玉木雄一郎代表記者会見
2020年4月22日(水)14時05分~14時49分
発行/国民民主党役員室
★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/mvQ4WbNBSNM
■冒頭発言
■質疑
- 金委員長「重体」報道 日本を取り巻く安全保障環境について
- 新型肺炎 「一律10万円」給付について(1)
- 「静岡4区補選」「新型肺炎医療体制について」
- 新型肺炎 「補正予算審議」「学費支払い猶予・減免の提言」について
- 新型肺炎 家賃支払い猶予法案について
- 新型肺炎 「一律10万円」給付について(2)
- 衆院静岡4区補選について(2)
- 新型肺炎 学費支払い猶予・減免の提言について
- 新型肺炎 「一律10万円」給付について(3)
■冒頭発言
【司会・伊藤役員室次長】
これより国民民主党玉木代表の定例会見を始めます。
本日もこの会見をユーチューブでライブ配信いたします。また、事前にいただいた質問については会場からの質問に先立って回答させていただきます。また、既に何度かお願いをしておりますが、接触を最大限避けるという観点から、この代表定例会見にはできる限りネットを通じてご参加いただけるよう改めてお願いいたします。
それでは代表より冒頭発言をお願いいたします。
○新型肺炎 「賃金」「家賃」「学費」に関する提案について
【代表】
本日も長崎のクルーズ船で33人の乗務員の感染、また、東京の練馬区の病院では15名の感染が確認されるなど、感染拡大がおさまっておりません。引き続き油断できない状況にあるという認識でおります。
「人との接触を8割減らす」ということを達成するために国を挙げて取り組んでいるわけでありますが、大変困難な状況だと思います。以前「ロックダウン法案」ということで提案をさせていただき、議論も会派内でしておりますが、8割の接触減を図るということはやはり何らかの手段がないとできないのではないかということも含めて、やはりこれは真摯に議論していかないと、目標を掲げるだけでは実現できない。よってもって医療崩壊の危機に瀕しているという認識を関係者全員が改めて持たなければいけないと思っております。
その意味ではさらなる対策ということが必要になってきますが、やはり一番大事なのは休業補償に万全を期すということだと思います。自粛の要請がなかなか効果を発揮しない。我々はさらに強力な「指示」「命令」ということまで含めて議論をしておりますが、当面現行法の中ではお願いベースしかありませんから、そのお願いベースを実効あらしめるためには、まずやれるのはしっかりとした休業補償をやっていくということだと思います。
政府は依然として休業補償はしないということだけは明言しますが、その補償という法的にはあまりこだわらずに、できるだけの経済的な損失、通常生じる損失については国がしっかり面倒を見るんだというメッセージが出てこないことがこの自粛の実効性を担保できなくしているという強い危機感を持っておりますので、こういった観点から我々の対策あるいは提案をしていきたいと思います。
来週予算委員会がございますので、私も質問に立って安倍総理以下関係閣僚にこういったことを提案も含めて申し上げたいと思いますが、特に3点重要だと思って、我々国民民主党としての案をしっかりまとめていきたいと思っています。
まず、一人一律10万円ということは当初から申し上げてきました。これが実行されるようになったことは評価しておりますが、いかに早くこれを届けるかということが大事だと思います。
その前提として、働いている人が休業や、あるいは時間が短くなって、これまでの賃金を受けとれていないという人が大変ふえております。これに対して雇用調整助成金があるから大丈夫だということを言いますが、これはテレビをごらんの皆さん、ネットをごらんの皆さんにもよくご理解いただきたいのは、9割を補償しますということを国はよく言うのですが、これは賃金の9割を補償するものでは全くありません。法律上事業主に課せられている平均賃金の6割の休業手当のうち、中小企業については10分の9、9割を国が後から、しかもかなり遅れて助成しますということなので、そもそも平均賃金のミニマムでいうと6割出せばいい休業補償のうちの中小企業の場合は9割ですから、平均賃金の54%分は国が見ると。約半分ですね、最大でも。
こういうことでは働いている人からしたら十分なこれまでの収入が確保できなくなりますので、我々としてはこの雇用調整助成金を拡充する。特に8330円の日額上限をとっぱらって、しっかりと十分なそれぞれの賃金が確保される、最低でも8割の休業補償・休業手当を出せば国が100%これを補償するというようなことを強く求めていきたいと思います。その前提として、「緊急事態宣言」が発出されたときに事業主の休業手当を支払う義務がなくなってしまうというような解釈を厚生労働省が出していますが、明確に法的義務があるんだということも含めて、特措法の改正の中でこういったことを盛り込んでいきたいと思います。まず1番目に、働いている人がこれまでの賃金の最低8割はしっかり確保できるように国が責任を持って助成を行っていくということを強く主張していきたいと思います。
二つ目は、家賃の支払いであります。この家賃の問題は本当に多くの人が困っていて、昨日も飲食業を営む経営者の会議がネット上で行われて、その悲痛な声を聞かせていただきましたが、今のままいくとたぶん5月末には大量の企業倒産が発生すると思います。これを防ぐためにも、まず急ぐのは、やはり家賃の支払いの猶予を認める法体系を速やかに整備することだと思います。
現在、我々から提案して、共同会派の案となり、それが維新の皆さん、あるいは共産党の皆さんにもこの法案の協議が既に始まっていると理解しておりますが、ぜひ与党の側においても、検討されているということですが、この支払い猶予についてはいずれにせよ成立させて当面の支払いを軽減する。その上でさらに補助とか助成ということがあればそれはそれでいいと思いますが、まずはこの家賃支払いに当面困っている人たちを救う速やかな法的枠組みを成立させていきたいと思いますので、2番目にこれを強く主張していきたいと思います。
そして3番目に、きょうも直接話を伺いましたが、学費の支払いに困っている学生さんが大量に発生しています。学校がもう数ヵ月休業になることが既に決まっている。しかしバイトが激減、かつ親から仕送りをもらっている人も親も収入が減っているという中で、学費の支払いの請求書だけはいつもどおり来て、大体今月末が支払いの期限になっています。授業がまともに受けられないのにお金だけ請求されて、しかもバイト代が入ってこない。そういう学生さんがものすごくふえていますので、こういった学費の免除あるいは支払いの猶予ということを、これも新たな仕組みもつくって困っている学生さんを助けていきたいと思います。
大学側も経営が大変厳しいので、その意味では、運営費交付金であるとか、あるいは私学助成を臨時的に積み増して、大学側が授業料の免除や猶予をしやすい環境を整えていくということも必要だと思いますので、こういったものは補正予算の中でそういった必要な予算を盛り込むように求めていきたいと思います。
とにかく、「緊急事態宣言」が全国に広がり、それが長期化していく中で、相当な悲鳴が今上がりつつあります。本当にあすをも知れぬというような状況になっている企業も出てきておりますので、緊急を要することについては速やかに提案をし、そして与野党を超えて合意を得て、一つでも多く実現をし、一人でも一社でも救えるようにさらに私たちの取り組みを強化してまいりたいと思っています。
○新型肺炎 国会の対応について
【代表】
それから、国会の対応でありますが、先ほど申し上げたように来週は予算委員会がございます。私も質問に立ちますが、国会というのは国民から見ればどう見ても「3密」の状態を強制的につくっているような場だと見えてしまいます。ですから、もちろんその間隔を置くとか、いろいろな工夫をすることは必要だと思いますが、やはりそろそろイギリス議会でも導入されたようなテレビ審議とか、そういう新しい改革や取り組みを本気でやらないとかえって行政監視機能も弱まってしまうと思いますので、ここは思い切った国会改革ということにも我が党は率先して取り組んでまいりたいと思います。こういったことも来週提案をできればと思っております。
■質疑
○金委員長「重体」報道 日本を取り巻く安全保障環境について
【伊藤役員室次長】
それでは、冒頭申し上げましたように、初めに事前に文書でいただいた質問からまいります。本日お三方から事前に質問いただいております。
最初は「FACTA」の宮嶋記者から1問です。
金正恩(キム・ジョンウン)重篤説をアメリカが流し、韓国・中国が否定に回るが、北は沈黙。コロナ禍で南北朝鮮の中国社会が加速、グアムからアメリカ軍爆撃機が撤収し、軍事境界線が日本海におりてきた感があります。中国の尖閣へのハラスメントが続いており、油断はできないと思います。我が国を取り巻く危機はコロナ禍だけではありません。万一東京がニューヨークのようになったり近隣関係が緊迫したら、与野党が連立することもあり得る。3.11直後、そういう動きがありました。そうした危機感を与野党で共有すべきではないですか。
【代表】
今いろいろな意味で国難に直面していると思います。ですから、与野党を超えて取り組まなければいけない課題も多いと思いますので、ここは古い言葉で言えば「政争は水際まで」ということが言われますが、やはりコロナも含めて、ある意味、いろいろな意味での対外的な脅威に対して備えていくという意味では、しっかりと協力するところは協力をして進めていかなければならないと思います。
その意味で、北朝鮮問題ですが、大変憂慮しているというか、インテリジェンスの情報が我が国にはなかなか入ってこないので真相はよくわかりませんが、ただ、言われているような重篤説、場合によっては金正恩委員長が亡くなるというようなことになれば、北東アジア全体の安全保障環境にも大きな影響を与えますし、地域のパワーバランスを崩すというか、それに乗じて新たな勢力の拡大ということが周辺国からなされる可能性もありますので、その意味では我が国も注視していかなければいけませんし、やはり基本は日米韓の連携をしっかりとっていくということが大事だと思います。
あわせて、仮に有事になった場合には難民が大量に日本に押し寄せる可能性もあります。人道上なかなかこれを否定できませんし、90年代初頭にそういったシミュレーションをしたことも踏まえて、改めてそういったことについての整理をしていく必要があると思いますし、今回の場合はたくさんの人が一箇所に集まれないという状況が国内にある中で一体どういう対応をするのか。そういった有事に対する対応のアップデートということも政府におかれては万全を期していただきたいということは強く求めていきたいと思っております。
○新型肺炎 「一律10万円」給付について(1)
【伊藤役員室次長】
次は、朝日新聞の伊藤編集委員から1問です。
17日の麻生財務大臣の、富裕層などこういった非常時に受けとらない人もいるんじゃないですかという発言もあり、ネット上では著名人のツイッターなどから、10万円は受けとって寄附したい、どう使うかは勝手など、いろいろな意見が飛び交っております。寄附文化が低調とも言われる日本で、10万円を機にこうした議論が一般の方に広がっていることを玉木さんはどのように受けとめていますか。
【代表】
まず、麻生大臣のこういう発言を聞くと、やはり嫌々方針転換したんだなということがよくわかりますね。つまり、一律10万円ということをやることの制度の趣旨が必ずしも腹に落ちていないなということがよく伝わってきます。つまり、これまでの制度は所得の下がった方、非常に困窮した方を支援するという、いわば福祉政策的な意味で捉えられたと思いますが、それが公明党さんがああやって予算の組み替えまで求めてやった結果一律になった以上は、それはもう低所得者対策ではないのですね。実際に、総務省が各都道府県知事に出した文書の中には、全ての人がこの感染拡大防止に協力をして、そのための連帯を深めるための給付金なんだということで、低所得者向けという記述はもう消えています。にもかかわらず麻生大臣がこういう発言をするのは、依然として、いわば富裕層はもらわないほうがいいという、このケチケチした感じが残っているのでこういうメッセージになるのかなと。
私は、これはあえて申し上げますが、受けとります、私自身も。なぜかというと、我々のような者が受けとることによって、「誰でも気軽に受けとれるんだ」と。つまり、所得の高い人が宣言して放棄していくと、「受けとるのは所得の低い人だけなんだ」と、逆に言うと窓口に押し寄せている人は「あの人、皆さん貧乏で所得が低いんだ」というある種の烙印、スティグマと言いますが、それを押されることになります。このユニバーサルな、普遍的な考え方に基づいてつくられた制度は、所得の如何にかかわらずみんなが受けとれるということによって、そのことによって、本来一番救われなければいけない貧しい方とか生活に厳しくなった人がそういった人目も気にせず堂々と申請できるというメリットがあります。
子ども食堂にも同じような面があって、私、一度子ども食堂に行ってカレーを食べたら「玉木は食べるな」と怒られましたが、そうではなくて、いろいろな人がいることによって、そこに貧困のお子さんが紛れ込んでも、「自分は貧しいから」とある種貧困の告白をして初めてそういったサービスにアクセスできるのではなくて、みんながそういった烙印を押されることなく制度を利用できるためにも、所得の高い人も利用したほうがかえって救いを求めている人たちを救うことができるし、その給付を求める心理的なハードルを下げる効果があるので、ここはぜひ、辞退することは黙って辞退すればいいので、「私、辞退します」と言って胸を張って辞退することが善のような雰囲気を社会に広げることは厳に慎んでいただきたいと思っております。
○「静岡4区補選」「新型肺炎医療体制について」
【伊藤役員室次長】
最後は、フリーの横田記者から2問いただいております。2問とも読み上げた上で、代表から回答をお願いいたします。
1問目は、静岡4区補選で山本太郎代表の応援要請をするお考えはないのでしょうか。田中健候補は消費減税も訴えているので、山本太郎代表が掲げる野党共闘・選挙協力の条件、消費税5%減税をクリアしていると思います。
2問目は、救急患者受け入れを一時中止した都立墨東病院に対する国や都の対応について、というものです。
【代表】
まず静岡4区の補選ですが、この新型コロナの感染拡大の中で大変異例の選挙戦、通常の選挙戦ができない中で厳しい戦いを強いられております。ネット選挙などを駆使しながらやっていますが、応援していただける方は山本太郎代表に限らずぜひ応援いただきたいと思います。
ただ、補選については基本的に4党1会派の枠組みで統一候補として戦っております。その過程で「市民連合」を含めた政策合意を行ったわけですが、この政策の協議に当たって「市民連合」さんかられいわのほうに声をかけたのだけれどもご参加いただけなかったという経緯があるということを聞いております。
いずれにしても、あらゆる力を結集して何とか当選に導きたいと思いますので、「田中けん42歳」、よろしくお願いしたいと思います。
それと、救急患者の受け入れを一時中止した墨東病院に対する国や都の対応ということなのですが、詳細の状況を承知していないのでコメントは差し控えたいと思いますが、ただ、非常に緊迫した状況になってきているということは間違いない事実だと思います。初期の段階でもう少しこういったことを招かない対応ができたのではないかという指摘もございますが、非常に厳しい状況にある中で、医療崩壊ということを防ぐためにも、地域の連携であるとか、あるいは軽症者のホテル等での受け入れを拡大してもらうとか、いろいろなことが対策を打たれていますが、これからもさらに感染が拡大する可能性がありますので、そういった都や国の取り組みをより強化していかなければならないと思います。
慶応病院から、(新型コロナウイルス感染症以外の治療を目的とした)無症状患者のうち約6%が陽性だったということが発表されています。これは非常に重大な数字だと私は思っていまして、やはり無症状の方がそれなりの確率で陽性であるということ。また、一部の病院では、救急車で担ぎ込まれてきた方を調べたら、そのうちの一定割合が感染されていたというようなことも言われておりますので、やはり検査体制をもう少し拡充する必要があると思いますし、その上で必要な隔離政策ということを的確に行っていくことが重要ではないかと思っております。
また、これからは、我が党の大塚耕平代表代行が早いうちから提案しておりましたが、抗体検査を広めていく必要があるのではないか。その確度・精度についてはさまざまなご意見があることも承知しておりますが、やはり抗体検査ということで、そういった抗体を持った方は職場に積極的に復帰をして、医療などの現場で対応されているような方も世界の中でも出てきていると聞いていますので、こういった抗体検査を進めていく上でも、公的支援というか公費負担ということも含めて抗体検査の充実ということも図っていかなければならないと考えています。
【伊藤役員室次長】
それでは会見場からの質問をお受けいたします。同時並行でユーチューブコメント欄及びメールでの質問もお受けいたします。いずれも社名、お名前をおっしゃってから質問をお願いいたします。
○新型肺炎 「補正予算審議」「学費支払い猶予・減免の提言」について
【共同通信・中田記者】
2点伺いたい。
1点目は、補正予算について、与野党の間で4月30日の補正予算成立のスケジュールがあらかた固まった。補正予算に関しては組み替えで、野党、特に代表がおっしゃっていた10万円給付が盛り込まれた内容になっているが、この賛否についての今のお考えを伺いたいのが一つ。
学生の学費支払いの関係だが、先ほど私学助成や運営費交付金の話をされたが、具体的な減免とか補助とか、そういったスキームについての今のアイデアについて、もしあるものがあれば伺いたい。
【代表】
まず補正についてですが、4月30日、できるだけ今月中に成立させようということである程度与野党が合意しているということは評価をしますし、我々も審議の促進には協力をしていきたいと思います。一方で、巨額の予算ですから、最低限の国会審議、行政監視という機能はしっかり果たしていかなければならないと思いますので、私も質問に立って疑問点についてはしっかりただしていきたいと思います。ただ、多くの国民が速やかに給付を求めているなどの国民的な要請もありますので、そういったことに応えられるような対応をしていきたいと思います。賛否については最終的には党内で、今まだ検討中ですから、決めていきたいと思いますが、今申し上げたような国民の期待に応えられるような対応をしていきたいと思っております。
それと、学費についての免除あるいは支払い猶予の話ですが、基本的には学校・大学と大学生の間で決める話だと思いますが、ただ、大学側も本来予定していた学費が入ってこなくなると運営上厳しくなるということが想像されますので、国としてどのような財政的な支援が国公立大学・私立大学にできるのか。そこが一つポイントなのかなと思います。ですから、一つ考えられるのは、運営費交付金であるとか私学助成を臨時的に少し増額するとか、あるいは、まだ年度が始まったばかりですから、後にそういったことを穴埋めすることを約した上で学生の学費の免除とか支払い猶予に対して応じるようにということを文科省から各大学に指示を出すとか、いろいろな対応が考えられると思いますが、一つは先ほど申し上げたような運営費交付金や私学助成を少し臨時的に積み増すことによって、免除しやすい、あるいは猶予しやすい環境を大学側につくっていくというのも一つの政策かなと思いますので、補正予算の審議の中でそういったことも求めていきたいと思います。
○新型肺炎 家賃支払い猶予法案について
【日本経済新聞・児玉記者】
家賃猶予法案の件で3点伺いたい。
1点目が、きのう自民党の岸田政調会長が、テナント側を補助する案を検討されるということで示された。国民民主党の案はオーナーにお金が回る仕組みだと思うが、与野党協議の中で、例えば修正、国民民主案の修正といったことも今後考えていかれるお考えがあるかどうか。
2点目が、今後の与野党協議、それから法案提出のスケジュール感。いつごろの提出・成立を目指されるか。
最後3点目だが、現状の法案の検討状況について、支援の対象の範囲、それから猶予の期間は今のところどの程度を想定されているか伺いたい。
【代表】
まず、岸田政調会長が会見で話されたことは承知をしております。これは誤解を解くためにというか、あえて申し上げますが、我々もオーナーを助けようと思って制度をつくっているわけではありません。あくまでテナント支援ということなのですが、ただ、オーナーさん側も家賃収入に基づいて銀行に支払いなどをしているので、オーナーさんとテナントさんを両方助けないと結果として支払い猶予ができないので、反射的な効果としてオーナーさん側も助かるようになっているということで、我々の政策目的はあくまでテナントを助けるということですから、オーナーを助けるという趣旨でつくっているわけではないということはご理解いただきたいと思います。
その上で、テナント側に補助するという案を岸田政調会長は考えておられるということなのですが、それはそれで一つの考え方だし、やったらいいと思うのですが、その場合には今既にある持続化給付金200万円・100万円、あれは家賃にも使えますから、そことの関係をどう整理するのか。それとは違って家賃のみに使われる新たな給付金を創設するのであれば、その両者の制度の要件は同じなのか違うのか。あるいは、今から交付要綱をつくってやるとそこが出ていくのはたぶん6月以降になってしまって、間に合うのか。あるいは、そういった予算は既に閣議決定された組み替え補正予算の中に入っているのか、どの費目なのか。そういったこともあるので、もし補助的なものをするのであれば、既に政府側がつくっている持続化給付金を我々が言っているように400万円・200万円に倍増させるとか、あるいは50%以上下がらないともらえないという要件を例えば30%以上下がったらもらえるように要件緩和するとか、テナントに対する給付は現在の制度を拡充したほうが早いのではないのかと思います。その上で、その補助的・助成的な措置と同時に、やはり速やかに行えるこの支払いの猶予、モラトリアムということはいずれにしても入れたらいいと思うので、補助・助成か猶予かという二者択一ではなくて両方やったらいいのではないかと思います。
ですから、ぜひそこは我々の支払い猶予、モラトリアム法案についても与党側のご理解もいただいて成立させていきたいと思いますし、うまく持続化交付金と整理がつく形でテナントに対する新たな助成措置ができるのであれば、それはそれでやっていただいたら結構かなと。ただ、ポイントはスピードだと思います。
それと、修正するのかということなのですが、私は両方、モラトリアム、支払い猶予も助成も両方できたらいいと思うので、そういう形で合意できるなら合意したらいいと思います。ただ、我々の案もあくまでたたき台ですから、もし要求があれば柔軟に変えていけばいいと思います。とにかく与野党が合意をして速やかに成立させることが、今、家賃支払いに困っている人たちが一番求めていることなので、そこは柔軟に修正に応じたいと思いますし、かつ、今、維新さんとか、あるいは共産党さんにも我々の会派の案を提案していますので、もしご意見があればそこも柔軟に応じたいと思います。とにかくみんなが一致して委員長提案で速やかに成立させることが大事だと思いますので、与野党、各党・各会派のこのモラトリアム法案、家賃支払い猶予法案へのご理解をいただきたいと思います。
スケジュール感ですが、できれば、急いでいますから本当に今月中に成立させたいぐらいの気持ちであります。5月末になると本当に倒産します。潰れます、いっぱい。ですから、どんなに遅くても連休明け早々にはこれができておかないと、もう5月の末でまだ手がなければ本当に潰れます。ですから、合意できるのであれば今月中にやりたいし、どんなに遅くても連休明け。連休を返上してでも、休みを返上してでもこれを通したほうがいいと思いますから、できるだけ今月中に合意が得られるように努力をしたいと思います。
現状は、対象は今のところ中小・中堅企業を対象にし、猶予期間は約1年ということを考えています。ただ、その後も、コロナがそもそも1年でおさまるのかどうか、あるいは業態・業種によってはV字回復するところもあればそうではないところもあるので、政府系金融機関が一旦債権を引き受けますから、そこはそのときの業態・業種、会社の状況も見ながら、さらにリスケをしたり、場合によっては一部補給金というか助成金を入れて支援するようなことはその後また考えていくということなので、まずは支払いの猶予を法的に確実にしていくということで進めていきたいと思っています。
【NHK・米津記者】
今の質問とお答えに関連するが、先ほど代表は与野党で合意を得られるように努力したいとおっしゃったが、これは具体的にどういった場面で、代表として、あるいは野党として一致して、与党側に提案、また合意に向けた協議というのをしていきたいとお考えか。少し具体的に伺いたい。
【代表】
会派としての案は大体まとまっていますので、今、維新の皆さん、そして共産党の皆さんにも考え方の骨子を投げて、いわば共同で具体的な法案作成をしているという段階です。それがまとまれば、あるいはそれと同時並行的に、与党側とも内々の接触をしていると。ただ、今聞いていると、与党側はまだ窓口が決まっていない、具体的な案がまだ定まっていないので協議については少し待ってくれということを自民党から言われていると聞いていますので、ぜひ自民党さんにおかれても案を早くまとめていただいて公式の協議を開始していきたいなと。
一つは、既に先週の政府・与野党連絡協議会でこちらから提案をし、田村憲久さん初め与党の方も大きな方向性としては一致したと聞いていますので、公式にできたこの政府・与党との交渉の窓口ということを通じて協議を行っていければと思います。実務的にはもう少し実務者レベルでの詰めが必要になると思いますが、公式にはまず政府・与野党連絡協議会の場を通じて詰めていきたいと思っています。
○新型肺炎 「一律10万円」給付について(2)
【ラジオ日本・伊藤記者】
初歩的な質問で恐縮だが、閣議決定を覆して一律10万に決まった。これは過去に2回あるが、これについて玉木代表は、野党第2党、将来政権交代を目指す立場として、どういうふうにごらんになったか。
【代表】
まず、私も予算編成にかつて大蔵省・財務省時代にかかわりましたが、軽微な、そういった閣議決定後の予算の組み替えというのはありましたが、ただ、これだけ大規模なものというのは初めてだと私は認識しております。その意味で前回も「空前絶後、前代未聞だ」というふうに申し上げました。ただ、結果として一律10万円が入ったことについてはよかったと私は思いますし、こういう政治決断が行われたことについては評価をしています。
プラスで捉えれば、閣議決定したことがその後一切変わらないというのは、ある種、官僚主導みたいなものなので、閣議決定した後も政治的な、今回は与党の一員である公明党からでしたが、場合によっては野党の主張で予算案が組み替えられていくというのは、ある種、立法府側の力が相対的に高まる意味もあるので、私はこれはプラスに捉えていきたい。ただ、財務省の事務方の皆さんは大変だなと思いますので、財務省の中でクラスターが発生しないように気をつけなければいけないと思います。
【ラジオ日本・伊藤記者】
代表が言われたように、野党からの要求で組み替えになるのはいいと思うが、今回は20年間連立を組んできた自民党と公明党の中で起きた、僕から見たらすごく大きな事件だと思う。その辺はどういうふうにごらんになっているか。
【代表】
ある意味、今まではこういうことはあり得なかったわけです。安保法制のときでも、あの公明党さんがあの安保法制にもある意味賛同したということですが、今回それを大きくひっくり返すようなことが一律10万円給付で起きたということは、やはり安倍政権の政策というのが、公明党さん、あるいは学会の皆さん、もっと言うと国民の皆さんの思いとかなりずれ始めたということの一つの証左ではないかと思います。もちろん今回は公明党さんからのああいった申し入れで変わったのですが、その前から、我々は早いうちから一律10万円のほうがいいんだということを論理立てて説明してきましたので、こうした私たち国民民主党あるいは野党全体のそういった声も公明党さんを結果として動かすことにつながったのかなと思いますので、やはり安倍政権の打ち出す今回のコロナ対策の政策がかなりいろいろな意味で民意とかけ離れつつあることの証左ではないかと思います。
○衆院静岡4区補選について(2)
【フリーランス・堀田記者】
静岡4区だが、山本さんと私はさしで何回も話したが、あくまでも山本さんは、具体的に5%がないと絶対に行かないと言っている。横田さんは行かせたいのだろうけれども、これで行ったら山本さんが山本太郎でなくなってしまう。
今からでも遅くないですから、立憲と一緒にやっているのだから、高井と石川大我の件できちんと謝ってくれということを言わないと、はっきり申し上げて、私は望月さんも深澤さんもよく知っているが非常によい候補で、もう勝負はついている。要するに大差がついて負けることだと、はっきり言って玉木さんの顔に泥を塗る。一緒にやっているのだから、立憲のほうにきちんと、すねに傷を持つようなことでやらないでくれと言ってください。お願いします。
【代表】
いつも地方政治についての鋭い分析と、また、建設的なご提案をいただいて、堀田さんには感謝をしております。
やはり信頼感というのが大事だと思いますので、今回、高井さんについてはもう除名・除籍ということになっていると承知しておりますので一定の謝罪もあったのかなと理解していますが、石川さんについてはまだよく承知をしていないので、いずれにしても事実関係を明らかにした上で、もしわびるところがあればやはりしっかりわびなければいけないのかなとは思いますが、改めてこれは確認をしたいと思います。
選挙を戦っている最中に、やはりそういった推薦する政党でいろいろな問題があると候補者としても戦いにくいと思いますので、そういったところはきちんと整理した上で臨んでいかなければいけないなと、改めてそう思っております。
○新型肺炎 学費支払い猶予・減免の提言について
【「FACTA」・宮嶋記者】
学生というのはたぶん大学生が中心だと思うが、先ほどおっしゃった学生の現状、どういうお話を聞いておられて、それは文科省から聞いたのか現場から聞いたのか。想像するに、仕送りとアルバイトと奨学金。苦学生、特に田舎から出てきた人は大変だと私は想像するが、最初にやるのは、とにかく困った人がいたら学費を免除するのではなく猶予するというか、それを先にやらないと、免除になると結局学校側の人間との資格要件とかになる。まずは猶予を考えてやるならばすぐにできると思うし、それは申請があったらすぐに3年、5年、中小企業はたしか5年間無利子で借りられるわけだから。その後、奨学金と合わせた額が多くなった人は免除するとか、何かやはり平等性も必要だと思うが。現状はよくわからないが、やはりまずは申請があったら学費を猶予するというのが国がやることだと私は思う。どういう法案になるのかわからないが、まず学生の現状と、猶予なのか免除なのか、その辺のお考えを伺いたい。
【代表】
まず、声は直接ご本人たち、当事者から聞いています。きょうも朝11時から、本当はたくさんいらっしゃるのですが、ソーシャルディスタンスをとらなければいけないということで2名だけ代表して大学4年生・3年生が来られて、厳しい現状について直接教えてもらいましたし、陳情いただきました。
特にバイトがなくなっているということが厳しい。図書館も使えない、Wi‐Fiも使えない、いろいろなものが使えないのに請求だけはそのまま来る。でも、大学に聞いたら、4年間で教育サービスを提供するので今できなくても後で帳尻を合わせるから今は払ってくれと。ただ、払えない。しかも、もう家賃とかが高いので、バイトもできないのだったら地元に帰ってしばらくいようと思っても、全国に「緊急事態宣言」が出たので、もう「若いお前は帰ってくるな」と言われていて帰省もできない。だから家賃を払い続けなければいけないということで、大変具体的な厳しい状況についてきょうは陳情いただきました。
きょうもこの後16時から、ネットですが何人かとつないで大学生・大学院生からの直接の声を聞かせていただくことになっていますが、今おっしゃったとおり、これはある意味先ほどの家賃の話と似ていて、もちろん補助とかしたらいいのですが、まず急ぐのは支払いの猶予だと思います。これはやはり早く文科省としても方針を打ち出して、各大学に要請をして、どうしても当面の資金繰りで困るのであれば融資とか助成とか、そういったことでサポートしながら学生の負担を速やかに軽減していくということが大事だと思います。
きょう陳情をいただきましたので、早急に我々として政策をまとめて文科省や政府に対して国民民主党としての対策・対案・提言をぶつけていきたいと思います。
いろいろな方が本当に今困って陳情に来られましたので、特に学生さんはなかなか今まで、これまでの政策の中で中小企業とか困っているフリーランスというところに光が当たっていましたが、実はすごく困っているのは学生さんで、あまり政策的・政治的にも光が当たってこなかったので、ここは我が党としても先頭に立ってこの学生さんの問題に取り組んでいきたいと思います。
○新型肺炎 「一律10万円」給付について(3)
【伊藤役員室次長】
先ほどの問いで漏れていたものがあったので、あと1問お願いします。朝日新聞の伊藤編集委員からです。
寄附文化が低調とも言われる日本で10万円を機にこうした議論が一般の方に広がることを玉木さんはどのように受けとめていますか。寄附文化が広がることについてのコメントをお願いいたします。
【代表】
それは、いいのではないですかね。我々民主党政権時代に「新しい公共」ということで、私もかかわりましたが、寄附したら地方税も含めて半額は税額控除されるという仕組みをつくって寄附文化ということを根づかせていこうと。さまざまなクラウドファンディングのサイトもその後起ち上がりましたし、そういった志のあるお金が必要な公的事業をするところに集まっていくという仕組みはこれから日本でもっと花開かせていくべきだと思いますので、今回受けとった10万円は、私はもう皆さん受けとればいいと思いますが、それは自由に使っていいと思います。その中で寄附したいという人も出てくると思いますので、そういった寄附が本当に世の中のために頑張ろうという人たちにうまくつながっていくように、また、税制などでそういったことをしっかり後押しできるように、そういった「新しい公共」の分野はしっかりと応援していきたいと思っています。