玉木雄一郎代表記者会見
2020年3月11日(水)14時01分~14時40分
発行/国民民主党役員室
★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/4HRha04sPQY
■冒頭発言
■質疑
- 新型肺炎 「経済への影響」「緊急経済対策」について(1)
- 新型肺炎 特措法改正案について
- 衆院選 候補者擁立・調整について
- 除染土の再生利用について
- 新型肺炎 「経済への影響」「緊急経済対策」について(2)
- 原発事故から9年 廃炉に向けた課題について
- 参議院での共同会派について
- 新型肺炎 「経済への影響」「緊急経済対策」について(3)
- 「震災で検察は逃げた」森法相答弁について
■冒頭発言
○東日本大震災から9年に当たって
【代表】
本日で東日本大震災から丸9年を迎えました。
きょう総務会が午前中にありましたが、亡くなられた方に黙祷して哀悼の意を捧げました。今なおたくさんの方がまだ不自由な暮らしをされておられます。我々与党のときに起きた東日本大震災でありますので、原発事故を含めて、被災地の問題については寄り添っていきたいと思いますし、引き続き風化させることなく取り組んでいくという思いを党全体として確認をいたしました。
また、復興庁の設置期限の延長、あるいは復興特会の存続のための復興関連の改正案が提出されておりますので、こういった法案の取り扱いについてもしっかりと審議をして、我々としての責任を果たしていきたいと思っております。
改めて、亡くなられた方々に対して心から哀悼の意を表したいと思いますし、苦しんでおられる方に最後まで寄り添っていきたいということを冒頭申し上げたいと思います。
○新型肺炎 特措法改正案について
【代表】
次に、先ほど衆議院内閣委員会で新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正案が我が党も賛成をして可決されました。
本来であれば現行法のまま適用できると今でも思っていますが、改正するということで政府案が出てまいりましたので、我々としては国会の事前の承認が必要だということも含めて修正協議を行ってまいりました。与野党の筆頭理事を中心に修正協議が行われましたが、残念ながら、これは本当に国民の皆さんにも申しわけなく思うのですが、何といっても数が足りないので、どうしても修正ということには至りませんでした。ただ、附帯決議を我が党が中心となってかなり盛り込みまして、また、先ほどの審議の中で後藤祐一議員などが中心となって明確な大臣からの答弁も引き出しましたので、そういったことを踏まえて賛成ということにいたしました。
引き続き、この法の運用についてはしっかりと見ていかなければなりませんし、私自身問題だと思っているのは、やはり感染症法との整理です。この「特措法」の対象となる感染症の範囲について、泥縄式に今回やったので法的な整理あるいは法律間の整理が十分できていないと思っておりますので、こういったことも速やかに行うことということが附帯決議でも盛り込まれましたし、かつ、国会の後藤委員の質問にも西村大臣は明確に答えておりましたので、この泥縄式にやったところの整理を一回きちんとやってもらわないといけないと思います。
それと、附帯決議の5番目に入りましたが、これは大きいと思いますが、与野党の意見を尊重して課題の共有・解決、そして施策の実施に当たるということが盛り込まれました。これは党首会談で私から安倍総理にも申し上げましたが、野党の意見もしっかり聞いてこれからの政策を進めてほしいということを申し上げて、それが附帯決議にも入り、大臣の答弁もあったということで、ここは大きな成果ではなかったかと思っております。
また、そもそも2月1日に遡及してやるということで当初案はありましたが、そんなことは認めないということで、ここは閣議決定前に削除されましたので、その点についても我々の意見が反映されたと思っております。
○五輪「延期考えるべき」組織委理事発言報道について
【代表】
また、この「特措法」は(衆議院の委員会を)通りましたが、これからやはり大事なのは経済対策だと思っております。
一部報道に、オリンピックについて、組織委員会の高橋理事が、現実的な解決策として1、2年延期するということをウォール・ストリート・ジャーナルの取材に対して答えておりました。我々、それは真実かどうか知りませんし、実際どうなっているかわかりませんが、もしそういった議論が組織委員会の中あるいは関係者の中で行われているのであれば、それは早く教えていただきたいと思います。
というのは、これから緊急経済対策を講じていく際に、私は最低でも15兆円規模の経済対策が必要だと。それはGDPが3%ぐらいことしは落ち込むという前提で計算した15兆円ですが、もしオリンピックがなければもうプラス数兆円予想された需要が蒸発してしまうので、であれば経済対策が15兆円ではとても済まない。20兆円、25兆円、さらにその上を行くような規模を組まないと日本発の世界恐慌が起こってしまうかもしれない。それぐらいの危機感を持っていますので、オリンピックの開催について1、2年延期というような話が組織委員会の中で行われているのであれば、国民と国会に対して速やかに、そういった検討していることも含めて説明を求めたいと思っております。
■質疑
○新型肺炎 「経済への影響」「緊急経済対策」について(1)
【「FACTA」・宮嶋記者】
3.11は明らかな国難だった。ここ同じ3.11だが、もう既に国難に近い状況になっているというご認識だと思うが、それは世界恐慌なのか。世界同時不況の中で日本だけ五輪が中止になってドボンになってしまうほうが恐ろしいと私は思っているが、経営者も実はそっちのことを思っていて、五輪が中止になったときに日本は世界と別次元の景気の落ち込みがあるのではないかと。それが世界恐慌になるかどうかは僕にはよくわからないが、それはアメリカがどう出るかとか。その辺のご認識をもう少し伺いたい。
【代表】
まず、先般、昨年の10-12月のGDP改定値が出ました。下方修正されて年率換算7.1%のマイナスになりましたが、あまり注目されていませんがその前の7-9月についても改定値が出ていて、それは年率換算プラス0.1です。つまり、ほぼゼロ成長。普通、増税の直前は駆け込み需要があって、それが増税すると反動減で、四半期をまたいで上がって下がってとするのですが、増税の前がほぼゼロ成長。これは政府の言うとおり駆け込み需要はなかったのです。駆け込み需要がないから反動減もないかと思いきや、反動減だけしっかり観測されているわけです。
何を申し上げたいかというと、増税の前から日本経済は下降局面に入っていたということを意味していると思います。そこに増税が加わることによって年率換算7.1%(減)ということですから、これは40兆円ぐらいGDPが吹き飛ぶ計算になりますので、相当な規模です。さらに、ここにはコロナ(COVID-19)が入っていません。1-3月でコロナの影響が顕在化してくると思うので、明らかに、東日本大震災のショックは確実に上回ると思います。
問題はリーマンショックに匹敵するかどうかということなのですが、リーマンショックのときの2008年は年率換算マイナス3.4%、翌2009年が2.2%のマイナスなので、2年連続して(マイナスの結果)5%ぐらい下がった。リーマンショックでも3.4%ですが、年率換算7.1%がさらにコロナの影響を含んで長引いたときには確実にリーマンショック以上の経済のマイナスが生じるのではないかというのが見立てです。これは日本経済にとってはとてつもなく大きなマイナスの影響を与えます。
特に、年度末ということを今迎えているので、これは税金から、さまざまな支払いから、金融機関への返済から、ありとあらゆるものの締めの時期に重なるので、資金繰りに相当厳しくなっている事業者、これは中小だけではありません、大企業も含めて、さまざまな困難な状況がこの3月末に生じると思っていますので、もう速やかに緊急経済対策を発表して打ち出さないと大不況になるというのが私の見立てであります。
アメリカ経済も非常にバブル的な傾向を帯びていますので、何かをきっかけにやはりアメリカ経済も崩れてくる可能性があり、日本が大崩れすることがその引き金になる可能性もあるので、私はこれは安倍総理との党首会談で直接申し上げましたが、安倍総理は今、日本経済だけではなくて世界経済にも責任を負っているという気持ちでこれからの経済対策を決めてくださいということを申し上げました。
いずれにせよ今月が勝負だと思いますし、瀬戸際なのはむしろ日本経済。そういう認識です。
【「FACTA」・宮嶋記者】
先ほどの15兆。総需要を政府がつくるというのは、3.11のときはがれきを片づけたりいろいろ震災特需があったわけだが、今回は民の消費が落ちているわけだから、政府が需要をつくるのではなくて、結局減税とか、消費税の問題も含めて、そっちでやらないと基本的にはきかない、3.11のときと同じ手は使えないと思うが、そこはどうお考えになっているか。
【代表】
おっしゃるとおりで、これは非常に難しい局面だと思います。
GDPというのは、大きく言うと、消費、投資、政府支出、純輸出で成り立っているのですね。
中国経済あるいはアメリカ経済がこういう状況で、輸出には期待できない。
さらに、政府支出。公共事業を伸ばすというのは典型的な経済対策ですが、おっしゃったとおり、かなりこれまでに公共事業を積み増しています。先般の補正予算でもそうです。一番の問題は、人手がいません。海外から人を入れてまでやろうとしていたのですが、こういう状況なので海外から人が入ってこない。そうすると政府支出は伸ばせない。
輸出に頼れない、政府支出に頼れない。投資も、結局需要が縮むときに喜んで投資する人はいないので、これも縮む。そうなると、やはり消費を、家計消費をいかに刺激するか、落ち込まないようにするかが、もう経済対策の中心にならざるを得ません。その意味では、従来から申し上げているとおり家計の減税、これがもうマストだと思います。どういうメニューを組むかは別として、その大きな柱は「家計減税」でなければならないし、「家計減税」なしの経済対策には意味がないと思います。
これをどうやってやるかがこれからたぶん問題になってくるのですが、通常は所得税減税をする。アメリカのトランプさんのようにペイロールタックスを減税するというのも一つだと思いますが、ただ、日本の場合は若い人が減って、勤労世帯が減って、少子高齢化が進んで年金受給世帯がものすごくふえていますから、今までのようには所得税減税がききにくくなっています。ですから、やはり消費税の減税、これは10兆円クラスでやるのであれば例えば5%まで一時的に消費税を減税するということも政策の選択肢としては十分検討しなければならないと思いますし、このことは総理にも直接申し上げました。
ですから、まず「家計減税」を10兆円規模でやることと、それと減税で引き切れない人がいるので、そこは簡素な給付措置を速やかにやる。もうややこしい制度をつくってはだめなので、例えば所得に関係なく全員に10万円配るとか。所得把握している時間もなければ、何か難しい制度をつくる暇もないので、速やかに全国民に10万円。例えばそれは10兆円強かかりますが、それぐらいの対策を速やかに打ち出して実施すべきだと思います。
家計あるいは消費が死んでしまうと日本経済も死んでしまって、そのことによってまた自殺者が出る、人が本当に死んでしまう経済になりかねないという状況なので、危機感と、いかに迅速にやれるかというスピード感、これをもって進めていきたいと思いますし、政府に対しても我々としての考えを早急にまとめて提案していきたいと思います。
○新型肺炎 特措法改正案について
【フリーランス・横田記者】
先週の会見で新型インフルエンザ等特措法改正案について、新感染症が出るごとに法改正しないといけない悪しき前例をつくって、しかも安倍総理の後手後手の対応をごまかすものだという指摘をなさったので、当然反対なさるのかと思ったら賛成に変わった理由と、安倍総理の政治的パフォーマンスにつき合うのであればせめて野党の要求事項をのませる必要があったと思うが、例えば検査法の成立を抱き合わせにしたのかとか、今のでたらめな御用専門家集団のような物の決め方にかわる日本版CDC、原口さんはクライシス・マネージメント・チームとおっしゃっていたが、新たなまともな専門家を送り込むようなことを抱き合わせにしなかったのはなぜなのか伺いたい。
【代表】
私も今なお、やはり修正すべきだと思いますし、もっと言えば現行法のまま適用を速やかにできるし、すべきだったと思います。
ただ、政調・国対で、現場で皆さん頑張ってここまでやってきて、特に今おっしゃった話で言うとCDCについては附帯決議の中でも設置を検討することと盛り込まれました。
あと、私が一番問題だと思うのは、後から後から新しい感染症が出てきたら、つけ加えるために法改正していたら間に合わないわけですよね。ですから、先ほど申し上げたように、一番最後の附帯決議で入りましたが、そもそも「特措法」の適用対象となる感染症の範囲とは一体何なんだと。その都度定義が「はまる」だ「はまらない」だと言っていて法律家同士が何か議論しているうちに人がばたばた死んでいくみたいのは、あり得ませんからね。だから、ここはしっかりとその範囲について速やかに検討しようということも入りました。
あと、やはり大きいなと思うのは、先ほど言ったように、野党の意見も聞いてこれから政策を実施していくということについては、附帯決議にも、そして国会での答弁でも大臣が明確に答えましたので、その意味で、最終的には会派として賛成ということになったと承知しております。
あとは、冒頭申し上げましたが、2月1日に遡及して後手後手の対応を後から糊塗するようなことはやめさせたので、そこは成果だったと思います。
【フリーランス・横田記者】
立憲民主党が先走ったというか、最初に日程を決めて協力したのが問題だったような気もするが、その点はいかがか。
【代表】
すぐには適用しないと答弁もしていたので、本当に急ぐのかということは私も思いましたし、民主党政権のときにつくったこの「特措法」は、改めて読んでみたけれどもよくできているのですね。だから、やはりこのまま適用したらいいし、もし改正するのであれば感染症法の定義をきちんと見直して整理し直すのが本来の改正であって、「特措法」の改正というのは果たして必要だったのかというのはいまだに思います。
ただ、非常に急ぐという、一方の現在進行形の問題に対する対応ですから、そこは現場がいろいろなことをのみ込みながら判断したということで、そこは尊重したいと思います。
○衆院選 候補者擁立・調整について
【フリーランス・堀田記者】
このように玉木さんたちがいろいろと努力しているが、それがマスコミを通じて伝わらないのが今の世の中だと思う。これを伝わらせるには何が一番いいかというと選挙だ。あと1ヵ月もすると静岡4区の補選があるが、安倍さんは、向こう側はきちんと公認を立てている。野党側は、共産党は立てており、まずは浜岡原発の再稼働阻止・廃炉を第一義にして野党全部から協力を得たいと志位さんも小池書記局長も言っているが、それについてはどうか。
【代表】
候補者は一本化しなければなりません。一本化していきたいと思います。そうでないと勝てませんから。
やはりいろいろなこの政権の問題点が出ている中で、(逮捕)許諾請求も出るかもしれないという状況にもなってきているし、そういう中で、さまざまな問題がある中で初の国政選挙ということですから、やはり野党がしっかりと安倍政権に向き合っていく、あるいは「おかしいな」と思っている人たちの受け皿としてわかりやすい構図で選挙することが必要だと思いますし、それは責任だと思いますから、まず一人に絞らなければならないと思います。
ただ、一方で、今この新型コロナウイルス感染症が拡大している中で予定どおりのタイミングで国政選挙を行うことが本当にいいのかということも検討すべきだと思います。東日本大震災のときには地方選挙、(被災地の)県会議員選挙などについては遅らせたということがありますが、今の状況で、街頭演説もできない、握手もできない、集会もできないという中で、正しく私たちの考え方を有権者に伝え民意の表現をしていただく環境にあるのかということについては、これは検討しなければならないと思います。総選挙についてどうするかということについてはそれこそ憲法上の問題になるかもしれませんが、この補選について果たして延期ができないのかどうか、これは総務省を中心に一度しっかりと話を聞いてみたいと思いますし、今の状況のまま、ましてや「緊急事態宣言」が発せられたもとで国政選挙ができるのか。こういう観点からもやはり検討はしてみる必要があると思います。
まず我々としてはしっかり勝つために候補者の一本化に全力で取り組みたいと思いますが、同時に、もうあと1ヵ月ぐらいですが、このタイミングで選挙をすることが果たして適切なのかどうか、法的にその延期が可能なのかどうか、こういったこともあわせて検討していきたいと思っています。
【フリーランス・堀田記者】
3.11のときは被害の大きい地域だけが半年延ばしたわけだが、今、静岡4区がそういった状況であるかどうかというと、これは違う。例えば栃木県の茂木町などは、小学校が四つあるが全然休まなかった。その選挙区の佐藤勉さんは、俺のメンツをつぶしたと言っているが、全然ペナルティもない。清水区を中心としたものがどれくらい乱れているかということではないと思う。その証拠に、熊本県知事選は普通にやっている。だから、それは通らないと思う。
それから、要するに田中さんで一本化したいということでよろしいか。
【代表】
そうです。
【フリーランス・安積記者】
一本化しないと勝てないということはほかの選挙区でも相当すると思うが、広島3区では河井夫妻の秘書が逮捕されたり任意聴取を受けたりということで、もしかしたら議員辞職になりそうな雰囲気だ。立憲民主は一応候補を擁立したという報道があったが、国民民主はそれに乗っかるというか、同じような方向性ということでよろしいか。
【代表】
我が党としても広島県内、まだ空白区もありますので、県連中心に擁立作業を進めています。ただ、参議院選挙の広島がそうであったように、やはり野党が力を合わせてやらないと勝てないし、力を合わせれば勝てる選挙区も多いと思いますので、そこは他党ともよく連携をし、情報交換をしながら、みんな推せる候補をそれぞれの選挙区に立てていきたいと思っています。
○除染土の再生利用について
【フリーランス・横田記者】
小泉環境大臣が、福島原発事故で出た放射能汚染土、除染した土を使った鉢植えを大臣室に置いて、これはパフォーマンスではないかと原口国対委員長が批判していたが、玉木代表のお考えと、党としてどこまで追及するか、調査するか等をあわせてお伺いしたい。
【代表】
私はあまり承知していないのですが、何が問題なのでしょうか。
【フリーランス・横田記者】
中間貯蔵施設にあったものを、わざわざ一部を鉢植えに入れて、持ち込んでいる。空間線量自体は問題ないが、汚染されたものを拡散するというかばら撒くのは逆行するのではないか、問題ではないか。
【代表】
汚染されているのでしょうか。汚染されているのを持ち込んでいるとは思えないのですが。すみません、そこは事実関係というか、どういうチェックを受けて安全性を確認した上で持ち込んでおられるのか承知していないので、ちょっとコメントできません。
【フリーランス・堀田記者】
再利用ができるだけのベクレルに下がっているのを、5100ベクレルくらいのを持ち込んで、鉢植えにしている。
【代表】
それは何か問題なのでしょうか。
【フリーランス・堀田記者】
と言っているのです、原口さんが。
【フリーランス・横田記者】
内部被曝のおそれがあると。
【代表】
それは科学的な根拠はあるのですか。すみません、私ちょっと事実関係がわからないので、風評被害につながるような発言は控えたいと思います。福島の方は、海洋放出の問題も含めて、さまざまな形で、必ずしも人体に影響がないというものであっても、多くの人が、農家も含めて、あるいは漁業者も含めて、さまざまな風評被害にこの9年間悩んでこられたので、政治家として発言するときは悪い場合もいい場合も科学的根拠に基づいて正確にしたいと思うので、今、私はその知見を持ち合わせていないのでコメントは差し控えたいと思います。
○新型肺炎 「経済への影響」「緊急経済対策」について(2)
【読売新聞・天野記者】
きょう春闘の集中回答日で、コロナの関係で、トヨタ自動車や鉄鋼関係がベアゼロと、かなり厳しい状況になっている。代表ご自身は今この経済状況がリーマンショックを超える可能性があると思っているのか、あるいはリーマンショック並みに達していると思っているのか。代表の今の認識を教えていただきたい。
【代表】
15兆円と私が申し上げたときは、年率換算で3%弱、2.8%から2.9%のGDPのマイナスになるという計算で15兆円と申し上げました。ただ、私が最初に15兆と総理の前で言ったときから比べても、さらにいろいろな要素が悪化しています。一つのメルクマールは、2020年、ことしの経済成長が対前年度マイナス3%を超えるかどうかだと思います。3%を超えたら、ある意味リーマンショック並み。あるいは3.4%を超えれば、3.5とか4とかになってくるとこれはもう明確にリーマンショック超えということになるので、3%弱のマイナスを前提に経済対策を打てと申し上げてきましたが、ちょっとそれでは足りないなというような感じを今持っているので、リーマンショック並みになる可能性が十分あるというのが今の認識です。
○原発事故から9年 廃炉に向けた課題について
【NHK・米津記者】
東日本大震災の話に戻るが、福島第一原子力発電所の廃炉の遅れや汚染水の処理、さまざま課題があると思う。改めて、どういったことが今問題になっているかという代表のご認識と、党として原発との向き合い方というのはどのように考えておられるか伺いたい。
【代表】
廃炉に向けた道のりというのは果てしなく長いし、忍耐力のある作業だと思っています。私も福島第一原発に何度も行かせてもらいましたが、着実に前に進んでいるところがある一方、なかなか、つまりデブリの除去とか、ここがやはり難しいし、どこにどういう放射性物質があるのかということの確認さえまだできていないということですから、溶け出した核燃料デブリをいかに取り出せるかということが一番の課題だと思います。それが取り出せないので、毎日のように汚染水・処理水が発生して、そのタンクが満杯になって、まだしばらくはいけますが、そろそろ国としての方針を決めざるを得なくなってきている。いずれにしても、このデブリの除去が進まないということが最大の課題だと思います。
原子力政策に関して言えば、我が党は2030年代に原発ゼロということを掲げています。早ければあと10年ということで、もうそんなに時間が残されていないわけです。ですから、やはり具体的な廃炉に向けた道筋をどうつけていくのかということが大事だと思いますし、そのための財源であるとか、あるいは立地している自治体に対しての補償をどうしていくのか、こういった総合的な課題をパッケージとして具体的に示していく、それを時間軸に置いたロードマップにしっかりと位置づけていくことが大事だと思いますので、我が党としてはこれまでと同じように、今申し上げたような方針に従って、「2030年代ゼロ」に向けてもう残された時間は短くて10年、長くて20年ですから、そんなに長いとは思っていませんので、全力で取り組んでいきたいと思っています。
○参議院での共同会派について
【共同通信・中田記者】
本日の一部報道で、参議院で立憲民主党と国民民主党の共同会派の解消論が浮上しているという報道がある。共同会派の結成以降、立憲と国民の間では合流協議も含めて参院の信頼醸成が課題になっていたが、今の参院の信頼醸成の具合について代表はどのようにお考えか。
【代表】
率直に申し上げて、衆議院と比べれば非常に難しい状況にあると思います。合流の交渉を年末年始しましたが、どうしてもそこの心理的なものも含めたわだかまりも含めて、なかなかうまくいかなかった要因の一つだと思います。合流交渉をするときの3原則は今も生きていると思っていまして、つまり、やるとしたら衆参一体、対等な立場でやる、3番目に参議院での信頼醸成に努める。この三つ目の要素をどうやって実現するのかということが一つ目二つ目を実現するためにも大事なので、その意味ではどうやって信頼醸成をしていくのかということが大きなテーマだと思います。そういう観点から、今、参議院においてはさまざまな試みが行われていると認識しておりますが、何か決まったことがあるという報告は受けておりません。
○新型肺炎 「経済への影響」「緊急経済対策」について(3)
【フリーランス・田中記者】
先ほど、今の経済状態はリーマン級、あるいはそれ以上だとおっしゃったが、リーマンのときに何が起きたかというと派遣切りがあった。実際に取材していたが、大量の労働者が住まいと仕事を同時に失って事実上ホームレスになってはじき出されていた。今、コロナで何が起きているかというと、労働相談の現場に行っているが、あのとき以上だ。コロナ失業、それをもっと上回るコロナ倒産というのが出そうだ。だから、もうリーマンを上回る失業者、経済恐慌が来る。そこら辺はどうお考えか。
【代表】
私も、今おっしゃったことは、いろいろな話を聞いていますから実感として感じています。
あまり報道されないのですが、来月からの就職内定をもらっている若い学生さんからも、中には会社のほうからいろいろなことを言われていると。まず、入社式が延びますと。予定どおり就職ができないかもしれないということで、心配している学生さんも現に出てきています。順調だと言われてきた雇用あるいは就職環境ということにも、今、大きな変化が生じつつあると思っていますので、これはよく見ておかないと、今おっしゃったような派遣切りというようなこともまた発生するのではないか。
加えて、休業して、子どもたちが家にいるので職場に出ないということでなっているわけですが、一方で子どものいない働く人にものすごい負担もかかってきているという話も聞いています。子どもがいるから休む、そこは休業補償と言うのですが、子どものいない例えば20代とか30代の男性・女性などは、残って働いている人にどっと負担がきて過剰な労働になったりしているということもある。
そういったところも含めて広く社会で起こっていることについて我々は目配せをしていかなければいけないし、そういう声はやはり我々野党が一番すくわなければいけない声だと思っていますので、きょう議員にも全国の組織にもそういった声をしっかりと吸い上げてこいという指示を出しましたので、それをまた政府や、場合によってはまた党首会談でもやって総理にも直接伝えたいと思います。
○「震災で検察は逃げた」森法相答弁について
【時事通信・近藤記者】
法務委員会の件で伺いたいが、森法務大臣が先日、検察官が東日本大震災のときにいわき市から市民が避難していない中で最初に逃げた、身柄拘束している十数人を理由なく釈放したと答弁し、その答弁をめぐってきょう法務委員会がとまったが、先ほど参院予算委の中で、個人的な見解を申し上げたことは不適当であり撤回すると。撤回はしたが、この発言についてお考えを伺いたい。
【代表】
それは初めて聞きましたが、東日本大震災のときに検察官が先に逃げて、理由なく、拘束した人の釈放、身柄を放ったということを法務大臣はおっしゃったのですか。それは事務方はどう答えているのですか、事実なのですかそれは。
【時事通信・近藤記者】
事務方はわからないが、根拠がないとして野党側が反発した。
【代表】
ご本人は認めたのですか。
【時事通信・近藤記者】
個人的な見解だったと。
【代表】
個人的見解。
これは事実関係を確認しなければいけませんが、もしそういうことがないのに所管大臣がそういうことを言ったとしたら大問題だと思いますし、大臣辞任に値すると思います。そんなことを確認せずに、軽はずみな発言で、しかも自分の所管する検察の話でしょう。それが「先に逃げた」「理由もなく釈放した」という、そういういい加減なことをしたということを組織のトップの大臣が言っていて、しかもそれが事実に反しているとしたら、それは大臣の任にとても値しないし、即刻職を辞すべきではないですか。ちょっと答弁もひどいけれども発言もひどいですね、(そういう発言をしたことが)事実としたら。