玉木雄一郎代表記者会見
2020年4月8日(水)14時02分~14時44分
発行/国民民主党役員室
★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/olNMC7OAvhs
■冒頭発言
■質疑
- 新型肺炎 緊急経済対策について(1)
- 新型肺炎 静岡4区補選について
- 新型肺炎 DV・虐待リスク増加対策について
- 新型肺炎 国会対応について
- 新型肺炎 拡大防止措置の実効性確保について
- 新型肺炎 国内の医療体制について
- 総選挙の候補者擁立について
- 党役員体制について
- 新型肺炎 緊急経済対策について(2)
- 新型肺炎 地方への人の移動について
- 新型肺炎 政府の対応について
- 新型肺炎 「緊急事態宣言」での理美容分野の扱いについて
■冒頭発言
【司会・伊藤役員室次長】
これより国民民主党玉木代表の定例会見を始めます。
今回も先週同様、この会見をユーチューブでライブ配信をいたします。記者の皆さんからの質問につきましては通常どおりこの場でもお受けいたしますが、加えて、事前にいただいた質問、会見中にユーチューブのコメント欄もしくはメールでお寄せいただいた質問についても、この場で代表がお答えいたします。なお、本日事前にいただいた質問につきましては、代表の冒頭発言終了後、質疑に先立って回答をいたしますのでご承知おきください。
昨日「緊急事態宣言」が発令されましたが、その最大の目的は人と人との接触を避けることです。本日も会見場に記者の皆さんいらっしゃいますが、できる限り接触を減らすため、ライブ配信の活用をお願いいたします。
それでは代表より冒頭発言、お願いいたします。
○新型肺炎 「緊急事態宣言」の実効性確保を
【代表】
まず、私から「緊急事態宣言」について申し上げます。
昨日「緊急事態宣言」が発令されました。町の様子も少しずつ変わりつつありますが、けさ私は2時間ぐらい、港区、千代田区、走ったり歩いたりしながら町をいろいろ各所を見て回りましたが、あまり変わっていないように思います。「緊急事態宣言」を出したにもかかわらず、あまり行動変容が起こっていない。総理が求める8割の接触を減らしていくということが本当にこれで達成できるのかどうか、極めて疑問が残ります。
振り返れば、やはり習近平国家主席の国賓での訪日ということにある意味気を使って、我々が求めてきた中国全土からの受け入れ拒否ということをなかなかやらなかった。今はそれをやっていますから、そういう意味では、どうせやることはあの時点で、もっと早くやるべきではなかったかと思いますし、また、オリンピックを気にして首都東京での行動抑制等が遅れてしまったのではないか。
つまり、何かをやるときに未練がましく他のことを気にして、結果として政策効果が上がらないということを繰り返してはならないと思います。「緊急事態宣言」を出した以上は、先日の会見で申し上げましたが、「いつもと変わりません、大丈夫です」というメッセージを発するのではなくて、「1ヵ月で確実に終わらせたいから、申しわけないけれども厳しくさまざまな経済活動や国民の皆さんの行動を制限するので、そこはぜひ協力を願いたい」ということを言うべきであって、短期的に経済活動を犠牲にしてでもとにかく感染拡大を抑え込むんだという強い意思が伝わってこないことが残念です。
典型が、きのう私が国会でも質問しましたが、例えば理美容の自粛要請については、国は「やらない」、ただ、都は「やる」ということで、結局何を自粛要請の対象にするのかきのう都が発表することができませんでした。「緊急事態宣言」を出した日に何がその自粛の対象になるのかを発表できないというのは大失態だと思います、これは。じゃあなぜきのう出したのかということになりますし、国と都がそんなことも調整できていないのかというのは愕然としましたが、ぜひこういうところをもう少し国と都道府県が連携をとって進めていただかないと「緊急事態宣言」の実効性が上がらないということを強く懸念します。
その観点でいうと、もう一つ、これも繰り返し申し上げていますが、やはり補償措置がきちんとないということで、補償もないのに休めないということで実効性が上がらないというところがやはり懸念されます。きょう関係する知事の皆さんからも、やはり補償をしっかりしてほしいという要請が出されたと承知をしております。これは真剣に取り組まないと、結果として「緊急事態宣言」を出して達成しようとする感染拡大防止の目的が達成できないので、やはりケチケチすることなく十分な補償措置を講じる、そのかわりに厳しく自粛に応じてほしいということを言うべきで、そのことが全くできていないのは極めて残念であります。
ちなみに、政省令を調べましたが、特措法の政令、施行令11条1項14号で、1000平米以下の自粛を要請する施設については厚生労働大臣が公示をして決めるということになっています。その公示案を見ましたが、そこの中には1000平米以下の理髪店は抜けています。つまり、都道府県知事がその政令で定められたメニューの中から選んで自粛要請をするのですが、そのメニューの中にそもそも国は政令改正によって1000平米以下の通常の理髪店を対象に入れていません。ですから、現行の法体系の中では、東京都知事が1000平米以下の理髪店等に対して自粛要請をしようと思っても、たぶんこれはできません。
ですから、果たして本当にそういうことでいいのか、都と国の意思疎通や連携は大丈夫なのか、あるいは逆に国に問いたいのは、「緊急事態宣言」を出しておいて本当に封じ込める本気度があるのか、やる気があるのかということをやはり問わざるを得ません。いずれにしても、「緊急事態宣言」がきのう発せられましたが、その実効性を担保するところが穴がたくさんあって、本当にこれで大丈夫なのかということについては引き続きこれはしっかりと我々もチェックをしていかなければならないと思っています。
○新型肺炎 十分な給付・補償措置の必要性について
【代表】
それと、話題となっている例の30万円の給付措置についてでありますが、いわゆる住民税非課税世帯よりも、減収した結果、収入が落ち込む。あるいは、半分以上減収になって、その結果、住民税非課税水準の倍よりも下になるという二つの要件が付されています。例えば単身の場合だと(東京23区の住民税非課税水準の月収は)8万3000円ぐらいなので、かなり厳しい要件になっていて、これだと本当に救える人が救われないということがたぶん起こってくると思います。「この人が救われるのに、何で私が救われないんだ」ということが山のように出てきて、不公平極まりない、社会を分断するようなことになってしまいかねないので、この点についてはやはり引き続き厳しくチェックをしていかなければならないと思っております。
ツイッターにも書きましたが、具体的な金額で申し上げると、かなり落ち込んでも救われないということになります。
例えば、単身の方であれば、35万円の月収が17万円に落ちたような場合。これは51%の減ですから半分以上落ちているということなのですが、ただ、8万3000円が基準で、この倍ですから約16万6000円。16万6000円ということは、17万円まで落ちても結局(非課税水準の)2倍以下の数字になっていませんから、35万円から17万円に落ちた方は30万円もらえません。
あるいは、19万円から10万円に落ちたようなケース。これは47%減で、落ちた先の10万円は(非課税水準の)倍の16万円以下ですからいけるのですが、落ち方が47%と微妙で、半減以上になっていないので、これまたもらえません。
さらに、17万円から9万円になったというようなケースです。これは47%ぐらい、半減には満たないのですが、落ち方が中途半端で住民税非課税世帯水準までは落ち込まないので、9万円ですから、この人ももらえない。
35万円から17万円に落ちたケース、19万円から10万円に落ちたケース、17万円から9万円に落ちたケース、いずれももらえません。果たして本当にこういう制度でいいのか。
もう一つは、やっと補正予算の中身も明らかになってきたので見ますと、大体この30万円に使う給付総額は約4兆円です。個人事業主に100万円、中小・小規模事業者に最大200万円という、事業者に対する給付金は給付総額が2.3兆円です。合わせて6.3兆円です。いろいろな要件がついてややこしいのですが、個人向けと企業向けと合わせて結局6兆円ぐらいですから。我々は、まず個人に対して一人当たり10万円一律で10兆円、中小・小規模事業者に対する休業補償として10兆円、この20兆円プラス消費減税の10兆円で30兆円プランを言ってきましたが、まず最初の二つの柱の、個人に対する給付金と企業に対する休業補償、政府案は先ほど申し上げたように足しても6兆円ですから、我々が言っている20兆円から比べると全く足りないわけです。総額が108兆円といっても、手元に届くお金、すぐに届くお金はほとんどない。しかも、これ地方議会を通して地方の事務としてやっていただくので、5月中には配りたいと言っておられますが、たぶんこれは早くて6月でしょう。本当にこんなことでいいのかというのは、私は改めて危機感を持っています。
私たちもそうなのですが、このコロナ(COVID-19)によって給料の減らない人たちの危機感とリアリティーが欠けていることが問題だと思います。もっと、フリーランスの方とか、本当に給料がすごく減ってあしたどうなるんだという人たちに対して、リアリティーを持って彼らの思いに寄り添うことが我々永田町にいる人間が特にできていない、特に与党の人間ができていないということが問題だと思います。ですから、ここは引き続き厳しく要請をしていきたいと思っております。とにかく、このわかりにくいということを改善しないと救う人を救うことができないと思いますので、改善を求めていきたいと思います。
○新型肺炎 DV・虐待リスク増加対策について
【代表】
最後に、これは世界で起こっていますが、この「緊急事態宣言」が発せられたことによってご家庭で過ごす時間が長くなる人がふえると思います。その結果、児童虐待あるいはDVといったことが世界的にも報告されていますし、日本でも既に、総理は「ない」というふうに会見でしていましたが、そうではなくて、もう既にストレスで配偶者・奥様を殴り殺したということが報告されています。
ですから、我が党としては、SNS、LINE等での相談窓口の拡充など、家にいることのリスクへの対応ということを男女共同参画推進本部を中心に検討して取りまとめた上で政府に対してしっかり申し入れをしていきたいと思っております。
■質疑
○新型肺炎 緊急経済対策について(1)
【伊藤役員室次長】
では、事前に3問いただいておりますが、そのうちの1問、理美容については冒頭発言の中で触れさせていただきました。
まず、朝日・伊藤編集委員からいただきました。政府が決めた緊急経済対策には消費税の減税は盛り込まれませんでした。事態の収束が見えない中、対策はなお不十分で、第2弾・第3弾を求める声が与党からも聞こえてくる中、この先、国民民主党は消費税の減税にはどのような考え方で臨まれますかといただいております。
代表、お願いします。
【代表】
不思議なのですね。108兆円、過去にない規模だと言いながら、与党に説明したら与党からもう次の対策が必要だという声が出てくる。これは何なのですかね。次の対策が必要だったら、今入れればいいではないですか。これは与党自身も不十分だと認めるような案を出してこないでもらいたいというのが率直な思いであります。
先ほど申し上げたように、個人に対する給付、困っている企業に対する給付、(政府案は)合わせて6兆円ですが、我々はそれぞれ10兆円で最低でも20兆円必要だと。プラス、消費税の5%への減税でさらに10兆円強の財源ということで、30兆円パッケージをもう1ヵ月以上前から出しています。本当にこれをやってほしいです。これをやって、やっと何とか日本の経済の落ち込みを下支えすることができると思っていますから、本当に今からでも考え直してもらいたい。
一部シンクタンクも出していますが、GDPは5.7%落ちるということが出ています。私はもう従来から5.5%落ちるということで30兆をずっと申し上げてきましたので、民間のシンクタンクが言っていることとそう外れていないと思います。これは1ヵ月前から言っていました。その意味では、私は外れなく正しい政策を早いうちから提案していたという自負がありますので、ぜひこういった方向に政府案も改めてもらいたい。これでは困っている人を救えません。そのことを強く申し上げたいと思います。
○新型肺炎 静岡4区補選について
【伊藤役員室次長】
続きまして、衆院静岡4区補選についてお尋ねいただきました。産経の千葉記者からです。国民民主党は補選の延期を主張していますが、先日の野党の幹事長会談では延期論に他党から賛同が得られなかったと聞き及んでいます。静岡は対象外とはいえ「緊急事態宣言」の最中に選挙を行うことの是非を含め、補選についてのお考えと今後の対応をお聞かせください。
【代表】
私としては今なお、より正しいというか、より正常な環境の中で民主主義の発露たる選挙が行われることが適切だと思いますが、ただ、野党の中でも、そしてまた与党も、これはある意味予定どおり行うということですから、戦う以上は負けられませんので、さまざまな制約がある中ではありますが全力で取り組んでいきたいと思います。
【伊藤役員室次長】
それでは会場からの質問をお受けいたします。冒頭お名前をお願いいたします。質問ある方は挙手でお願いいたします。
○新型肺炎 DV・虐待リスク増加対策について
【NHK・米津記者】
先ほど代表の発言の中であった、児童虐待やDVが世界的にも、また日本でも報告されているということで、SNSやLINEでの相談窓口を拡充することを提案したいと。DVや児童虐待がふえていくことが予想される中で、どんなことができるかについてもう少し詳しく。相談窓口拡充以外に何がありますか。
【代表】
一つは、既存のさまざまな窓口が既に行政に設けられていますが、あるいは民間のNPOも含めてそういった相談窓口がありますが、行動自粛あるいは出勤の自粛ということになって、そういう窓口も含めて閉鎖されてしまうとか、あるいは受け入れの電話の本数が減るとか、そういうことになりがちなので、そこは何とか工夫して、まずそういった既存の相談受け付け体制について維持をしてもらうように行政機関やNPO関係者にはお願いをしたい。我々としても、こういった対策をまとめて、党としてもそういった相談窓口を設けたり、とにかくこの新しい状況ですから、時間がたてばたつほどさまざまなストレスが社会的にもたまってまいりますので、こういった対応に齟齬がないように、万全な態勢で臨むように我々としての対策をまとめていきたいと思っています。
○新型肺炎 国会対応について
【朝日新聞・小林記者】
後半国会、これからの国会の件でお尋ねしたい。どうしてもコロナ関連の審議が中心となっていくと思われるが、一方で森友・加計問題ではさまざま未解決な部分があったり、検察官の定年延長問題では法案の審議も見込まれる。こうした緊急時ではあるが、コロナ以外の分野について、野党としてどう政権のチェック機能を果たされていくか。その辺のお考えをお願いします。
【代表】
そういったチェック機能、いわゆる行政監視機能をしっかり維持していくことが大事だと思います。ただ、「緊急事態宣言」が発せられましたので、とにかくこの1ヵ月は全てのリソースをまずはコロナ対策に充てるべきだと私は思います。早期収束を図った上で、またその後に国会はありますから、その国会の中で、今おっしゃったような問題点については政府の説明が不十分だと思いますし、また、河井夫妻の問題などもまだ十分な説明責任を果たされていないと思いますので、ここはそれぞれの委員会においてしっかりと行政監視機能を果たしていきたいと思っています。
○新型肺炎 拡大防止措置の実効性確保について
【「FACTA」・宮嶋記者】
きょう2時間ほど町を見られて、あまり変わらないと。実効性のない改正法をつくったんだという批判がもともとあるわけで、私権制限も含めて、あるいは個人のプライバシーとか、そういうことについて主に主張していたのは私が知る限り野党側の面もある。もしも実効性がないのだったら挙国一致で実効性のある法律をつくるとか、そこまで考えていないでただ自粛自粛と言ってどうして世の中が変わるのか。その辺については最も早くこの問題に警鐘を鳴らしたのは玉木さんなのですから、この法律が欠陥法だと思っているのかどうかも含めて伺いたい。
【代表】
率直に申し上げて、特措法では不十分な点がやはりあると言わざるを得ないと思います。もちろん私権の制限についてはできるだけ抑制的であることが必要なのですが、やはり公共の利益を考えたときに、期間を限定して私権の制限をすることが、よってもって中長期的には国民のため、公益に役立つというような場合については、国民のご理解を得た上で、やはりより強力な制限措置・規制措置ということを行えるような法体系が必要だと思います。
ただ、そのときに大事なことは、万全の補償措置がセットであるということだと思います。ですから、ある意味、きのう、おとといから政調部門に検討を指示しておりますが、外出規制に対して違反した場合には何らかの罰則が伴う、あるいは強制的に施設の利用を制限できる、そのかわり100%休業補償がついてくる、こういったいわば「ロックダウン法案」というようなものを整備する必要があるのではないか。もしこれ1ヵ月たって、この現行の特措法と「緊急事態宣言」で封じ込めに失敗した場合は、そういった新たな法体系がやはり必要だと思いますので、我々としてはそれを待つことなく今からそういった法案について検討を始めたいと思います。
○新型肺炎 国内の医療体制について
【フリーランス・堀田記者】
コロナウイルスでお亡くなりになった人が、スペイン、イタリア、フランスに比べてものすごく少ない。これをどのように解釈、そして判断なさいますか。
【代表】
まず、この対策の重要な目的・目標の一つは、死亡者数と重症者数を減らすということだと思います。それを最小に抑える。その意味では、私は、今のところ日本は持ちこたえているのだと思います。
その一つの要因は、やはり皆保険制度があり、全ての人が安価に優れた医療にアクセスできるということ。そして、日本国民の、手洗いをしたりうがいをしたり、常日ごろからの衛生意識が高いということ。こういったことが死亡者数が少ないということの原因の一つかなと思います。
ですから、これは先の話になりますが、このコロナが収束した後の社会をどのようなものにするのかという、そのポストコロナの社会像ということを我が党としても示していきたいと思います。
その一つは、やはりこういったパブリックヘルス。公衆衛生とか公的な医療制度というのは単に切り刻んでいけばいいものではなくて、やはり一定のレベルのものをしっかりと維持する。世界的にも、例えばイタリアなどがそうでしたが、欧州通貨危機の後、金融危機の後、そういったところを削り込んでいく、いわゆる行政改革ということを進めましたが、人の命や健康にかかわるところについてはある程度財政出動をしてでもしっかりと維持をしなければいけないというのがポストコロナ時代の社会像においては重要な要素なのではないかと私は思っていますので、1980年代から続いてきたようないわゆる新自由主義的なもの、あるいは行革主義といったようなものを超えた新しい社会像、あるいは政治のあり方、政策のあり方というのもしっかりと示していきたいと思っています。
【フリーランス・堀田記者】
冬にはお年寄りが風邪をこじらせて肺炎になってお亡くなりになる、肺炎になると3日か4日でお亡くなりになるというのは二階堂進先生や堀内光雄先生を見ればわかるが、これで病院でお亡くなりになった方が検査をしないでコロナではないということで、病院も経営をやっていかなければいけませんから、そこいらを隠しているのではないかというようなことも一つ疑われているが、それについてどうでしょうか。永寿みたく、あそこも民間病院だが、あれだけの人数が出た場合はしようがないということだが、どうでしょうか。
【代表】
そういったうわさも含めていろいろなことが言われているのは承知しておりますが、そこはきちんとデータをとっていくことが必要だと思いますし、仮にそういったことが出た病院についても風評被害等が生じないような対応をしていかなければならないと思います。今おっしゃったような、新型コロナで亡くなったとしてもそれを隠しているのではないのかということについては確たる情報あるいはデータもないので、何とも申し上げようがありませんが、ただ、大事なことは、事実をきちんと公開して、その上で、客観的事実を正面から捉えた上で対応していくことが大事だと思います。
○総選挙の候補者擁立について
【読売新聞・前田記者】
衆院選の候補者の擁立作業について、コロナ対応とか、移動に制限がある中で、作業が滞るかと思うが、現状と、今後その擁立作業をどういうふうに進めていくお考えでしょうか。
【代表】
きょうの総務会でも1人公認候補を立てます。こういうコロナの非常に困難な状況ではありますが、着実にいい候補を発掘し擁立をしていきたいと思います。きょう発表する方も、非常に若い有能な方が我が党からの出馬を希望して、戦うことを決めていただきましたので、そういった方々を着実に擁立していきたいと思っています。
【読売新聞・前田記者】
こういう状況の中で、擁立作業でどういう工夫をされているか。そういう点はありますか。
【代表】
直接会ってお話しすることが難しいような状況ではあるので、これからの話ですが、ネットで面談したり、あるいは、最近民間でも取り入れられていますが、動画で審査したり、いろいろなことをやりたいと思っています。
○党役員体制について
【北海道新聞・文記者】
以前、補正予算審議後とおっしゃっていた党役員人事だが、「緊急事態宣言」が出て、日程感が改めてどうなっているか教えてください。
【代表】
いずれにしても補正予算が通るまではそこに集中したいと思いますが、5月6日まで「緊急事態宣言」が発せられましたので、そういったことも勘案しながら、いずれにしてもコロナに対しての対策に万全を期すという観点から適切な時期を判断していきたいと思います。
○新型肺炎 緊急経済対策について(2)
【日本経済新聞・児玉記者】
現金給付についてだが、代表は「感染拡大防止協力金」ということで配るべきだというお考えを示されているが、これには福祉政策としての意味合いと、景気刺激の意味合いと、それぞれを含むような概念なのか。その辺の定義について教えてください。
【代表】
私がもともとこの30兆円プランをやったときは、どちらかというと従来的な、有効需要が減った分を埋めようという発想で10兆円・10兆円ということをはじきました。これは正直申し上げるとそうです。
ただ、私も少し認識を途中で改めたのは、この新型コロナウイルスの対策というのは、とにかくある意味一定期間経済を麻痺させることが最も有効な感染拡大防止策になるということであれば、これは所得の如何にかかわらず、もっと言うと、所得の高い人ほどさまざまな、より活発な経済活動をするのであれば、全ての人に行動抑制あるいは経済活動の抑制を求めるのであれば所得の如何にかかわらず全ての人に協力をいただく。つまり、経済活動が低下することによって所得が減ったり仕事がなくなったりということはあらゆる所得の人に及ぶわけなので、「感染拡大防止協力金」として所得に関係なく全ての人に給付すべきだという考えです。
ですから、その意味ではこれは福祉政策でもなくて、経済刺激策でもなくて、まさに「感染拡大防止協力金」という性格のもと、所得制限をかけずに全ての人に一律やるべきだということにつながっていくのだと思います。
【フリーランス・田中記者】
現金給付のことについて伺いたい。この給付を見たある野党政治家が、これでは略奪が起きると指摘していた。実際、私が野宿者たちにインタビューすると、彼らの間に万引がふえている。野宿者、ホームレスは別の世界のことと考えてはいけないのは、ネカフェが閉じられれば4000人が野宿者になる。家を持っている人でもリストラされたりして現金収入がなくなれば路上にはじき出されざるを得ない。これは略奪が社会現象になる可能性がある。この恐ろしい世の中を玉木はどうやったら防げると思いますか。
【代表】
昨夜のニュースでは、ネットカフェ、ネカフェが休業になると、おっしゃるように東京都内だけで4000人くらい利用されていると言われていますが、ネットカフェと言いながら、そこをある種定宿のようにしている方がいらっしゃるのも事実で、そういった方が行き場を失ってしまうと。リーマンショックの後に、いわゆる年越し派遣村、派遣切りで多くの人が町にあふれたということが、また再現されるのではないのかということを私も懸念します。ですから、こういった方々の行き場をどう確保していくのかということを正しく対応しないと、暴動にいくかどうかはわかりませんが、社会不安が一気に高まる可能性があるので十分な対応が必要だと思います。
日本で起きないかもしれませんが、アメリカや欧州においてはまさにその暴動が起きるかもしれませんし、場合によっては中国でも、そういったことがある種次の大きな経済危機の引き金になる、いわゆるブラックスワンということがよく言われますが、予期せぬ現象を引き起こしてしまうきっかけになってしまうのではないかと思いますので、ここは何としても我が国においてそういうことが起きないようにしっかりとした対応を、住宅政策・住居政策も含めて講じていかなければならないと思っています。
○新型肺炎 地方への人の移動について
【時事通信・近藤記者】
「緊急事態宣言」を受けて首都圏などから地方への移動は厳に控えるべきと総理も言われているが、これに関連して2点伺いたい。
1点目は、静岡補選への応援入りというか、幹部、代表を含めた応援入りをどのように考えているか。
もう一点は、国会議員の方々は毎週地方に戻られて声などを聞かなければいけない仕事だと思うが、代表はどのように、地元入りを今後どうしていくか。今のお考えを伺いたい。
【代表】
まず一般論として申し上げますと、「基本的対処方針」(新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針)の中に、帰省とか地方に行く、いわゆる東京脱出的なことは控えてもらいたいということが書かれているので、できるだけ東京から地方に散らばることはやめたほうがいいと思います。
ただ、学生さんなどで、休業になってもうバイトが切られてしまったりとか収入が断たれて、じゃあ東京にずっといてくださいと言っても、あるいは寮に入っていた人も寮を追い出されたりとか、そういうことで居場所がなくてとにかく実家に帰ろうというような人までとめるのはなかなか難しいと思います。だからこそ、そういった苦しい学生さんとか、急に住居も含めて奪われたような働く人たちに対する支援をしっかりやることによって、地方に行かざるを得ない人を少なくするという政策が必要だと思います。
政治の話をすると、静岡補選については、戦う以上やらなければいけないのですが、そういった感染拡大につながらないような形で、仮に行くにしても、例えば街宣車を回して接触せずに音だけ聞かせて活動するとか、そこは十分な工夫をしたいと思いますし、野党党首横並びみたいなことはやめようと思います。もうそれだけで濃厚接触になってしまいますので、そこはやめたいと思います。
私も含めて週末地元に帰っておりましたが、この「緊急事態宣言」の1ヵ月についてはできるだけ東京にいようと思っています。実は我々が思う以上に、東京から来る人に対してのある種の怖さを地方の人は持っているので、そういう意味でもできるだけ控えたいと思っております。
○新型肺炎 政府の対応について
【共同通信・中田記者】
安倍総理がきのう「緊急事態宣言」を発出した後の記者会見で、感染防止対策が失敗だったときの責任について問われ、「最悪の事態になった場合、私が責任をとればいいというものではない」とおっしゃっている。今回の「緊急事態宣言」を含めて、感染防止に政権が失敗というか、うまくいかなかった場合の総理の責任について代表はどうお考えでしょうか。
【代表】
今は総理も非常に不眠不休で一生懸命対処されていますから、その総理の努力について私は評価をしたいと思いますし、頑張っていただきたいと思います。ただ、落ち着いた後にはやはり事後の検証は不可欠で、「緊急事態宣言」についても出すタイミングが、もうちょっと早く出せば感染拡大が防止できたのではないかというタイミングはあったと思います。少なくともあの3月の3連休、20・21・22、22はK-1の試合も行われましたが、学校休業についてももとに戻るというようなアナウンスもあったこともあって、やはり緩んだのだと思います。ですから、そこはやはり総理おっしゃるように政治は結果責任ですから、感染拡大を防ぐことができないで仮に「オーバーシュート」というようなことになれば、それは当然、政権の、安倍総理の責任は厳しく問われると思います。
【朝日新聞・小林記者】
2点お尋ねしたい。
1点目が、きのうの議運で総理から憲法改正について議論を期待するという発言があったり、憲法審では与党側から国会機能の確保をテーマに議論したいと野党側に持ちかけたり、そういった動きが今出ている。このコロナの事態の中、憲法議論を進めることについて代表はどうお考えか。
2点目は、記者会見のあり方について。国民民主党はいろいろ工夫されていると思うが、権力側の情報発信という意味ではいろいろ不自由も予想され、例えば東日本大震災のときは菅首相がぶら下がりをやめたり、官房長官会見も、今は1日2回だが、それが果たして保たれるのかどうか不透明だが、権力側の発信という意味での会見のあり方について伺いたい。
【代表】
まず憲法審査会についてですが、私は憲法の議論をやるべきだという立場ですが、先ほど来申し上げているように、「緊急事態宣言」が発出されている間は国会もあらゆるリソースをまずはコロナ対策に特化すべきだと思います。例えば憲法の緊急事態条項を議論したからといってじゃあ何かすぐにできるようになるかというと、それは直接つながらない話ですから、いろいろやりたいことはあるとは思いますが、今はコロナ対策に与野党とも特化すべきだと思います。
記者会見のあり方等ですが、リスクコミュニケーションが一番大事な時期だと思います。こういうときだからこそ、真実を正しく、包み隠さず国民と世界に対して発信することが我が国に対する信頼を維持し、結果として国民の皆さんのご理解を得て早期の収束につながると思いますので、こういう困難な時期だからこそリーダーの積極的な、国民そして世論との対話、コミュニケーションということが極めて重要だと思いますので、これまでの情報発信等については維持すべきだと思います。
○新型肺炎 「緊急事態宣言」での理美容分野の扱いについて
【伊藤役員室次長】
最後、追加で朝日・伊藤編集委員からいただいております。先ほど「緊急事態宣言」下での理美容の休業要請の扱いについての政府・東京都の見解が分かれている点に触れさせていただきましたが、玉木代表ご自身はどのくらいの頻度で理髪店などを利用されていますか。玉木代表にとって生活の安定確保のために必要な店ですかというご質問をいただいております。
【代表】
大体1ヵ月に1回ぐらいですかね。忙しいとなかなか行けませんが、1ヵ月に1回か40日に1回ぐらい髪を切りに行っています。
生活に必要かというと、そうですね、切らなかったらすぐ命がなくなったり病気になったりするものでもないですが、気分転換等には非常に大事なものかなとは思います。