玉木雄一郎代表記者会見

2020年3月4日(水)14時07分~14時46分
発行/国民民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/SJlBgy_krag


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○新型肺炎 党首会談で「特措法適用」「緊急経済対策」等を緊急要請

【代表】
 昨日、党首会談の申し入れが安倍総理からありまして、きょう17時過ぎから会談をしたいと思います。
 具体的には新型コロナウイルス(COVID-19)対策だと承知しておりますが、中身は新型インフルエンザ等対策特別措置法、いわゆる「特措法」の改正についてということですので、我々としてはこの特措法はいち早く適用しろと言ってきましたので、協力はしたいと思いますが、中身についてよく見た上でどうするか判断をしたいと思います。我々としては現在の特措法をそのまま適用できると思っていますし、1月31日に矢田わか子議員が参議院の予算委員会でも一番最初に指摘したと思いますが、従来からずっと、早くこれを適用しろということです。いずれにしても後手後手に回っているなという印象ですが、国家の一大事でありますから、最大限協力はしていきたいと思います。
 あわせて、やはり景気が相当悪いという認識を改めて総理に申し上げたいと思いますし、大規模な予備的・予防的な緊急経済対策を講じるべきだということを申し上げたいと思います。たぶん東日本大震災以上の経済的な影響があると思いますし、場合によってはリーマンショック級の経済危機になる可能性があると思いますので、GDPが2、3%減少するというぐらいの見通しを持って前もって十分な対策を講じるべきだと思いますので、10兆から15兆円規模の経済対策を打つ必要があると思いますし、特に家計部門の減税、「家計減税」が必要だと。10兆円ぐらいの規模の「家計減税」を中心とした大規模な経済対策を講じるべきだということを総理にも改めて申し上げたいと思っております。
 あとは、東日本大震災のころに実際にあったのですが、与野党の責任者が政府と一緒になっていろいろな要望をお伝えしたり最新の政府の対応状況について説明をもらう与野党・政府合同会議というのがありましたが、こういったものを設けて、きょうの1時間だけではなくて、各党から上がってきた意見を速やかに政府に伝えて、与野党一体となって、国を挙げて取り組むような、そういった仕組みを、場を設けてもらうように、あわせて要請をしていきたいと思っています。

○「新型コロナウイルス検査拡充法案」の審議促進

【代表】
 昨日「新型コロナウイルス検査拡充法案」(新型コロナウイルス感染症検査の円滑かつ迅速な実施の促進に関する法律案)というものを野党として提出をさせていただきました。
 従来からこれも検査体制の充実が必要だということを申し上げてきましたが、国会の答弁を聞いていましても、総理は会見で、もう受けたい人がみんなかかりつけ医に行ったら受けられるというふうな説明をして、「随分進むんだな」と思ったら実態は全く違うので、今のままだとどんなにやっても韓国にも及ばないということになりますから、保健所を経由させることなく医師の判断でそのまま検体を民間の検査会社に送って検査が行えるような仕組みをぜひ整えるべきだということで法案を提出いたしました。
 この法案について、逆に、政府が特措法の見直しをするのであれば、我々が出したこうした検査の拡充法案についてもあわせて国会で審議をしてもらうように、これも求めていきたいと思っております。


■質疑

○新型肺炎 自営業・個人事業主への支援措置について

【「フランス10」・及川記者】
 フリーランスの方の問題について伺いたい。例えばイベント関係の仕事に携わっている人に聞くと、収入がゼロになってしまっているという状況がある。そういうフリーランスで収入が減ってしまった人の対策を伺いたい。

【代表】
 この間の国会、あるいは官房長官の記者会見でも、正規・非正規問わず、雇用保険の対象になっている人に上限を決めて支援をする、また雇用保険の対象外の方でも一般財源からお金を入れて支援をすると。パートの皆さんですね。一方で、フリーランスや自営業の方についてはそういった支援策が及ばない。あくまで融資をするということが今の政府の支援策の中身になっています。
 さまざまな働き方が出てきているし、政府としては逆に雇用によらない働き方ということを推奨してきたわけですから、そういう人たちが政府のある種突然の指示によって仕事が減ったり収入が減ったりしたところについては何らかの助成措置・給付措置で支援をしていくのが筋だと思いますので、こういったことについても総理にきょうお伝えしたいと思っています。
 そもそも皆様に共有いただきたいのは、学校のこういった一斉休校などは、あるいは行動の自粛要請などは、特措法の32条に基づく「緊急事態宣言」を発して初めて45条以下でできるという仕組みになっています。今回総理がやったのは、「緊急事態宣言」を法律に基づいて発することなく、発した後にするメニューの一つをつまみ食い的にやっているので、非常に法的にも不安定な形で行われ、かつ、それに伴う経済的補償が不明確になっているわけです。もうこの形態自体、後手後手になっているのは明らかなのです。
 改めてきょう総理にも申し上げたいと思いますが、何をするにしても、非常に国家の一大事ではあるけれども、やはり法律に基づいてしっかりやる。そうしないと、一体どこまで救済していいのかわからないような状況にもなっていますので、その意味でもしっかりとした法的な根拠を明確にしていくべきだと思いますし、今回も一体何をしたいがためにこの法改正をするのか、今の法律で何ができないのかということを明らかにしたいと思っています。

○新型肺炎 政府対応・東京五輪等について

【フリーランス・横田記者】
 特措法改正に関連して、何で特措法でないとだめなのか、メリットや必要性について何かこれまで政府側から説明があったか。先手と言うのだったら今おっしゃった現行法の適用が一番適切だと思うが、それではだめな理由を教えていただきたい。
 一方で、14日間の隔離をクルーズ船下船者にしなかった結果、静岡の下船者が陽性になり、しかもスポーツジムに通っていたという、感染拡大に火をつけたような対応を政府はしている。これをなぜ訂正しないのか、その理由をお聞きになっていたら教えていただきたい。原口さんは、かんぽの宿とか各省の研修施設なども含めて、今からでも遅くないからそういうところに隔離するべきではないかとおっしゃっているが。
 3点目が、韓国に比べて桁違いに検査数が少ない理由として、感染研の関与とかが言われているが、これについてどうごらんになっているか。
 最後、東京五輪への影響、中止・延期の可能性。原口国対委員長はかなり悲観的な見方をされていた。

【代表】
 まず、明らかに後手後手だと思います。繰り返しになりますが、我々は1月の末から、この特措法を適用してやるべきだと。なぜかというと、平成21年に新型インフルエンザが発生したときに、その後我々も対応して3年後にこの法律が施行されることになるわけですが、当時足りないものを全部寄せ集めてつくったのが新型インフルエンザ特措法でした。ですから、今の防疫措置も含めて、新たな感染症が発生したときに一番フルマックスでできる法体系は新型インフルエンザ特措法なのです。
 それを適用せずにここまできて、2条の対象疾病に新型コロナウイルスを加える、しかも「みなす」ぐらいの規定を入れようとしているのは、もうこれまでの対応が後手後手だったことを事後的に糊塗するようなものにしか過ぎなくて、やるべきことは、今の法律を適用できなかったのであれば、それは判断を間違ったということを一言謝って、それでやはり既存の法律をできるだけ使うということが筋ではないかと私は思います。
 前に進めようとしていることについては協力も応援もしますが、ちょっとこれまでの言ってきたことを今さら変えられないから1本新法を出してやる、これはやってはだめだとなぜ申し上げるかというと、今回は新型コロナウイルスですが、これからグローバル化が進む中で新しい感染症がどんどん出たときに、いちいち法改正をして追加しないと対策を打てないのだと、もう後手後手に回るという前例をつくってはだめなんですよ。そうすると、また新しいものが出てきたときに立法して法律を加えないとできないということで、その期間また遅れる。1日、2日が大事ですからね。
 だから、未知の新たな感染症が出てきたときも含めて、三つのカテゴリーにおいて「新感染症」ということを感染症法に設けて、それを特措法の2条で引いて対応できるということでつくった法律を使わないで、それで新たに法律を改正して書き加えようなんていうことは法の趣旨に反しているのです。
 繰り返しますが、協力はしますよ、しますが、一体何のための法改正なのかということは、これはやはり厳しく問うていかなければならないと思っております。
 そもそも、先ほどの繰り返しになりますが、32条に基づく「緊急事態宣言」をして初めてできる特例的な措置があるわけです。本当であれば、そういった人の移動とか行動を制限するので、簡単にやってはいかんと思うのです。簡単にやってはいかんからこそ、どういう理由でなぜその行動を制限しなければいけないのかという法的な枠組みが必要で、そのためにも、この特措法を使った「緊急事態宣言」を出すなり、その特例的な措置を講じることができる必要最低限の法的手続は踏まなければいけないのです。それを踏まなかったから、そういった放置をして、スポーツジムに行って、あるいは一番最初は検査も拒否して2人の方がそのままになるということをとめられなかったので、その意味でも認識の甘さと後手後手の対応はやはり批判されるべきだし、これは後にしっかりと検証しなければならないと思っています。
 感染研の関与とよく言われますが、そこは正直私はよくわかりません。ただ、韓国がドライブスルーでやったり、いろいろな新しい機器も導入したりしてやっていることに対して桁違いに少ないのは、やはりこれは問題だと思います。何でもかんでもお試し検診みたいにしてお医者さんに殺到するのは避けなければいけませんから、これは国民の皆さんにもむしろ気をつけていただきたいのですが、ただ、かかりつけ医を初めとしたプロのお医者さんが見て明らかに肺炎の症状があるとか、あるいは妊婦さんで非常に心配されている方とか、あるいは37度5分には至らないけれども例えば37度4分で5日間発熱が続いているというような方については、これは検査をしてもいいだろうとお医者さんが判断すれば保健所を介することなく検査ができるということは必要だと私は思いますので、その意味でも今回法律を出してそこは拡充していこうということなのですが、今回少し事態が落ち着けば、なぜそういうボトルネックになっているのか。検査をするのがどうしても精度を重視するがゆえに遅くなってしまう、あるいは検体数が限られてしまうということがあれば、そういったことを改める必要があるのか。よく検証が必要だと思います。
 ただ、いずれにしても、アメリカや中国のCDCのような組織がないので、過度に国立感染症研究所などに集中して負荷がかかっていることについても見直していく必要があると思います。もっと言うと、もうそろそろ厚生労働省の官僚というか役人の数を一律の定員削減の中で削り続けていくという方針も改めたほうがいいのではないか。これまでずっと、我々も含めて、行政改革という名のもとに公務員の数を減らせばいいということになってきたのですが、ただ、国家的なこういう課題に対応するにはもう少し充実させるべき公務の分野もあるのではないかということで、一律の公務員の定数削減といったようなことも含めて見直しを図っていく必要があるのではないかと思っています。
 五輪は、よくわかりませんが、今のままだと非常に厳しいと思います。橋本大臣も同じ年の中での延期ということについて言及されたように聞いていますが、そもそも今月の末から聖火リレーが始まりますね。そうすると、マスクをしている人たちの中を走っていく映像が世界に流れても、またこれ「行って大丈夫なのかな」ということがあるし、あるいは種目によっては早いうちに、高地トレーニングが典型ですが、外国に行ってトレーニングしてから本番に臨むという人がいますが、日本国民の入国を拒否するような国がふえてくると、そういった直前の外国でのトレーニングも非常に難しくなってくるので、そもそも予定したとおり円滑にできるのかという観点からすると、それは既に難しくなっていると思います。開催そのものが仮に取りやめにならなかったとしても、予定どおりの開催はもう既に難しくなっているのではないのかという認識ですから、もし(昭和)39年のオリンピックのように10月10日とかにずらせるのであれば、いろいろな放送権の問題があるやに聞いていますが、10月10日にずらすのも一つの手ではないですかね。

○新型肺炎 「特措法」について(1)

【朝日新聞・小林記者】
 特措法を改正してコロナをちゃんと明記すべきだと主張する人たちの中では、その根拠として、この法律は非常に個人の権利を制約する重たい法律なので、政府の解釈によってこの感染症を入れるとか入れないとかいう判断をあいまいにせずに、はっきり法改正によって明記するほうが適正だという主張もある。個人の権利の制約と、法律のあいまいさをなくすという観点からは、代表はどう考えか。

【代表】
 一部、法制局が反対したのでできなかったということを言う人が政治家の中でもいるので、きょう法制局を呼んで、担当の第三部と第一部と両方呼んでいろいろな話を聞きましたが、これまで法制局には一切相談はなかったそうです。だから、そういう説明もよくなされますが、それが一体真実なのかどうなのか、よくわかりません。
 あいまいだというのは一体どこであいまいなのか、私、わからないんですよ。病原体は確かに明確です、COVID-19と明確になっていますが、病原体が明確になったことと、感染症という症状、あるいは治療したときにどういう結果が出るのか、薬が効くのか効かないのかということを含めた感染症としての全容がわかっているかどうかは別なのです。法律上も別です。ですから、病原体が明確になることと感染症として明らかになっているかどうかというのは別だと思いますし、後者については明らかにまだわからないところがたくさんあるので明確に「新感染症」に当たると私は思います。そもそも、これは未知の感染症に備えるためにつくられた法律ですし、そのためにつくられたカテゴリーが「新感染症」なので、そこは問題がないという認識です。

【時事通信・近藤記者】
 特措法の改正には基本的に協力するという姿勢だと思うが、「緊急事態宣言」を発出することの是非について、現状の感染状況というのはそれに当たると思うか、代表のお考えを伺いたい。

【代表】
 先ほどの質問に関係するのですが、実は少し検討して厳密に考えなければいけないのはここだと思うのです。「新感染症」の対象にするかどうかというのは対象にしたらいいと私は思いますが、「緊急事態宣言」を発するかどうかの要件については、もう少し厳密に考えたほうがいいのではないか。
 今だと二つの要件が求められていて、いずれも政令指定を細かくされていますが、後者の、2番目の条件は満たしていると思います。どういうことかというと、亡くなった方のうち、亡くなった方の感染ルートが不明確だというのは、そういう方がいらっしゃいますので、2番目の要件は明確に当たっていると思います。
 一つ目の要件の、著しく重大な被害を国民の生命・健康に与えるおそれがあるということで政令指定されているということで、その中で、重篤である症例の発生頻度が季節性インフルエンザにかかった場合に比して相当程度高い。これは政令の6条1項に書いていまして、これには今現在は当たっていないのかなと思います。
 だから、1項・2項両方満たさなければいけないので、二つ目の要件は満たしているけれども一つ目の要件はまだ満たしていないという認識なのですが、ただ、これも検査が十分にできていないので、果たして季節性インフルエンザにかかった場合に比べて相当程度高いのか低いのかが判断できないのです。だから、セットで検査を充実させた上で、「緊急事態宣言」を発するべきかどうかというのは客観的事実の把握がないとできないので、その意味では、まず検査体制を充実させるということと、一つ目の要件を本当に満たしているかどうかについては、これは専門家の意見を入れて客観的に判断していくべきだなと。
 ただ、今の検査数とか結果だけ見れば当たらないということだし、たぶんそれをもって総理も当たらないと言ったのですが、ここでおかしくなるのは、当たらないのになぜ、仮に特措法が適用されたとしたら「緊急事態宣言」を発したときしか認められない学校の休校などをいきなり命じているのかということになるわけです。学校の休校とか大規模イベントの自粛を要請するということは、すなわち「緊急事態宣言」の状態であることをまさに政府が認めているということに逆になってしまうので、でも「緊急事態宣言」ではないと総理は答弁しているので、そこでそもそも矛盾が生じているわけです。
 こういったことをきちんと整理しないで単に一つ条文を一条変えてやるというのはおかしいのではないかと、そういうことを申し上げたいと思います。

【産経新聞・千葉記者】
 コロナに関連して、自民党のほうから以前、憲法改正の文脈で、緊急事態条項が必要ではないかということの論拠で今回の事態を挙げる意見があったかと思う。代表はたしかそのとき、一種の悪乗りではないかと否定されていたかと思うが、緊急時の私権制限について、その限界なども含めて個別法ではなく憲法にちゃんと書き込んでおくというのも一つのあり方ではないかという意見もあるかと思うが、そのあたり代表はどのようなご意見か。

【代表】
 今から、間に合いますか。

【産経新聞・千葉記者】
 この件に必ずしも限らず。

【代表】
 それはまた別途議論したらいいと思いますが、そもそも憲法上のどうこうというよりも、今も説明しましたが、現行法の中で認められている「緊急事態宣言」の発動要件とか、そういったものをどうするのかという議論を現実的に詰めたほうがいいと思います。
 私は大きな考え方としては「緊急事態宣言」が必要だと思います。必要なのだけれども、通常生活に認められているさまざまな権利を制限することも間違いないので、一方で国会に対する報告であるとか、あるいはそれを解除するときの要件をあらかじめ明確にしておくということとセットでやらないと。必要なのです、やはり何かやるときに国益のために私権を制限してまでやるべきことが国家にはあるというのは事実なのだけれども、一方で、その強い権限を与えるがゆえに、それを解除するときの要件を明確にしておかないと、いつまでたってもだらだらとそういうことが不必要に続くことがあってはならないし、また、行政権に対して一時的に大きな権力を与えますから、今度は立法府に対する事前・事後の報告義務を、その権限の強さに比例してより高い報告義務を行政に課すということが必要なので、そういったバランスのとれた法体系になっているかどうかのチェックが大事だと思います。

○新型肺炎 中国政府の対応について

【フリーランス・堀田記者】
 今回の新型コロナに関していうと一番悪いのは中国、それに協力したWHOだということはもう世間で認められているし、世界中で認められている。つまり、正直な話を全然シャットアウトした、李克強、習近平。11月の終わりにおかしくなっているということはアメリカの科学雑誌「サイエンス」にも書かれているし、最初に緊急事態宣言を出すときのWHOのテドロス事務局長の猿芝居、それで3日後に北京に行って、習近平さんはすばらしいことをやってくれたと言う。習近平さんが来日すると言われているが、はっきり言えば世界に毒薬をばらまいた人だ。お亡くなりになった眼科医のことなどもわかっていると思うが、それに対してどのように抗議されるか。

【代表】
 今、中国の中でも感染拡大を封じ込めるために全力で当たっていると思いますから、我が国も、そして中国もそういった対策に全力を傾けるべきだと思います。
 ただ、若い眼科医の方が告発的なことをして、それが抑えられて、結果として彼は亡くなるわけですが、当初の段階の情報発信・情報公開がどうだったのかということについては中国政府にもしっかりと検証してもらいたいし、我が国に対しても正直に全てを説明いただきたいと思います。そうでないと、当初の危機感のなさというのはそういったところからも、日本にも危機感のなさも伝播していたのかなと思いますから、やはりこういった感染症が発生したときの情報公開のあり方とルールというのは、ある意味世界共通のルールをある程度設けておくということも大事だと思いますし、情報を隠したりコントロールしたりすることはあってはならないと思います。

○新型肺炎 水際対策・入国制限について

【フリーランス・安積記者】
 中国の一部の省や韓国のテグ(大邱)市など、海外からの入国禁止というか制限をかけているところがあるが、この間、韓国のバレリーナが、テグの方らしいが、休みになったからということで日本に観光にやってきた。どうやって入ったのかと、そのあたりのチェックが結構緩かったのではないかと。こういう状態で緊急事態というのをきちんと定義しないと、「緊急事態です」と言って、まともな遵法思想のある人たちはそれを守って経済活動をとめるが、そういうのをかいくぐってやって、結局は感染ルートがわからなくなってしまうというような混乱が生じると思うが、「緊急事態宣言」の発動の範囲というのはどういうふうに捉えていらっしゃるか。

【代表】
 現行の「緊急事態宣言」が出された場合は、例えば移動の自粛ということを地域と時期を限定して求めることができることになっています。ですから、国内外、人の移動が今あるわけですが、こういったことを早い段階で出していくことが必要だと思いますので、その実効性をどう担保するかということはありますが、かなり初期の段階で強い力で封じ込めていくことが必要だと思います。
 だから、先ほども申し上げましたように、その解除の条件などをきちんと明確にした上で、最初はどちらかというと強めに、前もって、先手先手でそれこそ移動制限・入国制限ということはかけていかないといけないというのが今回の教訓だと思います。
 ただ、残念ながら、そういう意味では今おっしゃった例、ネットでも炎上していますが、水際対策には残念ながら失敗しているなという認識です。

【フリーランス・安積記者】
 確かに水際対策失敗で、経済的にもかなり落ち込みがあるということだが、これから重要なのは国際的な風評被害だ。国内の経済ももちろんだが、例えばインドなどは日本からの入国をどんどん制限している。そのほかもそうで、今、日本からの入国を制限している国が二十何ヵ国あると聞いている。これはかなり後に残るのではないかと思うが、これの対策についてはどうお考えか。

【代表】
 これは外務省にも求めていますが、正確な情報発信をしっかりやるということに尽きます。ただ、予算委員会で私は総理に直接申し上げましたが、外国はその国のトップリーダーが何を発するかをよく見ているのですね。この前も記者会見をしましたが、プロンプターで演説を読むのではなくて、やはり世界の人が知りたい情報をしっかり伝えることと、国家の統一した意思としてこの新型コロナウイルスに向き合っていくんだと、戦っていくんだという姿勢を、やはり総理が何度も何度も語るべきだと思います。それができていないのでこういった風評のようなものも広がっているし、東日本大震災の、特に福島の例を考えると、一旦ついた風評というかレピュテーションというのはなかなか剥がれないので、今後の例えば農産物の輸出とか工業製品も含めた輸出などに大きな影響が出ることを懸念します。
 だから、決断をして、一気にやるときにはやる。もちろん、そのときには大きな経済的な損害が生じます。ただ、一気に大胆なことをやることによって、中長期に見たときには結果として経済的な被害やそういった風評も抑えられるということで、初期の段階で思い切って一気にやるということが大事なのですが、残念ながらそれができていなかったということだと思います。

○東日本大震災追悼式の中止方針について

【NHK・米津記者】
 新型コロナが感染拡大する中、東日本大震災の追悼式、政府のほうでは取りやめる方向で調整を進めているということだが、受けとめをお願いしたい。

【代表】
 東日本大震災の慰霊式典が中止ということなのですが、やむを得ないかなと思います。ただ、そのことが東日本大震災のあの被災の記憶と記録を風化させるようなことにつながってはならないと思いますので、別途何らかの形で、亡くなった方を悼み、そして我々が経験したことを後の世代にきちんと伝えていく、新しい何か取り組みを行ってはどうかと思っております。

○自民・河井議員の秘書ら3名の逮捕について

【NHK・米津記者】
 自民党の河井案里参議院議員の公設秘書らが逮捕された件で、案里議員と夫の克行前法務大臣はそれぞれ談話を発表したが、事実関係についてはコメントしていない。これについて受けとめをお願いしたい。

【代表】
 河井案里・河井克行夫妻についてでありますが、重大な事案だと思っております。まず、コメントは差し控えるということではなくて、しっかり国会なり記者会見の場を開くなりして説明責任を果たすべきだと思います。ただ、これまで報じられていることや事実を考えますと、そしてまた、秘書が逮捕されるということを考えると、議員辞職に値すると思いますし、辞職すべきだと思います。

○新型肺炎 「特措法」について(2)

【共同通信・中田記者】
 本日は個別に会談をされ、代表は、協力できるところはしていく、法改正に関してもその中身を見て判断したいということだが、この政府との協力に関して、今、社民党さんや立憲さんと会派を組んでいるが、新型インフルのときは社民党や共産党が反対するとか、今一緒に会派を組んだり協力関係にある野党の中でも対応が分かれた。それを踏まえ、代表としては今後新型コロナ関連で政府とやりとりなり協力をしていくときに、野党は一体的にやっていくべきとお考えか、独立した党だから個別の判断でやっていくべきとお考えか。

【代表】
 もちろん今会派を組んでいますから、法案対応はできるだけ会派全体として一致させたいと思いますが、現行の特措法をつくるときには、今会派を一緒にしている社民党さん、そして共産党さんは反対されたということですから、今回どういうふうに判断されるかということは見守りたいと思います。
 原則会派として行動をともにしていくのが筋だとは思いますが、ただ、これは非常に国家的危機だと思いますし、国家の一大事ですから、会派ということは最大限尊重しつつも、やはり国民が今何を求めているのか、国にとって何が必要なのかという観点で最後は判断をしたいと思っています。

○初任給の引き上げについて

【フリーランス・堀田記者】
 第一生命や日本生命は、いわゆる人材の確保のために、つまり異業種と争って優秀な人材がなくなるということで、今回から初任給を大体1割アップする。大手が。つまり、やればできるのだが、麻生先生がいつもおっしゃっていたように、内部留保が多いのに何で賃金上げないのかというと、彼らは国際競争力に打ち勝つためにやらないと言うが、国際競争力に打ち勝ったから内部留保があるんじゃないかと。やっと今回やるが、それは若手がGAFAみたいのにとられちゃうということで、第一生命あたりから、切羽詰まったやり方だが。まだ日本の企業というのはある程度余裕があると思うが、これについてどう思うか。

【代表】
 適正なマーケットメカニズムが働いているのかなという印象です。
 労働分配率は大企業ほど低いのですね。中小企業・零細企業はかなり人件費、総コストの中でも相当払っているので。私も私設秘書を雇っているある種の個人事業主として言えば、やはり人件費負担というのは小さい会社ほど重いですよ。そういう意味では労働分配率が大企業ほど低い。大企業にこそ内部留保が多いということであれば、やはりもっと人へしっかりと分配していくということが必要だと思うし、そうしないとたぶん企業が生き残っていけなくなると思いますので、今おっしゃったような傾向は悪くはないなと。
 しかも、よく最近言われるのは「ウィンドウズ2000」問題といって、窓際なんだけれども2000万円稼いでいる上のほうのシニアの人材をどうするのかということが問題で、逆にいうと若い人に、本当に今の記者の皆さんもそうなのですが、若くて本当に頑張っている人のところにしかるべき給料が行かないという、そういうことも見直していかないと日本社会全体がエネルギーが出てこないと思いますので、初任給を上げるということに加えて、やはり若い人たちに資源配分をどうしていくのかという観点からも考えていかなければいけませんし、そういう意味で改善が進んでいるのであれば、それは望ましい傾向だと思っています。