玉木雄一郎代表記者会見

2020年4月15日(水)15時33分~16時24分
◎発行/国民民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/1BGcE9ySMKs


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

【司会・矢田役員室次長】
 皆さん、こんにちは。お集まりいただきましてありがとうございます。定例の記者会見を始めさせていただきます。
 まず、冒頭、大変申しわけありませんが、コロナ感染(COVID-19)が広がる中で、きょうもこうした形でやらせていただきたいと思います。この会見はユーチューブでライブ配信をしております。記者さんからの質問につきましては、通常どおりこの場でもお受けいたしますが、加えて、事前にいただいた質問、会見中にユーチューブのコメント欄もしくはメールでお寄せいただいた質問についても、この場で代表がお答えいたします。なお、本日事前にいただいた質問につきましては、代表の冒頭発言終了後、質疑に先立って回答いたしますのでご承知おきください。また、本日も会見場に記者さんがいらっしゃっていますが、できる限り接触を減らすために、少し間隔をあけて、ライブ配信の活用をお願いしたいと思います。
 それでは、代表より冒頭発言があります。

【代表】
 適度なソーシャルディスタンスをとりながらやりたいと思います。

○緊急事態措置の実効性を確保する法案の作成に着手

【代表】
 まず、「緊急事態宣言」が発令されて1週間がたちました。国民の皆さんには多大なるご負担をおかけしておりますが、政府の調査では平日の人出の減少率は6割程度ということで、目標の8割、最低でも7割ということには届いておりません。私も週末も含めて地元に帰らずにこちらにいますが、都内あちらこちら歩いて見ておりますが、あまり人の出が変わっていないところ、大きく落ちているところもありますが、商店街などでは依然として変わらないところも出ております。
 そこで、この緊急事態措置を実効あらしめるための新たな法制、制度づくりがやはり必要ではないかということで、今、政調会長を中心に法案の準備を指示して作業に当たっていただいております。今週中ぐらいにはまとめていきたいなと。今、自粛の要請、あるいはあって指示ということにとどまっている特措法の問題点を補完するような法制度を整備していきたいと思いますので、このことに着手をしております。

○新型肺炎対策に特化した国会対応を

【代表】
 あわせて、国会活動については、もう何度も申し上げていますが、国会あるいは永田町・霞が関の資源、人的資源、リソースをコロナ対策に特化すべき、限定すべきだと思います。
 今、たぶん日本の中で、本会議場は例えば衆議院だと400名を超えていますが、400名を超えた人たちが一気に集まる場所は本会議場以外にはもう日本にはないのではないでしょうか。国会として、国として「3密」を避けてくださいと要請しておきながら400人規模で人を密集させているのは国会だけだというのは、果たしてお願いする立場としていいのかということについては国民民主党としては何度も申し上げてきていますが、間引く間引かないというレベルではなくて、やはり国会を一旦休会する、必要な補正予算の審議などに限定するということをやらないと。ほかの法案もいろいろありますが、真に急ぐのかということを、例えば年金の法案にしても厚生労働省・厚生労働大臣に対して今コロナ以外の質問をするのが本当に適切なのかということについては、特に政府・与党にはよく考えていただいて、閣法を全部通そうというようなことではなくて、今、何に優先順位を置くべきかということを改めて考えていただきたいと思いますし、国民民主党としても国対を通じてこういうことを他党そしてまた政府・与党にも強く呼びかけていきたいと思います。

○「一律10万円」現金給付の速やかな実現を

【代表】
 次に、昨日IMFから世界経済の見通しが発表されました。日本経済はマイナス5.2%になるということで発表がありましたが、1ヵ月以上前に私は30兆円の10兆・10兆・10兆の経済対策を発表するときにマイナス5.5%になるという前提で我が党の緊急経済対策を発表させていただきました。その意味では、あまり外れていないなと。IMFが発表したものにも近い前提で緊急経済対策を発表しましたので、その意味では我が党が、正式には3月18日に決定しましたが、意義のある、意味のある対策を当初から打ち出していたのではないかと改めて確信をしております。
 その中の大きな柱である国民一人当たり一律10万円の現金給付ということについては、3月9日ぐらいから私はずっと公式に申し上げてまいりましたが、あれから1ヵ月強たってようやく、先日自民党の二階幹事長も、そしてきょう公明党の山口代表も総理に対して10万円の、公明党は所得制限もなしでやるということで求めたと。総理は「方向性を持って検討する」というところまで来ましたので、ぜひこれを実現していきたい。一番最初にこれを提案させていただいた党としても責任を持って、ぜひ実現をしていきたい。
 実現するということであれば、具体的な給付の方法も含めて我々は案がありますので、ぜひ政府にも提言したい。マイナンバーを使ってやればかなり効率的に銀行に振り込むことができますし、専用サイトを立ち上げて、セキュリティにも配慮した状態で銀行口座に直接お振り込みすることが可能ですので、必要であれば我々の案を政府にもお伝えしたいと思いますし、お年寄りは年金の振込口座がありますから、そういったものも活用すればスピーディーに現金給付を行うことは可能だと思って、我々も案があります。
 とにかく、本来であればもう今週・来週に振り込まなければいけなかったのです。アメリカは1000ドルの振り込みがきのうぐらいから始まっていますが、日本は今から、どうも聞くと2次補正でやるという話ですから、そうするとこれ夏から秋になりますからね。ですから、やるのだったら1次補正で予算組み替えてでもやれと。これをやってくれるのだったら我々も本当に補正予算に喜んで賛成しますから。ですから、やるなら(ずっと)先にやるのではなくて、今本当に苦しんでいるというかぎりぎりの方もいらっしゃいますから、これを速やかにやることを求めたいと思いますし、さらに先ほど申し上げたようなマイナンバーを活用した簡素でスピーディーな給付方法も我々は案を持っていますので、ぜひそういった配布・給付の方法についてもぜひ我が党案を採用してもらいたいと思います。

○家賃支払い猶予法案の作成に着手

【代表】
 次に、企業の休業補償についてであります。これも10兆円規模でやるべきだということを言ってまいりました。今回の政府の100万円・200万円の中小企業・小規模事業者等への給付金については総額2.3兆円ですから、4倍から5倍ぐらい膨らませなければとても足りないというのが我々の計算です。
 ですから、これについても拡充を求めていきたいと思いますが、当面急ぐのは家賃の支払いだと思います。これも今いろいろな声が私どもに届いていますが、やはり最大の固定費である家賃が払えないと。国交省は大家さんや不動産オーナーに対して家賃の支払いの猶予を要請しましたが、これ大家さんたちも大変なので簡単に猶予はできないということでにらみ合っていますので、我々としては、いわゆる家賃支払い猶予法、家賃支払いモラトリアム法案というものを既に政調に指示をして法案化の作業を進めております。これも先ほど申し上げました緊急事態措置の実効性を確保する法案とともに早急に法案化をして他党にも呼びかけていきたいと思います。
 この家賃モラトリアム法案については、ちょうど同じころに大阪府の吉村知事が西村大臣に対して7知事(と政府)の合同会議の中で3ヵ月家賃のモラトリアムを要請・要求しましたので、維新の皆さんからも松井市長や馬場幹事長などからツイッターなどを通じて賛成するという意向も寄せられておりますので、ぜひこれは幅広い与野党の合意を得て、できれば委員長提案ででも速やかに成立させていきたい。これも私たち具体的な案を持っていますので、ぜひ、本当に困っている、特に飲食の方々で「家賃が払えない」「廃業せざるを得ない」という悲痛な声がたくさん届いていますので、そこにまず速やかにこたえる制度をご提案していきたい、実現していきたいと思います。

○国会議員の歳費削減案について

【代表】
 最後に、歳費の削減についてでありますが、昨日の自民党・立憲民主党の国対委員長間で歳費の議論があったということでありましたが、我が党としても本日の執行役員会で議論をいたしました。その結果、我が党としては歳費の削減については積極的に取り組んでいこうということで決まりました。
 これから党内手続を踏んでいきたいと思います。どういう期間をやるのか、どういう削減率にするのかということを具体的に決めていきたいと思いますが、東日本大震災のときが2割カットということでしたから、歳費の2割削減を軸に検討していきたいと思っておりますが、若手の中には、今、30万円の給付金とか100万・200万円の持続化給付金などは50%以上の減収というのがいずれも要件になっているので、我々国会議員としても50%、半分、この感染拡大がおさまるまでは2割と言わず5割の削減をすべきではないかというような意見もいただいておりますので、そういったことも踏まえて党内で議論をして、2割削減ということを軸にさまざまな削減案について検討して決めていきたいと思っています。

○「妊婦を守る取り組み」「DV・虐待リスク増加対策」について

【代表】
 最後に、きょう矢田さんがいらっしゃいますが、「緊急事態宣言」から1週間という中で幾つかの問題が改めて浮かび上がってきておりますが、その一つが、妊婦さんの感染リスクをどう考えるかということであります。特に医療現場で働いている妊婦さんについてはなかなか、出勤を控えるといってもやはり出ざるを得ない、あるいは出勤を取りやめるということがなかなかしづらいというようなこともあります。特に妊婦さんのリスクが高まるということはないとも言われる一方で、やはりさまざまなリスクが高い対象だということもそうでありますから、妊婦さんについては出勤停止をした上できちんとした所得補償をしていくというような仕組み、場合によっては法改正が必要ではないかと思っておりますので、こういったことにも取り組んでいきたいと思います。
 もう一つは、「緊急事態宣言」以降、外出自粛ということで、いわゆるDVあるいは児童虐待ということが非常にふえています。私の地元の香川県でも3月だけで前の年の同じ月と比べて1.5倍になっています。特に面前DVという、ご両親とか夫婦が、お父さんお母さんが子どもの面前で暴力を振るう振るわれる、見せつけられるというのもDVの一種なのですが、そういった面前DVも非常にふえている。一番ふえているのが面前DVということで、こういったことに対する対応が果たして十分できているのかということを我々としても役所に問い合わせて検証していますが、必ずしも十分できていないということで、やはりしっかりとした対策を打っていかないといけない。これはWHOからもそういう報告がありますので、世界的な問題ではありますが、このDVの問題、児童虐待の問題、あわせて取り組んでいき、我が党としての明確な方針・政策を出していきたいと思っています。


■質疑

○新型肺炎 「家賃支払い猶予法案」「一律10万円給付案」「首相動画」について

【矢田役員室次長】
 それでは、先ほど申し上げたように、初めに事前に文書であった質問に代表から答えていただきます。まず最初に、日経の児玉記者から二つの質問をいただいていますので、これについて代表からお答えします。
 最初の質問は、ツイッターで提案されている「家賃モラトリアム法案」の概要について伺います。猶予の対象範囲は個人も想定しますか。猶予の期間はどの程度確保するのがふさわしいでしょうか。また、野党の中には、単なるモラトリアムだとテナントも大家も共倒れになるとして国費での補填を求める声もあります。ほかの野党と与党に今後どのように協力を働きかけ、いつまでの提出・成立を目指しますか。
 二つ目の質問は、自民党の二階幹事長が所得制限の可能性に触れています。一人10万円の給付を求める考えを示されました。また、公明党の山口代表は所得制限せずに一人10万円を給付するよう安倍総理に求め、総理は検討する考えを示しました。それぞれの案について評価をお聞かせください。また、二階幹事長は20年度1次補正予算の成立後直ちに2次補正で手当てする考えも示しましたが、タイミングは適切とお考えでしょうか。
 これは先ほどありましたが、改めてお答えいただきたいと思います。2問目につきましては時事通信の近藤記者からも同趣旨の質問をいただいていますので、あわせて代表からお答えいただきます。
 3問目、「日刊スポーツ」の中山記者からは、安倍総理の星野源さんとの連動した動画が炎上しております。玉木代表はユーチューブを使った発信に積極的ですが、ユーチューバーのお立場から見て今回の総理の動画についてどのような感想を持たれましたか。
 この質問について代表からお答えいただきたいと思います。お願いします。

【代表】
 まず、「家賃モラトリアム法案」の概要についてでありますが、今、政調を中心に検討しておりますが、概要はこういうものです。詳しくは私のツイッターに動画を上げているので見ていただきたいのですが、モラトリアムということは、家賃が払えない人が一定期間家賃を払わないことを認めるということです。
 一番の問題は何かというと、そうすると借りている人はいいのですが、大家さんとか不動産オーナーの人は家賃収入が入ってこなくなるので、こっちも大変なのですね。そこで我々が提案するのは、住宅金融支援機構など政府系金融機関が、払えなくなった、あるいは払うことが非常に困難になったテナントさんのかわりに、大家さんや不動産オーナーに家賃を政府系金融機関がかわりに払ってあげます。そのかわりに、その大家さん、そして不動産オーナーがテナントさんに持っている家賃を請求する権利を政府系金融機関に譲り渡して、そして政府系金融機関が債権者として家賃の支払いをテナントにお願いしていくわけです。
 そのときに、大家さんだとなかなか待てませんが、政府系の金融機関だと余裕がありますから、そこでいわゆるモラトリアムということを概ね1年、収束期間を見ながらですが1年猶予した上で、そのテナントさんの経済状況に応じてそこは柔軟に、支払いをさらに延ばしたり、あるいは早く回復するところは早めに払っていただいたり、その支払い能力に応じて柔軟に支払っていただくということで、大家さんや不動産オーナーに負担をかけることなくテナントさんの家賃支払いの負担を下げていく、軽減していくという、概要そういう法案を考えております。
 ですから、家賃について、貸している人、不動産オーナーとか大家さんについては負担が生じませんから問題ないと思います。できれば1年ぐらいを基準にして、さらにその後もなかなか払えないということであれば、そこは臨機応変・柔軟に対応していくということであります。
 今週中ぐらいに概要を固めて、ぜひ他党・他会派にも、もちろん与党も含めて法案の成立を、これは筋は悪くないと思っています。当面の財政措置が要らないので一般会計の負担を伴いませんから、たぶん財投を少し積み増せばできる話だと思いますので、無理のない制度設計だと思いますので、これはぜひ与野党一致して速やかに成立をお願いできればと思っております。
 それと、一人10万円の給付。二階幹事長、山口公明党代表なのですが、先ほど申し上げたようにもう3月の上旬から、1ヵ月以上前から、国民民主党としては一人10万円一律ということをずっと申し上げてまいりましたので、ようやく我々の案に近づいてきたなということですが、ただ、一言で言うと問題が二つあって、二階幹事長の場合は所得制限を設けようとしているので、これをやると結局今の30万円・住民税非課税世帯以下というのと五十歩百歩になって結局事務が煩雑になりますし、ある意味国民を分断することになる。私はあくまで「感染拡大防止協力金」として、所得の高い人も協力してもらわなければいけませんから、その意味では所得制限なく一律にユニバーサルに配るということが重要ですし、そのほうが早いので、そこは所得制限なしにやるべきだというのが一つです。
 二階幹事長・山口代表にも共通しているのですが、やるのは2次補正でやるということをおっしゃっている点については、一言で言うと遅すぎます。もし今の(政府案の)給付制度に問題があるということでこういうことを提案されているのであれば、なぜ1次補正の予算案の組み替えをやらないのでしょうか。それは30万円のこの給付措置がやはり欠陥給付だということを認めているようなものですから、であれば速やかに1次補正の予算の出し直しというか組み替えということをやるべきではないかと思います。
 繰り返しになりますが、我々は一律現金給付、これはマイナンバーを使って効率的にやる方法を持っていますので、ぜひこういう我々の案も、給付の仕方についてもぜひ我が党案を採用していただければと思っております。
 次に、ユーチューブ、星野源さんのですね。いろいろなご批判があると思いますが、一つだけ私が残念に思ったのは、総理も何かこう演奏するかダンスすればよかったのではないかと思います。というのは、星野源さん、アーティストとしては彼が発信するものは全て著作権を伴いますよね。それは著作権フリーで素材として使ってくださいということを、いろいろセッションしませんかということで提案して、ある種、価値のある素材を無償で提供しているということなので、そこはむしろアーティストが無償提供する意図に合わせた活用・利用をすべきではなかったかと思います。
 私も星野源さんが好きなので、ギターではなくて今ピアノで弾いていますので、一回弾いてみたいと思います。

【矢田役員室次長】
 では、会場から質問を受けつけたいと思います。同時並行でユーチューブのコメント欄及びメールでの質問も受けつけます。いずれも社名・名前を明らかにして質問をお願いします。

○国会対応 「補正予算審議」「検察官定年延長法案」について

【朝日新聞・山下記者】
 先ほど代表がおっしゃった補正の組み替えの話とも関係してくるが、自民党は補正予算案について当初予定よりも早い22日の成立を模索しているということで、野党各党から反発が出ているが、これに関して代表のお考えをお願いします。

【代表】
 国対の駆け引きでしょうね。大体いつも1日・1日で言って2日・2日になるので。常識的に考えると、7時間やって次の日に締め総という感じではないですか。そこは国対に任せていますから。
 我々もいたずらに長引かせる必要はないですが、ただ、非常に大きな経済対策のもととなる16.8兆円の補正予算ですから、やはりしっかりと審議をしたほうがいいと思いますし、それぞれ2日ぐらいかけるのが常識的ではないでしょうか。

【朝日新聞・山下記者】
 もう一点、国会対応関連の質問だが、あした検察官の定年引き上げの法案が衆院本会議で審議入りする。この問題点と今後の審議方針をあわせて伺いたい。

【代表】
 これは私、予算委員会でも質問に立ちましたが、検察官の定年延長の問題については、やはり検察の独立性という観点からどうなんだということはもうさんざん議論させてもらいました。
 今回、途中からさらっと、定年の引き上げはいいんですよ。(しかし)行政の裁量で延長ができるということを制度として入れるということは、戦前の裁判所構成法から改正されて検察官については定年延長できないという明確な立法者の意図に基づいてつくったのに、こういうことになっているのはやはり問題だと思いますから、そこは簡単に通すような法案ではないと思います。
 かつ、今、新型コロナの問題をやっていますからね。本当にこれ優先順位として、そんなものを今急いで無理してやるのかということについては政府側にもう一回よく考えてもらいたいと思います。
 もともと筋が悪いし、新型コロナの対策に全力を傾けなければいけないときに、こんなことを無理して急いでやるんですかね。もう少し落ち着いて、問題がある法案だからこそじっくりと議論すべきだと思いますから、今国会でやるべきではないと思います。

○新型肺炎 「一律10万円」現金給付案について

【NHK・宮里記者】
 一律10万円の給付について改めて伺いたい。代表がかねがね党として言ってきたことにようやく政府も追いついてきたという認識だと思うが、改めて今この情勢で一律10万円給付、この政策をとる意義、なぜこれが必要なのかという点についてご見解をお願いします。

【代表】
 これは当初から私は申し上げていますが、とにかく感染症対策というのは一時的に経済を麻痺させることなのですね。今まで仕事があった人がそれによってなくなったり、100あった所得が60になったり50になったり40になったりする。そのことを強制的に強いていくのが最大の感染症対策という、二律背反性があるところが難しいわけです。そのときに、やはり感染症対策に万全を期すためには短期的には経済の低迷を人工的につくるしかないのです。ただ、それによって生活に困窮したり、あるいは事業継続が難しくなった企業などに対して、万全の支援策を講じることをセットでやることが肝なのですね。
 その中で、一人当たり10万円というのは、全ての日本国民に感染拡大防止の協力をいただくと。ある意味、それぞれの経済活動をとめていただく、抑制していただく、そのかわりに10万円を所得に関係なくお配りする。むしろ所得の高い人のほうが普段経済活動が活発かもしれませんから、その意味では所得に関係なく「感染拡大防止協力金」としてお配りする。かつ、一律に配ることによって、所得制限を設ける場合などに比べて簡素でスピーディーに配布することが可能になるので、一律に配るべきだということを当初から申し上げてきたわけであります。
 その意味では、だんだんその方向に与党も変わりつつあることは評価をしたいと思いますが、あと一歩だなと。まだ所得制限を入れようとか、あるいは2次補正でというのは、まずスピードが遅いということと、所得制限をかけるとさらに遅くなるので。何より重視はスピード感ですから、1次補正の中で所得制限をかけずに速やかにやることをぜひ政府に決断いただきたいと思います。
 これは3月の上旬から、国民民主党としては早くからこの案を提案してきましたが、たしか4月2日だったと思いますが、野党合同の対策本部、そしてまた政府・与野党連絡協議会で正式に野党全体の案として今月の上旬に10万円一律給付ということを出していますので、あした野党で幹事長・書記局長会談を開催して、10万円一律給付を改めて意思統一をして政府に求めていくよう、我が党の平野幹事長にも指示したいと思います。野党としてもこれは、特に我が党としてはオリジナルをつくったという自負がありますから、これは野党全体の声として、幹事長会談を開いて政府に強く申し入れたい。1次補正でやるべきだということを申し入れたいと思います。

○新型肺炎 緊急事態措置の実効性を確保する法案について(1)

【読売新聞・天野記者】
 代表冒頭におっしゃった「緊急事態宣言」の中で特措法で対応できない場合の法案というのは、これは「ロックダウン」の法案か。

【代表】
 いわゆる「ロックダウン法案」です。ちょっと「ロックダウン」という言葉を使うとぎょっとするので、あえて「緊急事態措置実効性確保法」のような感じなのですが。
 ポイントは、まず、今は施設の使用制限に関して、自粛要請、「指示」までできます、指示して従わなかったら「公表」ということですが、これにやはり「命令」ということを加えたい。そのかわり経済的な補償をちゃんとやるということを法律上明確にするということ。
 もう一つは、いわゆる45条1項にある、行動の自粛。これは個々人にかかりますが、行動の自粛についても、今は自粛(要請)だけなのですが、追加で「指示」そして「命令」というカテゴリーを加えて、従わなかった場合については、いわゆる行政罰、刑事罰ではなくて行政罰を科すような形で実効性が担保できないかということで今検討しております。
 さまざまな慎重な意見もあるのですが、ただ、歩きたばこをするなと言ったら、それはタバコはどこでもみんな吸いたいのでしょうけれども、ある一つの社会秩序を守るために一定の行動の規制をかけた上で従わなかった人に対しては行政罰を科すという法体系は、現行法・現行憲法下でも必ずしも不可能ではないと思いますので、もちろん私権の制約ということについては慎重な配慮をしながら、外出規制を実効ならしめるものにしていきたいということで、そういったものを盛り込んだ総合的な法案。その中に先ほど申し上げたような「感染拡大防止協力金」としての一律給付ができるという規定もあわせて盛り込んで、私たち国民民主党として提案している政策を法律的根拠に基づいて行えるような、特措法の改正として提案していきたいと思います。

【読売新聞・天野記者】
 関連して。憲法の緊急事態条項の創設に関してはどういうふうに思われるかということが一点と、10万円の話に戻るが、10万円の給付なら賛成するということだが、であれば今の30万円の限定の世帯の給付の1次補正には代表としては賛成するお考えはありますか。

【代表】
 補正については、まず党内議論をこれからするということですが、できれば、30万円が問題だからこうやって予算案をやる直前からこんな「変えろ」「変えろ」と言っているわけでしょう。それは与党もおかしいと認めているわけですよ。だったら変えたらいいのではないかと思います。ただ、最終的に予算案に賛成するかどうかについては、これは党内で議論して決めていくことなので、今のところはまだ未定です。
 緊急事態条項、これもよく聞かれる話なのですが、憲法の議論はしたらいいと思いますが、しても意味がないというか、間に合わないですよ、まずね。3分の2の両院の発議して、国民投票かけて、それでこの新型コロナ対策に間に合わせますかというのは、そこはちょっと想像力を働かせて考えていただいたら結構なのですが、やってもいいですが間に合わないので無駄なのではないか、今やるのは。もちろん落ち着いてからやったらいいと思います。
 私がこのいわゆる「ロックダウン法案」という形で少しセンセーショナルな形でご紹介したのは、今申し上げたような法律改正によってそういったいわゆる「ロックダウン」に近いことができるのであれば、何も憲法を改正しなくても、いわゆる多くの人が思っているような緊急事態条項的なことが法改正でできるのであればもう憲法改正は要らないということがある種明確になる。その意味でも、どこまで法改正でこうした緊急事態措置が実効的なものにできるのかどうか、これはやはりしっかり今回議論しておいたほうがいいと思うので、今、政調中心に、これは他党の人も入れてやっていますが、しっかりと議論して整理しておいたらいいなと思っています。

○新型肺炎 家賃支払い猶予法案について(1)

【産経新聞・千葉記者】
 「家賃モラトリアム法案」のことだが、昨日も維新の足立議員と何か打ち合わせがあったやに聞いているが、その辺の事実関係と、野党各党の中で特に維新から話し合いが始まるというのは見ていて若干異例な形から始まっている印象も受けたが、維新と政策面で協調していくとか協力していくことの意義とか意味合いについて何かあれば教えていただきたい。

【代表】
 足立議員から電話がありまして、電話やメールでも普段から話をしていますが、この件についてお話をしたいというので、ちょっといろいろ政策的な論点について意見交換はさせていただきました。
 先ほど申し上げたように、私はこれは筋の悪くない法案だと思っていますので、ぜひ野党各党、そして与党各党にもご協力いただいて、今、本当に家賃支払いで困っている人たちが山のようにいるので、ぜひこれは救ったほうがいいと思います。休業補償、特に補償ということについては各党いろいろ意見が分かれるのですが、最大の固定費である家賃について軽減する、あるいは少なくともまけるのではなくてモラトリアムすることについて反対する人はいないと思うのですね。ただ、国交大臣からの要請では実効性がないということもある程度明らかになってきていますから、ぜひ成立したい。
 その意味で、これはたまたまですが、私がこれを提案したときと相前後して、吉村知事が西村大臣に対して知事会の中で要請したということもありましたので、同じ方向を向いているのであれば、これはもう与野党関係なく、所属政党関係なく、国民にとっていいものは速やかに実現すべきだということで、協力を得られる政党とは全て協力して早期の実現を図っていきたいと思っています。

○新型肺炎 国会議員の歳費削減案について

【「FACTA」・宮嶋記者】
 自民と立憲の国対が話し合って歳費の20%オフというのは、やはりずれているのではないか。基本給は大体130万だから、衆参全員でやっても年間3億に満たないような額だと思う。事実上すぐに選挙はないし、さまざまな政治活動もテレワークになっており、国民の多くは売り上げがなくなっているわけだから、政党の売り上げたる、それは国民の税金だが、やはり政党助成金をこの間は半分返すとか、まずそこからやらなければ、歳費がどうで、それを国対でやっているなんていうこと自体が世の中をなめていると思う。国民を。まず皆さんも、要するにテレワークでやる仕事になるわけだから、緊急事態のときは助成金を全部返したって、これは300億ぐらいあるわけだから、それは数十億になるわけでし、やはり目に見えるそういうことをやらないと。地方自治体は本当に頑張っているが、それに比べると国会は余りに、特に国対政治でそんなことをやっていて何で国民がと思う。政党助成金はご存じのように共産党はもともともらっていないわけで、それでできるのだから、何がしか考えていただきたい。どうでしょうか。

【代表】
 きょうの執行役員会でも同じような意見が出ました。実際、共産党さんはそういう要求もしていますし、あと我が党の中からは、文書交通費、交通しなくなっているのだからそっちも削ったらどうだと、さまざまな意見が出ました。ですから、我々としては自民党と立憲民主党さんの国対委員長間で合意したものについては必ずしも縛られるものではなくて、やはりさまざまな国民と痛みを共有するようなやり方について、これから党内でしっかり議論していこうということになりましたので、今おっしゃったようなことも含めてこれから議論して党内の意見をまとめていきたいと思っています。

○新型肺炎 「家計第一の緊急経済対策」の情報発信について

【「フランス10」・及川記者】
 一律10万円給付金を言い出したのが国民民主党であるにもかかわらず、NHKの世論調査では1%未満の支持率だ。これをどうやって回復していくのか。あるいは、参議院選挙の前にいろいろCMを多発したが、ああいうキャンペーンはもうやらないのか。以上2点お願いします。

【代表】
 支持率がずっと非常に低いということについては自覚をしておりますが、ただ、今は新型コロナウイルス対策に全力を傾けるということで、一人の人も解雇されない、一社も潰さないということで、いかに国民のお役に立てることができるのか、発信できるのかということで、政策も考えて取り組んでいきたいと思っています。
 なかなか野党第2党としてアピールができていないのではないかというご指摘だと思いますが、それは甘んじてそのご批判を受けたいと思いますが、我々としてやっていることはしっかりと発信をしていきたいと思っておりますし、ただ、手柄が我が党というよりも、少しでもいい政策が一歩でも実現してたくさんの国民の皆さんが助かればいいということで我が党は取り組んでいますし、それが結果としてわかっていただいて支持率につながっていけばいいなと思っていますので、今はとにかく困っている国民のお役に立てる、そういう政策をできるだけ出していきたいと思っています。

○立憲・高井議員の離党届提出について

【NHK・宮里記者】
 立憲民主党の高井議員が「緊急事態宣言」が出ている最中に歌舞伎町のセクシーキャバクラと言われる店に出入りしたということで、離党届を出す事態になっている。同じ会派の仲間でもあると思うが、受けとめをお願いします。

【代表】
 他党の所属の議員のことですので、特段コメントは差し控えたいと思いますが、ただ、これは一般論としていつも申し上げていますが、国会議員の出処進退等についてはみずからが決めるべきものだと思いますので、外からとやかく言うべきものでもないのかなと。特に他党所属の議員のことでありますから、党内でまずはしっかりと対応されるものだと思います。

【フリーランス・堀田記者】
 それに関して、他党とはいっても統一会派を組んでいる。そのほかに、石川大我君という立憲民主党の参議院議員は外出自粛にもかかわらず夜中過ぎまで新宿2丁目で酒飲んでお巡りさんに絡んだという記録もある。今、玉木さんにとっては大事な静岡の補選をやっているわけで、それで同じ会派ですから、これはけじめを早くつけてもらわないと、とても評判が悪い。それと、これは玉木さんのほうは絡んでいないが、人口的な大きさでいうと目黒区長選をやっており立憲の山本さんという人が出ているが、その人もかわいそうだから、同じ女性の立場として矢田さんからもちゃんと参議院できちんとしてくれと。静岡4区は大事でしょう、はっきり言って。それで同じ会派に残るのか。別問題で山尾さんが離党したが会派に残っている。そういうことをはっきりさせてもらわないと玉木さんのメンツにもかかわる。あしたの会談ではっきりさせるように言ってやってください、平野さんに頑張るようにと。

【代表】
 いつも堀田さんからはさまざまなスキャンダルについては厳しいご意見を賜っております。
 確かに会派を同じくしていますので、あるいは静岡4区の補選というのは野党統一候補としてやっていますので、やはり影響は当然あるものだと思っています。ですから、そこはしっかりとまずは立憲民主党さんの中でしかるべき対処をしていただくということを見定めながら、会派として必要であれば我々としても言うべきことを言っていくということになろうかと思います。

○新型肺炎 家賃支払い猶予法案について(2)

【共同通信・中田記者】
 家賃の法案に関して、最初の日経さんの質問に絡むが、対象が個人も含むかどうかについて伺いたい。

【代表】
 もともと店舗そしてオフィスの家賃ということで議論してきましたが、これは例えば個人の家賃あるいは住宅ローン、こういったものも支払いが非常に厳しくなってきているという話があって、今言ったような代位弁済というか、かわりに払って、その分、債権を譲り受けて公的金融機関がかわって求償していくという仕組みは個人にも使えるのではないかということで、今、家賃・住宅ローン支払い猶予法というような形で検討しております。その意味では、事業者だけではなくて個人も対象にした、個人の住宅関係支払いの猶予も可能とするような法律として検討しています。

○衆院静岡4区補選について

【読売新聞・天野記者】
 静岡4区補選の関連で、新型コロナという選挙活動に対して制約がある上に、同姓同名の候補が出るという事態になっている。この二つの難しい課題をどう乗り越えて勝利を目指すか伺いたい。

【代表】
 乗り越えるいい方法があれば教えてもらいたいぐらいなのですが、特に同姓同名の方が出ていることについては正直当惑しております。差別化が図れないのですね、全く同じ名前なので。我がほうの田中健は年齢が42歳なので、「田中健42歳」とか「田中健42」と投票用紙に書いてもらわないと差別化ができなくて完全案分になってしまうので、ですから「田中健42歳」ということを、これは選管にも確認して、「42歳」ということまで一緒に書いてもらうということを、活動の中で、運動の中で、徹底するということに努めております。
 普通の活動ができないことについては、きのうもやりましたが、ネットを使った応援演説とか、ユーチューブ、あるいはニコニコ動画、ツイッターライブ、そういったものを利用した、新しい形での情報発信ということにも試行錯誤しながらチャレンジしているということであります。

○新型肺炎 緊急事態措置の実効性を確保する法案について(2)

【「FACTA」・宮嶋記者】
 高井先生については、やはり立憲あるいは統一会派として最低でも議員辞職勧告決議を提案して、さっさと可決してこの問題を前に進めてほしいと思う。このことで足を引っ張られてほしくない。やはり辞職に値するから、まず国会としてのけじめをつけてほしいと思う。
 もう一つは、先ほどの「ロックダウン法」だが、もちろん強制権がないということが最大の問題だが、基本的にニューヨークでも感染爆発になったらニューヨーク市長が頑張っているわけで、東京や大阪の知事も誰が見たって頑張っている。十三市の結核病院を専門病院にしたり、国より一歩先を行っている。そういう人たちをエンカレッジして、もしできるのだったら起債というものを地財法とかを変えて国がファイナンスするような、そういうことをしないと、結局厚労省などが保健所も縛っていて、本当の現場で病院などをやっているところに権限が行っていないのが最大の問題だと思うが、それならば結構合意するような、国民もそうやってくれと思うと思うが、いかがか。そういう法律にはならないのか、授権するような。

【代表】
 まず、前段の高井さんの話、また石川さんの話は、一義的にまず立憲民主党さんでどう判断されるかということを見て我々としても考えていきたいと思います。
 後段の話ですが、非常に大事な話で、今回のさまざまな対策を見ていて、例えば家賃の話についても、高島市長(福岡市)が8割・上減50万円ということで新たな案を発表されていましたが、あるいは各地域によっていち早く固定資産税を減免したりとかいろいろなことをやっています。つまり、各地域がそれぞれの権限に基づいて、地域に応じた、柔軟な、そして速やかな対応をしていくということが今回改めて確認されましたので、これからの大きな方向性としては、国で一律何かをするということとあわせて、やはり地方の権限・財源をいかにふやしていくのかという方向での改革が感染症対策あるいは災害対策においても必要だということを強く感じました。
 今回1次補正予算の中もあまりそういった観点の予算がありませんので、むしろ特別交付税とか、地方が自由に使えるお金を一気にドンとふやす、10兆円ぐらいふやしたらいいと思うのです。今、交付税が大体年間15兆ぐらいだったと思いますが、それに匹敵するぐらいの規模の交付税を特別交付税として渡して、これでその地域の判断でどんどんやってくれと、休業補償もこれを使ってやってくれということを言えば地方に応じて速やかな対応が可能となると思いますので、一律10万円というユニバーサルにやる政策とあわせて、地方に財源を十分に渡して地方の権限できめ細かな速やかな対策を打つ、こういう方向性がやはり必要ではないかと思います。