玉木雄一郎代表(オンライン)記者会見

2020年5月7日(木)14時01分~14時46分
発行/国民民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/UYO3V7J7c_g


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○結党2周年を迎えて

【代表】
 皆さん、こんにちは。玉木雄一郎です。連休が明けて、またよろしくお願いします。
 まず、私から冒頭発言をさせていただきます。
 本日5月7日で、国民民主党が結党されてちょうど2年となりました。いろいろなことがありましたが、この間、私たちの活動に対してご理解、ご支持をしてくれた全ての方に感謝を申し上げたいと思いますし、特に自治体議員の皆さん、党員・サポーターの皆さん。私たちは結党以来、地域・地方を大切にするということでやってきましたので、特に統一自治体選挙もありました、その苦しい中で地方で国民民主党の旗を立てて頑張ってくれている自治体議員の皆さんと党員・サポーターの皆さんに特に感謝を申し上げたいと思います。
 そして、この2年間、国民民主党としては単に批判だけではなくて解決策を、「新しい答え」を常に提案していこうという姿勢でやってきましたが、今般のコロナの問題に関して、そういった我が党の姿勢とか、あるいは、そういった解決策を示していこうという政党や個々の議員の能力や取り組みが非常にいい形で成果を発揮するようになってきたのかなと思います。10万円の一律給付の問題であるとか、家賃の法案、あるいは来週提出予定の学費の問題であるとか、今話題になっているような多くのテーマで、我が党から発信したものが一つの議論の軸になってきている、政策の核になってきているというのは、非常に我々のこの「つくろう、新しい答え。」という党是に合致した活動ができているのではないかということで、2年を迎えて我々の力が発揮されてきたなと、そのように思っています。
 また、「未来先取り」政党として新しいチャレンジをしていこうということでもやってきましたが、これは今から振り返ると、昨年の夏の参議院選挙の公約に、皆さんも覚えていらっしゃると思いますが、家賃に対して補助をしようというのを初めて公党として打ち出したのはある意味先進的だったと思いますし、また、「どこでもWi‐Fi」といって、Wi‐Fi環境を日本中で整えて、まさに教育であるとかビジネスに等しく参画できるような環境整備をしていこうということを打ち出したのも、今のコロナの問題に対する解決策を先取りしているような気がします。また、児童手当の拡充というのはまさに今回実現していますし、孤独対策というのも提案をしましたが、まさにステイホームで、孤独というか一人で過ごしたり隔離された中で暮らしていくことに対するさまざまな社会的・心理的な問題を取り上げようということで、孤独対策というのもこれ公党として初めて打ち立てたのが、あれから半年たってまさにコロナ対策でも見事に生きているということですから、その意味でも「未来先取り」でやってこられたなという自負を持っております。

○新型肺炎 妊婦を守る取り組みについて

【代表】
 それと、まさにきょう厚生労働省のガイドラインが改正されて、我が党の矢田わか子議員が取り組んできた妊婦さんに対する感染症対策なのですが、本人が望めば在宅勤務であるとか休業することを企業に義務づけるということがきょうから始まりました。指導・勧告をして従わなければ企業名を公表するというところまで踏み込んでくれることになったので、妊婦を救う、妊婦を助けるという意味では非常に、コロナだけに限らず日本の社会の中でも特に働く妊婦さんにとってはきょうは画期的な一日かなと思っていまして、こういうことにも我が党が率先して取り組んできたことは非常によかったなと思っています。

○新型肺炎 自宅療養者の対応について

【代表】
 あと、もう一つ。私がずっとツイッターなどでもこの間言ってきましたが、自宅待機者に対してほとんどケアがなされていなかった。最近発表されましたが、かなりな、二十数%が、感染者のうち2割ぐらいが自宅待機をしているわけですが、この人たちに対して急に病状が悪化して亡くなったりするケースが出てきたので、厚生労働省が通知を出して、ホテルに入ってくださいと、医療設備の整ったホテルに行ってくれと言っても聞かないわけですね。それに対してきのう、政府から都道府県に対する通知で、ホテルを「臨時医療施設」に指定して感染症法に基づく強制的な入院の勧告が可能になりましたので、今までのように自宅待機者に対して若干ノーマークだったところが少し改善されたかなと。
 ただ、引き続き自宅待機者に対しての行動履歴の把握などもしっかりやらないと、家庭内感染が起こったり、あるいは、ちょっと軽いからといって買い物に行ったりいろいろな地域に行くとそこから感染が広がる可能性が非常に高いので、この自宅待機者に対する対応というのはしっかりやっていきたいと思っています。

○新型肺炎 家賃支払い支援法案について

【代表】
 もう一つは、きょう、あすぐらいで、自民党の、あるいは与党の、家賃の支払いについての支援策がまとまるようですが、今報道されているのを聞いておりますと、上限50万円で3分の2を補助すると。しかも、最初無担保・無利子の融資を受けて、返済するときにそれは免除するという仕組みと聞いていますが、ちょっと正直、これだと救われない事業者がたくさん出てくるのではないか。もう野党が法案提出して1週間以上たっているわけですが、ここまで検討して出てきたのがこの案かというのは、正直ちょっと失望しております。
 まず、遅い。また、その融資を受けなければいけないことに時間がかかるし、その後また補助・助成を受けるのに時間がかかるということで、もういつになるのだと思いますし、かつ、上限50万円というのは、本当に東京など地価の高いところの家賃の上限として果たしてこれで十分なのかと。1ヵ月前に福岡の高島市長が上限50万円で8割補助というのを家賃について出しましたが、一見するとそれより劣っているなという感じがします。
 与野党協議をまずしっかりやっていただいて、我が党あるいは野党の案にぜひ賛成していただきたいのと、こういう内容なら、まだ公明党さんがおっしゃっているような地域ごとに、神戸方式と言われますが、地域ごとの取り組みを交付金などで支援したほうがまだましではないか。何度も申し上げていますが、我々の案にはこだわらないので、とにかくスピーディーに困っている事業者を助けるような案で早くまとめていただきたい。ちょっとこれだと心もとないなという印象です。

○新型肺炎 学生支援法案について

【代表】
 それと、学生支援についても、きのうも「ニコニコ動画」の番組で総理が、いわゆる修学支援新制度ができたので、それを使うと91万円の返さなくていい奨学金がもらえて、さらに学費の免除も受けられると。あたかも皆がそれを受けられるような説明をしていましたが、それができるのは非常に限られていまして、限定的です。ほぼ100%の大学が授業料の減免をしているという話もありましたが、先般の日経新聞の調査だと、学生数の多い大学で学費の減免措置を新設したり新たに拡充しているのは2割にも満たないという数字も出ていますので、やはりもう少しここは対応しなければいけませんし、今のままでは学生を救うことができませんので、来週にも「学生支援法案」という法案を出していきたいと思っております。

○新型肺炎 持続化給付金の給付要件について

【代表】
 それと、これも改善をぜひ求めていきたいと思っているのは、持続化給付金についての問い合わせが私のところに、週末、山のように来ました。
 一番多いのが、フリーランスなどの方、音楽家とかインストラクターをされている方、そういった方々からの悲痛な連絡は、税務署に言われて自分の所得を雑所得(で申告)、あるいは源泉徴収を受ける給与という形でもらっている人は、事業所得ではないので、もうその時点で形式的に切られてしまって、門前払いになって、持続化給付金が全く受けられないという話がたくさん多かったのですね。本業なのに、いろいろな、税務署に言われて雑所得として計上していたり、給与所得という形でもらっているような場合もあるのですが、そういうときに、主たる生活の糧になっているにもかかわらず形式上そうなっているのではねられてしまうというところについては、もう少し見直しを、要件緩和をしていくべきだと思います。

○新型肺炎 「緊急事態宣言」解除5要件の提案について

【代表】
 最後に、きのう総理がおっしゃっていましたが、あるいはこの間ずっと5月4日以降問題になっていますが、いわゆる「緊急事態宣言」を解除するときの要件が不明確なので、「結局いつ解除されるんだ」「うちは解除できるのか」、そういったことで非常に疑心暗鬼も広がっているわけですね。よってもって、いつ休業が解けるのか、ビジネスをやっている方も非常に心配になっておりますので、我々として、国民民主党として独自の「緊急事態宣言」の解除の要件ということを整理して、そういったものをまた政府にもぶつけていきたいと思いますし、それをもとに議論をぜひ深めていきたいと思っています。
 大きく二つの項目で、一つは「新規感染者が減っている」ということをまず確認しないとだめだと思います。
 新規感染者がどのように減るのかというところの指標ですが、一つは、日々発表されている新規感染者が14日間連続して継続して減るということだと思います。やはりこれぐらいの期間を置かないと安定的・継続的に減ったことが確認できないのが一つ。
 もう一つは、感染者数というのは基本的に検査数が減れば減るので、それだけ見ていてもだめなので、十分な検査が行われた上で感染者が一定水準にとどまるという意味では、私たちとして非常に大事な数字として要件の一つに挙げたいのが、陽性率です。陽性である比率ですね。これが7%以下におさまっているということを二つ目の基準としたいと思います。これは大阪の吉村知事も自粛要請の解除の一つの要件として陽性率を挙げていましたが、我々としてもこの陽性率、特に7%以下ということを一つの目安にしたい。
 三つ目に、いわゆる実効再生産数が1未満になっていると。
 この三つで「新規感染者数の減少」ということがまず確認されるということが大きな一つの柱です。
 二つ目の柱は、そのことによって「医療崩壊が起きていない」ということがやはり大事だと思います。受け入れ態勢がしっかりないと、やはりそれはとても解除できる状態にはないので。
 一つは、全ての患者が必要な医療サービスにアクセスできるということが大事なので、その目安として考えられるのは、先ほど申し上げましたが、陽性者の自宅待機者が基本的にいなくなるということだと思います。指定感染症に指定されているので基本的には病院に行くはずなのですが、例外的にホテルとか自宅になっているので、きちんとした医療体制が提供されるということは、少なくとも自宅待機者がいなくなるというのは解除の一つの要件として目安として考えられるのではないか。
 「医療崩壊が起きていない」ことを判断する二つ目の要件としては、入院する前あるいは手術の前のPCR検査がしっかり行われていること。あるいは、妊婦さんを病院に受け入れるときにきちんとPCR検査が行われていること。こういうことが行われることによって院内感染を防ぐことができます。今、大体感染者の1割ぐらいが院内感染と言われていますので、今申し上げた入院前あるいは手術の前、そして妊婦の受け入れ前のPCR検査がそれぞれ十分に実施されていること。
 この大きく二つ。細かく言うと、「新規感染者が減少する」ということで三つの要件、「医療崩壊が起きていない」ということを確認する二つの要件、この五つの要件で我々としては解除すべきかどうかということをぜひ見ていきたいと思いますので、これから政府が14日にどういう定量的・定性的な基準を出してくるかわかりませんが、我々としては今申し上げたような大きく二つ、細かく言うと五つの要件で、それが正しいのかどうかしっかり議論させていただきたいと思っております。


■質疑

○新型肺炎 「緊急事態宣言」解除要件について

【共同通信・中田記者】
 「緊急事態宣言」解除の要件の関係だが、代表はかねてから、定量的、具体的な要件を政府は示すべきだということをおっしゃっていたが、このタイミングで総理が、きのうの「ニコニコ動画」だが、14日ないしは14日を待たず基準を示すと表明された。このタイミングでの表明についてどのようにお考えか。

【代表】
 何で5月4日に言わないのかなと思いますね。「ニコニコ動画」が別にだめというわけではないですが、やはり5月4日に延長を決めたときに同時に発表すべきものだと思います。吉村知事が出したので慌てて出したというような感じは否めないと思います。
 確かに、知事独自がやっている自粛要請に対する解除要件と、根っこの「緊急事態宣言」の解除条件は別なのですが、当然リンクして考えるべきもので、なぜきのうああいう発言をされたのか。言うのであれば、それは5月4日に言うべき話であって、何かこれも含めてまた後手後手だなという感じがします。

○新型肺炎 家賃支払い支援法案について

【朝日新聞・山下記者】
 家賃の件について伺いたい。先ほど代表は自民案について、るる評価というかだめ出しをされたが、今後の与野党調整のすり合わせのポイント、こういう点をぜひ反映させてほしい、野党側から反映させてほしいという点を伺いたい。

【代表】
 とにかく一番重要なのはスピードです。
 これ、今、仄聞している自民党案は、まず無担保・無利子で貸し付けて、一定期間経過後、その返済のための補助を家賃の最大3分の2、上限50万円でやるということですから、ものすごくもったいつけて、しかも、すぐに支援が及ばないような中身です。スピード感がないということと、額も小さいということで、多くの事業者はこれ救われないのではないでしょうか。
 我が党案ももちろん、まずは債務を支払いを猶予して、その後、法の3条で書いているように、そのときの経済状況や事業者の支払い能力などを見て債務の減免・放棄ということもできるということで、我々もある意味事後的に給付や助成という形にする旨にはなっていますが、我々はとにかく、まずは今払わなくて済む、大家さんも安心して猶予に応じることができるという意味で、非常に速やかに効果を発揮するので。
 まず、残念ながら自民党案は非常にこれは遅い。ここまで検討が遅れた上に、内容も遅い。しかも上限50万円で小さいということで、これならまだ公明党さんがおっしゃっているような、地方自治体が独自にやって、その分、国が支援するというほうがまだましだし、我々の法案の第5条で、維新の皆さんもご主張されていたようなこととも整合性がとれるので、与党案と一口に言ってもこれならまだ公明党案のほうがましだと思いますし、公明党案であれば我々の法案とも整合性があるので速やかに合意ができると思うので、いずれにしても速やかに与野党協議を行って、合意に至り、スピーディーに困っている事業者を助けることが大事だと思います。

○新型肺炎 予算委審議について(1)

【NHK・佐久間記者】
 来週から衆議院予算委員会の集中審議があり、玉木代表も質問に立たれると聞いている。

【代表】
 立ちます。

【NHK・佐久間記者】
 この論点はどういうところになるのか伺いたい。どういうところを追及していきたいとお考えか。

【代表】
 先ほど枝野代表とも打ち合わせをしましたが、枝野代表は、この延長についての判断基準が不明確だと、PCR検査なども十分できていない、こういうことを中心に話をされるということだったので、私は、もうとにかく経済対策が不十分で遅い、第2次補正を急げという、経済対策を中心に話をしたいと思っています。
 特に、来週ですか、11日なので、まずその前提として、この10万円の定額給付と持続化給付金、これが一体どれぐらいの人に行き届いているのか。そういったことも確認したいと思います。10万円の給付、急いで配ると言っていましたが、たぶんほとんどまだお手元に行っていないのではないですかね。申請すらできない市町村がいっぱいありますから。
 とにかく、遅い、少ない、わかりにくい。こういったことを指摘しながら、100兆円規模の大規模な2次補正の必要性をしっかりと訴えていきたいと思います。

○新型肺炎 「緊急事態宣言」延長について

【フリーランス・安積記者記者】
 このたび「緊急事態宣言」が一回延長となったわけだが、31日までに必ずしもこの事態が収束するかどうかというのは今の段階ではちょっと不明瞭だ。そうすると、次にまた延長延長となってくるかもしれないが、このあたり、野党はどのあたりまで今の政権に対して許容するおつもりか。このままだったら日本だけが「緊急事態宣言」をずるずるして、韓国では緊急事態宣言が終わり経済的に浮上するかもしれない。ヨーロッパもそうだ。国内的には要求をされるということはもちろん大事だが、経済的に国際的におくれをとって日本がどんどん沈んでいくことを防止しなければならない。そういったところの重要性を果たして政府が感じているのかどうかというのは非常に疑問な思いを持っている国民は多いと思うが、このあたりは責任野党としてどういうふうにお考えか。

【代表】
 安積さんがおっしゃった点は非常に大事だと思います。私は、このままずるずるいくと日本はもう二等国に落ちてしまうと思います。中国・韓国が比較的早く経済的リカバリーを遂げる中で、ずるずるとこのような経済的な低迷も続いていくと、やはり倒産・廃業、あるいは株価も落ちてくるということになると、そういった先行して回復した国の企業等に日本の産業とか重要資産がどんどん買いたたかれて安く買われてしまう。それは経済国家安全保障の観点からも極めて問題で、私は、日本がこのコロナの対策を誤ってしまうと二流国・二等国に転落する、今、瀬戸際にいるのだと思います。
 そうならないためにも、短期で収束させるためには、必要であればしっかりと経済的なものは一旦規制をして、そのかわり休業補償と生活保障を万全に、潤沢な予算でそれをやり切った上で短期に抑えるということがやはり戦略としては必要だと思いますが、今のままだと、何だかよくわからないうちに延長され、しかも休業補償や生活保障も十分ではない。最悪の組み合わせをやっているのではないかと思いますので、そこは厳しく問いたいと思いますし、仮に再度延長ということになれば、やはりそれは感染症対策が我が国においては失敗したと言わざるを得ない状況になると思いますし、また、経済への影響もより深刻なものになる。日本が二流国・二等国に転落する、そのスイッチを押すことになるのではないかと思います。

【フリーランス・安積記者】
 関連で伺いたい。今、官邸が果たしてリーダーシップをとれているのかどうなのか、かなり疑問に思うところがある。例えばマスク問題についてもすごくあやふやな感じで、40人ほどマスク班が経産省であるにもかかわらず、いまだにマスクが届いていない地域があったり、汚れの問題などが出てきていて、非常に中途半端な感じがする。このあたり、単に安倍政権の問題だというよりも、具体的に官邸のここに問題があってリーダーシップが発揮できないというところまで切り込んでいくべきではないかと思うが、いかがか。

【代表】
 司令塔がないことが問題だと思います。西村大臣はよく頑張っておられると思いますが、西村大臣は何の権限もないのですね。唯一あるのは経済財政諮問会議を回す担当(経済財政政策担当)、旧経企庁長官という部分では権限がありますが、それ以外の観点では基本的にはありません。例えば、雇用調整助成金を上限を引き上げようといったって、それは加藤(厚労)大臣の所管ですし、1ミリも手を出せませんから。その意味では司令塔不在のままやっているし、役人の方もそれぞれやっているのですが、基本的には縦割りでやるのが習性ですから、そこを政治的リーダーシップでしっかりと押さえていかないといけない。
 私が心配しているのは、西村大臣は諮問会議の担当大臣でも経済再生担当大臣でもあるのですが、そっちは全然頭が回っていなくて、サッカーボールを追いかけるようにみんながワーッと、感染症対策が今大事なのですが、ただ、一方で、少し俯瞰した目で日本経済全体あるいは将来を見通した戦略、こういったものを打ち立てる機能とか頭が、今、官邸というか政府の中から欠落しているのではないかと心配していますので、我々野党としてこういうことについても、安全保障の観点や経済安全保障の観点でもしっかりと提案・提言、物を言っていきたいし、足を引っ張るつもりはありませんがお尻はバンバンたたいていきたいと思っていますので、そういう意味でも活を入れたいなと思っています。

○新型肺炎 「子育てへの影響」「9月入学案」について

【「FACTA」・宮嶋記者】
 妊婦さんの対策は御党の一つの成果だと私も思うが、中国では何かこの間に子どもがふえるのではないかという説もあるが、私は、このコロナの年に日本の子どもがすごく減るのではないかということを思っている。その辺についてどう思うか。
 あわせて、秋入学。これはたぶん野党の性格からして野党が一つになれるようには私は思えないが、やはりこれはやるなら早く、それから、この時期をおいてできそうもないのでやはりやったほうがいいのではないかと思っている人がいると思うが、秋入学・秋新学期の問題を含めてどう思うか伺いたい。

【代表】
 子どもが、この2020年、どういう出生数・出生率になるかというのはちょっと見てみなければわからないのですが、私は逆に、将来に対する不安が広がって出生率はむしろ下がってしまうのではないかと心配しています。というのも、教育の問題一つとってみても本当に不安が広がっていますし、あるいは、いざこういうことが起こると特にシングルマザーとかシングルファーザーの人は預けるところもないし、子どものことをとったら働けないし、働くことをとったら子どもを誰が見るのみたいになって、日本の子どもを育てながら働くということの社会インフラの脆弱性ということを身をもって今回感じたので、若い人からすれば何か子どもをつくるとか安心してつくろうなんていう気がより起こらなくなってくるのではないかと思っています。
 それに関して言うと、「9月入学」に関しては党内のワーキングチームでも今議論をやっていますが、私は「9月入学」をことしからいきなり制度として導入するのはやはり難しいと思いますが、ただ、明らかに子どもの学びに穴があき、しかもその穴の大きさがまだら模様になっていて、つまり格差が非常に広がっているのですね。できているところはできている、特にオンライン教育ができている。できていない、特に公立は全体の5%しかまだできていないと言われていますが、地方の公立の学校などとの格差ということを考えると、一旦リセットをして、もう徹底して8月末までにオンライン教育の環境を整えて、9月からもう一回再スタートし、しかも入試についても今年度についてはやはり少し時期をずらしたり推薦入学やAO入試についても特例措置を講じるということで、「9月入学」というよりも、もう一回9月に再スタートするということを明確にすべきだと思います。
 その延長線上で、それがうまくできれば、来年以降「9月入学」ということに社会全体を移行させていくということも可能になってくると思うので、「9月入学」を可能にするためにも、ことしの9月からもう一度再スタートをきちんと切れる体制を整えることはいずれにせよ不可欠だと思いますので、特にオンライン教育については、この4ヵ月、徹底的に進めるべきだと思います。

○重要資産や産業を防衛する法整備の必要性について

【産経新聞・千田記者】
 安積さんの先ほどの質問にちょっと関連するが、代表は5月2日のツイッターで、国家安全保障の観点が大事だということで、重要な資産や産業に関して防衛する法制が必要だと投稿している。現時点で具体的にどういうような法制をイメージされているか伺いたい。

【代表】
 外為法が改正になって、一部届け出義務などが強化されて、そういったものに対する規制が強化されていますが、重要産業、例えば航空産業などはたぶんばたばた世界で潰れてくるエアラインが出てくると思うのですね。そういうものを全部買い占めていくというようなことが起こったときに、いわゆるナショナルフラッグなどがなくなってしまっていいのかとか、その意味では、やはり外国資本の株式の取得比率を一定以下に抑える、そういったことが一部の産業では行われていますが、そういった分野を拡大していく。あるいは、少なくとも強力な届け出義務などをしっかり課していくということで、気がついたら日本の企業とか資産がもうほとんど外国の手に渡っていたと、特に中国の手に渡っていたということにならないようにしなければいけない。だから、まずは経済ががたがたにならないように、やはり大規模な、100兆円ぐらいの財政出動をしてでも支えると。簡単に買われないようにするというか、企業の価値が低下しないように、毀損しないように、ちゃんと支えるということがまず一番です。その上で、買われないような対抗策を、やはり取得規制というものを、重要産業や重要資産については追加で課していくということが必要かなと。外為法などの改正強化というのが一つの案だと思います。

【産経新聞・千田記者】
 関連して。その法案だが、今国会中に提出していく考えはあるか。また、提出する場合は、家賃法案で、立国社、共産に加えて、維新も共同提出されていたが、同じように維新などにも声をかけて成立を目指していくお考えか。

【代表】
 はい。ぜひこれは今国会で法案化していきたいと思いますし、維新の皆さんにも協力を求めていきたいと思います。

○イージス・アショア「秋田・新屋演習場への配備断念」報道について

【朝日新聞・山下記者】
 コロナの話から離れてもう一点お伺いしたいが、きのうから、イージス・アショアの秋田の新屋配備断念という各社報道が出ている。ただ、秋田県内の別の場所で代替地を探すという政府方針だそうだが、まず、イージス・アショアの日本国内の配備について、数千億円かかるという巨大な予算を投じるものだが、この是非を代表はどうお考えかということと、秋田県内、新屋も含めて反対が地元は非常に強いと思うが、新屋も含めた秋田県内への配備をそれでも政府がこだわろうとしている姿勢についても評価をお願いしたい。

【代表】
 私は、イージス・アショアについては、これは一旦白紙に戻すべきだと思います。
 というのは、安全保障の観点からも、使うレーダーがロッキード・マーチン社のレーダーで、かつ、「ベースライン9」という古いソフト(イージスシステム)を使うので、ちょっと今の海に浮いているイージス艦との連携・連動ということも含めて、はっきり言ってこういうちょっと古いシステムを入れるのでいいのかなということが一つ。
 ミサイル防衛は極めて大事なのですが、戦いのあり方が今すごく変わってきていまして、大きなミサイル1発を撃ち込んでくるという戦術から、例えばドローン3000機を飛ばして攻撃してくる、そういう安価で非常に柔軟な形の攻撃に戦争の形も変わってきているので、大艦巨砲主義みたいな、ああいう形の迎撃体制、ミサイル防衛ということが、果たしてこれからの安全保障にとってベストなのかという観点からもう一度よく見直したらいいかなと思います、この機会に。
 無理して秋田県に本当に設置することに意味があるのかどうか、こういったことも含めて、ミサイル防衛全体のあり方というよりも、新しい戦い方に対する我が国の対抗措置として何がベストなのかという観点でもう一度よく考えてみたらいいと思います。

○新型肺炎 予算委審議について(2)

【「FACTA」・宮嶋記者】
 先ほどのお話の中で、枝野さんと打ち合わせをしたとおっしゃっていたが、これというのは枝野さんから電話がかかってくるものなのか。恒常的に何かやっておられるのかどうか伺いたい。

【代表】
 これは予算委員会のメンバーで集まって質問の調整をしたということです。きょうの午前中、予算委員会の質問に立つメンバーが集まって、こういう質問をしようと。重複を避けたほうがいいと思いますので、そういった最低限の質問の調整、重複の回避という、そういった調整作業はさせていただきました。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 党首の間で質問事項のすり合わせをしているのですか。それ以外の、例えばいろいろな提案とか今のいろいろな法案について枝野さんと玉木さんが電話で話し合ったりするというのはもうあまり行われていないように思うが、その辺は野党は今一つになれていないと思うが、どうなのでしょうか。

【代表】
 ただ、法案は共同して出すことが多くて、言い出しっぺはこっちが言ったとしても結果として野党全体の法案になっていることも多くて、そこは政調レベルでかなり緊密に打ち合わせをしております。もちろん、私が言ったり我々が言っていることどおりにならないこともあるのですが、やはりある程度数がないと法案も提出できませんから。いろいろなことを発案して提案をしますが、最終的には野党全体での法案提出に至るというケースも、この間、多々あったと思います。そこには、やはり政調レベルでの調整がうまく機能したということだと思います。

○多様なマスクのデザインについて(1)

【フリーランス・安積記者】
 きょう午前の会見で菅官房長官がマスクにアイヌの魔よけのマークというような感じで、今、いろいろな方が個性的なマスクを着用されているらしいが、玉木代表は、例えばご地元のほうで何か有名な織物とか、地場産業で織物があると思うが、そういうマスクの着用をされる予定はあるか。

【代表】
 実は私、小さくて見えないのですが、これ「Y.T」と、私のイニシャルが入っているのです。これは、うちの地元は手袋産業が結構多くて、手袋とか、靴とかつくったり、いろいろな地場産業があるのですが、そこの中小企業の方がつくってくれたもので、それを着用しております。非常につけ心地がいいです。「アベノマクス」はちょっとまだ、私、つけたことないのですが。

【フリーランス・安積記者】
 要はアピールするために皆さん結構されているみたいだが、ちょっと何か名前だけだと地味かなと思うが。

【代表】
 河野大臣みたいに、ああいう派手なのがいいかもしれませんが。やはり地元の、そういった地場産業の皆さんがいろいろな工夫をしてやっておられるので、送ってきてくれたりするのですね。だから、いろいろ、ほかにも別の手袋メーカーもあって、そこもつくっていただきましたが、なかなかいい感じです。ここに何か絵でも、「こくみんうさぎ」の刺繍でもしようかな。

○結党2周年 党勢拡大の取り組みについて

【代表】
 時事の近藤さん、チャットで失礼しますと。
 結党2年。コロナ対策を初め提案型の姿勢で存在感を示す一方、支持率向上につながらない現状をどう分析しているか。次期衆議院選挙に向けた党勢拡大、立憲との合流協議についての現時点での考えをお聞かせください。

【代表】
 これは前も申し上げましたが、少しずつ我々のこの提案型というか、「新しい答え」を出していくという、そういうやり方が理解されてきたと思うし、このコロナの国難とも言える状況の中では新しい政策提案を野党側からも出していくのは必要だと思いますし、その意味では国民のある種の期待やニーズに応えている活動が今はできているのかなと思います。
 支持率については一喜一憂することなく今はやる必要があると思いますし、とにかく今は国民のために一個でも役に立つことを党一丸となってやり切るということだと思います。その結果、支持率はついてくるものだと思いますし、今どれだけ我々が国民の皆さんの不安に寄り添い、お役に立てるか。そこで一つでも「新しい答え」を示して解決につなげていきたいと思っています。

○多様なマスクのデザインについて(2)

【フリーランス・安積記者】
 先ほど「こくみんうさぎ」の刺繍をしようかとおっしゃったが、それはやはり1枚3300円以上になるか。

【代表】
 ここにすると、目立つよね。相談してみます。