玉木雄一郎代表記者会見

2020年1月8日(水)14時00分~14時29分
発行/国民民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/xqA3hNWusf0


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○中東情勢の緊迫化について

【代表】
 イラン情勢が緊迫しております。けさ7時半ごろ、イラクに駐留する米軍に対してイランが十数発の弾道ミサイルを発射したとの発表がありました。イランの革命防衛隊も、報復措置としてイラクにあるアメリカ軍基地への攻撃を実行したと発表しております。事態は極めて深刻かつ緊迫した状況になっていると認識をしております。
 これ以上こうした事態のエスカレーションを防ぐために、日本としてはあらゆる外交資源を活用して、アメリカ、イラン、両国に自制を強く求めるよう行動すべきだと思います。特に安倍総理は昨年6月にイランを訪問してハメネイ最高指導者と面談し、また昨年末にはロウハニ大統領と面談するなど、イラン指導部との接点もありますから、今こそこうした日本外交をしっかりと機能させるべきだと思います。
 また、(首相の)中東訪問についてはどうやら延期ということになっておりますが、日本が長年中東の中で果たしてきた役割、これはアメリカやヨーロッパでは果たせない役割を日本は独自に中東と持っていますので、アメリカ一辺倒になることなく、今こそこの中東の緊張緩和に日本外交の役割を発揮すべきだと思います。
 また、政府は昨年末に閣議決定で海上自衛隊を中東に派遣することを決めました。このことに対して、事態が非常に緊迫化してきて状況が変わっているにもかかわらず予定どおり派遣するとの方針を維持しておりますが、これは見直すべきだと思います。
 安倍総理自身が中東訪問を延期すると、ご自身が行かないと決めているわけですから、自衛隊についても、やはり状況の変化ということを踏まえて一旦ここは立ちどまるべきだと思いますし、少なくとも調査・研究というあいまいな法的根拠のまま自衛隊の皆さんを危機にさらすわけにはいかないと思いますので、我が党としてもこうした状況変化の中で調査・研究を根拠に自衛隊を派遣することについては反対であります。
 いずれにしても、17日に安保委員会を中心に国会の閉会中審査が開かれますので、こうした場でしっかりと議論をさせてもらいたいと思っております。
 あわせて、この自衛隊派遣だけではなくて、IRの贈収賄問題、また「桜を見る会」の問題、そしてゴーン被告の出国問題、出入国管理の問題を含めて、国政上極めて重大な問題が次々発生していますので、速やかな閉会中審査を求めたいと思います。


■質疑

○立憲民主党との政党合流協議について(1)

【毎日新聞・遠藤記者】
 昨夜、立憲民主党の枝野代表と会談されたと思うが、会談された際の内容と、次回の予定等もしあれば教えていただきたい。

【代表】
 中身についてはコメントは差し控えたいと思いますし、次回の予定については未定です。

○中東情勢の緊迫化について(1)

【「FACTA」・宮嶋記者】
 同盟国であるアメリカ、あるいはトランプ大統領の、イラン要人の爆殺というのか、ある意味で宣戦布告なき戦争だということも言われるわけだが、そのこと自体をそもそも評価するのか。そこのところをまず伺わないといけないと思うが、国民民主党の立場はどういうことなのか、玉木さんの考えを伺いたい。

【代表】
 まず、イラクにおけるイラン(精鋭部隊)の司令官の殺害ということについては、国際法上認められる自衛の措置とそもそも言えるのかどうか、その国際法上の根拠も極めてあいまいで弱いと思いますので、そもそもアメリカの最初の攻撃自体が法的な明確な正当性のあるものかどうかも含めて非常に疑わしいと思っています。十分な証拠なり説明を米国政府からまず日本政府は求めるべきだと思いますが、少なくとも現在聞いている話であれば、極めて、そもそものアメリカの攻撃に国際的な法的根拠が脆弱だと思います。

○立憲民主党との政党合流協議について(2)

【共同通信・中田記者】
 党首会談の関係で伺いたい。玉木代表は4日の伊勢での会見で、吸収合併に関しては認めない考えをお示しだったが、きのうの党首会談を踏まえても、今も吸収合併は認められないというお考えに変わりはないか。

【代表】
 衆参一体で対応すること。
 それぞれ独立した政党であるので、対等な立場で協議を行っていくこと。
 参議院での信頼醸成を図ること。
 この三つの原則を常に頭に入れながら、これは両院議員総会でも説明した方針ですから、こういった方針をしっかりと、授権された方針に従って協議・交渉を進めていきたいと思いますし、進めていっているという認識です。

【西日本新聞・鶴記者】
 立憲民主党との協議について伺いたい。4日の会見で吸収合併について認めない発言をされているが、この吸収合併について認めないというのは、両党とも解党して新党を立ち上げるべきだというお考えであって、立憲民主党が存続政党として残るということは認めないというご趣旨での発言だったのか。

【代表】
 合流の方式についても、今、協議の対象となっていると理解していますので、現時点ではコメントは差し控えたいと思います。

【毎日新聞・遠藤記者】
 立憲民主党との協議の関係で伺いたいが、きのうの党首会談はどちらから呼びかけられたのかということと、次回の予定は未定ということだが、国会の開会が20日と言われている中で、その前までにはもう一度会うご意思はあるのか伺いたい。

【代表】
 きのうはどちらから呼びかけたかは、わかりません。幹事長間で話し合った結果、セットされたと理解していますので、私も承知をしておりません。
 次いつかについては、今のところ未定です。

【毎日新聞・遠藤記者】
 20日のことについては。

【代表】
 未定です。

【時事通信・近藤記者】
 年末に幹事長同士の会談で、一つの党を目指すという方向と、その他幾つか詰めの協議を行っていたが、きのうの党首の間でも一つの政党を目指すという大きな方針については一致したのか。

【代表】
 安倍政権のほころびというのが大変見えてきていて、これは年末年始、私自身、全国を回って感じましたが、「安倍政権を何とかしてくれ」という声が日に日に高まっていることは事実だと思います。そういったことに応えていく野党のしっかりとした構えをつくっていかなければならないということについては、私もそう思いますし、そういう方向性は両党首間で認識を共有していると思います。
 その力強い構えを、安倍政権に向き合っていく構えをつくる、そのやり方とか方式についていろいろなことを議論・検討しておりますが、そういった大きな方向性は共有しながらやっていきたいと思っています。

○IR誘致をめぐる贈収賄疑惑について

【「FACTA」・宮嶋記者】
 年末に逮捕者が出て、闇献金、たぶん週刊誌を含めてガンガンやると思うが、この異様な状況の中で、きのうカジノ管理委員会が発足して、月内にも国の方針でカジノのやり方を決める、半年以内に自治体の募集もする。こういう状況をそのまま前に進めていいのかと。そういうことに比べると正直言って野党の合流なんて本当に茶番で国民不在だと思うが、その前者について、野党はどういう責任を感じているというか、どう取り組んでいこうとお考えか。そういう状況の中で合流についてどうお考えなのか伺いたい。

【代表】
 重要なご指摘だと思います。
 まず、カジノに関しては、その立法手続、立法のプロセスも含めて、中身も含めて、本当に正当なものだったのか。例えば条文づくりや、あるいはそのプロセスにおいて、何か不当なお金が動いていないのか。ここを内閣委員会を中心に速やかにチェックすべきだと思います。そうしたお金にまみれた法律に基づく新しい事業の立ち上げであれば到底国民の理解は得られないと思いますので、まずは全容解明が行われるまではこのカジノの法律に基づく事業の執行ということは停止すべきだと思います。とてもこのまま進めていいものではないと思いますし、そもそも賛否の分かれる案件ですから、こういう贈収賄事件が出てきた以上は執行を停止すべきだと思います。その意味で、来るべき通常国会では、この執行を停止する法案を野党協力して出していきたいということで、今、検討しております。今のまま、何もなかったように物事が進むことはあってはならないと思いますので、全容解明するまではこのカジノの法律を執行停止する、それが野党としての責任だと思いますので、関連法案の提出を急ぎたいと思っています。
 おっしゃるとおりで、野党、我々が今、力合わせをどのようにできるかということを協議していますが、そのことがかえって野党間の連携を弱めたり、あるいは対立をむしろ強めたりしては本末転倒なので、国民の多くは、目の前に起こっているさまざまな問題、先ほど申し上げたようなIRや、「桜」の問題や、あるいはこの中東の緊迫化の問題、それに伴う世界経済の大きな影響、こういったものについてしっかり問いただしてくれというのが国民の多くの皆さんの思いだと思いますので、野党間の連携強化ということも大事なのですが、そのことによって今おっしゃったような本来やるべき追及が弱くなったり刀の切れが悪くなってはならないということは、しっかり肝に銘じてやっていきたいと思います。

○立憲民主党との政党合流協議について(3)

【共同通信・中田記者】
 合流協議について伺いたい。代表は4日の時点で、皆が納得するような結論を得ることが大事だと、合流の結論に関しては期限を設けない考えを示している。「刀の切れが悪くなっては」という今の発言にも絡むが、そういった観点で見た場合に、きのう党首会談をしたというのは野党の連携ないしは合流に向かって前向きな動きだというふうに捉えていいのかどうか伺いたい。

【代表】
 野党間の連携ということに関して言えば、野党第1党の党首と野党第2党の党首が会うことは、それはプラスであってマイナスではないと思います。合流がどうなるかについては、そこはもう交渉の中身なので言及は避けますが、しっかり連携を強めて安倍政権に対峙していこうという観点から言えば、それは第1党と第2党の党首が会ったことはプラスだと認識しています。

【共同通信・中田記者】
 結論について伺いたい。

【代表】
 結論については、もう今まで申し上げたとおりですから、やはり力合わせがちゃんとできることが必要で、力を合わせるかと思いきやむしろ力が弱まるようなことになってはならないので、そこはやはり丁寧な話し合いを積み重ねていくことが大事だと思っています。

○IR誘致をめぐる贈収賄疑惑について(2)

【フリーランス・堀田記者】
 カジノ関係だが、「野党」とおっしゃったが、ちょっと下地さんが絡んでいるが、この中に日本維新の会は入るわけですか。

【代表】
 入らないですね。たしか法案の賛否の際に維新の方々は賛成されておられますよね。我々は野党として反対をしたということですから。もし維新の皆さんも、今回所属議員も離党されるような形になったわけですから、やはり今の法律をそのまま執行するのはおかしいということでご賛同いただけるのであれば、ともに「やはりおかしい」ということで、今の法律に基づいて物事が進んでいくことは一旦立ちどまって見直そうということで思いを共有していただけるのであれば一緒に法案にも賛成してもらいたいなと思いますが、現時点ではどちらかというと与党に近い立場でおられるのかなという認識です。

○立憲民主党との政党合流協議について(4)

【朝日新聞・小林記者】
 2点、合流の件でお尋ねしたい。
 立憲民主党の赤松議員が新年会の中で、合流協議において人事なり政策について立憲主導でやるべきだということを改めて訴え、その中で玉木代表の人事についても言及されているが、それについての受けとめがまず一点。
 二つ目は、連合の神津会長がブログの中で、原発政策において、7月の参院選で「市民連合」が示した13項目の政策の中で、地元の合意がない限り再稼働はしないという表現については一致できるのではないかというようなことを書かれている。これについて玉木代表はどのようにお考えか。

【代表】
 赤松先生の話については特段コメントするものでもないと思いますが、あまりこう見おろす感じではなくて、対話は対等にしていくということで進めておりますので、もちろん立憲民主党よりは数が少ないということはありますが、私も党所属の国会議員や支援いただいている団体や皆さんの思いを受けてやっているので、そこについてはぜひご理解いただきたいと思います。
 神津会長がおっしゃったこと、ブログに書かれたのですかね。これは私も繰り返し申し上げていますが、いろいろな解釈の仕方はあるのですが、原発については、登るべき山の頂上は同じだと思うのです。原発に依存しない社会にしていきたい、エネルギー体系にしたいというのは共通なのですが、そこに登る、道の登り方についてさまざまな意見や考え方がある。ただ、我々も条件つき再稼働と言っていますが、かなり厳しい条件を課しています。世界一厳しい基準を満たすとか、国の責任ある避難計画をちゃんとつくるとか、地元の理解を得るとか、あるいは最終処分場の選定に向けたプロセスがちゃんと動いているとか、こういうことを言うと事実上なかなか再稼働は難しいということになろうかと思います。ですから、言い方、表現の仕方はありますが、大きな方向としては同じ方向を向いているというのが私の理解だし、神津会長も同じ理解でおっしゃっているのだと認識しています。

【フリーランス・安積記者】
 党名について、例えば互いに一回解体して「立憲民主党」という新しい政党の名前、同じ名前だが、これだったらオーケーかどうか伺いたいのが第1点。
 去年いろいろご苦労があったと思うが、ことしはまたすごいご苦労がありそうな感じなのだが、ことしのご苦労の量は去年に比べて多くなりそうなのかどうなのか伺いたい。

【代表】
 まず党名ですが、ここも交渉・協議の対象なので今の時点で何か申し上げることは差し控えたいと思いますが、かつて民主党をつくるときに、法的には新しい政党なのですが「民主党」という名前を引き継いだことはありました。ですから、いろいろなパターンは、いわゆる政治的新党というときにいろいろな形があり得るのかなと思います。ここは、ただ、今の時点で何か決まっているわけではないので、申しわけありませんがそこはコメントは差し控えたいと思います。
 ことしは去年に比べてどうかと。去年はたぶん、そういう意味では人生の中でも最大に苦労した1年だったかなと思いますので、ことしはもう少しいい年になってほしいなと希望しています。

【NHK・米津記者】
 合流の件で伺いたい。合流協議がどういう結果であれ、目の前にある国内外の諸課題について議論する上で野党間の連携というのは十分にできると代表としてお考えか。逆に言えば、どのようになったら連携が難しくなってしまう、そういうケースは避けたいとお考えか。

【代表】
 何があっても野党間の連携をきちんと維持し強化するのが最優先課題だと思います。その仲をより強化する一つの方策が党を一緒にするということで、連携強化の1メニューが党の合流ということで我々やっているわけであって、そのことの結果いかんによってその根っこの野党間の連携が崩れたり安倍政権に向き合う姿勢が弱くなったら何のためにやっているのかわからない。むしろ、その原点である野党間の連携をしっかりやるんだと、それを強化するんだということを前に進める意味で物事をいろいろ考えていかなければいけないと思っています。逆に野党間連携が後ろに行くようなことがあってはならないと思いますし、ならないようなやり方を進めていきたいと思っています。

【共同通信・中田記者】
 そうすると、代表のお考えとしては、野党間連携を考えていく上で、合流ありきではないという理解でよろしいか。

【代表】
 ですから、合流するのかしないかも含めて、今、協議を行っている、協議の真っ最中ということです。
 それぞれ独立した政党ですから、それぞれの考え、立場もあって、守らなければいけない、譲れない点がそれぞれにある。だからこそ交渉しているということであって、お互いにとって、そして野党全体にとって、日本の政治全体にとってプラスになるような結果を導きたいということで、両党首、責任を持って今向き合っているということです。

【東京新聞・大野記者】
 一連の話に関係するが、仮に党を合流するという結論を出されたとき、玉木代表はかねてから日本のリーダーに自分はなられるということで、わかりやすい政策もいろいろ打ち出してこられたと思うが、党が一つになっても玉木さんは総理大臣を目指す、日本のリーダーを目指すという姿勢は揺らぐものではないと考えてよろしいか。

【代表】
 大きな目標は変わりませんが、ただ、合流した場合の人事のあり方については今の段階で何か予断を持って申し上げることは避けたいと思います。交渉をしている最中ですし、人事も含めて、それは重要な協議の中身だと思いますので。

【東京新聞・大野記者】
 人事というよりは、長期的に、総理大臣を目指されるのか。

【代表】
 それは政治家誰しも、当選してバッジをつけてから、やはり自分の思い描く政策や理念はあって、それに基づいて、よりよい日本社会をつくりたい、世界をつくりたいというのは、誰しもが持っている思いだと思いますので。そういう志はしっかり立てて、変わらず頑張りたいと思っています。

【時事通信・近藤記者】
 合流の関係で、昨夜の会談について先ほどの役員会で報告されたと思うが、どのように報告されたのか、メンバーの方からどういったご意見が出たのか伺いたい。

【代表】
 私というよりも、むしろ幹事長から説明がありましたが、食事がおいしかったと。いろいろな話を、3時間半もやりましたから、ざっくばらんにいろいろな話をさせていただきました。中身は、先ほど質問がありましたが、交渉にかかわることもあるので差し控えたいと思います。

○ゴーン被告の無断出国ついて

【フリーランス・堀田記者】
 ゴーンさんのことだが、「悪法もまた法なり」で、とても悪いことをしたと私は思う。これに関していろいろとあって、ゴーンさんがあれをやる2週間ぐらい前、外務副大臣の鈴木馨祐さんがレバノンに行っていたということがある。

【代表】
 まず、日本の刑事手続についてさまざまな国際的な批判があることは承知をしておりますが、ただ、おっしゃるとおり、我々は法治国家ですから、立法府を通じて成立した法律はいかなるものであっても守ってもらわなければいけません。それに不備があったとしても、それに違反する行為や脱法行為が許されてはならない。これは大原則です。
 特に我が国の司法手続について問題があるということでおっしゃる方もいますが、あまりそれを言い過ぎると、そうすると例の日米地位協定に関しても、じゃあ日本の司法手続でちゃんと裁きますというときに、「いや、日本は不備だからそんなの任せられない」ということで言われる批判をある種甘受することにもなるので、もちろん我々としては常に司法手続の不備や国際的な比較の中で省みていかなければなりませんが、やはり今回、法を犯しているという事実は非常に重いので、それはそれとしてしっかり、今回なぜそういうことが起こったのか、厳しく事実の解明と再発防止に努めていかなければならないと思います。