確率が上がるようなところについては戦術的な調整ということはあり得るし、したいと思いますが、当然共産党さんが立てるところもいっぱいあるし競合するところも出てくると思いますので、その意味では、これまでのそういった関係は変わらないと思います。
 ただ、やはり漁夫の利を与えるようなことはいかんだろうと。さすがに、今、与野党の議席数があまりにも離れ過ぎていて、民主主義が正しく機能する観点から問題だということで、合意できるところにおいては戦術的な選挙区での調整ということはあり得るなと思っています。

○来年の抱負について

【毎日新聞・遠藤記者】
 たぶん、きょうはことし最後の定例会見だと思うが、来年に対しての、合流も含めての来年への抱負を一つ教えてもらいたい。

【代表】
 匍匐前進という感じですね。

【フリーランス・堀田記者】
 臥薪嘗胆でしょう。

【代表】
 臥薪嘗胆、匍匐前進、寛容と忍耐という感じですかね。

○立憲民主党との政党合流協議について(3)

【フリーランス・田中記者】
 この合流について、国民世論はほとんど盛り上がっていないし、はっきり言って関係者以外は誰も期待していない。この雰囲気の原因はどこにあると代表は自己分析していらっしゃるか。

【代表】
 これももう何度も申し上げていますが、今回合流することが、もうこれは完全に永田町の論理でやっているんだと思われているし、思われ続けるのであればやはり意味がないし、国民の皆さんには何らある種の期待感とかわくわく感が生まれないと思います。
 私が申し上げているのは、こういうことを、合流の協議が始まったことをある種一つのきっかけとして、なぜ我々は力を合わせなければいけないのか、力を合わせて何をするのか、国民のために、あるいは国民にとって何の意味があるのか、大義をこの機会に整理をしてしっかりお示しをしていかなければならないと思っています。
 それなくして単に数合わせをすると、結局選挙目的であるとか、あるいは一部言われているような政党交付金をめぐる合流なんだと言われて終わってしまいますので、そうではなくて、やはり「こういう政治をつくりたい」「こういう社会をつくりたい」「こういう政策を実現したい」という旗のもとに多くの力が結集するという姿を見せないとだめだと思いますので、今いただいたようなご指摘をされないような枠組みにしていかなければいけないし、それがないとやはり国民の期待は集まらないと思います。
 今回の協議、今はそこまでまだ議論が至っていませんが、技術的な調整事項にあわせて、まずはそういう大義をしっかりと議論して国民の皆様にお示しすることが不可欠だと考えています。

【フリーランス・田中記者】
 その大義の旗が、掲げられると思いますか。

【代表】
 掲げないと、今回の結集はもう永田町の数合わせに終わってしまうと思います。

【フリーランス・田中記者】
 枝野さんや福山さんを見て、そういう新しい、国民に寄り添ったという思想は出てこないと思うが。SNS上はそういう世論だ。

【代表】
 それはよく、私もひしひしと感じています。  もし野党がやるとすれば、一つはやはり経済政策だと私は思います。7年間アベノミクスをやってきて、どう考えても大企業中心で株主重視の経済政策をやってきたし、ある意味、それは効果を発揮したわけです。ですから、特定の人、特定の産業、特定の企業群は非常に豊かになっていますが、多くの働く人や、高齢者、若い人もそうですが、非常に生活不安を抱えていて、国民からはSOSが上がっているわけです。そのSOSをしっかり捉える経済政策、アベノミクスにかわる経済政策を打ち出していくことが大きな柱になるし、それを柱にして野党結集を図っていかなければいけないと私は思っています。

【フリーランス・田中記者】
 今一番の悲鳴は、やはり消費税だ。一番のSOSは。ばたばた潰れている。消費税を下げることに抵抗のある、下げることのできないあの人たちと結集して何の意味があるのか。

【代表】
 私は、前にも申し上げているように、本当に大きな経済危機があって消費が縮むようなことになれば消費税の減税もちゅうちょせずやるべきだと思います。そのことが野党結集の旗になるのであれば、非常に象徴的ですから、これは消費税を減税して、そして国民生活を守っていこうと、特に苦しい生活をされている人を守ろうというのは、一つの結集の柱になると思います。

○次期衆院選 候補者擁立・調整について(1)

【時事通信・御船記者】
 先ほど共産党の話の中で触れていた候補者調整について伺いたい。衆院選の候補者調整について、先日、立憲の枝野代表は、小選挙区で200以上が一本化できるとの見通しを示した。合流協議が進んでいる中ではあるが、立憲とバッティングしている選挙区などを含めて、野党間で全体としてどういうふうに候補者調整を進めていくべきとお考えか、日程感も含めて伺いたい。

【代表】
 一本化はいずれにしても、合流しようがしまいが野党の中でしっかりと一本化を図っていかなければいけません。少なくとも会派を組んでいる政党・会派の中では当然一本化を図るべきだと思いますし、会派を一緒にしていないところともできるだけ、一対一の構図に持ち込むことは現在の小選挙区制度をとっている以上不可欠だと思いますので。ある意味、自公と対抗しているわけですから自公以外の政党・会派とは全て調整をするぐらいの気持ちでやらないと小選挙区制度のもとでは勝利は難しいので、そこは丁寧な合意形成をあらゆる政党や会派と図っていきたいと思っています。

【朝日新聞・小林記者】
 関連だが、共産党との候補者調整について。共産党の志位委員長は先日、野党連合政権に協力してもらえるなら最大限の協力をするというようなことを会見でおっしゃっていた。先日、志位委員長と玉木代表は会談されたが、この共産党を含む連立政権への賛否というか、国民民主党としての態度というのを改めてお尋ねしたい。

【代表】
 これも申し上げましたが、自衛隊や天皇制において、我々は自衛隊は合憲だと思っていますし、憲法1条に書いている天皇制は維持すべき日本の重要な国体だと思っています。ですから、そこが相入れないということであれば、ともに政権を組むことはあり得ないという立場です。
 ただ、この前話をしたら、自衛隊についても天皇制についても認めると、政府に入るのであれば認めるということをおっしゃっていたので、そこはどのような立ち位置を共産党さんがとられるのかということで決まってくるし、もし天皇制も認めない、自衛隊も認めないということであれば政府には入らないということだし、入らないこともあり得るということはおっしゃっていましたので、ともに今の政権を変えなければいけないというところでは一致しますが、その結果でき上がる政府にどのように関与するかは共産党さんがどのような立場をおっしゃるかによって決まってくるのかなと。
 少なくとも、自衛隊と天皇制という二つの重要なものについて否定するようであれば、ともに政府を構成することはできないというのが私たちの立場です。

○農業政策のあり方について

【日本農業新聞・岡記者】
 年明けと同時に日米貿易協定が発効する。TPP等々含めて、かなりの国との協定が発効することになり、大分違う時代、局面を迎えると思う。改めて、いろいろな交渉もまだ残っている、ほかの国との交渉も残っているが、貿易交渉のあり方とか、それによって影響を受ける農業政策のあり方というのは、今後の時代に向けてどうあるべきと代表としてお考えになるか。

【代表】
 まず、農業についての考え方を根本的に改めなければいけないと思っています。
 さまざまな産業がありますが、単なる利潤追求であるとか効率だけでは説明できない要素を持っているのが、この農業という大切な営みの特徴だと思っています。特に、自然を相手にするということと、他の不動産と違って農地というのは土地調和要件というのがあって、その地域にいかに調和して存在するのかということが大切です。
 また、農業を担っている大きな主体として協同組合というのがあって、これはある意味、株主のようにお金を出した者が一番大きな権利を行使するというのではなくて、一人一票制度のようなもとで成り立っている。
 この農業ということについての特徴をしっかりと踏まえてやらないと、市場原理主義だけでこれを捉えると必ず大きなしっぺ返しが来ると私は思っています。ですから、食料安全保障ということを改めて重視をして、日本の農政を根本から見直していかないと、今のままでは、農業が廃れ、結局一次産業が重要な役割を占める地方が衰退していくことにもつながっていくのはもう明らかだと思います。
 加えて、輸出ばかりを偏重するような農業は、もう限界です。まずは、たくさんの国内需要を満たすために、どのように生産基盤を整えるのか。生産基盤というのは、農地と、それを担う人です。この二つをしっかりとどうやって育んでいくのかという視点なくして単に工業製品のように輸出拡大ということ一辺倒では、日本の農業はだめになってしまうと思います。  その意味では、今の安倍政権がやっている農政ではない本物の農政をしっかりとまとめ上げて、これも次の衆議院選挙で野党共通政策として国民の皆さんに、特に農村地域の皆さんに我々は自信を持って問いかけていきたいと思っています。

○日中関係について

【中国青年報・張記者】
 在京中国メディア、中国青年報の記者です。本年は日中両国の間で首脳レベルを含めてさまざまなレベルの相互往来を積み重ねてきましたが、今までの関係の発展の流れについてのご評価、そして来年の日中関係についてのご展望はいかがでしょうか。それに今後、野党外交として両国関係を促進するため、どのようにかかわっていくか、お考えを伺いたい。

【代表】
 まず、日中関係は、両国だけではなくて、アジア、そして世界にとって最も重要な関係の一つだと私たちは思っています。日中関係の安定的な発展ということが、これからの両国、世界にとって極めて重要だという認識の中で、相互の交流はこれまで以上に強化をしていくべきだと思います。
 党についての質問がありましたが、我々党間交流もぜひこれまで以上に積極的に進めていきたいと思いますし、きょう小熊慎司役員室長がいますが、超党派でも、特に次世代を担う政治家同士の若手の交流ということがこれからの日中関係においてはとても大切だと思っていますので、引き続き民主党・民進党の流れを持つ我々国民民主党は日中関係の増進・発展のために党を挙げて取り組んでいきたいと思っています。
 ただ、他方で懸念事項もございまして、例えば香港の問題であるとか、ウイグルの問題であるとか、国連からも一定の指摘がなされておりますので、ここはやはり国際社会の中で重要な役割を担うようになった中国がしっかりとその役割を果たしていただきたいと思いますし、世界的に人権の観点や平和の観点から懸念を払拭するような努力を求めたいと思います。
 こういったことをクリアしながら、今まで四つの文書というものを結んできましたが、五つ目の文書が結ばれるような環境をぜひつくっていただきたいし、双方がその努力をする必要があると思っています。
 ですから、円満な形で習近平国家主席を日本に招くことができる環境を中国側においてもぜひ整えていただきたいし、尖閣の問題についても公船の侵入事案が非常に高い頻度で起こっていますと多くの日本国民も心配になりますので、そういったことについても中国側の努力を強く求めたいと思います。

○国会議員の不祥事に対する対応について

【NHK・米津記者】
 議員の不祥事に関して二つ伺いたい。
 まず秋元議員について、ご本人は否定されている状況だが、逮捕を受けて議員辞職については代表はどのようにお考えか。
 二つ目が、立憲民主党の初鹿衆議院議員が知人女性にわいせつな行為をしたとして書類送検された件で、きのう離党届が受理された。他党のことにはなるが、合流に向けた協議も進めている中で、この処分についてはどのようにお考えか。

【代表】
 まず、前段の秋元司議員についてでありますが、もちろん議員には不逮捕特権はありますが、逮捕されたということは極めて重大であります。本人が否定されているので、そういった秋元議員の主張もしっかりと聞かなければなりませんが、しかし、こういったことが事実であれば当然これは議員辞職に値すべき案件だと思います。最後は政治家の出処進退は本人が決めるものだと思いますが、ただ、事の重大性に鑑みて、本件については当然議員辞職に値すべき案件だと思いますし、所属している政党である自民党がどのような処分をするのか、その責任も問われると思います。
 初鹿議員については、強制わいせつで書類送検されたと承知をしておりますが、性犯罪に対して厳しく対応していくというのが、今、日本だけではなく世界の潮流になっておりますので、その被害を受けられた方の人権や女性の権利ということを尊重するのであれば、やはり厳しく処分すべき案件ではないか。私も個人的に初鹿さんはよく存じ上げていますし、国会の質問を聞いていても非常にいい質問をされていることもこれ事実です。ただ一方で、性犯罪ということに対して厳しく対処していくことが必要であるということを特に我々野党側は言っているわけですから、ダブルスタンダードと見られないような対応はやはり不可欠ではないかと考えています。

○ことしの漢字について

【司会・小熊慎司役員室長】
 それでは、最後になりましたが、ことしの玉木代表の漢字一文字を発表させていただきます。

【代表】
 ことしの漢字は「継」。継続の「継」なのですが、一番大きいのは、やはり皇位継承が円滑に行われたということだと思います。
 あと個人的に言うと、息継ぎ息継ぎしながら何とかつないできた1年だったかなと。いろいろな、必ずしも簡単なことばかりではなかった1年だったと思いますが、多くの仲間の助けもかりながら、息継ぎしながら何とかしのいできた1年だったかなと思います。
 来年に向けては、いいことは継続していきたいと思いますし、悪いことは断ち切って、よりよい1年になればなと期待をしております。

○次期衆院選 候補者擁立・調整について(2)

【フリーランス・堀田記者】
 選挙協力ということになった場合、国民民主党の人は後ろ指を指されない人を出してください。前の17年の総選挙のときに東京16区で、自民、希望はたむけんちゃんが出たが、そのときに立憲では初鹿君が出た。共産党さんは、選挙協力したかどうか知らないが、12年・14年には出しているが17年には出していない。私がいろいろ調べたところ、要するに選挙協力だということで、初鹿でやると言われた。それでこういった結果だ。初鹿さんは、この書類送検の前の事件で、民進党の青年局長にいたときに歌舞伎町のラブホテルに連れ込みに失敗したという大事件を起こしている。蓮舫さんのときだが。そういったのをあてがわれた共産党の人たちはたまったものではない、怒っている。

【代表】
 いい候補者をしっかりと選んで国民の皆さんに選択肢としてしっかりお示しすることは政党の役割だと思いますので、そういった人格、能力、しっかり見た上で公認をしていきたいと思っています。

【フリーランス・堀田記者】
 まだ合流するかどうかわからないが、年末年始、国民民主党の旗を立てて街宣しようとか、そういったことは玉木さんは言っていただけますか。

【代表】
 もちろん私はやろうと思いますし、党内は、きょう街宣用の原稿案もつくって各議員に配りたいと思っています。

【フリーランス・堀田記者】
 全部の候補者ですよね。

【代表】
 はい。

【フリーランス・堀田記者】
 例えば、きのう立憲さんは4選挙区に支部長というか公認者を出した。別にここで選挙協力ということではないが、決まっている人とか、そういった人に対してはっきりと、いつ選挙あるかわからないから国民民主党の旗を立ててしっかりやれということは言われるか。

【代表】
 もちろんです。