20200128 衆院農水委員会

 国民民主党を含めた4会派(立国社、自民、公明、維新)は28日、衆院農林水産委員会で、「家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案」を議員立法として起草・提案し、近藤和也理事(党豚コレラ対策本部事務局長)が趣旨を説明した。改正案は同委員会にて全会一致で委員長提案とすることを決定し、同日夜開かれた衆院本会議に緊急上程され全会一致で可決し、参議院に送付された。

 本法案は、アフリカ豚コレラ(ASF)を予防的殺処分の対象とし、イノシシなどの野生動物の感染が確認された際にも、その死骸があった地域周辺の当該動物の生息状況やASFの拡散状況、家畜の飼養衛生管理状況を考慮しつつ、知事と農水省の審議会の意見を聞いて実施することができるとしている。また、法律上の名称について、「豚コレラ」を「豚熱」(ぶたねつ)に、「アフリカ豚コレラ」を「アフリカ豚熱」に改める等の措置も講じる。ASF拡散防止のための飼養衛生基準の遵守に関する勧告・命令や、野生動物のASF感染による家畜の移動制限、消毒、通行の制限等の措置も盛り込んだ。

 アフリカ豚コレラ(ASF)は日本で感染が確認されている豚コレラ(CSF)とは異なり、有効なワクチンが存在しない感染・伝播力が強いウイルスで、豚やイノシシに感染する。アフリカ、欧州の他、中国、韓国、香港など日本の周辺国にも感染が広がっており、水際対策が急務となっている。ところが現行法では、家畜を予防的に殺処分できる対象が口蹄疫(こうていえき)のみに限られていたため、共同会派は昨年12月、ASFを対象に追加することを含めた家畜伝染病予防法の改正を江藤農水大臣に申し入れ、ASFの予防的殺処分の提案を含めるよう求めていた。以降、ASFの予防的殺処分について、閣法による改正を待つことなく議員立法で先行措置すべきとの機運が与野党ともにあり、法案化を調整した。